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県内に暴風をもたらして台風はどういう進路か?紹介いたします。

2011-09-30 23:54:44 | インポート

本ブログ21日の記事に対して、takurou様よりご質問をいただいた件、記事にいたしました。

山梨県内に暴風をもたらした台風と致しましては、まず、台風の進行方向右側に県内が入った事例としては、

①昭和34年の台風7号進路図 気象庁HPより引用

T5907

この台風は、山梨県内に最悪の台風災害をもたらしたといっても過言ではなさそうです。この台風は、昭和34年8月14日6時半頃、富士川河口付近へ上陸、甲府盆地西方から長野県中部北部を縦断、新潟県直江津市付近へと進みました。

山梨県内では、14日朝方から昼頃にかけて、暴風に見舞われ、最大風速が甲府で東南東風で33・9m(瞬間最大風速は東南東43・2m)を観測し、この記録は現在でも歴代1位となるものです。

このため、甲府市など甲府盆地西部を中心にして記録的な暴風災害となり、県内では、家屋の全半壊が5621棟となり、甲府盆地周辺の果樹木の倒木が続出、県内の果樹に壊滅的な打撃を被った とのことです。(日本気象協会 「台風災害を防ごう」より引用) 

この台風自体、小型ではありましたが、上陸時の中心付近の気圧は960mb(hPaと同じ)と強いもので台風自体の移動速度は毎時50km~60kmと早かったこともあり、とりわけ、台風自体が小型であったことで、富士山と南アルプスの地形的鞍部を台風の中心がすっぽりとおさまった形になったためでしょうか、この結果、富士山や御坂山地、笹子峠周辺からのおろし風が卓越し、前記のような記録的な暴風につながった と私は考えています。

まさに、台風と言うもの、小型でも勢力が強ければ、山椒は小粒でもぴりりと辛し のたとえのごとく ですね。

続いて、台風の進行方向左側に入った事例としては、平成14年の台風21号が挙げられます。

②平成14年台風21号の進路図 気象庁HPより引用

T0221

③台風21号が山梨県に再接近した平成14年10月1日19時の日本付近雲画像図(赤外画像) 高知大学気象情報項 より引用。

Fe_02100119

この台風21号は、平成14年10月1日19時頃、移動速度を60km程度で神奈川県川崎市付近に上陸、東京23区から千葉県北西部を経て、茨城県へと進んでいきましたが、千葉県や茨城県内に、瞬間最大風速が50mを超すような記録的暴風をもたらし、茨城県鹿嶋市内で、高圧線の鉄塔の倒壊等をもたらしました。

この台風、引用図③より、台風の進行方向前側に台風を取り巻く雲の集団が分布していますが、こういう状態は、台風自体の移動速度が比較的早く、かつ、台風自体、次第に温帯低気圧化しつつある状態で、台風の進行方向左側からは、比較的相当温位の低い気流が入り込んできていることを示すものです。

こうなりますと、台風の進行方向左側では、山越えのおろし風が卓越する傾向にあり、山梨県内全域にも1日夕方より暴風警報が出されて、県内では1日18時~22時頃にかけて、北西~西より風が吹き荒れて、甲府や河口湖では、最大瞬間風速が30mを超えました。


台風15号、浜松市に上陸後、山梨県を通過 首都圏を直撃

2011-09-21 23:42:35 | インポート

①9月21日21時の天気図 気象庁HPより引用

11092121

②9月21日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

20110921210000

台風15号は、21日14時頃、静岡県浜松市付近に上陸し、強い勢力を保ったまま山梨県から関東北部へと速度を上げて進んで、21日21時には、福島県浜通り地域に達しております。

最大瞬間風速は、静岡県御前崎で45・1m、東京都内八王子で43・1mを観測したほか、東京都内湾岸地域や伊豆諸島の一部で、40mを超えましたし、東京都心(北の丸公園内科学技術館屋上で観測)でも、36・0mを観測しました。

10分間の平均風速の最大でも、東京湾岸地域や伊豆諸島の一部では30mを超えています。

台風15号が通過した山梨県内ですが、

風は、最大瞬間風速が山中で28・8mを観測したほか、県内の所処で25mを超えましたし、10分間の平均風速の最大でも、甲府で15・7m(北西風) 南部で14・2m(南東風)と、かなりの強風となりました。

雨ですが、富士五胡地域や峡南地域を中心にして大雨となり、これらの地域では、降り始めてからの総雨量が300㎜~400㎜に達しております。

富士川水系の一部では、一部で氾濫危険水位を超す箇所も発生しており、今後、雨が止んでも、県内では、土砂災害や河川の氾濫には厳重な警戒が必要です!!


