ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

「コールド・ルーム」みたいな作品をイメージしていたんだよ~。

2006-08-07 | 映画
パニック・ルーム」(The Panic Room)。

うーん。実は題名からはもっと不可解な作品を期待していたのだよ。

写真を見ないでさ、表紙絵と「あらすじ」だけ読むと、違う期待を抱こうというもの。DVDの箱ウラのあらすじはこんな感じ。

「ニューヨーク・マンハッタンの高級住宅街――。離婚したばかりのメグは、娘のサラを連れて、新しい引越し先の下見に出掛けた。案内されたタウンハウスは4階建て、エレベーター付き。しかしそれだけではなく、ある秘密の部屋が設置されていた。“パニック・ルーム”――緊急避難用のスペースはそう呼ばれていた。ドアはひとつしかない。スプリング内臓の自動施錠システムと赤外センサーが装備されている。作られた目的はたったひとつ。決して誰も侵入させないこと。母子の新たな生活が始まったその晩、事件は起こった――」

ね? てっきり「ダークウォーター(仄暗い水の底から)」とか、それこそ「4thフロアー」みたいなサイコ系とか、「スケルトン・キー」のホラー・ミステリとか、そういうのだと思い込み、期待していたのだ。

目打ち帽の男とか、ピストル構えたジョディ・フォスターとかの写真は見えているようで見えていなかったのだな。

オープニング・タイトルも、ニューヨークの建物に立体的な文字が絡み合うような、スタイリッシュなもので(写真参照ね!)、こんな……なんというか、押し込み強盗との知恵と勇気の駈け引きみたいな話とは思わないよ。

そう! これはネタバレじゃないはず! わたしと同じ粗忽さんがいたなら、そしてそれが「ホラー」苦手さんだったりしたならば、いやー、安心して御覧なさい! この作品のサスペンスは押し込んできた三人の男とメグ&サラ母娘の緊張に満ちたやり取りのドラマだから。

つまり、ジョディがこの作品の後に主演した「フライト・プラン」と同工異曲な作品だということだ。

今さら何? といわれそうだが、うん、充分楽しめる作品だった。

*娘サラ役のクリステン・スチュワート、負けずのジョディ(という感じしない?)とよく並び立つ素晴らしい子役、と思ったら、「ザスーラ」で凍ってしまうお姉さんを演じていたのだね。近作“In the Land of Women”ではジョディに次いで今度はメグ・ライアンの娘役なのだそうな。それに、ホラー・ファンとしては来年公開予定らしい“The Messengers”に期待かな。霊能力を持った娘役だとさ。*

*「コールド・ルーム」は、あのアマンダ・ペイズ(「リヴァイアサン」の回)が主演のホラーなのです。*

阿佐ヶ谷七夕祭り

2006-08-06 | Weblog
いやいや。

たいした人出です。

年々「飲食」の物売りが激化しているように思います。

吊り下げられているキャラクターは版権云々は言われないのかしら?

まあ、大人は呑めればいい、というのが祭りといものですがね。

そっちの方がよっぽど大人の事情だと思います。

飲み屋も大繁盛なのだ!

信じているものは、何?……そんなものを信じていいの?

2006-08-04 | 映画
スケルトン・キー」(Skeleton key)

実に巧みなつくりの作品だ。決して派手な作品ではないし、ラストシーンも終盤に近づいたあたりからは予想も出来る。それでもなお、伏線が効果的であると、舌を巻くしかない。

「アンフェアなのは誰か」、ならぬ、「騙されているのは誰か」、といったところか。

ルイジアナ州ニューオリンズ。ホスピス(終末医療院)で看護士をしている女性、キャロラインは、効利主義に走り、死の順番を待つ者を食い物にしているような病院の体制に疑問を抱いていた。折も折、新聞広告で住み込みの看護人を探しているのを見つけて彼女はそれに応募した。

その家は沼地の多いテレボン郡の、広大な敷地にぽつりと立っていた。その家主に依頼を受けて新聞広告を出した弁護士ルークと面接をしたキャロラインは、はじめは女主人バイオレットに会ってさえもらえないが、ルークの「バイオレットは大体の看護候補者を気に入らないので、気に掛けることはない」という言葉を頼みに半身不随で口も利けないバイオレットの夫ベンの世話をすることになった……。

