Story 川中島に濃い霧が出ると聞いた勘助は、必勝の戦法を編み出す。全軍を二手に分け、一万二千の別働隊が霧に乗じて妻女山を奇襲、下山した敵軍を八千の本隊が待ち構えて挟み討つのだ。しかしその策は、同じ霧の予報を老婆おふくから買った宇佐美に見抜かれていた。海津城にあがる炊ぎの煙に気づいた政虎は、出陣の命を下し、上杉軍は夜霧の中、音もなく妻女山を出て千曲川を渡る。翌朝、本隊を川中島に布陣させた勘助は、霧のなかから至近に出現した上杉軍一万三千と対陣する。劣勢の中、別働隊が復帰するまで上杉軍の攻撃をしのぐため、信繁が撃って出る。味方の陣を立て直す時を稼ぐために、信繁はみずからの首を差し出して壮烈な討ち死にを遂げるのだった。…
庵主のCheck! (今週はちょっと長め)
NHK大河ドラマの醍醐味は、実はプレ最終回にあるのではないか…と、今週の放送をみてしみじみ思ったワタシです。いや、今週は良かったなあ。1年間しっかり見続けてきてホントに良かったと思いました。
今週は、ほとんど突っ込むところもありません。素晴らしい! 天下のイロモノ・ガクト王子の不要なアップで引っ張る(←写真集買ったくせに!買ったくせに!)こともなく、堂々たる正攻法。過去48回分の内容がギューっと凝縮されて昇華していくような、悠揚迫らざる素晴らしい回でありました。
なんにせよ、大河ドラマの最終2回の感動というのは、1年間続けてまじめに見てきた視聴者に送られるプレゼントなんですよね。ここにしっかりと魂が入っている大河ドラマは、いいドラマなんですよ。うん。ホントにそう思う。
そんなわけで、2007年の暮れ、特等席で悠々と味わうがごときおもむきの「風林火山」プレ最終回。第49回。いまさらワタシごときが突っ込むことは何もないのですが、まあ、見てまいりましょう。
先週、怪しすぎるお天気ババア・おふくの有料天気予報により、「明日の朝、川中島は霧ん中」という情報をゲットした勘助。
いままで呑気に海津城で膠着していたのが、にわかにあわただしくなります。出陣は今夜!と急に言われて信玄もビックリしますが、勘助の立てた作戦はこうでした。
全軍を二手にわけ、6割にあたる1万2千が妻女山の敵本陣の背後に回る。未明の霧にまぎれて奇襲をかけ、パニクって下山してきた敵を、朝霧に隠れて待ち構えた本陣八千が迎え撃つ。そして戻ってきた別働隊とともに、敵を挟み撃ち!明朝の霧こそ天運!パーフェクト!
という勘助の作戦に、信玄と、共同作戦部長に指名された馬場信春も興奮します。「おお!それはキツツキですねっ!」「キツツキ?」「はい、キツツキはそーやって餌をとるのです、というのは…」と、馬場ちゃんの理科教室のようなレクチャーにより、この奇襲作戦1号は「キツツキ作戦」と命名。というか馬場ちゃん、共同作戦って、けっきょく名前をつけただけだったんか…。
がしかし、おふくは勘助に天運を授けて「良いおばあさん」で終わるようなタマではありませんでした。
妻女山の上杉本陣に、おふくはひとりでやってきて、宇佐美さんに面会をもとめます。「おお~、オババよく来てくれた。で?霧がでるのはいつだ?」と宇佐美さん、もうとっくにババアと契約を結んでいたらしいのです。「明日だ!明日の朝川中島は霧ン中、一間さきも…」と勘助に流したのと真同じの情報を提供し、代金として金3粒をいただくババア。勘助の払った情報料より1粒多い、というのは勘助の3粒のうち1粒分は鬼美濃のお命代でした。うーむ、なんとシビアなババアでしょうか。あきらかにこの情報は後からゲットしたほうが有利なんです。
