長い間、大学の工学部で研究をしていた。研究の関連で幾つもの大会社の中央研究所の方々に大変お世話になった。一緒にビールも飲んだ。
研究所の人々は優秀で、人格の高い人が多い。でも雑談中に時々ハッとする発言をする。傘下の子会社の人々を軽蔑したような発言をする。他社や他の業界の研究者を、地球以外の惑星の生き物のように距離を置いて、あしざまに批判する。
そして酔いが回ると、会社内の出世速度と派閥の関係をクドクドと説明してくれる。転勤は絶対命令だと学生によく分かるように就職指導をして下さいと言う。会社への忠誠心が最も重要だと教えてくれと言う。自分へも言い聞かせているようだ。
要するに、会社への忠誠心を持続する。会社外の人とは親しくならない。終生同じ会社で働けば、出世も出来る。会社の中は年功序列のタテ型身分制度である。そして、定年後は子会社へ天下りさせてくれる。
これが高度成長期の大会社で働いていた人々の共通な考え方であった。
1990年前後に「バブル経済」が破綻した。不動産を担保にして業務拡大してきた大手銀行が破綻する。銀行から多額の借り入れをして、生産設備拡大を繰り返してきた大会社も当然、経営に行詰まる。関連子会社を独占的に傘下に入れて面倒をみる経済的な余力が無くなる。子会社群の解散が必然的に起きる。
忠誠心さえあれば絶対に解雇しないという暗黙の約束を経営者側が破る。多くの有能な人々を肩たたきで辞めさせる。天下り先の面倒もみないで放り出す。
ここで重要な事実は、大会社の凋落が高度成長の後に起きたことである。
日本全体が豊かになっていたので、大会社を辞めた人々が生活には困らない。タテ社会が崩壊しても生活は大丈夫である。そのことに気が付いた人々の数が多かった。もともと、タテ社会へ不満や疑問を持つのが自然な人情であろう。
上の例は大会社だけで起きた現象である。省略するが、中小企業はもっと悲惨であった。
タテ社会の崩壊は民間企業で起きた。しかし、官庁や国立大学は経済不況と直接関係ないので、タテ社会が残った。タテ社会の残った組織は他にも多い。
そんな変化の後でインターネットが普及する。個人が自由に、そして平等な立場で考えや作品を発表するブログ文化が盛んになってきた。
ブログ文化の隆盛はタテ社会の崩壊のお陰で起きた。同時に、国立や公立の組織や、その他、多くの組織に残ったタテ社会を弱める重要な社会的貢献もしている。
ブログを単なるお遊びの流行と理解するのは自由だ。しかし、社会の変化の結果でもあり、社会変化を加速する重要な役割をしている。と理解することも出来る。(続く)
関係会社を見下し、小さな取引先は適当にあしらう、同業他社の棚卸しなど、しておりました。耳が痛いです。
会社=藩、村のようでした。
独立すると、注文取りの厳しさも味わっています。今まで大きな科ををして買い叩いたり、無理な納期を強いていたことがそっくり自分に帰ってきました。
経済産業省の若手が研究を重ね、日本が1990年以来不況が10年も続く原因を解明しました。大会社のみを優遇しすぎて、健全な資本主義から大きくずれてしまったからだ!今後はベンチャー企業や小さい会社を応援しよう! と、大きく変えて施策をして来ました。小生は老後のアルバイトにこの施策に共鳴し、部分的にいろいろ手伝って来ました。
ベンチャー会社の株式公開の手伝いもしました。
でも日本の社会はまだまだタテ社会の観念が強く、ベンチャーは苦戦を強いられています。
でも高山さんのような独立した、小さい会社が日本の将来を再び活性化すると信じて居ます。
皆はそれを期待しています。どうぞ、ご自分のためだけでなく、日本のために頑張ってください。
敬具、藤山杜人