新甲州人が探訪する山梨の魅力再発見!

東京から移住して”新甲州人”になった元観光のプロが探訪する”山梨の魅力再発見!”
旅人目線の特選記事を抜粋して発信!

10)続編 「吉田のうどん」・・・富士吉田・伝統の郷土食! 

2011-01-23 | 山梨、郷土食と温かいもてなし!

富士吉田といえば、”グルメ”は、何と言っても・・・「吉田のうどん」!

10)富士吉田の魅力探訪の続編として、”郷土食(グルメ)”の話を少々・・・!

・”吉田のうどん”は、山梨県富士吉田市や周辺の郡内地方(甲斐国都留郡一帯の県東部地域)で食べられている伝統の郷土食で、独特の”うどん”・・・なのです。

・富士吉田の「うどんマップ」でもご覧頂けますが、うどん店舗だけではなく、民家を兼ねる”うどん屋”がたくさんあって特徴的です。「うどん」”のれん”や”竿旗”が町のあちこちに目立ちます。また、”のれん”も看板もない民家のうどん屋もたくさんあるようです!

2011年1月現在、(財)ふじよしだ観光振興サービスの推進する”「吉田うどん」のスタンプラリー”加盟店62軒あります。

※ちなみに、手元にある古いパンフレットで2~3年前の軒数を数えてみたら、09年3月は、54軒、09年9月は63軒・・・と、2年前に比べ加盟店は8軒も増え、知名度が上がっていて、ここ数年ですが、けっこう、頑張っていますよ!

吉田うどんMAPをご覧ください。何処に、・・・しようか? 迷いますね!

マップと店舗案内は http://www.fujiyoshida.net/forms/info/info.aspx?info_id=2002

地元の話によると、民家でうどんを食べさせてくれるところは、2~3倍の数はあるのではないかというくらい!?実は、昔から長い間、富士吉田の風土に育まれた、特に、来客をもてなす伝統の郷土料理でもあったのです。(詳細後述)

とにかく、能書きの前に、まず、食べてみましょう!

今回は、創業明治25年、地元で最も老舗といわれる参道沿いの「手打ちうどん・ はなや」を昼時に訪ねました。普通の住宅の座敷に10卓ほど座卓が並び、週末でもあり、座席は殆どいっぱいでした。筆者が選んだ理由は、ここのシンプルな”湯もりうどん”が、もっとも”吉田うどん”らしい味が楽しめると思ってのことなのです。

※ご免なさい62軒のうち、数軒しかしらないのに・・・、

PhotoPhoto_2

「はなや」のれん

「吉田うどん」の名物「湯もりうどん」

伝統の”湯もりうどんは、手打ち吉田うどんを”讃岐の釜アゲうどん”のように、茹でたうどんのアツアツの湯をそのまま出汁にして、オリジナルの辛子味噌でサッパリと味付けをし、醤油でお好みの味にして食べるのが”湯もりうどん”です。”うどんそのものにある栄養分をそのまま”逃さず食べられる知恵だとも思います。醤油を加えなくても、薄味で独特の味が楽しめるが、関東の饂飩出汁を好む人は、醤油を少々加えれば良いでしょう。トッピングは、上質の削りガツオブシがたっぷりもられて出汁の味と香りを増しています。口直しのサッパリ感に小松菜のオシタシが載せてある。薬味は刻みネギと、七味唐辛子を好みで添えてある尽くサッパリ系です。

「吉田のうどん店一覧表」を見ると、各店の特徴がPRされているが、ほとんどが、”具だくさんのテンコ盛り”を売り物にしている。

筆者は・・・、その中で、いわゆる”素うどん”の”湯もりうどん”を売り物のしている「はなや」が最もお勧め! 明治25年創業以来、今でも、”お店に磨きをかけて続いている”ことが、評判の良さと安心感(寄って外れのない店)を物語るのもだと思います。

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”吉田うどん”の特徴は・・・・?

※ふじよしだ観光振興サービスの”吉田うどん”パンフでは、このように紹介しています。

富士山の湧水を使って打ったコシの硬い麺

②味噌、醤油で素朴な味わい、またはカツオ出しが味噌本来のうまみと風味を引き立てる

③具は、硬い麺と相性の良いキャベツが多く、肉は桜(馬)肉を使うところが多い

④薬味は、ゴマや唐辛子をあえたり、それぞれ競争をしている

⑤値段は、@350円~@400円が中心で、とても大衆的値段。

 ※追加でトッピングが選べる処が多い。

「吉田のうどん」は、筆者の率直な意見で言うと、「うどん」が硬くて太く重いので、いつもツルっと食べる饂飩に比べると食べにくい。しかし、良く噛んで食べると”饂飩の旨さ”が分かります。中高年には、腹持ちも良く、”並み盛り”一杯でも腹ごしらえになりますよ

