ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

口笛で“The Magnificent Seven”

2006-11-30 | 映画
スズメバチ」。

「要塞警察」のフランス版パスティーシュである。

売春組織で、女をまさに道具としてしか扱わなかった非道のボスが捕まり、フランスもドイツ国境付近で裁判にかけられることになった。

その護送車が道路上で罠を張られ、襲撃される。護送チームは命からがら近くの大規模物流倉庫に逃げ込んだ。

折も折、その倉庫に押し入り、「宝」ともいえるほど大量に最新機器が詰まったコンテナをいただいた気でいた強盗団があった。

警察の護送特務班員と、強盗、そして倉庫の警備員は、ボス奪還のために襲ってきたマフィアの集団と闘わなければならなくなった!

……と、まあ、確かに「要塞警察」なのだな。

そして、それを早い段階で「告白」している。

強盗団の皆が口笛や人間パーカッションなどで「歌う」あの曲!


“The Magnificent Seven”のテーマ曲。

お解かりか? “The Magnificent Seven”すなわち「荒野の七人」とは、「七人の侍」の勝手にパスティーシュ作品なのである。

つまりこの作品は勝手にパスティーシュですよ、というわけだろう。もちろん「七人の侍」のパスティーシュでもあるのだろうが、「要塞警察」のパスティーシュでもあるんだろうな。

「アサルト13」とはまた違う味わいの作品。

女がきちんと頑張るところもちょっと毛色違いだね。

お奨めです。

オリジナルがもう一度見たいと思った。VHS版を持っていたはずだな。

2006-11-26 | 映画
アサルト13~要塞警察~

やっぱりジョン・カーペンターのオリジナルのアイデアが秀逸なんだ。

大晦日に老朽化のため閉鎖され、事実上正式の分署として機能していない第13分署。残務というか、名残を惜しむ数人の警官のみが残っている。悪天候を避け、凶悪犯の護送車が避難してくるが、この孤立した分署を謎の集団が襲撃する!

ハワード・ホークス監督の「アパッチ砦」を下敷きにしたという硬質なアイデア映画。

そのリメイクは、イーサン・ホークとローレンス・フィッシュバーンという渋い男ががっちりと噛みあって……実によかった。

音楽も、どことなくオリジナルを想起させるが、あのシンプル・単調なオリジナルの方がより一層よかったようにも思われる。

初見の方にはお勧め。旧作を知る方は……自己判断してください。うん。間違いなく「リメイク」ではあります。

素直に泣けそうなものを、ということで。

2006-11-24 | 映画
子ぎつねヘレン」。

悪くはないが、やっぱり作りがあざといので。

母の「新しい連れ合い」が北海道の獣医だった。折もおり、カメラマンである母に、念願の仕事が舞い込み、母の同居に先駆けてただひとり、そのもとに預けられた少年。

とても夢見がちな少年。

義理の姉になる少女。

そして、拾った三重苦のキタキツネの子ども。
脳に出来た腫瘍が神経を圧迫している。

そのまま死ぬはずだったキツネがわずかな期間ながら生き延びた……。

……作りすぎかな。

素直には泣けそうにない。

残念、無念。

すっきり泣きたかったのに。


外国テレビ映画 海外ドラマ ブーム? リバイバル?

2006-11-22 | 映画
「24」シーズン1の「midnight」を見た。

ディアゴスティーニの例の「創刊号特別価格」をつい買ってしまったのだ。

最近は「スタートレック」はなかなか店頭で見かけなくなって、買いそびれているのであるが、大きな声じゃいえないけれど、このシリーズのお陰で、「24」は結構安売りのセコハンが多くて、うん、シーズン1くらいはそろえられそうな気がしたのだな。

まあ、面白かったですよ。

それは「フライトプラン」レンタル版のオマケの「LOST」も、そう。

面白かった。

でもね、テレビシリーズを全部見るってのは、実はかったるいのだ。

シリーズ全部、きちんと見ているのは、うん、じつは「クウガ」以外の平成ライダーと、「ウルトラマンネクサス」くらいかな。あ、そういえばOVの「ウルトラマンネオス」も見たな。

まあ、それだから世間様の「海外テレビドラマ」流行はちょっと不思議でもあり、出遅れを承知で手をつけて見ました。

でもね、面白いけれども、ノンストップで見たいという感じでもないよな。

悪いけれども。

ぼちぼちと見させていただきます、はい。

そういう具合でした。

猫目小僧は友だちだ! ぼくらの仲間だ、猫目くん!

2006-11-21 | 映画
猫目小僧

梅図かずお原作のあの名作!

しかも妖怪肉玉のエピソードだから、少年サンデー版の、イマイチ原作ではない、キングの最初の単行本2冊版だから……。

しかし!

