わたしたちの洋書の森

「洋書の森」のとっておきの話をご紹介

フランクフルト・ブックフェアの記事をご紹介します

2017年12月26日 09時00分00秒 | 魔女のポーシャ

翻訳出版のための版権を取り扱うタトル・モリエージェンシーの玉置真波さんが、フランクフルト・ブックフェアについて出版業界紙「新文化」に寄稿されました。翻訳者の役割を改めて感じさせる記事です。下の写真をダウンロードすれば、拡大して読めます。またはPDFをご利用ください。

【PDFはこちら】
https://drive.google.com/open?id=1N6IW5UOqxKymCXcZlH6lEpIuwMUJ33XS

(新文化通信社の許諾により掲載しております。)

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来年もどうぞよろしくお願いいたします。

みなさま、良いお年を!


事務局より2018年(平成30年)の講座予定等お知らせが届きました

2017年12月25日 09時00分00秒 | 魔女のポーシャ

本年も残すところ10日程となりました。みなさまにとってはどのような1年でしたでしょうか。
お陰様で「洋書の森」はオープン10周年記念イヤーとして数多くのイベントを開催、いずれも好評裡に終了することができました。

来年7月末で神楽坂での営業は終了しますが、スキルアップ講座は2、4、6月の3回開催いたしますので、この機会にぜひご参加下さい。

秋、神保町へ移転後も、講座は企画してまいりますので、引続きよろしくお願いいたします。

 

★①次回の新着洋書整理は以下の時間に行います。

2018年2月7日(水) 14:00~16:00

この時間はご利用できませんのでご注意下さい。

*都合により、この日の「おしゃべりサロン」は14時から15時までとさせていただきます。
*また、1月の新着入庫・「おしゃべりサロン」もございませんのでご了承下さい。

 

★②年末年始の休館日は以下のとおりです。

年末年始=12月29日(金)~1月9日(火)

*なお、12月28日(木)は午後3時で閉館いたします。

年末年始の休館期間は、返却、閲覧、貸出、会員登録等、一切ご利用できませんのでご注意下さい。
ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。

 

★③予告!第30回「ウィークエンドスキルアップ講座」

年明け最初の「ウィークエンドスキルアップ講座」には久しぶりに宮脇孝雄氏にご登壇いただきます!
正式なご案内は年明けになりますが、スケジュールを空けてお待ち下さい!!

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開催概要(予定)
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日時/平成30年2月10日(土)15:00~17:00(受付は14:30~)、交流会・17:30頃~<希望者のみ>
講師/宮脇孝雄氏(翻訳家)
会場/日本出版クラブ会館(新宿区袋町6番地)
会費/講座・2,200円(資料代含む)、交流会・3,200円<希望者のみ>
定員/60名(申込み順、定員になり次第締切。「洋書の森」未会員の方も大歓迎!)

※お申込み方法・詳細は来年1月「洋書の森 NEWS」でご案内いたします。

 

★④4月以降の予定

確定している平成30年度のウィークエンドスキルアップ講座は以下の通りです。
いずれも開催約一ヶ月前を目処にご案内いたします。ぜひご予定おき下さい。

第31回=平成30年4月21日(土)・こだまともこ氏

第32回=平成30年6月30日(土)・土屋政雄氏&山口晶氏対談


原田勝先生講座&クリスマス会レポート

2017年12月19日 15時00分21秒 | 魔女のさとみん

12月9日、今年最後のウィークエンド・スキルアップ講座と、毎年恒例のクリスマス会が開催されました!

ウィークエンド・スキルアップ講座は、ヤングアダルト文芸作品の翻訳家としてご活躍の原田勝先生による「翻訳を文学にするために——視点・文末・人称・省略・語順・リズム」でした。このタイトルにひかれて参加されたという方も少なくなかったのではないでしょうか。


 (最新訳書『オオカミを森へ』もサイン入りで販売しました!)

 さて講座の内容もタイトルどおり魅力的でした。2時間を通して原田先生が発していたメッセージは、「『自分は芸術家』という自覚があるか?」という問いかけでした。講座の冒頭でおっしゃっていたのは、原文が文学作品なのに、それを訳す翻訳者が「文学者」でないのはおかしい、ということ。翻訳者自身が文学者となる覚悟が必要だ、という言葉でした。原田先生は、日本の作家が書いたような「翻訳のあとが見えない作品」が目指すところだとおっしゃっていました。今回の受講生の方々から、「原田先生の翻訳が大好き」という意見がたくさん聞かれたのも納得です。

 講座では、翻訳書を単なる言葉の置き換えではない「文学」にするために気をつけていることを、文末の処理やリズム、文体などの面から、これまで訳された実際の作品の原文と訳文を並べて具体的に示してくださいました。

 質疑応答でも、受講者の方々の翻訳時の悩みなどに具体的に答えてくださり、とても有意義な2時間でした。

 

さてその後はお楽しみのクリスマス会!

