わたしたちの洋書の森

「洋書の森」のとっておきの話をご紹介

追悼 加賀雅子さん

2021年12月29日 09時53分28秒 | 「洋書の森」事務局

2007年、一般財団法人 日本出版クラブに、翻訳者のためのライブラリー「洋書の森」を発案し、主要メンバーのひとりとしてその創設にご尽力くださった加賀雅子さんが、去る7月8日にご逝去されました。

長引く出版不況下で進む翻訳者と翻訳出版点数の減少傾向を危惧し、自らも翻訳出版コーディネーターの仕事をしながら、エージェンシー・出版社・翻訳者の三者が効果的に連動できるシステムを常に模索し、新人翻訳者の育成とスキルアップ、訳書のプロモーションへと精力的に翻訳出版の活性化に努められました。

2018年に出版クラブ社屋移転とともに、ライブラリーは閉館となりましたが、その志はセミナー事業へと受け継がれ、出版翻訳に携わる翻訳者の交流・研鑽の場として今日に至っています。

ご尽力に感謝し、心よりご冥福をお祈りいたします。

https://youshonomori.wixsite.com/salon/eulogy


クリスマス読書会『クイーンズ・ギャンビット』レポート

2021年12月25日 11時39分25秒 | 魔女のソフィー

12月18日(土)、洋書の森「おしゃべりサロン」主催の「クリスマス読書会」をオンラインで開催しました。課題図書は『クイーンズ・ギャンビット』(ウォルター・テヴィス 著、小澤身和子 訳、新潮社)。Netflixで大ヒットしているドラマの原作です。訳者の小澤身和子さんをゲストにお招きして、わたしたちボランティアスタッフも含め総勢20名で和気あいあいと語り合いました。

参加者は、ドラマのファン、原書も読んだ方、チェス愛好家とさまざまで、多方面の視点から活発に感想が飛び交いました。小澤さんもその輪に加わり、時には、参加者からの質問に対して丁寧に答えてくださったり、翻訳作業中のエピソードを披露してくださったりしました。みなさんからの感想の中で特に多かったのは、主人公ベス・ハーモンと養母ウィートリー夫人との独特の親子関係がよかったというものです。ほかにも、「登場人物、特に女性たちの心理描写が丁寧に描かれている」「ルールがわからなくてもチェスのシーンがおもしろかった」「1960年代当時のアメリカ社会を知ることができて勉強になった」「ベスの成長物語としても楽しめた」「この本を読んだらチェスがしたくなった」などいろいろな感想が出ました。それだけ魅力にあふれた小説だということでしょう。

ご参加いただいたみなさま、ゲストの小澤さん、ありがとうございました。お忙しい時期にお時間を作ってくださり、心より感謝申し上げます。

今年は、「おしゃべりサロン」主催の読書会として、4月29日(昭和の日)には「春の読書会」(課題図書:『存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』)を、8月28日(土)には「納涼読書会」(課題図書:『春の宵』)を開くことができました。いずれもオンラインでの開催となりましたが、訳者さんと多くの方々にご参加いただき、楽しくも充実したひとときを過ごしました。来年も同じくらいのペースで読書会を開けたらいいなと思っていますので、その際にはぜひご参加いただけるとうれしいです。

みなさま、良いお年をお迎えください。来年もまた「洋書の森」のイベントでお目にかかれますように。