宇佐美さんもそう単純な人ではなく、ババアの天気予報は誰でも利用可能な有料コンテンツだと知っているので、「敵もこのことは…」とカマをかけますが、「んなこたぁオラの知ったこんじゃねえだよ」と身をくねらせるババアのリアクションが、すべてを物語っておりました。
宇佐美さんはさっそく作戦を献策します。いつものようにマイペースで琵琶など弾いていた政虎王子ですが、「敵がそのとおり動くとは限らない」と信用しない直江のおっちゃんたちに「敵は動く!」と断言。「見よ!」と王子が指差す先には海津城の台所から煮炊きの煙が上がっています。鼻が異常にいいのかでお腹空いていたのか、人間離れした王子です。
どうやら海津城では急に大量のお弁当が必要になったらしい。ということは…
しかし、気になるのはまだババアの家に居候している(はずの)鬼美濃が、宇佐美が既にババアと契約していることを何で知らなかったのか。知ってたならなんで勘助に一言注意しなかったのか、ってなことですが、そこを突っ込んだら話になりませんのでね。とにかく勘助は、宇佐美さんがババアの天気予報を把握しているなんてことは夢にも疑わず、出陣前の海津城で回想にふけっています。
「お屋形様は燃える日輪の如く…それがしは青き月影の如く…恋は散り降る花の如く…宿敵は天駆ける龍の如く…戦は我が人生の如し」
風林火山の第一回冒頭に出てきたモノローグが初めて再登場。いよいよクライマックスだなあって感じですね。
海津城では、敵陣の妻女山まで届くくらい盛大に、出陣前の夕食の大盤振る舞い。もと越後軍の大熊朝秀が、見かけない顔の武将と酒を酌み交わしています。誰…と思ったら、千住明さんと題字書きの柿沼さんでした(笑)。
勘助は、仲の良い真田様と相木さんと同じテーブルで夕ご飯。戦国武将は、出陣前にはこのように豪華な食事の大盤振る舞いをして士気を高めたそうです。けっこう美味しそうでした。「こんなに心震える戦は久しぶりだ」と相木さん。「海ノ口いらいだな」とか振っていましたが、勘助と真田さんにとってはそんな長いインターバルではないですよね。
同じ頃、信玄と弟の信繁が夕食をともにしていました。
「お屋形様いよいよですね」「なら今夜は兄・弟でいこう」と、このあたりから嘉島典俊さんの目がずっと涙目で、なんか見ているほうまでウルッときそうでした。
ずっと兄を立てて生きてきた信繁は、ことあるごとに「家臣の心得」書き連ね、息子に残すつもりでもう99か条にまでなったそうです。なんであと1個足して100にしなかったのか分かりませんが、とにかく、んな長大な「心得」を書き続けてつくづく思ったのは「こんなこと書かなくていい世の中になると良い」だそうです。なんかこの複雑な感慨が、彼の人生のすべてを物語っていますよね。
そんな信繁に、信玄は、亡き母・大井夫人の法衣から作ったという幌を手渡し、これが戦場でのお守りだと言います。亡くなったお母さんの形見を身につけさせて戦場におくるって、それはなんか矛盾しているようですが、「生きよ信繁。生きるのじゃ」。もう、いろいろ言わなくてもこれがすべてですよね。うつむいて、ポトッと涙を落とす信繁。いろいろ言わなくても万感の思いがこもっているような、感動的なシーンでした。
いよいよ啄木鳥戦法が始動します。二手に分かれた武田軍。妻女山を奇襲する別働隊の指揮官は、飯富さん、馬場ちゃん、相木さん、真田様、香坂くん。「残りは大丈夫?」と不安なくらいの精鋭部隊です。
