発見される。

　ドレス選びとか両家そろって食事会とか。着々と準備は進んでいる。


　パソコンの中にいれっぱなしにしてた元彼の写真を彼が見つける。最近とったいろいろな写真を整理してもらっていたら。別に隠してたわけじゃないのでよろしいとおもう。本人が見たいのならお見せする。
　昔より今のわたしの方がきれいだから、いいんだ、と彼は言った。わたしも、そうおもう。昔のわたしは、なんか痛々しい。と思えるのは今のわたしだからかもしれないけど。
　それでも、久しぶりに見る元彼の写真に軽く動揺したのも事実だ。好きだった。ということはやっぱりゆるぎない事実で。今の彼と一緒にいる現実に相変わらずなじめない。こんなに楽しいのに、楽しいから、夢みたいな気がする。そういうこともひっくるめて。自分がどこにいるのか、そもそも自分なんてものが本当にあるのか。わからなくなるのだ。ふわふわする。

でも。

　本当は忘れていない。でもうまく思い出すこともできない。
　たまに、ものすごく幸せだった瞬間が、あったような気がする。
　すがりついて泣きたいような気もする。
　でも、たぶん無駄なのも知っている。
　もう一度だけ話がしたい。でも、なにを話したいのかわからない。話が通じたことなんて一度もないのだ。
　でも。心の奥はいまだぎゅっと掴まれたままだ。はなしてほしい。それは、誰にお願いするべきことがらなのか。

ふわとろ。

　結婚しようという話が出ても、本当かしら、いざとなると男の人ってのはいなくなったりするんじゃないかしら、とトラウマ全開で疑いのまなざしを注いでいたけれど、お互いに親に報告して、式場も決めて、どうやら今度こそ本当かもしれないと、じんわり思い始めた。結婚式なんて、盛大にやるつもりはぜんぜんなかったのに、考え始めたらどんどん頭がふわふわしだして、気づいたら人並にいろいろやるぜ、ということに。なるほど、人はこうやってゼクシィを買うのか。いざ、自分がやることになると、細かいところまで読み応えがあるぜ。手作りするものとか、演出とか、式以外でも引っ越しとか指輪とか新婚旅行とか、二人して頭がもうふわふわとろとろ。なるほど、前回はこうじゃなかったもんな。これが、本当なのか。こういうものなのか。ははーん。
　今日、彼氏がうちの実家にくださいのあいさつをしに来る。話はもうついてるんだけど、一応けじめとして。すごいな。こんなことが、本当に起こるなんて。現実ってやつは。