ドーナツ畑の風に吹かれて

おかわり自由のコーヒーを飲みながら、廻る季節をながめて、おもったこと。

お風呂読書。

2005-12-02 02:30:49 | 読書三昧
 お風呂読書が一時期自分の中で大流行して読書もぽちぽち進んだ。けど、卒論に本格着手してからはさっぱり。映画と同じくだいぶ放置してしまったので、いまさら感想書くのもなんだから、とりあえず記録。

「いろんな気持ちが本当の気持ち」長嶋有
「スティル・ライフ」池澤夏樹
「きりぎりす」太宰治
「刺青・秘密」谷崎潤一郎
「天体議会」長野まゆみ
「東京飄然」町田康

 町田康と相性悪い。「東京飄然」なんて、おもしろくないわけないテーマなのに、この人とはおもしろいとおもうツボがことごとくずれてるらしい。惜しいなぁ。相性よければ絶対おもしろいとおもうんだけどなぁ。切ない。
 最近、東京ブームらしい。ついに買ってしまった、リリー・フランキーの「東京タワー」。ここまで売れてるとどうしても気になってしまうま……。今度ゆっくり読もうっと。
 東京お散歩が自分内大ブームを巻き起こしているわたしとしては、何を今さらな東京ブーム。東京がおもしろくないわけないじゃん。東京に生まれたことに感謝しつつ暮らす日々ですわよ。

読書ペース落ちる

2005-09-14 01:01:18 | 読書三昧
 しばらくは卒論関係の本ばかり読むことになるとおもうので、その他の読書はきっとほとんどできない。というか、封印しないといつまでも卒論進まない。かなしい。

「春、バーニーズで」吉田修一
 やっぱいいなぁ、吉田修一。
 自分で敷いたり社会が敷いたりしてるレールをなんだかんだで走っているというのが普通の人生の形だとおもうんだけど、そのレールをちょっぴり踏み外した(踏み外しそうな)瞬間の風景が書かれているとおもう。ほんのちょっとであろうとも、レールの外は、取り返しがつかない場所だとわたしはおもうよ。


「レボリューションNo,3」金城一紀
 友人にすすめられる。エンターテイメント系はただただ楽しく読めていい。こんなに頭がよくて活きがいい高校生、ほんとにいたら素敵だね。


「生まれる森」島本理生
 「ナラタージュ」ととても似ている。先生と微妙に恋愛。作者の実体験か?


「風味絶佳」山田詠美
 あいかわらずうまいけど、相変わらずグロい話を書く人だ。男主人公の方が読みやすい気がした。まだグロくない。

図書館がオンライン予約可になったので、調子にのりました。

2005-07-31 16:02:03 | 読書三昧
 相変わらず最近の作品読むのが自分の中ではやっている。
 いつもより早いサイクルで本読んでたら、好きな文章、作家の傾向がだんだんわかってきた。


「カスピアン王子のつのぶえ」C.S.ルイス(再読)
 ナルニアシリーズの2巻。やっぱおもしろいなぁ。でも、昔ほどの衝撃はない。汚れちまったかなしみだ。
 ファンタジー系は、世界観からまるごと頭の中に構築して読まなきゃいけないから、想像力フル回転。子供の時にそういうのを読む訓練しとくのはとてもためになるとおもう。
 

「タイムカプセル」生田紗代
 若い女性作家のを最近よく読むけど、それらと比べるとなんとなく見劣りしちゃうなぁ。チラシの裏的な感じがまだしてしまう。ぬるい、という感じ。
 就活中のいとこの描写が、就活生にはかなり痛い。けど、なんか一般的なイメージの域を出ていないような……。


「最後の息子」吉田修一
 ビデオ日記を軸に物語が進む。という構成がすごいとおもった。最後のあたりでぎゅっとくる。
 主人公のヒモ加減が絶妙。オカマの閻魔ちゃんの心理をうまく読んでくのだけど、閻魔ちゃんという人物には、ああ人間ってこうだよなぁ、となぜか切なくなる。
 最後の息子、というキーワードの登場の仕方にものけぞった。これをタイトルにしようとおもったことがすごい。
 表題作以外の2編は普通の青春ものって感じ。同じ本に収録されてる意味がよくわからない。