香坂くんは、勘助に「お先にまいります。父上ご武運を」と声をかけて、騎馬姿も凛々しく妻女山に出発。父上かあ…。これにはまた万感がこもっているわけでして、決して単なる「娘婿」じゃあありませんね。
未明になり、信玄率いる本体も出発です。信玄は、白い毛のついた諏訪法性の兜をはじめて被り、いままでで一番貫禄のある姿になります。白い上っ張りみたいなのを捨て、ハゲ頭を隠してくれてやっとホッとしました…。というか、白毛の兜で馬にのり、悠々と出陣していく亀治郎信玄はもう文句なしにカッコよく、ああ、このために彼のこの1年間があったのかと思うほど。そして、真っ黒ずくめの勘助の甲冑姿にもシビレました。来年、信玄公祭りで信玄主従を演じるタレントさんは勇気がいるでしょうねえ。
が、武田軍のこの動きは、当然のごとく宇佐美さんに読みきられていました。夜霧に紛れて妻女山を脱出し、♪鞭声~粛々~~~夜~川を~~♪渡った越後軍は、武田軍本隊を急襲すべく陣を整えています。
そうとは知らない別働隊の飯富・馬場・真田・相木・香坂は、ゾロゾロと妻女山にやってきたらモヌケのカラで大ショック。なにしろ別働隊の人数のほうが多いのですから、こうしてはいられない!! 猛ダッシュで川中島の戦場に引き返します。
夜明け、川中島に鶴翼の陣を布いた武田本軍は、上杉軍が別働隊に押されてパニクって降りてくるのを悠々と待ちます。が、待てど暮らせど知らせはなく、日の出とともに霧が晴れてくると、その至近に姿を現したのは、パニクったどころか整然と車掛かりの陣を布いて押し出してくる、上杉軍の大軍勢でした!
「読まれた!!!」と大ショックの勘助。こっちがパニクり、おもわず土下座をしてお屋形様に「それがしの失策でした!!」と詫びます。
が、信玄は落ち着いたもので、「お前は武田の軍師だろう。この状況をどうすんだ」と。「どうする、軍師山本勘助!!」と大喝されて、勘助の脳裏に甦ったのは、唐突ですが今はなき板垣ソニー信方のすがたでした。「そなたは月影となってお屋形様」を支えるのじゃ」と、このプレイバックでスイッチがはいった勘助は、敢然と上杉軍を迎え撃つべく立ち上がります。
味方は鶴翼、敵は車掛かりの陣。
という有名なシチュエーションが、川中島の戦場いっぱいに展開されるのはまさに圧巻で、見ていても本当に美しかったです(上杉軍が、なんか遠くでぐるぐる自転しているのがちょっと不思議な感じだったけど)。このためにNHKは他のシーンでお金を節約し、一気につぎ込んできたのだなあ。しかもこう壮大な合戦シーンが、中国やモンゴルやニュージーランドに外注しなくても、長野県でできるのよねと、見ているだけでワクワクしました。大河ドラマはこうでなくては。
武田軍からは先鋒の大熊(もと越後)朝秀と飯富(弟)昌景が飛び出し、ついで秋山信友が出撃しますが、数の差もあり、劣勢は覆えません。「別働隊が戻るまでぜったい鶴翼を崩すな!」という勘助の檄も虚しく、浮き足立って、陣形も乱れはじめました。
そこへ武田信繁が投入されます。「幌がそなたを守ってくれよう」と兄信玄に送り出された信繁は、威風堂々出撃しますが、敵陣の前で馬をとめ、家来の者に「これを敵に奪われたくないので、持って帰って息子に渡してやってくれ」と幌を外して手渡すのでした。
この信繁の幌は、その後、息子の武田信豊が引き継いで長篠の合戦で身に着けたとのことですが、99条もの遺訓といい、セガレとしては「これでカンベンしてくれ」てな気持ちで着たんじゃないでしょうかね。立派な父さんの跡取りはたいへんです。