唯一、合鍵(スケルトン・キー)では開けられない屋根裏部屋。ベンは屋根裏で「鏡の中の幽霊」を見たために具合をおかしくしたという。だから「鏡」を見るとベンはまた発作を起こすというのだ。

宗教としてのブードゥー教から、呪術だけを独立させたフードゥーの存在。前任の看護人である黒人娘は「信じない者には幽霊も見えないし、呪術も利かない」と教えてくれた。

映画はこんなエピソードを積み重ねながら、進む。

勘がよければ、多分、キャロラインよりは早く「真相」に気付くと思うが、さてその真相は?

そもそもこの作品のジャンルはサスペンスなのか、ホラーなのか、謎解きミステリなのか? ……そういう混乱さえ、見る者に与えながら、作品は展開する。

……わたしは面白かったよ。ひとによっちゃあ、怒ったりもしそうな終わりだけれども。

*「アンフェアなのは誰か」とは、ドラマ「アンフェア」のキイワードである。もう少しで「アンフェア」もレビューできるかもしれません。*

本日はシンプルなご報告=物欲充足篇

2006-08-03 | Weblog
昨日は帰路途中で、某駅前のビル上階にあるBookOffに寄って「殺人の追憶」DVDを購入したのであるが、本日はその隣駅のBookOffに立ち寄った。

ここにはディアゴスティーニ版「Xファイル」DVDが割合に安価で置いてあるはず。(それに、絶版になったような本を安価に入手できないかという期待もありました)。

やった! 「Xファイル」がさらに安くなっておりましたよ。以前このブログにも「スタートレック」のついでに書いたと思うのですが、創刊号だけは特価790円で購入していました。その後2号のDVDを某中古ゲーム&DVD販売店で(有名量販店の真ん前にあった店で、その有名量販店の方がちょっと移転しちゃいまして、今もこの中古店の方はその場所にあります)、なんと500円で購入したのですが、今回BookOff某店もディアゴスティーニ版「Xファイル」DVDを全品500円で販売していました。

シーズン1の残り4枚を買ってしまい、その結果合計3290円でシーズン1がすべて揃いました。嬉しい!

「Xファイル」は最終シーズンまでで9シリーズになり、いま、ボックスセットの安価販売をしていますが、それでも各シーズン毎に1万円ほどしますので、かなり破格です。

まだまだ続き分もあったようなので、シーズン2くらいまでは買ってしまおうかしら? 第8号分がシーズン2のキイエピソード「昇天 前後編」を収める巻のようだし。せめてそれくらいは、買ってしまおうかな。

そのついでに今確認したら、この「雑誌」も38号を越えて、まだシーズン7の終盤を出しているところという様子。ということは、まだ向こう半年は完結しないようですね。

まあ、物欲に支配されて、買うばかりで「消費」する間、すなわち「鑑賞」する間がなかなかありませんがね。


*……今日は娘ともども「アンフェア」の続きを見ています。*

*まさに「アンフェア」なソフトで。*

*「QUIZ」とか、「沙粧妙子 最後の事件」とか、ちょっと髣髴とさせる作品はあるのですが、なかなか面白いではありませんか。*

二度も三度も楽しめる「つくり」なら、単なる二次創作とは言えない!

2006-08-02 | 映画
ノベライズ「殺人の追憶」を読み終わり、その勢いで映画「殺人の追憶」をも見直した。

初見の印象以上に、演出の細かさが際立って、評価をさらに一層上方に修正した。もちろん初めて見たときにも充分に面白いとは思ったのである。それが、ノベライズを読んだことによって、ノベライズ作家が施した文字ならではの工夫と、映像作家ならではの表現がくっきりと見て取れて、感心したわけである。

映画の監督と共同脚本はポン・ジュノ。韓国で実際にあった未解決事件をモチーフにしているという。ポン・ジュノとシム・ソンポのオリジナル脚本をもとに「超訳」(あの、“英的冒険”の会社から怒られないのかしら?)こと「この作品は韓国映画『殺人の追憶』シナリオをもとに新たに書き下ろしたフィクションです」という再創作作業を施したのは薄井ゆうじだ。