「パラレル」長嶋有
 長嶋有、大・最・高! 今もっともわたしの心をくすぐる作家だ。もぅ。
 この温度の低さは毎度たまらない。温度が一貫して低いからこそ、たまにある小さな違和感に敏感に気づくようになる。そういうものが、実は一番重要だったりするんじゃないのか、とか勝手に思って盛り上がっている。
 たまに出てくる気の抜けたネタもとてもいい(本作ではないが、「シータは木登り平気だよね」というネタがさらりと使われていた時の衝撃を、わたしは一生忘れないであろう)。このすっとぼけ感はなんなんだ。
 主人公のがっついてない感じも心地いいな。出てくる人たちが微妙にずれてる、そのずれ方も好みだ。真っ白い紙を使ってるのも好感度高い。そうだよね、この小説を本にするためにはどうしてもこの紙の白さでなければだめだよね、と激しくおもった。この本はぜひ手元におきたい。図書館で借りて読んだが、たぶんいつか買ってしまうだろう。


「ナラタージュ」島本理生
 やたらと評価高かったので読んだ。
 いちいちがわたしの感性をすり抜けていく小説だった。
 一生に一度の激しい恋、みたいなテーマだとおもうのだけど、恋する相手である学校の先生があまり魅力的でない気がする。主人公の友人連中だとか、付き合い出す男の子の方がよっぽど魅力的な気がするのだが。山場の作り方も安直なような。妊娠ネタと同じくらい安直なような。文章もやたらに硬いし、過去形多様だし。ナラタージュというのがそもそも過去語りみたいな意味らしいから、しょうがないのかもしれないけど。理生ちゃんもっとうまくなかったっけ? とおもってしまった。ただたんにわたしに合わなかったというだけの話だろうけれども、下手ということではなしに、ここまでわたしの感性をことごとく否定するように進んでいく小説は初めて読んだなぁとおもった。
 なんか、優等生的な気がしちゃったな。あと、演劇部が題材になっているところも、多分ひっかかりぽいんとになってしまったのだろう。演劇である必要性がまったく感じられんのだもの。


「となり町戦争」三崎亜記
 前評判よすぎて拍子抜け系。
 前評判なしに読んだならびっくりしただろうに。おもってたのと少し違ったし。もっと淡々としているのかとおもいきや、問題提起みたいな意識が想像以上に前面
に押し出されてたり、恋愛みたいなものも微妙に絡んだり。発想はたしかにすごいとおもうんだけど。でも、お役所仕事の書き方はさすがにうまかった。


「彼女が語りはじめた彼は」三浦しをん
 この人の文章はあまり好きではないんだなぁ。必要以上に暗い、というか黒いから。
 でも、連作をこのような形でまとめあげ、一つのテーマに収束させていく力量はかなりのものだとおもった。普通にうまい。
 いろんな女に手を出しまくっているえらい学者先生と、その先生を取り合う女たちというのが中心にあるんだけれども、連作はそのさらに外側にいる人たちを順に主人公にしていく。その距離のとり方も素敵だ。それでいてテーマがばらつかないところも。連作って最近多いけど、これは連作であることを見事に生かしてる感じがしたな。
 重松清によれば、ここには「人の孤独について書かれてある」らしいけど、たしかにそんな感じがした。


「優しい音楽」瀬尾まいこ
 1時間で読了。いい話なんだけど、マイルドすぎてわたしにはどうも物足りない。でも、ここまで終始一貫のったりできるのは、それだけで一つの芸だとはおもう。

ひさびさナルニア

2005-07-03 02:01:58 | 読書三昧
 ヒマの証明みたいなものだ。普段どれだけ本を読まないかの証明でもあるけれど。


「タンノイのエジンバラ」長嶋有
 やっぱこの人好きなんだとおもう。短編集。フリーターとニート満載。居場所のさだまらない人たちがたくさん出てくるところに、どうしても反応してしまうようだ。低空飛行のテンションもあいかわらず。特に何かが起こるというわけではないが、だからどうした、一体何の話なんだ、と言うのは野暮だ。と思う。