ともかく、信繁は幌を体から外した時点で、もう生きて戻るつもりはなかったわけですね。敵陣前で、「我こそは武田信玄が弟、武田佐馬助信繁なり。越後の者ども、我が首を取って手柄にせよ!」と、古式ゆかしく大音声で呼ばわります。
なんというか、嘉島さんの声が実に凛としているのと、目がずっと涙目なこともあって、見ているだけでホントに涙腺がやばい感じの今週の信繁でしたが、この合戦シーンにはやられてしまいましたね。また、諸角のじい様が「信繁様をお助けせよ!」とか言って奮闘するんですね。もう、じい様の馬上姿が「シェーン」の幌馬車シーンの合成みたいだとか言って笑ってる場合ではないですよね。
でも、加藤武さんがしっかり馬を駆っての騎馬戦場面もふんだんに盛り込まれ、この場面の見ごたえは大変なものでした。 「諸角、なんとしても時を稼ぐのだ」「承知!」とテレパシーで会話する主従。武田の重臣はみんなこの異能を身につけているのです(#35『姫の戦い』参照)。
そして、ついに信繁が討ち取られます。討ち取ったのは、いつもビックリしたような顔の柿崎景家でした。続いて81歳の諸角虎定も壮絶な討ち死にを遂げます。首を奪い合う越後兵で戦場は一時混乱し、信繁は体を張って「敵陣を崩す」ことに成功したのでした。
「申し上げます!武田信繁様、お討ち死に!」「申し上げます!諸角豊後守様、お討ち死に!」と、この○○様お討ち死に!というフレーズは戦国物の定番ですが、この場面ではあまりに哀しい。目を閉じて、じっと悲しみに耐える信玄でした。
しかしこの最後にきて、ちび玉信繁にこんなに泣かされるなんて予想もしてませんでしたねえ。
次回、あの人もこの人も討ち死にを遂げるのか? 生き残るのか? ガクト王子フィナーレの大立ち回りの首尾やいかに!
ということで、いよいよ次週、最終回。身を清めて待ちましょう(しかし「いざ川中島」「死闘川中島」「決戦川中島」って続くサブタイも芸が無い…)。また来週!
決戦川中島。
庵主のCheck! (今週はちょっと長め)
NHK大河ドラマの醍醐味は、実はプレ最終回にあるのではないか…と、今週の放送をみてしみじみ思ったワタシです。いや、今週は良かったなあ。1年間しっかり見続けてきてホントに良かったと思いました。
今週は、ほとんど突っ込むところもありません。素晴らしい! 天下のイロモノ・ガクト王子の不要なアップで引っ張る(←写真集買ったくせに!買ったくせに!)こともなく、堂々たる正攻法。過去48回分の内容がギューっと凝縮されて昇華していくような、悠揚迫らざる素晴らしい回でありました。
なんにせよ、大河ドラマの最終2回の感動というのは、1年間続けてまじめに見てきた視聴者に送られるプレゼントなんですよね。ここにしっかりと魂が入っている大河ドラマは、いいドラマなんですよ。うん。ホントにそう思う。
そんなわけで、2007年の暮れ、特等席で悠々と味わうがごときおもむきの「風林火山」プレ最終回。第49回。いまさらワタシごときが突っ込むことは何もないのですが、まあ、見てまいりましょう。
先週、怪しすぎるお天気ババア・おふくの有料天気予報により、「明日の朝、川中島は霧ん中」という情報をゲットした勘助。
いままで呑気に海津城で膠着していたのが、にわかにあわただしくなります。出陣は今夜!と急に言われて信玄もビックリしますが、勘助の立てた作戦はこうでした。
全軍を二手にわけ、6割にあたる1万2千が妻女山の敵本陣の背後に回る。未明の霧にまぎれて奇襲をかけ、パニクって下山してきた敵を、朝霧に隠れて待ち構えた本陣八千が迎え撃つ。そして戻ってきた別働隊とともに、敵を挟み撃ち!明朝の霧こそ天運!パーフェクト!
