後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

黒毛和牛と輸入牛、どちらが美味しいか?

2018年08月15日 | 日記・エッセイ・コラム
今日は黒毛和牛と輸入牛、どちらが美味しいか?という話です。お気軽にお読み下さい。
平成28年度の牛肉の推定出回り量は、86万1098トンでした。このうち、国産品は32万2533トンです。一方、輸入品は53万8565トンでした。
この結果、全体に占める国産品のシェアは37.5%で、輸入品のシェアは62.5%となります。(https://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2017/jun/beef-jp.htm )

 アメリカからの輸入牛肉は、すべてアメリカ国内での流通カットとなっていて、特にわが国向けの特殊なカットはあまり行われていません。しかし、日本向けに特別な濃厚肥育をしたものは、現地の処理工場で日本式にカットされ、直接日本のユーザーに輸出されています。
私たちが食べている牛肉のうち、約60%はオーストラリアやアメリカから輸入されています。残り約40%が国内生産で、そのうち、黒毛和種などの肉専用種が約45%、乳用種に由来するものが約55%を占めていいるそうです。
さて美味しい牛肉と言えば黒毛和牛です。白い脂肪がサシに入っている柔らかで、牛独特の風味があります。欠点は脂肪分が多すぎて、非常に高価なことです。しかし一般的に体に悪いものほど美味しいのです。困ったものです。
面倒な話は止めて、さっそく写真に従って御説明しましょう。

1番目の写真は西洋種の牛の血が混じっていない日本古来の和牛の見島牛です。萩市の沖合の離れ島の見島に生存している天然記念物の古来の和牛です。見島では7戸の「見島牛保存会」の農家が純粋種を守り続けています。食肉用として市場へ出荷されるのは年間12頭から13頭と言います。これこそが現在賞味されている全ての「霜降り肉」の元祖なのです。
この和牛は中国から朝鮮へ伝わり、そして見島へ伝わったそうです。やがて見島から日本全国へ伝わったと説明されています。

2番目の写真は黒毛和牛の肉の写真です。

3番目の写真も黒毛和牛の肉の写真です。尚、純粋な古来の和牛はもう一あり、それは鹿児島県の離れ島に居る口之島牛です。

4番目の写真は昭和4年の見島牛のセリ売りの様子です。
(写真の出典は、http://www.mishimaushi.com/mishimaushi.html です)戦前の見島牛は飼料も貧しくてあまり美味しくなかったようです。
黒毛和牛が現在のように一般的に有名になったのは経済の高度成長の頃の1980年代からです。

5番目の写真はアメリカの肉牛のヘレフォード種の牛です。黒毛和牛にくらべて体が大きいですね。

6番目の写真はアメリカの肉牛のアバディーンアンガス種の牛です。日本のスーパーでアメリカ産の牛肉として沢山並んでいる肉はこのような巨大な牛の肉なのです。

7番目の写真はアメリカの肉牛のブラーマン種の牛です。

さて黒毛和種、褐毛和種及び日本短角種の和牛やアンガス種やヘレフォード種などの外国種の国産牛は、どんな一生を送るのか見ていきましょう。
生まれた子牛は5~7ヶ月間、母牛に育てられますが、後半の2~3ヶ月間は草や配合飼料、すなわちアメリカなどから比較的安価に輸入できるトウモロコシ、こうりゃん、大豆粕などを原料に配合した飼料を与えます。
大きくなった子牛は、5~7ヶ月齢時に離乳し、肥育に仕向けます。
子牛は沖縄などで育てられた後に、松坂や神戸や近江など日本各地に送られ飼育されます。そうして松坂牛や神戸牛や近江牛などとして出荷されるのです。もともとは同じ牛なのです。
 肥育仕向けとなった牛は生後10ヶ月齢・体重290kgですが、約20ヶ月かけて肥育され、約690kgに仕上げられます。この間、配合飼料や大麦、草、稲ワラなどが与えます。

和牛の品種は4種類あります。(http://黒毛和牛.com/basic/type/ )
その4種類とは、黒毛和種、褐毛和種(あかげわしゅ)、無角和種、そして日本短角種のことを指します。
一般的には、和牛と言えば黒毛和種を意味することが殆どです。市場で出回っている和牛のうちの、なんと90%以上が黒毛和種です。
ブランド牛といえば黒毛和種と言っても大きな間違いはありません。
黒毛和種(JAPANESE BLACK)は、日本の至るところで飼育されていて、飼育数では約160万頭です。
肉牛としては最高の遺伝的資質を持ち、筋肉の間に脂肪のサシが入っています。
黒毛和種は美味しさ、柔らかさ、サシの入り具合など、牛肉のおいしさの全てを持っています。さらにキメが細かくまろやかで、その生肉の見た目は霜降りと呼ばれるピンクと白の絶妙に美しい見かけになっています。

このように素晴らしい牛肉なので、黒毛和牛はオーストラリア、カナダ、アメリカやヨーロッパでも飼育されるようになりました。
始めは日本の大商社が日本へ輸入するために和牛の飼育をオーストラリアの牧場へ奨励したのがキッカケで、その後、現地の人々が好んで食べるようになったのです。そして現在はフランスでも好んで食べられています。

最後に三大和牛の松坂牛や神戸牛や近江牛について書き足しておきます。
この三種は明治維新以来何度も体の大きい西洋牛と交配しています。要するに血統が正しくないのです。古来の和牛と西洋牛の雑種なのです。
本当に純粋な現在の和牛は上で紹介した天然記念物の見島牛と口之島牛だけなのです。

それにしても今日は終戦記念日です。贅沢な牛肉の話はまったくそぐわない話題でした。
今日の昼食は当時の食糧難を忘れないように家内がスイトンを作ります。
戦線にある日本兵はこのスイトンさえ食べられないで餓死したのです。


今日もは戦争中に亡くなった人々のご冥福をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)