・全国的に評価の高い、秋田の稲庭うどん(実はソーメンと同じ干麺)、名古屋のキシ麺、四国の讃岐うどん、佐賀神埼の中麺(ソーメンを饂飩風に打ったもの)などのうち、少し太いが、讃岐うどんの特性に似ているのではないかと思います。

注)余談ですが、”うどん”と”ソウメン”は、いずれも小麦粉から作られますが、大きな違いがあるそうです。

①ソウメンは、水分が14%以下の乾麺で、手延べソウメンは全て乾麺で、保存性が抜群です。

うどんは、大体が生麺で、ソウメンより少し太めです。日持ちは短く、打ちたてが一番美味しいと言われています。

※”つけめん”などにすると、ダシを良く吸収します。つまり、うどんの方が味にバリエーションを付けやすいところが受けているのではないかと云われています。※ウイキペディアうどん、そうめん入門

同じ小麦粉を使っても、うどんとソウメンは製法が違うのです

・手延べソウメンは、小麦粉を練り合わせた後、植物油を塗布しながら順次引き延ばして丸棒状の麺にします。グルテンというたんぱく質を作り出し、細いほど、グルテンが抜群に含まれているそうです。けっこう栄養があるのですね!だから、修行ソウ(僧)の考えた”ソウメン”なのかな!?(笑い)

・手打ちうどんは、小麦粉を練り合わせた後、足で踏んで、棒で平らに引き延ばした後、庖丁で細かく切って、麺にします。蕎麦打ちと同じような製法ですネ。

一軒だけ、別の高級店を紹介をしておきます・・・。

スタンプラリー加盟店ではないが、吉田うどんが食べられる唯一高級店がある。09年10月に、地元の高級旅館、富士山温泉「鐘山苑」がオープンした「郷土料理の店 浅間茶屋」北口本宮富士浅間神社の境内東側駐車場のところにあるは、本格的な郷土料理(ほうとう、吉田うどんなど)が楽しめます。良さそうなので・・・HPを紹介しておきます。

但し、ここの「吉田うどん」はうどん定食になっていて@1575円、エビ天うどん@800円といったところです。建物や周辺の風情は、とても良いところで、ドライブ観光客にはランチの立ち寄り処に良いと思います!気取らず・・・、頑張ってほしい店構えです。

・浅間茶屋は http://www.sengenchaya.jp

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吉田うどん”考・・・!?

山梨はどこへ行っても、”ほうとう”なのですが、なぜ、富士吉田は、”吉田のうどん”なの・・・? こんなことに興味をもって、あれこれお話を伺ってみました!

「吉田うどん」は、実際に食べて見ると、”うん・・・何!?”と感じる硬くて太いうどん」で、全国の美味しいうどんを知っている人は、何が美味しいの? と言われるかもしれません・・・!?

・知名度の高い山梨の”ほうとう”も、東京の友達連中に聞くと、食べたことはあるけど、”うまい(美味しい)”とは思わないという人が多いのが正直なところです。”ほうとう”も、うどんそのものが、そんなに旨いと感じるものではないからでしょう!?しかし、いろいろお話を聞いて味わってみると、”腹持ちが良く、カボチャ、野菜や肉など栄養豊かな具だくさんと、素材そのものからの出汁で味を出す工夫などを知ると、何と”味わい深い食なのか!?これが日常食として、白い米飯の代わりに主食として食べる郷土料理の知恵”ホウトウ”なのかもしれないと思えるようになります。

郷土ならではの日常食(料理)だからこそ、地域の人々の知恵が集積され、「郷土料理の特性」が育まれていくのです!

今でも、富士吉田市内では、日常食に”ほうとう”を食べる家が多くありますが、宴会や祝事の時は、必ず”うどん”を食べて終わりにするのが、”うどん好き”の吉田(郷土)の土地柄だそうです

何故、宴会や祝事の時、うどん・・・?その”吉田うどん”について、もっと詳しく調べてみますと・・・、

吉田のうどん」とは!? ウイキペディアによると・・・、

2007年、農林水産省が各地に伝わる”ふるさとの味”の中から選定した「農山漁村の郷土料理百選」に選ばれた一つと紹介されています。

山梨県の粉食料理のうち、幅広の麺を野菜とともに煮込み、味噌で味付けをした「ほうとう」は、麺よりも野菜の量が多い”ケ”の食事として普及してきたそうです。

特に、武田信玄の時代に、戦場のスタミナ食として”ほうとう”が重宝されたと伝わることから、それ以来、甲斐国の伝統日常食として定着し、地元では、現在も家庭で食されています。

