como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

塚原卜伝 第4話「一拍子の太刀」

2011-10-24 22:01:15 | 過去作倉庫11~14
 今週は、あわてないあわてない・ひとやすみひとやすみ~、みたいな趣の回でした。7話しかないので、そんなに悠長に一休みしてもらっても困るのだが…。
まあ、今週は殺陣らしい殺陣がなかったのも、ユルく感じた原因かもしれませんけど、その分新右衛門の汗と涙の稽古風景とかがいっぱい出てきて、アップも多く、萌え要素は多かったのでまあいいです(ヲイ)。
 今週の話が物足りなく感じたのは、その昼間、映画「一命」を見てしまったせいもあるんだけど…。あれですね、素ん晴らしい時代劇映画などを見たおかげで、見ている時代物ドラマが薄く感じてしまうというのは、時代劇にとっては喜ばしい状況ではないでしょうか。それも大河ドラマの旧作とか、昭和30年代の映画とかじゃあなく、新作の時代劇映画なんですからね。重畳重畳。BS時代劇には、今後も、テレビ界のおける時代劇の旗手として頑張っていただきたいと思います。
 というわけで、まあ今週はあんまり書くこともないけど、最大の呼び物といったらあの伊藤リオンさんが「今週の敵役」として登場することでしょう……って、え?? いや、ちゃうちゃう、つい「一命」のせいでそんな名前がよぎってしまったけど(笑)、もとい、今週の敵役は、ダンテ・カーヴァーさん。あのホワイト家族・白戸家のお兄さんです。おいおい。まじかそれ。

第4話「一拍子の太刀」

 京都に来て早2年だか3年目を迎えた新右衛門(堺雅人)は、将軍・足利義尹(本田博太郎)の軍に助っ人として参陣して戦に出、見事敵の大将首をあげるという手柄を立てて勝利に貢献します。これって、先週ちらっと出てきた前将軍がクーデターを狙ってなんたらという話の流れなんだよね?(歴史にうとくてすみません)
 で、みごと敵対勢力を一掃し、名実ともに将軍職となったお歯黒将軍は、宴を開いてお祝い。パーティ大好き・みずから舞を舞って無礼講です。
 そこで、今回の手柄のご褒美として、新右衛門に将軍手ずから刀が授けられるのですが、そこで「ところでお前なにを目指して上京してきたの」という御質問があります。金か、ステータスか。ビッグになりたいのか。それに答えて新右衛門は、例のピュアなポカーン顔をして、「お金ってなんですか?ビッグってなんですか?ボクただ剣のうでをみがいて強くなりたいだけなんです~」と。まあ、実際新右衛門の背後には、地元鹿島の観光振興と物忌館の新築という遠隔操作が働いてるんですが、そんなことは本人気にしてないですから。
 そしたら管領・細川高国(安田顕)が面白くないんですね。金要りません・ステータス要りませんなんて人間は信用できない。パチモン感がぷんぷんしますぜ。いっそもう一回御前試合を催して、こいつの腕前がどれほどのもんか披露させてはどうですか…と。
 イベント大好き将軍はすぐにそれに乗り、またぞろ清水寺で、余興の殺し合いが催される運びとなりました。その場にいながら新右衛門は、「なんかこの空気やだな…」みたいに感じています。「ここはオレのいる場所ではない」とか。
 そのことを、左門(平岳大)にも言うのですが、もう3年たつし、戦功も立てて有名にもなって、鹿島の観光振興もある程度できたし、帰ればいいと思うのですがね。ところが左門は大事なことを忘れてました。「あっ、そういえば忘れてたけど地元・鹿島でも戦になるそーです、手紙が来てました」…って。忘れるなよそういう大事なことは
 そんなことで、地元のバカ殿がおっぱじめた戦の戦費ねん出のために、新右衛門の稼ぎは、目的の物忌館の新築にはなかなか回りません。回国修行も、当面続行です。

