わたしたちの洋書の森

「洋書の森」のとっておきの話をご紹介

こどもの本のお話~こだまともこ先生のセミナー

2018年04月27日 13時46分40秒 | 魔女のポーシャ

4月21日、第31回「翻訳者のためのウィークエンドキルアップ講座」に、こどもの本の翻訳・著作を数多く手がける、こだまともこ先生が登壇されました。

http://www.shuppan-club.jp/wp/wp-content/uploads/2018/03/5e5e509b99b496a3248094611641bbd5.pdf

こだま先生は、こどもの本の特徴は、どんなに過酷な出来事をテーマにしても、心の中に希望の光が生まれる物語であるとおっしゃいます。だから読みたい、訳したいと思う人が多いのでしょう。先生のおっしゃる「向日性」に感銘を受けた参加者は多かったようです。

さて前半では、こども向けの本の翻訳をしたいと思うビギナー向け、ということで、赤ちゃん向けの絵本からYAまでのそれぞれの特徴を、わかりやすくお話してくださいました。

同じ「分かち書き」でも、絵本と幼年童話とでは若干の違いがあるとか、外国の文化や制度をどのように表現するか、とか。またYAでは登場人物の言葉遣いをどうするか、という考察もありました。改めてすっきり整理できました。

後半の課題解説は、課題文の訳を提出した人自身が訳文を読んで発表する形式でした。まるで学校のような授業形式に訳者のみなさん、ドキドキしたことでしょう。訳文を提出しなかったポーシャは、耳から聞いて理解するこどもの立場を体験。新鮮でした。訳文には訳者の個性が出ますね。楽しく聞かせていただきました。

セミナー後の交流会はにぎやかでした。こだま先生の絵本販売に来てくださった徳間書店の編集長も参加してくださって、先生と編集長を囲む輪ができていました。またセミナーの課題訳について意見交換したり、困り事の相談をしたりする輪も。

そんな中、嬉しい出会いに遭遇しました。一緒におしゃべりをしていた二人の参加者が、昨年公開された映画『ドリーム』(NASAの計算技師になった黒人女性3人の奮闘記)の原作翻訳者と吹替翻訳者であることがわかったのです。同じ作品に関わった翻訳者同士。お二人もそのとき初めて知ったとのことで、とても喜んでいらっしゃいました。居合わせたわたしもとても嬉しかった。

講師との出会い、翻訳仲間との出会い、仕事上の出会い。洋書の森が出会いの場になっていることを実感できた時間でした。

(下の写真は、当日販売された、こだま先生の最新の訳書『このねこ、うちのねこ!』。原作の初版は1970年代だそうです。)

 

 

次回のセミナーは6月30日。翻訳家土屋政雄氏と早川書房山口晶編集本部長の対談です。交流会も合わせて、どうぞお楽しみに。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