今回は洋書の森の創設者である藤岡啓介先生は残念ながらご欠席でしたが、同じく創設者の加賀雅子さん、そして10月に好評を博した講座をされた亀井よし子先生がお忙しいなか駆けつけてくださいました。

 ウィッシュツリーへのお願い事やビンゴ大会、参加者の皆さんが手がけた訳書の争奪じゃんけん大会など、毎年恒例の洋書の森クリスマス会ならではのお楽しみをまぜつつ、名刺交換や近況報告など、参加者同士の交流も盛んに行われていました。

 
(洋書の森クリスマス会名物、みんなの熱い思いが託されたウィッシュツリー)

 
(原田先生を含め参加者の皆さんが提供してくださった訳書の争奪じゃんけん大会)

最後に加賀さんがご挨拶をしてくださったなかで、出版界は少しずつ活気を取り戻しているようだということ、そして翻訳者は待っているだけではダメ、訳したい本は情熱をもって売り込まないと、とおっしゃっていたのが印象的でした。


(「何でも相談して」と、翻訳者に心強いエールを送る加賀さん)

2017年の洋書の森のイベントはこれで最後であるのと同時に、神楽坂の日本出版クラブでのクリスマス会もこれで最後となります。

2017年は皆さんにとってどんな年だったでしょうか? そして2018年はどんな年にしたいですか?

2018年は日本出版クラブと洋書の森にとって、夏に移転という大きな変化が控えていますが、出版翻訳を愛する翻訳者の皆さんの交流の場や学びの場として、引き続き出版翻訳を盛り上げていきたいと魔女一同、心から思っています。

1年間ありがとうございました。

来年もよろしくお願いいたします💗

(ウィークエンド・スキルアップ講座は来年6月まで引き続き神楽坂にて開催です!)


(訳書をご提供くださった皆様、ありがとうございました♡♡)


「ボジョレーの夕べ」レポート

2017年12月08日 13時03分08秒 | 魔女のソフィー

ボジョレーヌーボーが解禁された翌々日、洋書の森にとって初めての試みとなる〈ボジョレーの夕べ〉が開催されました。河野万里子先生から、ご訳書『星の王子さま』と『青い麦』をベースにした、フランスの“愛”についてのお話を伺うことができるうえ、おつまみ付きでボジョレーを味わえる。こんな魅力的なイベントのお手伝いができるとあって、数日前から、酒好きの、もとい、お酒をたしなむ私ソフィーは、心躍らせながら『星の王子さま』と『青い麦』をしっかり再読して備え、当日は魔女たちの誰よりも早く会場に着きました。会場となる出版クラブの「パピロス」というすてきな部屋には、すでに白いテーブルクロスの敷かれた円卓が用意され、その上にはワイングラスとフォークが並べられていました。そんないつものセミナーとは違った雰囲気の中、河野先生のお話は始まりました。

   

幼いころから海外の絵本や児童文学がお好きだった河野先生は、高校生の後半になってからは、自立した女性が描かれたサガンの小説を始めとしたフランス文学に惹かれるようになり、大学時代に『星の王子さま』の原書と出会ったそうです。「『星の王子さま』には、心のなかの宝箱に入れたいすてきな言葉がたくさん詰まっているんです」と目をきらきらさせて語られるお姿が印象的でした。王子さまは作者サン=テグジュペリの分身だと考えられていて、キツネやバラの花にもモデルとなる女性が存在したとか、サン=テグジュペリは美男子ではないものの、笑顔がチャーミングで女性にもてたといったお話も興味深かったです。

また、そもそもどうしてフランスは恋愛大国と呼ばれるようになったかについて、わかりやすく説明してくださいました。17世紀になって、「太陽王」ことルイ14世の治世下、平和な時代を迎えたフランスでは、貴族は宮廷で優美な暮らしを送り、ギャラントリー(貴婦人への優雅な応接法、ひいては趣味的恋愛)を謳歌するようになったこと。第一次世界大戦のころまでは、結婚は家と家との財産の移動であると考えられ、そうした財産のある階級では恋愛結婚はまず存在しなかったが、結婚して跡継ぎさえできれば別の相手と自由に恋愛してかまわないという独特の結婚制度がまかり通っていたこと。19世紀後半、「ベル・エポック」と呼ばれる時代を迎え、高級娼婦がもてはやされ、華やかな生活を送るようになると、上流階級の男性はこうした高級娼婦とつきあうことが一種のステータスのようになったこと。この三点が、フランスが恋愛大国と呼ばれるようになったおもな背景だそうです。

こんな独特の恋愛事情を抱えていたフランスでは、意外にも、コレットが1923年に『青い麦』を発表するまでは、若い男女の恋が語られる小説というものはなかったそうです。このコレットという作家は、恋多き女で、波瀾万丈の人生を送り、その経験をもとに、後になって元高級娼婦と青年の恋物語『シェリ』を描いたそうですが、河野先生は、現在、『シェリ』の新訳に取り組んでいらっしゃる最中で、この作品についても少し触れてくださいました。

一時間以上ものあいだ、笑顔を絶やさずにこうしたお話をよどみなく語られた河野先生に、参加者の皆さんも私たちスタッフも、すっかり魅了され、時を忘れました。その後はボジョレーで乾杯し、歓談の時間となりました。ボジョレーに続いて、「やまふじぶどう園」のワイン3種類も振る舞われました。魔女のひとりの知人で、翻訳をしながらご家族でワイナリーを経営していらっしゃる方からの差し入れです。今年の新種を含めたワインはそれぞれに果実味豊かでおいしく、ワイン通の方にも満足していただけたのではないでしょうか。おつまみはワンプレートに美しく盛られたオードブルで、ワインの味をいっそう引き立ててくれました。フランス文学に、ワインに、楽しいおしゃべり。いつまでも続いてほしいようなぜいたくなひとときでした。

 

河野先生、ほんとうにありがとうございました。〈ビールの夕べ〉もぜひ実現させたいと思っていますので、その際はよろしくお願いいたします。参加してくださった皆さまにも心よりお礼申し上げます。今回の新企画、いかがだったでしょうか。これからもこうした楽しく学べるイベントを企画していきますので、どうぞご期待ください。