日本農業新聞 2010年4月7日 50度のミラクル
絶品!うま味2~3倍に
野菜がしゃっとなり、鮮度が保持できる50度洗いの後、
うま味を引き出す調理法が「低温蒸し」だ。
100度の高温ではなく、50~80度の低温でじっくり時間をかけて蒸すと、
野菜本来の香りが生き、うま味がアップすr。家庭でできる低温蒸しの方法を紹介する。
考案したのは、スチーミング調理技術研究会を主宰する平山一政三(73)。
平山さんは蒸気技術の専門家で「野菜をおいしく食べることが、
農業振興につながる」というのが持論だ。
通常蒸すというと100度の高温で蒸すのが一般的だが、
平山さんの方法は、50~80度の低温で蒸すのが特徴。
これにより
①熱による栄養成分の破壊は少なく
②食感がよくなる
③素材のうま味が凝縮する
④野菜のあく成分が少なくなり
⑤本来の香りが増し
などの効果が期待できるという。
低温蒸しは家庭でも簡単にできる。用意するのは
①0~100度を測れる温度計
②鍋、ステンレス製の網(もち網)など
③ざる、ボウル(鍋の直径と同じ程度の)
シイタケを蒸す場合の手順はこうだ。
①鍋に水を入れて沸騰させる
②沸騰したら、火力を最小にする
③シイタケを載せた網を鍋の上に置く
④その上からふたをするように、ざるとボウルを順にかぶせる
⑤網の上に温度計を差し込み、65度位に上昇したら、いったん火を止めて放置する
⑥60度まで下がったら、再び着火し、70度位で火を止める
⑦15分くらい蒸して出来上がり
⑧保存する場合は、冷めてから容器に移して冷蔵庫にれる。
「シイタケのうま味成分グアニル酸は、低温蒸しの方が高温蒸しに比べて3倍に増える」
と平山さん。
実際、温泉の蒸気を調理に生かしている
大分県別府の鉄輪(かんなわ)温泉蒸気活用研究会が、
うま味成分の含有量を分析した結果、
ゆでた場合と比べて低温蒸しの方が、
ほうれん草で約2倍、タマネギで約3倍に増えていることが分かった。
ただ、注意する点は「味噌汁も沸騰させたら、おいしくない。
香りが飛ばないよう、蒸す温度は85度以上にならないように調節してほしい」
と平山さん。素材の持ち味を生かした低温調理を勧める。
調理例:
きのこ類 70℃ 15分
ホウレンソウ小松菜 85℃ 10分
キャベツ書く際もやし70℃ 10分
ネギ 85℃ 30分
にんじん度 30分
ジャガイモ 85℃ 30分
かぼちゃ 80℃ 30分
鶏ムネ肉 75℃ 15う糞
豚 75℃ 30分
牛素敵肉 75℃ 120分