①7月14日3時の天気図 気象庁HPより引用
②7月14日3時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用
③7月14日3時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用
④7月14日3時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用
梅雨末期の豪雨が九州地方中心に降り続いています。
大分県や熊本県など、河川の水位が軒並み氾濫危険水位に達して、氾濫してしまっている箇所も続出。熊本件の一部では、降り始めてからの総雨量が700㎜を超えている箇所もあります。
また、昨日夜から今日朝方にかけては、前日と同様に、関東南部や山梨南部、静岡県なども激しい雨に見舞われて、神奈川県西部の丹沢湖では、14日3時10分までの1時間に104・5㎜の猛烈な雨を観測しています。
県内では、峡南や富士五湖で大雨となり、峡南地区の南部では、24時間降水量の最大が103㎜を観測し、富士五湖地域や峡南地域には、一時、大雨警報が出されました。
引用図②③より、関東以西の各地では、上空1000m~3000m付近で西~南西風がおおむね風速10m以上と強まり、この強風域に対応して、水蒸気画像上の白くぼやけた画像域が帯状に分布し、所処で幾つも白く輝く画像域があります。
これは、日本海沿岸部にある梅雨前線に向かって、南海上から暖湿流が大量に流れ込んで、当該梅雨前線周辺で、暖湿流同士が収束して、所処で非常に発達した雨雲を形成している状況を示すものです。
前記した関東以西の各地では、大雨となるポテンシャルが強い状態と言えますが、では、どういう箇所でとりわけ雨雲が発達しやすいでしょうか?
それは、
Ⅰ:500hpaの正渦度が通過する区域
Ⅱ:地形的特性で、下層(上空およそ2000m以下)での気流が局地的に収束している箇所
以上Ⅰ.Ⅱの条件を兼ね備える区域と言えますね。
特に、前記Ⅱの区域は、暖湿流の流れ込んでくる方向に開いた山の斜面にあたる地域狭隘部になっている区域などですが、さらには、関東平野や大阪平野周辺など、平野が海岸線から内陸部まで比較的入組んでいる区域の沿岸部が該当し、このような区域では夜間、雨雲がしやすい傾向があります。
さらに、雨雲が非常に発達する区域は、局地性が極めて強いのが特徴で、前記した神奈川県丹沢湖では24時間雨量最大でで190・5㎜を観測しているのに対し、直線距離で南へおよそ20㎞しか離れていない、おなじ神奈川県の箱根では24時間雨量最大が76㎜と、およそ2・5倍もの差があるほどです。
こういった特性も、大雨発生時には、不意を着かれて大きな災害に見舞われやすい要因となるものですね。