 しかもです、新右衛門の御前試合にもへんな操作が働いてて、それは、管領細川家が、管領代大内家が一社独占している中国との勘合貿易たらいうものの既得権益を、のどから手が出るほど欲しく、そのためにあの手この手で大内を失脚させようと狙っているというのですね。この話は、例の巴屋のママ(有森也美)から聞きます。
 とーぜんながら、自分の剣術修行にそんな不純なものが絡んでくるのが、新右衛門は面白くないわけよね。で、おもしろくねーなーとか思いながら京の町をあるいていると、時ならぬ路上イベントが。なにごとかと野次馬にいってみると、そこで、武芸者同士の試合が興業っぽく行われていました。かたや普通の剣客三人、方や雲つく大男ひとり、それも鬼のお面をかぶって、異様な、両端に刃のついた薙刀みたいなのを得物にしています。
 えー、でもこーゆーのって反則でないか、と思うのですが、まあ、反則を取られてないから当時の剣術試合では、どんな変な得物でも「あり」とされたのでしょう。それにしてもこの凶器といい、マスクといい、完全にプロレスのヒールだよなこいつ。
 このヒールは南栄という名前です。凶器のダブル薙刀をヘリコプターのように旋回させ、バタバタと…そう、華麗なの妙技も美しい立ち合いもなにもなく、突っ立ったままドシャッバサーッと、それも負けて手をついた相手にさらに止めを刺すようなことをして、観客の顰蹙を買います。ま、とかく日本人はこーゆーのに眉をひそめるのですよね。勝てばいいってもんじゃないんだ!そこには品格が必要なのだ!…とかいって。なんか朝青龍のようですが(笑)、たしかに、この南栄ってヒールは日本人ではないっぽい。
 試合後、あとをつけていった新右衛門に、ヒール南栄は「人はどこからきてどこに行くのか…死ぬときは自分が死ぬということも知らず」なんちゃらと、妙に哲学的な死生観を語ります。その語り口がどーも妙なイントネーション、しかもソフ○●ンクの家族割引♪みたいなフレーズに脳内変換されてしまうので、なに言ってるのかてんでちんぷんかんぷんで…。とりあえず、このヒール南栄が日本人じゃないってことはわかりました。犬ではないですけど。とりあえず人間ではありますけど。

 さてさて、地元鹿島では、バカ殿が張り切って出た戦で大負けして討死したり、物忌様(江波杏子)が「新右衛門の未来が、よっ読めない…!ウウッ!!」…と胸をかきむしってバッタリ倒れて大騒ぎになったり、生き神様がそんなんなってるっちゅうのに巫女さんの真尋ちゃん(栗山千明)が、完全に無視して「兄上…」とか言って遠い西の空を見つめてみたり、ナレーションで言わんでもわかる不穏な空気が漂ってますが、新右衛門にはとりあえず関係ないです。
 御前試合の日程が決まり、細川家が出してくる対戦相手があの南栄だときき、新右衛門は固まってしまいます。っていうのは、この前、路上でソフトバンクの勧誘を人生訓を語られたとき、やつのW薙刀に動きを封じられ、なにもアクションがかけられなかったというのですね。
 そりゃまあそうだよ。それって、室伏広治がハンマーをブンブン旋回させているところに入って行って室伏の胸毛を摘んで来い、みたいなことで、無理!!…でも新右衛門はその無理に挑もうとします。左門を相手に特訓を繰り返し、W薙刀に見立てたパドル(笑)を払って懐に入ろうといろいろ試しますが、どうしても作戦が編み出せません。
 んで、やっぱり今週もめんどくさい鹿乃姫が、すすすすっとすり寄ってきて、「なんで誓ってくれへんのですか、決して死なないと約束してください、さあ誓ってください」とかいって新右衛門をバンパイヤの世界に引きずり込もうとします。
 ついに最後には夜這いまでかけて…。新右衛門の寝室に忍び込み、寝ている彼の顔を両手で包み、その首めがけて今にも牙を、がぶっ…とやろうとしたそのときに、ガバと目覚めた新右衛門によって撃退されます。(なんかこんなことばっか書いてると、「卜伝」本編を見てない人が読んだらそういう話と誤解されそうだわね。ウソですから 笑)
 怨霊退散怨霊退散!!!と闇に向かって剣を揮う新右衛門を見つめる鹿乃姫の目には、血の涙が…(だからウソだってそれは)。

