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南信州で地域エネルギーに関わりながら思うこと

イカの哲学

2008-03-02 | 
魚介類ではイカが好きです。

一人暮らしのとき、初めて本を見ながらイカを捌いた際の感動。
白い体の中から、金色の美しいハラワタ。
それを和えて作った炒め物。
うまい!

福岡に出張したときに、居酒屋で食べたヤリイカの活造り。
さっきまで生きていたイカは、もう皿に盛られているのに、呼吸のリズムで肌の色が浮き沈みして美しい。
こりこりした歯ごたえ。
なんてうまいんだろう!

と、イカには目がない僕ですが、この本ではイカを見つめ、イカに見つめられた波多野さんという人がイカから考えた平和論を元に、中沢さんが平和やエコロジーについて考えています。

イカも人も同じ「実存」の、つながった生き物同士だ!という気づきを得た波多野さん。戦争中は神風特攻隊にいて、明日出撃という日にソ連が満州に侵攻したおかげで命拾いをしました。でも、そのあとシベリアに4年間抑留され、死ぬような過酷な体験をしています。
(実は、僕のおじいさんも満州に進駐していたためにシベリアに抑留され、強制労働の末、かろうじて生き残りました。一度脱走しようとして、撃ち殺されそうになったそうです。シベリアで死んでいたら、僕は生まれていません)

波多野さんは、帰国後、ソ連の共産圏だけでなくアメリカも見ようと渡米して、アメリカの大学で哲学を勉強します。その夏休みには学費を稼ぐため、カリフォルニアの海岸で水揚げされた大量のイカを冷凍する力仕事をして、一日に何千パイというイカを扱います。ただの水産資源・商品として大量のイカを扱いながら、そのイカと目が合ってしまい、「俺たちの存在を無視しないでくれよ!忘れないでくれ!」とイカの声を聞いて、「イカも同じ実存の存在だ」と考えるんです。
人と人の戦争の原因を考えると、平和のためには動物も含めて自分以外の命を自分とつながった対等な存在と考えることが必要なんじゃないか・・

イカから、平和、地球まで、思考がグンとジャンプしていきます。


ところで、イカの目は人間と同じくらい情報を得られる複雑な構造をもっているそうです。
でも、脳みそはずっと単純だから、その情報は処理されていないんだって・・

不思議な、おいしい存在です。

イカの哲学

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