台風15号 発達しながら次第に速度上げて本州へ接近 21日には本州上陸へ

2011-09-20 23:52:24 | インポート

①9月20日21時の天気図 気象庁HPより引用

11092021

②9月20日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③9月21日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

11092009

奄美大島の東海上を北上中の台風15号ですが、勢力を強めて、しかも、次第に移動速度を上げてきました。

気象庁9月20日21時45分発表 台風15号進路予報文(気象庁HPより引用)によりますと(台風15号の進路情報は、常に最新のものをご利用ください!)

<20日21時の実況>
大きさ -
強さ 非常に強い
存在地域 足摺岬の南約270km
中心位置 北緯 30度20分(30.3度)
東経 133度35分(133.6度)
進行方向、速さ 北東 30km/h(15kt)
中心気圧 940hPa
中心付近の最大風速 50m/s(95kt)
最大瞬間風速 70m/s(135kt)
25m/s以上の暴風域 全域 150km(80NM)
15m/s以上の強風域 南東側 520km(280NM)
北西側 370km(200NM)

<20日22時の推定>
大きさ -
強さ 非常に強い
存在地域 足摺岬の南南東約260km
中心位置 北緯 30度30分(30.5度)
東経 133度50分(133.8度)
進行方向、速さ 北東 30km/h(15kt)
中心気圧 940hPa
中心付近の最大風速 50m/s(95kt)
最大瞬間風速 70m/s(135kt)
25m/s以上の暴風域 全域 150km(80NM)
15m/s以上の強風域 南東側 520km(280NM)
北西側 370km(200NM)

<21日03時の予報>
強さ 非常に強い
予報円の中心 北緯 31度25分(31.4度)
東経 134度35分(134.6度)
進行方向、速さ 北東 30km/h(15kt)
中心気圧 940hPa
中心付近の最大風速 50m/s(95kt)
最大瞬間風速 70m/s(135kt)
予報円の半径 60km(30NM)
暴風警戒域 全域 200km(110NM)

<21日09時の予報>
強さ 非常に強い
存在地域 潮岬の南約100km
予報円の中心 北緯 32度35分(32.6度)
東経 135度40分(135.7度)
進行方向、速さ 北東 30km/h(16kt)
中心気圧 940hPa
中心付近の最大風速 50m/s(95kt)
最大瞬間風速 70m/s(135kt)
予報円の半径 90km(50NM)
暴風警戒域 全域 240km(130NM)

<21日15時の予報>
強さ 非常に強い
予報円の中心 北緯 34度20分(34.3度)
東経 137度10分(137.2度)
進行方向、速さ 北東 35km/h(20kt)
中心気圧 950hPa
中心付近の最大風速 45m/s(85kt)
最大瞬間風速 55m/s(105kt)
予報円の半径 130km(70NM)
暴風警戒域 全域 260km(140NM)

<21日21時の予報>
強さ 強い
存在地域 群馬県
予報円の中心 北緯 36度30分(36.5度)
東経 139度20分(139.3度)
進行方向、速さ 北東 45km/h(24kt)
中心気圧 975hPa
最大風速 35m/s(65kt)
最大瞬間風速 50m/s(95kt)
予報円の半径 160km(85NM)
暴風警戒域 全域 280km(150NM)

となっています。つまり、21日昼過ぎから夕方にかけて、紀伊半島~東海地方の地域へ上陸する見通しで、上陸後、本州を縦断する見通しです。

引用図②より、台風の進行方向左側には、水蒸気画像上で、明白な暗域が現れており(相当温位の低い気流が流れ込んできていることを示すものです。)、こうなりますと、台風と言うもの、進行方向右側のみならず、進行方向左側でも相当に風が強まるものです。

台風の進行方向右側に当たる東海地方や甲信地方、関東地方、それに東北地方太平洋側では南~南西風が相当に強まることは勿論、台風15号の進行方向左側に当たる中国地方や四国地方、近畿地方や北陸地方、それに、東北地方の日本海側でも相当に風が強まります(北~西より風)ので、厳重な警戒が必要です。

山梨県内でも、地形的に南~南西に開いた山の斜面にあたる地域で、南~南西風がかなり強まる見込みで、充分に注意してください!

一方、雨に関する点ですが、山梨県内では、20日23時現在、降り始めてからの雨量が200㎜を超えている箇所があります。台風15号が本県を21日夜に通過することが予想されます。山地を中心に相当な雨量が見込まれます。本ブログで14日に紹介した、深層崩壊 と言われる大規模な土砂災害発生の恐れが充分にあります。

土砂災害や浸水にも充分に警戒してください!!

