「
インベージョン」(THE INVASION)
「盗まれた街」四度目の映画化作品。原作と今までの旧作とは違って、今作での異星生命体は、「豆鞘」を使って実体を複製することはせず、直に頭脳を乗っ取ってしまう!
なんというか、シナリオの詰めが甘く、完璧には程遠い、ラストがあまりにあっけなく、全体のバランスが悪い、カー・アクションなどそんなバカなというよりない、など、欠点はある。
それでもなお、面白くドキドキ鑑賞できた。少なくとも見ている間は楽しめた。
今までの映画化は、
「ボディ・スナッチャー/恐怖の街(盗まれた町)」(1956)
「SF/ボディ・スナッチャー」(1978)
「ボディ・スナッチャーズ」(1993)
そして、今作「インベージョン」(2007)の順だ。
そして、自分が懐かしく思い出すのは1978年版。ロードショーで見た後に、五反田の名画座で、「エイリアン」「溶解人間」「SF/ボディ・スナッチャー」の三本立てなんて、お腹一杯になりそうな組み合わせを見たのが昨日のようだ。リック・ベイカーのメイクもグログロな「溶解人間」のみがその時初見だったのだが、「エイリアン」で宇宙であんな目に遭ったうえ、「SF/ボディ・スナッチャー」では地上でもあんな目に遭ってしまうヴェロニカ・カートライトの不憫を鑑賞するという隠れ設定もあり、楽しんだものだ。
で、昨日のような記憶からの、今回の「インベージョン」だ。あれ、この精神科患者(クライアント)もしかしたら?! と思ったのである。オバサン、「SF/ボディ・スナッチャー」で生き残りつつも、主人公ドナルド・サザーランドに「ギャーーーーーーー」と指差されて見事ダウンビートな幕引きにおいて、その目ん玉毀れんばかりに見開いて怯えたヴェロニカ・カートライトそのひとじゃないかと、鑑賞中俄かに気付いたのである。
彼女は後半に差し掛かったところで、やはり変成者の群れに取っ捕まり、しかも今回の設定では異星生物たちには不都合な免疫者であったため、もしかしたら78年版よりも不幸な末路になっただろうと予想され……。製作者の遊びに乗っかって楽しみましたよ。エンドロールで、はい、やっぱりヴェロニカ・カートライトだったと嬉しかった。
*「インベージョン」も、まあ、面白かったけれど、(93年版は未見だが、)いまだに一番原作に沿いつつ傑作なのは56年版だと思う。56年版欲しいけれど、とりあえずDVDは廃盤で、中古も高値だ。仕方ない、とりあえずは93年版も持っているので、そいつだけでも見てみるかな。*