相変わらず最近の作品読むのが自分の中ではやっている。
いつもより早いサイクルで本読んでたら、好きな文章、作家の傾向がだんだんわかってきた。
「カスピアン王子のつのぶえ」C.S.ルイス(再読)
ナルニアシリーズの2巻。やっぱおもしろいなぁ。でも、昔ほどの衝撃はない。汚れちまったかなしみだ。
ファンタジー系は、世界観からまるごと頭の中に構築して読まなきゃいけないから、想像力フル回転。子供の時にそういうのを読む訓練しとくのはとてもためになるとおもう。
「タイムカプセル」生田紗代
若い女性作家のを最近よく読むけど、それらと比べるとなんとなく見劣りしちゃうなぁ。チラシの裏的な感じがまだしてしまう。ぬるい、という感じ。
就活中のいとこの描写が、就活生にはかなり痛い。けど、なんか一般的なイメージの域を出ていないような……。
「最後の息子」吉田修一
ビデオ日記を軸に物語が進む。という構成がすごいとおもった。最後のあたりでぎゅっとくる。
主人公のヒモ加減が絶妙。オカマの閻魔ちゃんの心理をうまく読んでくのだけど、閻魔ちゃんという人物には、ああ人間ってこうだよなぁ、となぜか切なくなる。
最後の息子、というキーワードの登場の仕方にものけぞった。これをタイトルにしようとおもったことがすごい。
表題作以外の2編は普通の青春ものって感じ。同じ本に収録されてる意味がよくわからない。
「パラレル」長嶋有
長嶋有、大・最・高! 今もっともわたしの心をくすぐる作家だ。もぅ。
この温度の低さは毎度たまらない。温度が一貫して低いからこそ、たまにある小さな違和感に敏感に気づくようになる。そういうものが、実は一番重要だったりするんじゃないのか、とか勝手に思って盛り上がっている。
たまに出てくる気の抜けたネタもとてもいい(本作ではないが、「シータは木登り平気だよね」というネタがさらりと使われていた時の衝撃を、わたしは一生忘れないであろう)。このすっとぼけ感はなんなんだ。
主人公のがっついてない感じも心地いいな。出てくる人たちが微妙にずれてる、そのずれ方も好みだ。真っ白い紙を使ってるのも好感度高い。そうだよね、この小説を本にするためにはどうしてもこの紙の白さでなければだめだよね、と激しくおもった。この本はぜひ手元におきたい。図書館で借りて読んだが、たぶんいつか買ってしまうだろう。
「ナラタージュ」島本理生
やたらと評価高かったので読んだ。
いちいちがわたしの感性をすり抜けていく小説だった。
一生に一度の激しい恋、みたいなテーマだとおもうのだけど、恋する相手である学校の先生があまり魅力的でない気がする。主人公の友人連中だとか、付き合い出す男の子の方がよっぽど魅力的な気がするのだが。山場の作り方も安直なような。妊娠ネタと同じくらい安直なような。文章もやたらに硬いし、過去形多様だし。ナラタージュというのがそもそも過去語りみたいな意味らしいから、しょうがないのかもしれないけど。理生ちゃんもっとうまくなかったっけ? とおもってしまった。ただたんにわたしに合わなかったというだけの話だろうけれども、下手ということではなしに、ここまでわたしの感性をことごとく否定するように進んでいく小説は初めて読んだなぁとおもった。
なんか、優等生的な気がしちゃったな。あと、演劇部が題材になっているところも、多分ひっかかりぽいんとになってしまったのだろう。演劇である必要性がまったく感じられんのだもの。
「となり町戦争」三崎亜記
前評判よすぎて拍子抜け系。
前評判なしに読んだならびっくりしただろうに。おもってたのと少し違ったし。もっと淡々としているのかとおもいきや、問題提起みたいな意識が想像以上に前面
に押し出されてたり、恋愛みたいなものも微妙に絡んだり。発想はたしかにすごいとおもうんだけど。でも、お役所仕事の書き方はさすがにうまかった。
「彼女が語りはじめた彼は」三浦しをん
この人の文章はあまり好きではないんだなぁ。必要以上に暗い、というか黒いから。
でも、連作をこのような形でまとめあげ、一つのテーマに収束させていく力量はかなりのものだとおもった。普通にうまい。
いろんな女に手を出しまくっているえらい学者先生と、その先生を取り合う女たちというのが中心にあるんだけれども、連作はそのさらに外側にいる人たちを順に主人公にしていく。その距離のとり方も素敵だ。それでいてテーマがばらつかないところも。連作って最近多いけど、これは連作であることを見事に生かしてる感じがしたな。
重松清によれば、ここには「人の孤独について書かれてある」らしいけど、たしかにそんな感じがした。
「優しい音楽」瀬尾まいこ
1時間で読了。いい話なんだけど、マイルドすぎてわたしにはどうも物足りない。でも、ここまで終始一貫のったりできるのは、それだけで一つの芸だとはおもう。