時代背景は1986年から87年に架けての時期。この時期は薄井小説版に詳しいが、ソウル五輪を控えて民主化と都市整備が韓国内、殊にソウル近郊では急がれていたころである。ハングルの意味はもちろん正確にはわからないが、英題“MEMORIES OF MURDER”に近いニュアンスなんだろうと思う。「殺人の記録」。つまりは、ここには間違いなく「時代」が閉じ込められ記録されているのだ。

と、同時に第一の主人公パク・トゥマン刑事(ソン・ガンホ)、彼が映画の最後の場面(15年後、すなわち現在)で、映画の最初の場面である第一の現場に戻り思いがけずそれよりも少し前にこの現場を「真犯人」が訪ねたらしいと知るわけであるが、刑事を辞めても(偶然のようにではあるが)この場所に立ち戻ってしまった彼と、真犯人とがまさにこの場所での「追憶=メモリー」でつながっているということなのである。

この十数年でドラスティックに変化した韓国、「ひとのやる仕事じゃない」と愛人ソリョンに評されて警察を辞めたトゥマン刑事、ともにそれでも「変化以前」を引きずっているという……「追憶」というキイワードは、そういう点で優れていたといえるだろう。

薄井小説版は、文字媒体ならでは、第二の主人公であるソウルから転任してきたエリート刑事ソ・テユン(キム・サンギョン)の「転任を願い出た動機」をはじめ、内面を掘り下げている。

映画では、直感的・粗暴なトゥマンと論理的・冷静なテユンが反発しながら歩み寄り、互いに似ていくさまを、観客の共感を呼ぶように描いていく。これは映画的な楽しみである。

薄井小説版は映画では結局は曖昧にされた「あの人物」に関し、まさに内面に踏み込み、動機を語ることによってもうひとつの「殺人の追憶」を盛り込んでいく。これが実に巧みなうえ、それゆえに「似て非なるもうひとつのラストシーン」に見事にこれが結実していくわけだ。

見てから読んでも、読んでから見ても……といいたいが、これは見てから読むべきだな。その上でもう一回見る! それに決まりだ!

逃れえぬ罠、そこから這い出せない穴。

2006-08-01 | 映画
「穴 」(THE HOLE)を見た。

ぼろぼろの格好で、フラフラになって歩く少女。「Missing(失踪者)4名」のポスターのうち、左隅の一名はアングル的に隠れて見えない。
次の一枚のポスターにはリズ(ゾーラ・バーチ)の顔が! たどり付いた学校の、広い廊下に設置された公衆電話で、彼女は電話を架ける。警察の電話への問いかけに、彼女は金切り声で応えた……。

4人の失踪の真相を巡り、精神科の女医フィリパがリズをカウンセリングする。ビデオカメラの前で、訥々とリズは語り始める。

真面目でお勉強家のリズは、超然とした態度を装いながら、実は学園の人気者マイクに夢中だ。お勉強家仲間のマーティンの協力を仰ぎ、マイクの相棒ジェフとそのガールフレンドのフランキーともども「防空壕跡」で、つまらない研修旅行期間をやり過ごす計画を実行する。鍵を掛けて立ち去ったマーティンが……しかし、そのまま戻らなかったのだという。

この話を受け、警察はマーティンを拘束し、尋問するが、彼は頑としてこれを否定。もしもマーティンが嘘を吐いていないとしたら、嘘つきはリズになる……。

……と、まあ、リズの回想とか、再三の告白を通して、なるほどな真相が明らかになっていくという筋立て。

とにかくゾーラ・バーチの可愛いんだか、ヤバいんだか、怪しいんだか、可哀相なんだかわからないキャラクターの立ち方がとてもよい。

まあ、必見というほどでもないが、見て損はない作品かな。

*読書の方は「殺人の追憶」を読み進めている。映画のバックボーンをきちんとフォローできるノベライズの良作。読み終わったら映画を見直そうと思う。*