という勘助の作戦に、信玄と、共同作戦部長に指名された馬場信春も興奮します。「おお!それはキツツキですねっ!」「キツツキ?」「はい、キツツキはそーやって餌をとるのです、というのは…」と、馬場ちゃんの理科教室のようなレクチャーにより、この奇襲作戦1号は「キツツキ作戦」と命名。というか馬場ちゃん、共同作戦って、けっきょく名前をつけただけだったんか…。
がしかし、おふくは勘助に天運を授けて「良いおばあさん」で終わるようなタマではありませんでした。
妻女山の上杉本陣に、おふくはひとりでやってきて、宇佐美さんに面会をもとめます。「おお~、オババよく来てくれた。で?霧がでるのはいつだ?」と宇佐美さん、もうとっくにババアと契約を結んでいたらしいのです。「明日だ!明日の朝川中島は霧ン中、一間さきも…」と勘助に流したのと真同じの情報を提供し、代金として金3粒をいただくババア。勘助の払った情報料より1粒多い、というのは勘助の3粒のうち1粒分は鬼美濃のお命代でした。うーむ、なんとシビアなババアでしょうか。あきらかにこの情報は後からゲットしたほうが有利なんです。
宇佐美さんもそう単純な人ではなく、ババアの天気予報は誰でも利用可能な有料コンテンツだと知っているので、「敵もこのことは…」とカマをかけますが、「んなこたぁオラの知ったこんじゃねえだよ」と身をくねらせるババアのリアクションが、すべてを物語っておりました。
宇佐美さんはさっそく作戦を献策します。いつものようにマイペースで琵琶など弾いていた政虎王子ですが、「敵がそのとおり動くとは限らない」と信用しない直江のおっちゃんたちに「敵は動く!」と断言。「見よ!」と王子が指差す先には海津城の台所から煮炊きの煙が上がっています。鼻が異常にいいのかでお腹空いていたのか、人間離れした王子です。
どうやら海津城では急に大量のお弁当が必要になったらしい。ということは…
しかし、気になるのはまだババアの家に居候している(はずの)鬼美濃が、宇佐美が既にババアと契約していることを何で知らなかったのか。知ってたならなんで勘助に一言注意しなかったのか、ってなことですが、そこを突っ込んだら話になりませんのでね。とにかく勘助は、宇佐美さんがババアの天気予報を把握しているなんてことは夢にも疑わず、出陣前の海津城で回想にふけっています。
「お屋形様は燃える日輪の如く…それがしは青き月影の如く…恋は散り降る花の如く…宿敵は天駆ける龍の如く…戦は我が人生の如し」
風林火山の第一回冒頭に出てきたモノローグが初めて再登場。いよいよクライマックスだなあって感じですね。
海津城では、敵陣の妻女山まで届くくらい盛大に、出陣前の夕食の大盤振る舞い。もと越後軍の大熊朝秀が、見かけない顔の武将と酒を酌み交わしています。誰…と思ったら、千住明さんと題字書きの柿沼さんでした(笑)。
勘助は、仲の良い真田様と相木さんと同じテーブルで夕ご飯。戦国武将は、出陣前にはこのように豪華な食事の大盤振る舞いをして士気を高めたそうです。けっこう美味しそうでした。「こんなに心震える戦は久しぶりだ」と相木さん。「海ノ口いらいだな」とか振っていましたが、勘助と真田さんにとってはそんな長いインターバルではないですよね。
同じ頃、信玄と弟の信繁が夕食をともにしていました。
「お屋形様いよいよですね」「なら今夜は兄・弟でいこう」と、このあたりから嘉島典俊さんの目がずっと涙目で、なんか見ているほうまでウルッときそうでした。
ずっと兄を立てて生きてきた信繁は、ことあるごとに「家臣の心得」書き連ね、息子に残すつもりでもう99か条にまでなったそうです。なんであと1個足して100にしなかったのか分かりませんが、とにかく、んな長大な「心得」を書き続けてつくづく思ったのは「こんなこと書かなくていい世の中になると良い」だそうです。なんかこの複雑な感慨が、彼の人生のすべてを物語っていますよね。
