12月9日、今年最後のウィークエンド・スキルアップ講座と、毎年恒例のクリスマス会が開催されました!
ウィークエンド・スキルアップ講座は、ヤングアダルト文芸作品の翻訳家としてご活躍の原田勝先生による「翻訳を文学にするために——視点・文末・人称・省略・語順・リズム」でした。このタイトルにひかれて参加されたという方も少なくなかったのではないでしょうか。
(最新訳書『オオカミを森へ』もサイン入りで販売しました!)
さて講座の内容もタイトルどおり魅力的でした。2時間を通して原田先生が発していたメッセージは、「『自分は芸術家』という自覚があるか?」という問いかけでした。講座の冒頭でおっしゃっていたのは、原文が文学作品なのに、それを訳す翻訳者が「文学者」でないのはおかしい、ということ。翻訳者自身が文学者となる覚悟が必要だ、という言葉でした。原田先生は、日本の作家が書いたような「翻訳のあとが見えない作品」が目指すところだとおっしゃっていました。今回の受講生の方々から、「原田先生の翻訳が大好き」という意見がたくさん聞かれたのも納得です。
講座では、翻訳書を単なる言葉の置き換えではない「文学」にするために気をつけていることを、文末の処理やリズム、文体などの面から、これまで訳された実際の作品の原文と訳文を並べて具体的に示してくださいました。
質疑応答でも、受講者の方々の翻訳時の悩みなどに具体的に答えてくださり、とても有意義な2時間でした。
さてその後はお楽しみのクリスマス会!
今回は洋書の森の創設者である藤岡啓介先生は残念ながらご欠席でしたが、同じく創設者の加賀雅子さん、そして10月に好評を博した講座をされた亀井よし子先生がお忙しいなか駆けつけてくださいました。
ウィッシュツリーへのお願い事やビンゴ大会、参加者の皆さんが手がけた訳書の争奪じゃんけん大会など、毎年恒例の洋書の森クリスマス会ならではのお楽しみをまぜつつ、名刺交換や近況報告など、参加者同士の交流も盛んに行われていました。
(洋書の森クリスマス会名物、みんなの熱い思いが託されたウィッシュツリー)
(原田先生を含め参加者の皆さんが提供してくださった訳書の争奪じゃんけん大会)
最後に加賀さんがご挨拶をしてくださったなかで、出版界は少しずつ活気を取り戻しているようだということ、そして翻訳者は待っているだけではダメ、訳したい本は情熱をもって売り込まないと、とおっしゃっていたのが印象的でした。
(「何でも相談して」と、翻訳者に心強いエールを送る加賀さん)
2017年の洋書の森のイベントはこれで最後であるのと同時に、神楽坂の日本出版クラブでのクリスマス会もこれで最後となります。
2017年は皆さんにとってどんな年だったでしょうか? そして2018年はどんな年にしたいですか?
2018年は日本出版クラブと洋書の森にとって、夏に移転という大きな変化が控えていますが、出版翻訳を愛する翻訳者の皆さんの交流の場や学びの場として、引き続き出版翻訳を盛り上げていきたいと魔女一同、心から思っています。
1年間ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします💗
(ウィークエンド・スキルアップ講座は来年6月まで引き続き神楽坂にて開催です!)
(訳書をご提供くださった皆様、ありがとうございました♡♡)