小麦粉を多量に食する「うどん」は、外食または”ハレ”の食事として区別されていたといわれています。

注)柳田國男氏によると、日本人の伝統的な習慣の一つで、”ケ”は、日常生活を営むためのエネルギー(食)。”ハレ”は、儀礼や祭事や外食などに非日常(食)と区分けし、ハレの場では、衣食住や振る舞い、言葉遣いなど”ケ”とは格段に区別したと言われている。「”ケ”=俗」「”ハレ”=聖」と区分けしたり・・・、さまざまな説があるようです。

富士北麓に位置する富士吉田周辺は、標高800m前後の高冷地であるため、稲作には不向きであったところで、畑作物のアワ、キビ、ヒエ、トウモロコシなどの雑穀や麦が主産物であったことから、主食にも粉食料理が重宝された歴史があります。※富士吉田歴史民俗博物館資料による。

注)トウモロコシの粉で作ったヤキモチ(オヤキ)は主に朝食で食され、大麦を煮て作るオバク(バクメシともいう)は、前の日に煮込んでおいて、翌日野菜などを入れて再度煮込み、朝食や昼食に食されたそうです。アワ、キビ、ヒエ、トウモロコシなどは、粉に引いて煉ると、今でも、”もち”や”だんご”として食されているが、米が取れない地域では貴重な雑穀であったのです。小麦は、”ほうとう”や”うどん”をつくり、カタクリを合せて”すいとん”も作れて、米に代わって如何に貴重品であったかは周知のとおりです。昔、なつかしい話になったようですね!?

米作などの農業に適していない土壌環境の中で、特に、富士山の湧水を活用した「水掛麦」が開発され、栽培されるようになって、その小麦粉を使って”ほうとう”や”うどん”を打つことで、日常食や外食として普及していったが、江戸時代より、特に、富士講が盛んであった富士吉田や河口湖の御師町では、関東周辺から訪れる参詣客に”うどん”を打ってもてなしたと云われています。しかし、四国八十八ケ所の巡礼と関わる”讃岐うどん”のように門前町に店を構えたわけではなく、一般の民家を昼だけ開放して、うどんを供したといわれ、今でもその名残りで、看板も暖簾も掲げない民家の一階を利用した”吉田のうどん屋”が多く見られます。

特に”吉田のうどん”は、富士講の富士山信仰と関わりも深く、透明な汁に、白い麺が浸った「湯もりうどん」は、神聖な食べ物として扱われ、清楚なイメージのこのうどんは、登山前に食することで、「身体の中から、身を清める」という意味合いが込められていたと伝わっているそうです。

なるほど・・・・、「ハレの食に、御師坊などの来客に”うどん”で”もてなし”。宴会や祝事では”うどん”で閉めるなどの風習から富士吉田は、日常食の”ほうとう”ではなく、もてなしの”吉田のうどん”なのだということが良くわかりました。

だから、それぞれの”うどん屋”は、具だくさんや特徴が違う盛り付けで、競っているのですね!

でも、やはり、食べるなら・・・”うどんは麺を競う”手打ちうどんを選んで食するのが、伝統の吉田うどんを知るのに、良いのではないかと思いますネ!

今は、残念ながら、独特の”水掛麦”は殆どないそうですが、”水掛麦”のこともメモしてみました。

富士吉田市地域(特に上吉田小佐野地区の田園地帯)で普及した水掛麦」は、富士山の水を引いて、水掛畑で作る麦のことで、通常の岡麦に比べて、特に、水掛麦で作った小麦粉は、粘りがあって美味しかったといわれます。

なぜ富士吉田では、一般家庭でうどんを打つようになったのでしょうか・・・!?

・江戸時代から昭和にかけて、郡内地方では、養蚕や機織産業が盛んで、女性は働く人が多かった。一方、耕作地や農業に恵まれない男性はよその土地へ行商に行ったり、家で骨休みをする男性たちは、炊事を受け持ち、昼食として”うどん”打ったことで、吉田のうどんが普及していったようです。さらに、ハレの飽食感を演出するために、コシ、硬さ、太さに特徴をもつ吉田のうどんが育まれたといわれています。

けっこう、”吉田のうどん”も、このように歴史は長く、奥深いので、話はつきません!今回はこの辺で・・・!

とにかく、一度、富士吉田を通りがかる時は、この記事を思い出して、チョットだけ途中下車をして・・・、立ち寄って見て下さい。

昼食は、もちろん、”吉田のうどん”を食べるスケジュールを立てて来て下さい!

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