遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

添 水

2019-09-01 16:31:55 | 日記
令和元年9月1日(日)

添 水 : 鹿威し、ばったんこ

水力により自動的に音を発する装置
田畑を荒らしにくる鳥獣を追払うための装置
谷水や田の落ち水を利用、太い竹筒の一端に、
水を受け、中央の支点を芯にして溜まった水の
重みで竹筒が傾ぎ、一気に水が迸る。
水がなくなり軽くなった反動で、他の一端が
石を強く打ち、その大きな音で鳥獣を追払う。

添水の仮名使いはもともと「曾富騰」(そほど)
の語形の変化である。
亦、その装置の有り様から「ばったんこ」や
「ばった」と言われている。
庭園や料亭等の遣水に仕掛けて風流を楽しむ。


添水を「僧都」「案山子」ともいう。
僧都(そうず)とは、僧侶の階級の事を言う。
奈良時代の末期、「玄賓僧都」(げんぴんそうず)
という高名な僧侶が居た。彼は名声を嫌い、寺院
の山辺を出て、丹波や備中の田舎を転々とした。
世間ではこれを「山田僧都」と呼んだ。
彼は秋の収穫の時期に農夫の出立をして、雀や烏
等を追払い、農民から感謝された。
案山子の代わりをしてくれた山田僧都を親しみを
込めて「山田の案山子」と呼んだ。
山田僧都は農民のため、田畑を荒らす鹿や猪、鳥
等を追払う音を出す道具の仕掛け作りをした。

江戸時代になり、「石川丈山」が水を利用して、
音を出す装置を考案した。彼は故事に記述された
「玄賓僧都」を偲んでこの装置を僧都(そうず)
と名付けた。これが現在の添水の由来である。

※案山子(かかし)の事を「げんぴんそうず」と
 もいう。


今日の1句

人居らず古刹に韻く添水かな     ヤギ爺