いつもより早いサイクルで本読んでたら、好きな文章、作家の傾向がだんだんわかってきた。
「カスピアン王子のつのぶえ」C.S.ルイス(再読)
ナルニアシリーズの2巻。やっぱおもしろいなぁ。でも、昔ほどの衝撃はない。汚れちまったかなしみだ。
ファンタジー系は、世界観からまるごと頭の中に構築して読まなきゃいけないから、想像力フル回転。子供の時にそういうのを読む訓練しとくのはとてもためになるとおもう。
「タイムカプセル」生田紗代
若い女性作家のを最近よく読むけど、それらと比べるとなんとなく見劣りしちゃうなぁ。チラシの裏的な感じがまだしてしまう。ぬるい、という感じ。
就活中のいとこの描写が、就活生にはかなり痛い。けど、なんか一般的なイメージの域を出ていないような……。
「最後の息子」吉田修一
ビデオ日記を軸に物語が進む。という構成がすごいとおもった。最後のあたりでぎゅっとくる。
主人公のヒモ加減が絶妙。オカマの閻魔ちゃんの心理をうまく読んでくのだけど、閻魔ちゃんという人物には、ああ人間ってこうだよなぁ、となぜか切なくなる。
最後の息子、というキーワードの登場の仕方にものけぞった。これをタイトルにしようとおもったことがすごい。
表題作以外の2編は普通の青春ものって感じ。同じ本に収録されてる意味がよくわからない。
「パラレル」長嶋有
長嶋有、大・最・高! 今もっともわたしの心をくすぐる作家だ。もぅ。
この温度の低さは毎度たまらない。温度が一貫して低いからこそ、たまにある小さな違和感に敏感に気づくようになる。そういうものが、実は一番重要だったりするんじゃないのか、とか勝手に思って盛り上がっている。
たまに出てくる気の抜けたネタもとてもいい(本作ではないが、「シータは木登り平気だよね」というネタがさらりと使われていた時の衝撃を、わたしは一生忘れないであろう)。このすっとぼけ感はなんなんだ。
主人公のがっついてない感じも心地いいな。出てくる人たちが微妙にずれてる、そのずれ方も好みだ。真っ白い紙を使ってるのも好感度高い。そうだよね、この小説を本にするためにはどうしてもこの紙の白さでなければだめだよね、と激しくおもった。この本はぜひ手元におきたい。図書館で借りて読んだが、たぶんいつか買ってしまうだろう。
「ナラタージュ」島本理生
やたらと評価高かったので読んだ。
いちいちがわたしの感性をすり抜けていく小説だった。
一生に一度の激しい恋、みたいなテーマだとおもうのだけど、恋する相手である学校の先生があまり魅力的でない気がする。主人公の友人連中だとか、付き合い出す男の子の方がよっぽど魅力的な気がするのだが。山場の作り方も安直なような。妊娠ネタと同じくらい安直なような。文章もやたらに硬いし、過去形多様だし。ナラタージュというのがそもそも過去語りみたいな意味らしいから、しょうがないのかもしれないけど。理生ちゃんもっとうまくなかったっけ? とおもってしまった。ただたんにわたしに合わなかったというだけの話だろうけれども、下手ということではなしに、ここまでわたしの感性をことごとく否定するように進んでいく小説は初めて読んだなぁとおもった。
なんか、優等生的な気がしちゃったな。あと、演劇部が題材になっているところも、多分ひっかかりぽいんとになってしまったのだろう。演劇である必要性がまったく感じられんのだもの。
「となり町戦争」三崎亜記
前評判よすぎて拍子抜け系。
前評判なしに読んだならびっくりしただろうに。おもってたのと少し違ったし。もっと淡々としているのかとおもいきや、問題提起みたいな意識が想像以上に前面
に押し出されてたり、恋愛みたいなものも微妙に絡んだり。発想はたしかにすごいとおもうんだけど。でも、お役所仕事の書き方はさすがにうまかった。
「彼女が語りはじめた彼は」三浦しをん
この人の文章はあまり好きではないんだなぁ。必要以上に暗い、というか黒いから。
でも、連作をこのような形でまとめあげ、一つのテーマに収束させていく力量はかなりのものだとおもった。普通にうまい。
いろんな女に手を出しまくっているえらい学者先生と、その先生を取り合う女たちというのが中心にあるんだけれども、連作はそのさらに外側にいる人たちを順に主人公にしていく。その距離のとり方も素敵だ。それでいてテーマがばらつかないところも。連作って最近多いけど、これは連作であることを見事に生かしてる感じがしたな。
重松清によれば、ここには「人の孤独について書かれてある」らしいけど、たしかにそんな感じがした。
「優しい音楽」瀬尾まいこ
1時間で読了。いい話なんだけど、マイルドすぎてわたしにはどうも物足りない。でも、ここまで終始一貫のったりできるのは、それだけで一つの芸だとはおもう。