「格闘する者に○」三浦しをん
 今この時期にこの本を読むのは危険かなぁとおもったんだけど、読んじゃった。三浦しをんのデビュー作は就活もの。しかも無謀に出版社を受ける女子大生が主人公。就活の他に家の問題と老書家との恋愛を絡めているあたり、一筋縄じゃない感じがする。うまいんだな。すごく。老獪という言葉も浮かんでみたり。軽く書いてる風でいて、すごく考えて書いてあるんじゃないかなー。ああ、わたしも就活をネタにしてデビューしたいだよ。

「この本が、世界に存在することに」角田光代
 本に関する短編集。ややメルヘン風味なような気がする。どれも素敵。短編一つ一つ、すべて文字組み(どう呼べばいいんだろか、文字の配置が違うんだよ。とにかく)が変わってて、凝ってるなぁとおもった。目で見て楽しい本というのはそうそうない。

「ライオンと魔女」C.S.ルイス(再読)
 2006年春に劇場公開される、ナルニア国シリーズ第一巻。小学生の時に一回通した読んで、おそろしくおもしろかった記憶がある。日本ではそんなにメジャーではないらしいね。おかげで映画化に向けて必死にPRしているらしいが。
 いわゆるファンタジーだけど、世界観のゆるぎなさは見事だとおもう。読んでると体ごとナルニア国にひきずりこまれる。今読んですらこうなのだから、小学生の時はもっと強烈にひっぱられてたんだろうな。
 わたしにとってもっとも幸福な読書は小学生の時にドリトル先生シリーズ、ナルニア国シリーズ、ゲド戦記、大草原の小さな家シリーズ、あとはクレヨン王国シリーズあたりを読んでた頃だとおもう。本当に。今では考えられないくらいのめりこんで読んでた。あの集中力は、今ではそうそう発揮できるものではない。最近では指輪物語読んだ時はけっこうすごかったけど。つまりはファンタジーの力ってことなのかな。単純にそうとも言い切れないような気がするけど。風と共に去りぬとか谷崎訳源氏物語を読んだ時もかなりやばかった。ということは、長さの問題なのか? いやいや。
 とにかく、子供の頃の読書は特別ということが言いたい。最近の読書はなかなか「特別」にはなりえないけど、子供の頃の読書は「全部が」特別だった。

読む作家が偏っている。

2005-06-27 16:14:41 | 読書三昧
 実習中少し本を読んだ。
 実習終わったらヒマぽみんだ。バイトもそろそろしなければならない。

「いつか王子駅で」堀江敏幸
 都電荒川線沿線に住みたい。堀江先生はやはり、日本を舞台にしたお話が素敵すぎる。特にどうてことない日常のお話なのになぁ、ああ、言葉が一つ一つ素敵だ。この適度な温度も。誰かわたしのお墓に入れて。

「檸檬のころ」豊島ミホ
 高校生話、短編集。この檸檬的な読後感は豊島さんの本すべてに共通する。一つ一つの文章はかなり口語チックで、それほど好きというわけでもないのになぁ、いいなぁ。
 ちなみにこれは大学生協で買ったサイン本なわけで。

「泣かない女はいない」長嶋有
 この人はあいかわらず女主人公を書くのがうまい。男性作家では一番なのではないか。テンション低い感じも好み。生活というものは、実際、テンション低いものなんじゃないのかな。テンション高くなる瞬間なんてほんの一瞬で、それを切り取るのもすばらしいが、それ以外の部分を救い上げるのもまたすばらしいというわけだ。

「ホテルカクタス」江國香織
 実はずっと前から持ってたのに、読んでなかった。完璧にタイミングを逸していた。
 絵本的なお話。大人のメルヘン、と紹介されているけれども、まあ、そんな感じ。登場人物が帽子ときゅうりと数字の2。違和感なく読めるのがすごいな。いい話だとおもった。とても。
 寓話の力、というものに、圧倒されることが、最近とても多い。

「空中庭園」角田光代
 家族それぞれの視点で書いた連作短編集。
 舞台になっている町の描写が好きだ。田んぼと空。空が広そうなところはとても好き。小説の中であっても。トラウマが過剰に書かれすぎている小説が最近苦手で、これはギリギリの線だったな。それにしてもうまいので最後まで一気に読めたけれども。

一階でも二階でもない青空宇宙食

2005-06-06 00:43:32 | 読書三昧
 忘れるまで書かないのが悪いくせなのでした。それにしても最近マンガばっかり読んで、活字がちっとも読めない。楽な方楽な方へと流されていく。

