わたしたちの洋書の森

「洋書の森」のとっておきの話をご紹介

宮脇教室6限目「表現を訳す」

2018年02月16日 11時36分10秒 | 魔女のポーシャ

2月10日(土)、翻訳者のためのウィークエンドスキルアップ講座が日本出版クラブで開かれました。洋書の森では定番の講座となった宮脇教室。1限目からずっと、小説を訳すときのツボを講義していただいています。

小説は好きでよく読みますが、訳すとなると手ごわい、と講義のたびに思い知らされてきました。今回も、やっぱり易しくありませんでした。

課題文はチェスタトンのThe Invisible Man(「透明人間」)の一部で、量は300ワードを少し超す程度。単語や構文もそれほど難しくはありません。ところが一語一語、一文一文の解説を聞いていると、あ、これは気づかなかった、そんな意味があったのか、と驚くことが多く、課題文のプリントは赤いメモで埋め尽くされてしまいました。わたしが特に注目したのは文末表現についての言及で、文末の始末によっては大事な情報が伝わりにくくなると知りました。体言止めや倒置を使う癖があるわたしにとって、これは収穫でした。

 

「表現を訳す」というのは、作品を理解して訳す、ということのようです。時代や舞台、背景となる文化を理解していないと、適切な訳語を選ぶことはできません。字面を見て原文を日本語に置き換えるだけでは、小説にならない――常に意識しておきたいものです。

そういえば、昨年暮れのスキルアップ講座のテーマが「翻訳を文学にする」でした(↓のブログ参照)。経験豊富な翻訳家は同じようなことを考えるんですね。

http://blog.goo.ne.jp/youshonomori/e/f283969f10c4a7532df6175c49453a61

 

さて洋書の森では、このあと神保町へ移転する前の4月と6月に、以下のウィークエンドスキルアップ講座を予定しています。みなさま、ぜひふるってご参加くださいませ。ためになる話がぜったい聞けますよ。

*4月21日(土) こだまともこ氏
*6月30日(土) 土屋政雄氏&山口晶氏対談


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