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北東気流 山梨県内の影響は東部富士五湖止まり(8月10日の事例)

2017-08-11 18:10:27 | 日記
①8月10日9時の天気図 気象庁HPより引用


8月10日は、低気圧が日本の東海上と日本海西部にあり、オホーツク海から北日本や東日本へ高気圧が張り出す気圧配置となりました。

こうなりますと、関東平野や北日本の太平洋側には、北東気流と呼ばれる、比較的冷涼で湿った気流が入り混んで、この方面は、気温が上がらず、天気も曇天気味で、
所々で小雨や霧雨もぱらつく、うっとうしい天気となってしまうものです。

ただ、山梨県内では、この、北東気流の影響を受けやすいのは東部と富士五湖止まり。県内笹子峠の山地を境に、甲府など、中西部の盆地地域では、その影響を受けにくく、
東部富士五湖地域と中西部とでは、きわめてコントラストの強い天気分布をします。

北東気流が関東平野周辺の流れ込んでいる時、東京都心から山梨県方面へ、中央本線や中央自動車道を利用して移動すると、東京都内から、県内笹子周辺まで曇天が続いて、場合によっては、小雨や霧雨がぱらつく天気となり、特に、気流が山地にぶつかる小仏トンネル東側や、笹子トンネル東側に位置する大月以西の地域では、見通しが悪くなったりますが、笹子トンネルを出るとともに、、
晴天に恵まれて、気温も上昇している といった気象状況を魔のあたりに体験できますね。

10日の例も多分に漏れずです。

②8月10日 
ⅰ イ:9時の日本付近可視雲画像図 ロ:日本付近赤外雲画像図
  A :9時のアメダス山梨県周辺日照分布図  
  a :9時のアメダス山梨県周辺気温分布図

ⅱ:イ:12時の日本付近可視雲画像図 ロ:日本付近赤外雲画像図
  A :12時のアメダス山梨県周辺日照分布図  
  a :12時のアメダス山梨県周辺気温分布図

ⅲ:イ:15時の日本付近可視雲画像図 ロ:日本付近赤外雲画像図
  A :15時のアメダス山梨県周辺日照分布図  
  a :15時のアメダス山梨県周辺気温分布図

を見てみましょう(すべて気象庁HPより引用)



ⅰイ:
 
ロ:

A :

 a :


ⅱイ:
 
ロ:

A :

 a :


ⅲイ:
 
ロ:

A :

 a :


因みに、
可視雲画像は、太陽光が雲に反射して発生した可視光線の濃度から 赤外画像は、雲から大気中に放出される赤外線の濃度から雲の状態を画像化するもので、可視画像は、雲の密度が大きいほど、赤外画像では、雲長高度が高いほど、画像が白く輝くようになります。
であれば、10日に、関東平野周辺に広がる雲は、可視画像で白く輝き、赤外画像でぼやけた薄い画像でありますから、雲の密度が大きいが、雲長高度は低い、背の低い雲(層積雲)の集団が広がっているといえます。
その証拠に、山梨県周辺へ目を向けますと、甲府盆地周辺では、雲の切れ間が広がっているものの、
東部富士五湖地域では、雲に覆われている様子がわかり、日照時間分布より、中西部甲府盆地周辺では、日差しに見恵まれておりますが、東部富士五湖では、日照時間が軒並み1時間当たり、0・4未満と、曇天の様子ですね。

この、北東気流により、背が低いが密度の大きな雲の集団が発生するのか見てみましょう。

③10日 全国ウインドプロファイラー風向風速分布図
ⅰ:9時 ⅱ:12時 ⅲ:15時  ともに気象庁HPより引用

ⅰ:

ⅱ:

ⅲ:

引用図③より、
北東気流発生時に雲に覆われやすい、北日本から東日本の太平洋沿岸の各地では、上空1000㍍付近で、概ね北東風と、海上から吹くつける気流となっていますが、上空2000㍍より上側では、概ね南西〜西寄り風となって上空2000㍍より下側で、気流の鉛直方向の分布のコントラストが強い状態(鉛直シアーが大きな状態)といえ、上空2000㍍より下方(下層)で、北東風となって海上を渡ってきたため、湿潤な状態の気流が、鉛直シアーが大きな状態下で、雲を発生、さらに、北日本や東日本太平洋側の地形的特性(西側に山地があり、その山地に、前記した鉛直シアーが大きな気流がぶつかって、下層での雲の発生をさらに顕著にさせる。このことで、北東気流により、背が低いが密度の大きな雲の集団が発生するといえそうです。
北東気流発生時に、鉛直シアーが大きな高度、概ね700㍍〜1500㍍程度(筆者調べ)、それ故。南北方向へ分布する標高1500㍍以上の山地を超えて、北東気流に伴う雲は発生できません。

なので、山梨県内では、中西部の盆地地域、北東気流の影響を受けにくいわけなのです。

10日の事例でも、北東気流の影響を受けた関東平野の各地では、最高気温は軒並み30℃未満と平年以下の気温でした。

山梨県内でも、10日の最高気温は、日差しが陰り気味であった東部富士五湖地域に位置する 大月で29・9℃ 河口湖28・7℃ 山中27・5℃止まりでしたが、一方で日差しに恵まれた中西部では、勝沼で35・1℃の猛暑日!甲府で34・3℃、韮崎でも32・2℃と、うだるような暑さでした。

台風5号は5日午後和歌山県北部へ上陸 台風から離れた山梨県東部で局地的豪雨 流れ込み異なる暖湿流同士の収束で発生!

2017-08-10 01:25:09 | 日記
①8月7日15時の天気図 気象庁HPより引用



観測史上3番目の長寿となる台風5号ですが、7日15時過ぎに和歌山県北部へ上陸しました。

この頃、台風から東へ離れた山梨県東部の大月市や都留市などでは、局地的に雨雲が非常に発達し始め、7日夜にかけて、1時間で100㍉を超す豪雨の見舞われて、
土砂崩れや、低地の浸水など発生し、JR中央線や中高自動車道など、一部区間で通行止めとなりました。


この、山梨県東部の局地的豪雨発生のカラクリですが

②8月7日15時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用



③8月7日 ⅰ:16時40分 ⅱ:17時の 山梨県周辺レーダーエコー合成図 気象庁HPより引用
ⅰ:





引用図②より、7日15時、台風を取り巻く反時計回りの気流が、東海地方より分布していますが、
この気流とは別に、関東地方から山梨県周辺には、上空1000㍍から3000㍍まで、南寄りの気流が卓越しております。
これは、台風の外縁部を廻るようにして流れ込んできた暖湿流と、太平洋高気圧の外縁部を廻るようにして流れ込んできた暖湿流の存在を示すものですが、山梨県周辺の目を向けると、河口湖の上空3000㍍付近では、南寄り風で風速20㍍以上と周辺より風速が強めです。これは、前記した暖湿流が、富士山の東側斜面でぶつかり、南北方向に収束している状態を示すものです。

③ⅰ.ⅱより、7日16時40分、と17時には、この、上空3000㍍で、南北方向に帯状にに暖湿流が収束していると推測される山梨県東部地域で ほぼ帯状になった非常の発達した雨雲の集団が形成されて停滞気味となっています。

上空3000㍍で、富士山東側で衝突し、南北方向に収束した結果、帯状に雨雲を非常に発達させてしまったため今回の山梨県東部の豪雨は発生した原因思われますね。


山梨県東部には、7日15時頃より、帯状に発達した雨雲が、21時頃までかかり続け、ところによっては総雨量が300㍉を超す豪雨となりました。、