Baradomo日誌

ジェンベの話、コラの話、サッカーの話やらよしなしごとを。

子猫

2006-07-19 | よしなしごと
先日、職場の敷地内に捨てられていた子猫を職員が拾ってきた。
生後2ヶ月くらいだろうか?
白と黒のぶち、鼻の下にある、カイゼル鬚のような模様が愛らしい。
事務室のような見知らぬ場所に連れてこられて不安なのだろう、みゃぁみゃぁ泣きまくり、物陰に隠れようとする。
中にタオルを敷いたダンボール箱に入れてやると、だんだん落ち着いたのか、あるいは泣き疲れたのか、丸くなって眠ってしまった。
胸から腹のあたりを規則正しく上下させ、すやすやと眠る子猫は本当にかわいらしく、出来ることなら飼ってやりたいとさえ思うが…。

周囲の職員も皆思いは同じ。
しかし、生命を預ることは、容易ならざること。
そして、残念ながらこの子が1人で生きていけるほど、今の世の中おおらかではない。
と思ったら、不意に涙がこぼれてきた。

当職場は翌日休業のため、このままここにおいておくことは出来ない。
かといって、屋外に放置することもできず、結局一時的に警察に預ってもらうこととなった。
とはいえ、誰も預り手が現われなければ、この子はまたどこかへ送られ、その後は…。

秋田での事件。
「最愛の娘を失った母親」が、衝動的に起こした悲劇的な殺人事件、であるはずだった。
しかし、実は「うとましかったから」娘を殺害したと自供したため、この事件はさらに陰惨な印象のものへと変った。
まるで面倒になったペットを捨てるかのごとく、我が子を橋から突き落とした母親。
同情の余地すらない、聞くもの全てを暗澹たる気持ちにさせたこの事件。

全ての生命は、等しく生きる権利を持っている。
そして、自分の血肉とするため以外の目的で他者の命を奪う権利を持つ者はいないはず。

あれから2日。
子猫がどうなったのか、誰も口にしない。
いや、出来ないのだ。
我々もまた罪人だから。