ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

取り返せないと思うから、タイムマシンにお願いしたいんだよね。

2006-08-10 | 映画
今晩は映画「サマータイムマシン・ブルース」で楽しんだ。

冒頭 真木よう子が構えるカメラの中で、ユニフォーム着た若者たちが到底野球とは思えぬ珍プレイを展開するが、その画面の端々に、なにやら不自然なほど写り込む人影……。瑛太たちは、なるほど、決して野球部員などではなかった。「おれら、結構いけるじゃん。まだまだ動けたな」と妙な自信ぶりをのぞかせた彼ら、SFがなんの略称かもわかっていないSF研の部員たちである。

SF研の部室。(実はもともとは暗室も付属した写真部部室。写真部員は真木よう子と上野樹里だけ)。ドミノ倒しか、とんだ連鎖でコーラがエアコンのリモコンにかかる。リモコンは壊れてしまった。古いエアコンは本体に非常運転スィッチもなく、リモコンがなければエアコンを動かすことができない。このままでは夏の猛暑を越せない。顧問の佐々木蔵之介先生の研究室を訪ね、修理依頼をするが、心もとない。

翌日、部室に見知らぬ不審な若者がいる。挙動不審な若者が立ち去った部室にはちょっとした大きさの「機械(マシン)」は据えられていた。それは(ジョージ・パルの)タイムマシンに似ていた。一同はこの冗談に喜び、いつも軽いノリの永野宗典をマシンのシートに据え、ゲージを昨日の日付に合わせ、過去側へとレバーを倒す。そして、マシンは光とともに空間の歪曲の中に消える。マシンは、本物だったのか?

ほどなくマシンとともに戻った永野。昨日に確かに戻ったという。(冒頭にちらついた「人影」のひとつは彼であった!)

興奮する一同。「タイムマシン」なら、やっぱり大過去でしょう。興奮するが、上野樹里が水を差す。「帰って来られなくって、化石で発見されたりしてね」そこで、安全で実用的な旅を思いつく。「昨日に行って、壊れる前のリモコンを持って来よう!」

タイム・パラドクスも理解しないまま、悪乗り三人組ムロツヨシ、与座喜秋、川岡大次郎が昨日に向かって旅立った……。

基本的にはコメディなのだが、どこか「あの夏」とでもいいたい懐かしさが漂う。

それに、「自分殺し」や「欠落する輪」、「同時存在(の矛盾)」など、タイムマシンもののツボも要領よく説明したり、小技として示したりもしてあって、立派な「時間SF」でもある。

派手なアクションはないが、小技が紡ぎ出す「時間のねじれ」は「バック・トゥー」にも匹敵する(は、言い過ぎか)。

まあ、青春コメディの佳作とはいえるだろう。

お奨め! (特に気分だけでも若返りたい人に、かなぁ)