そんな信繁に、信玄は、亡き母・大井夫人の法衣から作ったという幌を手渡し、これが戦場でのお守りだと言います。亡くなったお母さんの形見を身につけさせて戦場におくるって、それはなんか矛盾しているようですが、「生きよ信繁。生きるのじゃ」。もう、いろいろ言わなくてもこれがすべてですよね。うつむいて、ポトッと涙を落とす信繁。いろいろ言わなくても万感の思いがこもっているような、感動的なシーンでした。
いよいよ啄木鳥戦法が始動します。二手に分かれた武田軍。妻女山を奇襲する別働隊の指揮官は、飯富さん、馬場ちゃん、相木さん、真田様、香坂くん。「残りは大丈夫?」と不安なくらいの精鋭部隊です。
香坂くんは、勘助に「お先にまいります。父上ご武運を」と声をかけて、騎馬姿も凛々しく妻女山に出発。父上かあ…。これにはまた万感がこもっているわけでして、決して単なる「娘婿」じゃあありませんね。
未明になり、信玄率いる本体も出発です。信玄は、白い毛のついた諏訪法性の兜をはじめて被り、いままでで一番貫禄のある姿になります。白い上っ張りみたいなのを捨て、ハゲ頭を隠してくれてやっとホッとしました…。というか、白毛の兜で馬にのり、悠々と出陣していく亀治郎信玄はもう文句なしにカッコよく、ああ、このために彼のこの1年間があったのかと思うほど。そして、真っ黒ずくめの勘助の甲冑姿にもシビレました。来年、信玄公祭りで信玄主従を演じるタレントさんは勇気がいるでしょうねえ。
が、武田軍のこの動きは、当然のごとく宇佐美さんに読みきられていました。夜霧に紛れて妻女山を脱出し、♪鞭声~粛々~~~夜~川を~~♪渡った越後軍は、武田軍本隊を急襲すべく陣を整えています。
そうとは知らない別働隊の飯富・馬場・真田・相木・香坂は、ゾロゾロと妻女山にやってきたらモヌケのカラで大ショック。なにしろ別働隊の人数のほうが多いのですから、こうしてはいられない!! 猛ダッシュで川中島の戦場に引き返します。
夜明け、川中島に鶴翼の陣を布いた武田本軍は、上杉軍が別働隊に押されてパニクって降りてくるのを悠々と待ちます。が、待てど暮らせど知らせはなく、日の出とともに霧が晴れてくると、その至近に姿を現したのは、パニクったどころか整然と車掛かりの陣を布いて押し出してくる、上杉軍の大軍勢でした!
「読まれた!!!」と大ショックの勘助。こっちがパニクり、おもわず土下座をしてお屋形様に「それがしの失策でした!!」と詫びます。
が、信玄は落ち着いたもので、「お前は武田の軍師だろう。この状況をどうすんだ」と。「どうする、軍師山本勘助!!」と大喝されて、勘助の脳裏に甦ったのは、唐突ですが今はなき板垣ソニー信方のすがたでした。「そなたは月影となってお屋形様」を支えるのじゃ」と、このプレイバックでスイッチがはいった勘助は、敢然と上杉軍を迎え撃つべく立ち上がります。
味方は鶴翼、敵は車掛かりの陣。
という有名なシチュエーションが、川中島の戦場いっぱいに展開されるのはまさに圧巻で、見ていても本当に美しかったです(上杉軍が、なんか遠くでぐるぐる自転しているのがちょっと不思議な感じだったけど)。このためにNHKは他のシーンでお金を節約し、一気につぎ込んできたのだなあ。しかもこう壮大な合戦シーンが、中国やモンゴルやニュージーランドに外注しなくても、長野県でできるのよねと、見ているだけでワクワクしました。大河ドラマはこうでなくては。
武田軍からは先鋒の大熊(もと越後)朝秀と飯富(弟)昌景が飛び出し、ついで秋山信友が出撃しますが、数の差もあり、劣勢は覆えません。「別働隊が戻るまでぜったい鶴翼を崩すな!」という勘助の檄も虚しく、浮き足立って、陣形も乱れはじめました。
そこへ武田信繁が投入されます。「幌がそなたを守ってくれよう」と兄信玄に送り出された信繁は、威風堂々出撃しますが、敵陣の前で馬をとめ、家来の者に「これを敵に奪われたくないので、持って帰って息子に渡してやってくれ」と幌を外して手渡すのでした。