しかし、なのだ。

この古臭さはどうだろう! シナリオも演出も、また、登場する「弟役少年」以上「姉役少女」以下の背丈の「役者」に、(CGで効果を付け直しているとはいえ、)如何にもな感じのお面をつけた「猫目小僧」。

原作フアンや、「懐かしい(感じの)作品」を見たいというお客はいい。

なんだかわからずにこの作品を見た人は、もはや原作を読もうなどとという気は決しておきまい。

怪作だ。

間違いなく怪作だ。

変な作品を笑って許せる人にだけお勧めしたい!

*11月26日追記:しかし、炎の幼稚園児ファン、あるいはリリーナ・ドーリアン(ピースクラフト)ファン、あるいはR・ドロシーファンは見るがよかろう! 猫目くんの声は、矢島晶子さんなのだ!

:エンディングの歌は劇メーションの版を踏まえている! そう、このレビューのタイトルどおりにね。

本日はラグビー応援

2006-11-19 | Weblog
本日は高校ラグビー東京決勝です。

秩父宮ラグビー場での応援ですが、どうも生憎のお天気のようで。

毎々のことですが、勝敗に関係なく、あとは飲み会付きとなるのが常です。

わたし個人は複雑な心境。

勝って欲しい。勝って花園に歩を進めて欲しい。

でもそれは下手するとわたしの正月休みさえなくなることを意味しますから、ね。

とにかく応援に行ってきます!

スキップ、ターン、そしてリセット

2006-11-17 | 映画
ターン TURN」を見直した。

北村薫原作 平山秀幸監督 牧瀬里穂主演。

森真希は売れない銅版画家。20代も後半に差し掛かり、小学校の音楽教師である母と二人暮しで、生き方に漠然とした不安を抱えている。

ダンプカーと衝突する、交通事故の瞬間! 昼寝から目覚めてみると既に過ごしたはずの前日の午後。胸には前日返したはずの図書館の蔵書である植物図鑑が!

それから、彼女は繰り返す一日の中にただひとりとらわれてしまう。

彼女が何度目、何十度目かの一日に、堪えられない涙を流していたとき、通じないはず、ならないはずの電話がなった!

……と、まあ、時の不思議と、顔を合わせることさえ出来ない男女の心が静かに寄り添っていくさまを描く。

「イルマーレ」はこれの影響下に出来たのじゃないかしら?

まあ、時の不思議と恋人たちといえばリチャード・マシスンの、映画にもなっている「ある日どこかで」や、ロバート・ネイサンの「ジェニーの肖像」、はたまた映像化はされていないがロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」などという先行作品があるのだが……。北村薫作品はそれらに負けず劣らず秀逸だ。

映画もお勧めではあるが、未読の方、北村薫「スキップ」「ターン」「リセット」は必読だ!

アメリ・プーランの仕業だろうか?

2006-11-16 | 映画
アメリ」をしばらくぶりに再見。

「ロスト・チルドレン」の才人、そして「エイリアン4~復活~」のジャン=ピエール・ジュネ監督。

緻密な構成の映画であり、楽しんで見た後に、心がすっかり和んでいることに気付く、そんな映画だ。

主人公のアメリ・プーランを演じるオドレイ・トトゥがなんとも魅力的だ。

まさに、こういう悪戯が好きそうな娘に見える。

空想過多で、人と馴れることができないアメリの、コミュニケーションへの試みが、ひとに夢のある小さな幸せをもたらすことだった、というのが本当に素敵だ。

証明写真の自動撮影機の、謎のスキンヘッド男の正体も、「日常ミステリー」的で納得でもあるし。

フレンチな音楽もいいし、アメリの心象の中で動き出す動物人形や絵画のCGも素敵だし。

心がとげとげとした日には必見!

そして、あなたの日常に意外な儲けとでもいうべき偶然の幸せが舞い込んだときには、そう、それは偶然ではなくアメリ・プーランのせいでは? と疑った方が良いのかもしれない。

千里の眼も一にらみから

2006-11-15 | 映画
千里眼

最近、「千里眼の死角」「へーメラーの千里眼」と、本日、「千里眼/トランス・オブ・ウォー」を読み終わった。

千里眼/岬美由紀シリーズだ。

この映画での岬美由紀役は水野美樹。そして、あの友里佐智子役には黒木瞳である。

今さらネタバレもあったものではないだろう。真犯人は黒木瞳の友里佐智子なのである。

それを知ってみていると、なかなか微妙な立場を微妙に演じている。

東京湾観音に、陰謀の核心のひとつをばらばらのパーツとして運んでいく、その暗示の与えられ方、あれも視覚に訴えて見せられると面白い。目を閉じて重荷をイメージすると、それがストレスの大きさ。その重荷を空高く上って解き放つ……ってね、あれが改めて見ると面白かった。

それでも、その続編は映像作品にならないで欲しいな。

本気だよ。