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第39回「翻訳者のためのウィークエンドスキルアップ講座」レポート

2020年12月18日 13時37分17秒 | 魔女のきのっぴー

去る11月28日、第39回「翻訳者のためのウィークエンドスキルアップ講座」が開かれました。オンラインでの開催になって2回目、翻訳家の夏目大先生をお迎えした今回の講座は120名を超える方々のご参加をいただき、盛況のうちに終了しました。

本講座のテーマは「一人の訳者ができるまで」。2部構成とし、第1部は夏目先生が翻訳家になるまでのいきさつをダイジェストで振り返るトークライブ、第2部は実際に出版された『タコの心身問題』の一節を使った実践講座です。翻訳家になるまでの道は人それぞれ、いろいろなドラマが隠されていると思いますが、夏目先生の場合もたいへん波乱に富んでいて、ご本人の意思に加え、さまざまな偶然や人との出会いが絡み合って最終的に「翻訳家 夏目大」が誕生したのだなということを痛感しました。軽妙で優しく語りかけるような話しぶりと、翻訳に関して、また仕事に関して、ご本人が意図しないまでも時おり顔をのぞかせる強い信念に打たれ、いつしか夢中になって聞き入ってしまいました。

後半の実践講座では、あらかじめ数十名の方が訳文を提出してくださり、チャットも活用しながらほぼ双方向でのやり取りが実現しました。一つの言葉、一つの文に関する夏目先生からの解説に対して、受講生の方々から「私はこう感じました」「こうは考えられませんか」というような意見や質問も飛び交い、非常に活気あるものとなりました。

「書かれたとおり」に訳すのではなく、人に「どう読まれるか」を意識して訳すことを心がけている、そして、自分が読者として読みたい本を作りたいと思っているという夏目先生のお言葉は、ご本人が「ここは大切だからちゃんと伝えたい」とおっしゃっていたこと。受講生の皆様からの反響も、この点に関する共鳴が多かったようです。

対面式での講座がかなわない中ですが、不便な点をクリアして充実した講義をしてくださった夏目先生、そして逆にオンライン開催のメリットを生かして地球のあちこちから参加してくださった受講生の皆様に、あらためて感謝いたします。

年明け以降の講座については、新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら慎重に開催を検討しております。決まり次第お知らせしますので、楽しみにお待ちくださいね!