この信繁の幌は、その後、息子の武田信豊が引き継いで長篠の合戦で身に着けたとのことですが、99条もの遺訓といい、セガレとしては「これでカンベンしてくれ」てな気持ちで着たんじゃないでしょうかね。立派な父さんの跡取りはたいへんです。
ともかく、信繁は幌を体から外した時点で、もう生きて戻るつもりはなかったわけですね。敵陣前で、「我こそは武田信玄が弟、武田佐馬助信繁なり。越後の者ども、我が首を取って手柄にせよ!」と、古式ゆかしく大音声で呼ばわります。
なんというか、嘉島さんの声が実に凛としているのと、目がずっと涙目なこともあって、見ているだけでホントに涙腺がやばい感じの今週の信繁でしたが、この合戦シーンにはやられてしまいましたね。また、諸角のじい様が「信繁様をお助けせよ!」とか言って奮闘するんですね。もう、じい様の馬上姿が「シェーン」の幌馬車シーンの合成みたいだとか言って笑ってる場合ではないですよね。
でも、加藤武さんがしっかり馬を駆っての騎馬戦場面もふんだんに盛り込まれ、この場面の見ごたえは大変なものでした。 「諸角、なんとしても時を稼ぐのだ」「承知!」とテレパシーで会話する主従。武田の重臣はみんなこの異能を身につけているのです(#35『姫の戦い』参照)。
そして、ついに信繁が討ち取られます。討ち取ったのは、いつもビックリしたような顔の柿崎景家でした。続いて81歳の諸角虎定も壮絶な討ち死にを遂げます。首を奪い合う越後兵で戦場は一時混乱し、信繁は体を張って「敵陣を崩す」ことに成功したのでした。
「申し上げます!武田信繁様、お討ち死に!」「申し上げます!諸角豊後守様、お討ち死に!」と、この○○様お討ち死に!というフレーズは戦国物の定番ですが、この場面ではあまりに哀しい。目を閉じて、じっと悲しみに耐える信玄でした。
しかしこの最後にきて、ちび玉信繁にこんなに泣かされるなんて予想もしてませんでしたねえ。
次回、あの人もこの人も討ち死にを遂げるのか? 生き残るのか? ガクト王子フィナーレの大立ち回りの首尾やいかに!
ということで、いよいよ次週、最終回。身を清めて待ちましょう(しかし「いざ川中島」「死闘川中島」「決戦川中島」って続くサブタイも芸が無い…)。また来週!
決戦川中島。

1年間、挫折せずに大河ドラマを見られたのも、庵主様とレビュ丸さんのおかげです。郡内の小山田展もこのブログがなければ知らなかったし、本当に有難うございました・・・って御礼を言うのは早すぎですね、もう1回あります(笑)
冒頭は前回の繰り返しのシーンが多く、1回増やしたわりには水増しか?と危惧も感じたのですが、その後の展開は本当に迫力満点であっという間の45分でしたね。信繁&諸角じいやの討死もわかってる展開でも泣けましたし。しかし80才で死に花を咲かせた諸角じいや、密かに羨ましがっている平成80歳も多いかも・・・
来週はいよいよ、両大将の一騎打ちシーン、平蔵や伝兵衛の運命は、そして主人公勘助の・・・(また由布姫が登場するのか?)といろいろ見せ場も期待されますが、鬼美濃もどうなっちゃうのか気になりますよね。たぶんオババがウサたんと契約してたのは、鬼美濃がまだ重態だった時で、彼は全然気づいてないんでしょうが、ぴんぴんしている時でもあんまりそういう事には気が回りそうなタイプじゃないけど。
結局、キツツキ側を受け持った人たちが生き残って、信玄晩年⇒勝頼の家臣団になっていった訳なのね~というのもようやくわかりました。
>「キツツキ?」
と言ったフグが何だか「可愛らしく」初めてフグが可愛く見えた瞬間でしたよ(瞬間でしたけどね)
>風林火山の第一回冒頭に出てきたモノローグが初めて再登場。いよいよクライマックスだなあって感じですね。
これね、ワタシ「風林火山全50話・ベスト3」既にほぼ決まったいたんですが、このモノローグで引っくり返っちゃいましたね・・・(><)うう~ん、やはり全50話」だと「上期ベスト3」とは違った重みがありますね。