各方面とも、早目早めの対応をお願い致します!!


勢力を増した台風15号 次第に速度を上げて本州へ

2011-09-19 23:54:29 | インポート

①9月19日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月19日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③9月19日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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④9月20日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

11091909

沖縄の東海上で、旋回気味にゆっくりと移動している間に、勢力を強めた台風15号、ようやく、台風を押し流す後押し(語弊あるようですみません)をつかみつつあります。

まず、引用図②③内 帯状に白くぼやけている画像となっている A の位置に注目です。

Aの極側縁に沿って上空のジェット気流(およそ10000メートル付近中心、およそ5500m付近より強風帯となっています。)が位置しているものですが、引用図③(19日9時)と引用図②(19日21時)とを見比べると、前記 A の位置は次第に本州付近へ南下しつつあることがわかります。

つまり、本州上空には、ジェット気流が南下しつつあることより、次第に風速(今回の場合、前記 Aの走向より、おおむね南西風)が強まりつつありことを示すもので、南西諸島の東海上をゆっくりと北上する台風15号は、本州に接近するとともに、次第に、本州上空では南西風が強まってきますから、進路を北東へ取り、次第に(明日夜以降)移動速度を上げてきそうです。

台風15号の北側の本州には前線も停滞しており、東北地方や西日本の所処で、すでに雨脚が強まっていますが、台風15号の北上に伴って、山梨県内では、20日以降、富士五湖地域や峡南地域を中心に、大雨が予想されます。充分に警戒してください!


深層崩壊 山梨県内も要注意!!

2011-09-13 23:49:38 | インポート

①紀伊半島に記録的豪雨をもたらした台風12号 9月4日21時の天気図です。気象庁HPより引用。

11090421

紀伊半島に記録的豪雨(総雨量が所によっては2000㎜を超していました。)をもたらした台風12号ですが、すでに周知の通り、通常でも降水量の多い紀伊半島の各地に、甚大な被害を残してしまいました。

また、一部メデイアでも紹介されているように、この紀伊半島豪雨災害、深層崩壊と見られる土砂崩壊であるとの、各専門家の方々のご指摘でありますが、本日は、この、深層崩壊について、説明していきましょう。

まず、

◆通常の土砂崩壊ですが・・・・・地面付近の数m程度の堆積した、相対的に軟らかい地層(表土層と呼んでいます。)が崩壊することですが

◆深層崩壊は・・・・・表土層の下の岩盤もろとも崩壊する土砂崩壊です。通常の土砂崩壊発生時よりも降水量が多量になる場合に発生しやすく、大規模な土砂崩壊となります。 

と言うものですね。

深層崩壊を起こしやすい岩盤ですが、Ⅰ:風化していたり、Ⅱ:岩盤に亀裂が入っている地域 にて発生しやすいようです。岩盤自体が崩壊するわけですから。

深層崩壊が発生しやすいと予想される地域を図示した、深層崩壊ハザートマップが、国土交通省砂防局より公表されていますので、以下のアドレスより、アクセスなさってください。

http://www.mlit.go.jp/common/000121614.pdf

この、深層崩壊ハザートマップ より、本州では、中部地方から近畿地方、四国地方へと走る大きな断層である 中央構造線の太平洋側にあたる地域や 糸魚川ー静岡構造線(フォッサマグナ)周辺で、深層崩壊が多く発生して、今後も危険性が高い と言えますね。これら地域では、相対的に古い地層の岩盤の上に盛り上がって岩盤が形成されていたり、日本列島を形成する岩盤同士がぶつかり合いなどして、大規模な山地を形成している地域です。紀伊半島もこれらの中に含まれています。

逆に、北上山地や阿武隈山地、それに、奥多摩周辺、や 中国山地など(これらの山地では、殆どの地域で、およそ6000万年前よりも古い時代に出来た地層が分布している地域です。)では、比較的、深層崩壊は発生する可能性は低いと言えそうです。

山梨県内ですが、周知の通り、糸魚川ー静岡構造線(フォッサマグナ)周辺に位置しており、深層崩壊が発生する可能性は高いと言えます。特に、南アルプス周辺地域や大菩薩嶺周辺地域が危険性大と言えますね。県内の皆さん、とりわけ、山地で降水量が非常に多くなった時など、深層崩壊にもご用心下さい!!早め早めの避難が肝要です!!