 さてそんなことで試合当日。前日鹿乃ちゃんに生き血を吸われそうになった新右衛門は、結局、必殺技を編み出せずにリングに上がります。対するは覆面のヒール・南栄。
 だけどさー、んなことに突っ込んでもしょーがないんだけど、ヒールの鬼のお面に入った、微かな縦の一本線が、ばっちり見えてしまって。その瞬間、5秒後に何が起こるかわかってしまったもんね。んで、ほんとに役5秒後に、ハーッと新右衛門の剣の一閃とともに、直前に予知したとおりヒールの覆面は真っ二つに割れて地面に落ちましたよ。ハイビジョンも良し悪しだと思うのはこういうときですね。そして、バッタリ倒れて息絶えて、割れた覆面の下から現れた顔は伊藤リオン……じゃなくって、おおっ何と白戸家のご長男ではありませんか。せっかくのスペシャルゲストというのに、盛り上がらないにもほどがあります。
 興ざめだったのは視聴者ばっかりではなくて、ロイヤルシートのお歯黒将軍も。「なんや終いかいな」とか言って。チャンプを擁した大内の殿様も、試合が盛り上がらなかったので微妙に笑顔が引きつって苦しそうです。んで、その場の凍った空気をさらに凍らせるように、細川の殿様がリングに乱入し、「この役立たずがあ!」とか言って、ホワイト兄ちゃんの遺体をメッタ刺しにしようとします。
 そこでも、5秒後に起こる展開は瞬間予想できてしまったんだけど…なんか霊視ドラマみたいだな今週(笑)。善玉・新右衛門はキレたお殿様を体を張ってとめ、「ご無体はお止め下され。彼もまた命を懸けてたたかった武芸者でござる」とか言います。バカ殿はケッと鼻で笑って、ホワイト兄ちゃんの遺体の顔を土足で踏み、「こんな者は当家の家中でもなんでもないわ。サッサと片づけるがよかろう」とか言って肩で風を切って去ってゆきます。
 このあたりのバカ殿の振る舞いは定番なんすけど、兄ちゃんの遺体を搬出するとき、名もない家来が、踏まれた顔をちょっと手で拭って直してやる、という一瞬のしぐさは良かったね。こういうところに時代物の美意識は宿るんだな、うん。
 そして…お歯黒将軍は立ち去り間際、新右衛門の手をじーっとみて、「そのほうの手、南栄の血で真っ赤やんけ。綺麗やのぉ~~~」…っと、めちゃくちゃ面妖な生臭い匂いを振りまいていくのでした。げげげげげ。いや、今週のツボって、実はここかもしんない。この絶妙なキモい感じは、やっぱ博太郎さんでないと出来ないよねえ。

 戦いすんで新右衛門は虚脱し、「人はどこから来てどこにゆくのだろう…」あの南栄も、どこで生まれたのかこんな遠い国にきて、携帯電話のCMに出て最後は人に顔を踏まれたりとかして、この国はどんな風に見えたのであろう…とか考え込んだり、血の匂いが匂いが取れない!!とか言って手を洗い続けたりとかします。今回の試合も、もう死んだってしょーがないから、死ぬならじたばたしないで前を向いて死のう、とおもって真っすぐ相手の懐にはいったら勝っちゃった、みたいな事だそうです。
 そんな新右衛門の前に、ある日、ただの上品なオッサンと見えてどうもそうではなさそうな、謎の男が現れます。そう、榎木孝明
 こんな調子の対戦相手が続いたら、いいかげん八百長とか噛ませ犬とか言われちゃうよ?みたいな新右衛門の順調な勝ち上がりっぷりに、今度こそ最強の敵、時代劇界の世界ランキングでもどう見ても上位の相手が現れた……んだよね?

 はい、では来週はまた、きっと見ごたえのある殺陣がみられることと…期待しつつ。
 また来週。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。