>ちび玉信繁にこんなに泣かされるなんて予想もしてませんでしたねえ
泣きましたね・・・大泣きでしたよ。思い出しても悲しくなります。(でも主人公が死んでも多分大丈夫☆)
>この日のためにとっておかれたお宝キーホルダー(携帯ストラップかな?)のご披露
ふふふ。反応いただいてありがとうございます。可愛いでしょ。
信玄キューピーは以前にも出演させたのですが、謙信キューピーは高田駅のキオスクで見つけてすごく嬉しくて、信玄キューピーとご対面させる機会をずっと狙ってたんですよ。
>ぴんぴんしている時でもあんまりそういう事には気が回りそうなタイプじゃない
わはははは。そりゃそうですよね~。ウサちゃんの(笑)顔も知らないわけだし、全然気がついていないかも。しかし、合戦のあとで鬼美濃が事実をすべてを知ったら戦犯ものだ…。知らぬが仏ですかね。
>キツツキ側を受け持った人たちが生き残って、信玄晩年⇒勝頼の家臣団に
ああ、ホントそうですね。老臣として生き残っていく馬場さんや香坂さん、弟や息子にあとをゆずる飯富さんと真田さん。
そういえば真田幸村の本名は「真田信繁」でしょ。当時まだ信玄の小姓だった真田昌幸に、信繁の玉砕はすごいインパクトだったんですね。んで、幸村=信繁の最期を考えると、んー、それこそ「武士の鑑」の系譜だなあ。
『真田太平記』今4巻に突入してます。どっぷりです。
いよいよあと1回になりましたが、ご一緒に見届けられること、嬉しく思ってます。ありがとうございます!
いやほんと、信繁ショックがこんなに大きいとは全く思ってなかったです。他の人のときは心の準備ができていましたもんね。
全50話のベスト3…。ホントに悩み抜くところですが、でも1個は決まっているの…。んで、あとの候補2,3と最終回が、残りの椅子を争うことになりそうです。
どうしても最近の回のほうが印象に残りがちなので、前・中・後期から各3話ずつくらい選ぶ予選を行おうかと(懲りすぎ?)。
あ、流行語大賞にノミネートします?「キツツキ?」。
ドラマを2倍楽しませてくれた庵主さま、感謝です!
いよいよ最終回目前ですが、いかがお過ごしでしょうか? 49話の紀行のコーナーで、庵主さんがいらした典厩寺の閻魔大王が紹介されたので、「あ~! これこれ!!」と思わず叫んでしまいました。今はもう雪の中でしょうか。いつか実物を見てみたいものです。次週の一騎打ちの場面、どうやら予告によると謙信は覆面姿ではなさそうですね。ガクトさんの写真集を購入された(!)庵主さんの視点から、ぜひぜひ一騎打ちのシーンをレビューして下さい! 楽しみにしています!!
いらっしゃいませ。コメントありがとうございます♪
小4のお嬢様と!それは素晴らしい!!夏休みに大河ドラマの舞台を旅行したのは、きっと長く思い出になることでしょうね。なんでも、「信玄×謙信」ものは19年感覚で大河ドラマ化されるジンクスだそうですから(長すぎるサイクルだ…)2026年ごろに、お嬢様がこのドラマをしみじみ思い出される日もくるのでしょうか。こっちは生きてその日を迎えたいと願うばかりですが(笑)。
予告編の人は、やはり勘助なのでしょう(涙)が、それより「やまもと~かんすけに~ござりまする~~っ!!」ってあの声が気になります。伝兵衛?
どうなるのか、この人の無事も祈ってしまう私でした。
いらっしゃいませ♪ どうも、身に余るおことば恐縮でございます。
こんなものでも楽しんで下さる方がいただけで、続けた甲斐があります。再来週からもう月曜日にレビューを上げることもないのか…と思うと大変寂しいですが、でもあと1回、ご一緒に見届けてまいりましょうね。
HNから拝察するに越後のかたでしょうか。修学旅行の節はおじゃましました(笑)。寒かったです。コシヒカリ美味しゅうございました。
越後のかたのGackt謙信への愛も感動的なものがありました。には再来年の『天地人』のころに、じっくりと再訪したいと思ってます。