スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

静かなクリスマス

2004-12-25 09:22:03 | コラム

クリスマス当日の25日は、まるで時間が止まってしまったかのよう。もちろんどの商店もお休み。新聞はこの日と翌日は休刊だから、朝起きても玄関には何もない。仕方なく、昨日の新聞を広げてみると、日本の正月の新聞と同じように、「**株式会社:楽しいクリスマスをお祝いいたします」というような企業によるクリスマスの挨拶がドッサッと紙面に並んでいるのに気づく。またしても、スウェーデンのクリスマスと日本の正月の共通点を見つけた。


テレビ局も人員をギリギリまで削って放送しているみたいで、流れるニュースも同じものばかり。しかも、ネタが随分少ない。普段はカットされているようなインタビューもだらだらと流して、時間稼ぎをしているみたい。

スウェーデンでは一般に、17時以降や土日に勤務すると、給料の30%が上乗せされる。さらに、クリスマスなど国民の休日にはなんと100%が上乗せされる。これらを「obekvämarbetstidstillägg」(不快勤務時間上乗せ)と呼ぶ。日本では、残業手当、休日手当といったところだろうか。だから、雇用者はできる限り人を働かせたくない。しかし、公共の医療・福祉部門はそうはいかない。休日だろうと土日だろうとすべき仕事がある。だから、学生の身としてはそんなときに臨時職員としてシフトにはいると、普段の倍の給料がもらえるから嬉しい。産業界や特に公的部門にとっては、土日との重なりによって年ごとに微妙に変わる休日の数は、労働コストに大きく影響を与えることになるわけだ。

そういえば、今思い出すのは、こんな議論。これまでなんと平日だった「スウェーデン建国記念日」(6月7日)を来年から国民の休日にしようという議論が今年、国会で上がったが、国民経済の試算によると、休日一日の増加に伴う労働時間の短縮と労働コストの増大で(正確な数字は忘れたが)GDPが0.3~0.5%も低下するらしい。これまで削りに削られてきた労働時間と伸び悩む経済が既に深刻な問題である。「建国記念日」の議論はもともと右派から上がったもので、5月1日のメーデーが国民の休日であるのに、「建国記念日」が平日なのはおかしいというものだった。休日を入れ替えて、メーデーを平日にしようという声も一部で聞かれた。しかし、メーデーは社会主義の象徴というよりも、スウェーデンに長く続く伝統とする見方が結局強かった。結局、国会は今年の秋、建国記念日を国民の休日にする代わりに、4月のキリスト教休暇の翌日をこれまでの国民の休日から平日にすることで決着が付いた。

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