 ほんつなは、使いにくいからやっぱやめにする。


「スペインの宇宙食」菊地成孔
 友達から借りた本。ジャズ・ミュージシャンのエッセー。この人の文章は、彼女にとって麻薬みたいなものらしいのだけど、音楽の方はちゃんと聴いたことないのだとか。もちろん、わたしも。
 たしかに音楽の話は自明のこととしてたくさん出てくるけれど、わたしが心引かれたのはわたしと金銭感覚が一桁(場合によっては二桁)ずれた食べ物たちの話と、リアルなワーカホリック話だった。そうか、このように馬車馬のように働いて、その分いいもの食べてるんだな。なんて振れ幅の大きい人生だろう(わたしのスケールが小さすぎるのか? まあ、無バイトの無い内定就活生だもの)。楽しそう。
 なにもかもが当たり前のことのように思えてくる。小さなことで悩んでもしょうがないなぁもう、という気持ちになる。それは別に、前向きな著者の姿勢にとても励まされました! とかいうことでは全然なく、ただ、こんな風に規格外のとこで生きてる人がいるんだなぁ、むしろ、生き方に規格なんてないんだなぁ、ということが、わたしを安心させてくれるんだとおもう。


「一階でも二階でもない夜 回送電車2」堀江敏幸
 堀江せんせいのエッセイ。この人の文章はわたしの麻薬なのである、もう。
 感情を、過剰にならず、正しい重みで文章に分散させることができたら。湿りすぎず乾きすぎず、冷静と情熱の間で、こんな文章が書けたなら。たぶん、わたしは「うまい説明文」に弱いのだ。事物だとか、場所だとか、余計な感情の混ざらないこの人の言葉で説明されるとすべてが特別に上等なものにおもえる。
 飯田橋駅近くのお堀端のカフェーの話を読んで、2回も足を運んだわけである。


「青空チェリー」豊島ミホ
 R18文学賞受賞作。これで賞がとれるのか! と衝撃を受けたわけだが、はじめとおわりのある物語が書けないわたしには人のこと言う資格はないのである。
 文章はおもいっきり今風の口語調で、読んでてあんまり気持ちよくないんだけれども、この人の書く物語には、どうも、ひっぱられてしまう。なんだかんだで、力あるんだろうなぁ、とおもうわけである。「檸檬のころ」も買っちまったので、まあそのうち読む。



思いつくかぎり

2005-05-14 17:45:48 | 読書三昧
 ああー、これ以上思い出せない。
 しかし、本より映画のが数が多いっていうのは何事だろう。


「猛スピードで母は」長嶋有
 作者は女だと思ってた。文体もなんかそんな感じだし。うまいなぁ、と思う。

「Bolero 世界でいちばん幸せな屋上」吉田音
 クラフト・エヴィング商会の娘さんが書いた(ほんとか?)話。洒落てるし、いい感じに力が抜けてるし、読んでるうちにほどけてくいろんな仕掛けが楽しい。この人の本にでてくるおじさんたちが、かわいくてわたしはとても好きなの。

「誰が「本」を殺すのか」佐野眞
 業界研究の一環として。ノンフィクションとかあまり読まないのだけど、丹念に事実を掘り下げていく文章は、中身に関わらず、読んでいて頭がすっきりしてよいのだな。と思った。

「熊の敷石」堀江敏幸
 堀江せんせいラブ。芥川賞受賞作。しかしこの文庫、字面がすかすかしてて読みづらいんだよねぇ。

「河岸忘日抄」堀江敏幸
 「ためらい続けることの、なんという贅沢」というコピーが、本文中にあまりにもさらりと登場するのでびっくりした。ああ、素敵。しびれる。

「フィンガーボールの話の続き」吉田篤弘
 クラフト・エヴィング商会吉田パパの本。相変わらず期待を裏切らないねぇ。

「金閣寺」三島由紀夫
 なんかよくわからないけど、文章の力がある人なんだなぁ。ひたすら筆力でごり押ししている感じ。友達が卒論でやるのだけれども、先生に「普通は卒論でこんな難しいのやらないよ」と言われていた。

「針が飛ぶ」吉田篤弘
 この人の書く本たちが細い細い糸でつながっているので、読めば読むほどふふふ。