ドーナツ畑の風に吹かれて

おかわり自由のコーヒーを飲みながら、廻る季節をながめて、おもったこと。

子供のころに読んだ本の話を

2005-07-03 03:13:27 | 日記
 クドカンドラマ「タイガー&ドラゴン」はここのところのわたしの最大の楽しみだった。毎週ハードディスクに保存して、ヒマな時にBGMがわりにつけっぱなしにしてたから、各回とも10回ずつくらいは最低見ていると思う。小ネタが多いし、細部まで凝ったつくりになってるので、何度みてもおもしろい。役者を生かすのもうまいとおもう。西田敏行がすごいし。長瀬も岡田くんもがんばっている。蒼井優ちゃんがかわいい。
 多分、このドラマの一番すごいところは、くだらない笑いできれいにオブラートにくるんで、実はとんでもなくベタベタなテーマを扱ってるとこだとおもう。クドカンの作品はどれもそうなんだと聞いたことがある。わたしは全部を見たことはないけど、まあだいたいそうなんだろうとおもう。「タイガー&ドラゴン」に関していえば、人情とか、家族愛とか、なのかな。最終回は、きちんと笑わせてもらいつつ、ちょっと泣いちゃった。何度見ても泣きそうになる。つまりは、「居場所」の話なのか、ともおもう。誰かが待っていてくれる場所が帰る場所だし、居場所になるんだ。そういうことを当たり前にする人たちのドラマ。
 自分は、そうやって、誰かの中に居場所をもてるんだろうか。誰かが帰ってきたいと思えるような居場所になれるんだろうか。すごく好きなドラマの最終回を、気がついたらそんなひがみ根性を抱きつつ見てる自分に驚く。小説やドラマの登場人物であっても、きちんと定職について、きちんと居場所がある人を本当にうらやましいとおもってしまう。そんなの本当に、どうしようもないのにさ。


 昨日、久しぶりにサークルに行った。わたし的マイナスイオンな方々としゃべって、なんだかふわふわいい気分。
 わたしが最近ナルニアを再読していると言ったら、彼も子供の頃に読んだことがあるという。母親以外で、ナルニア読者に初めて出会った。よかった。ナルニアはマイナーな物語じゃなかった。子供の頃に読んだ本の話になって、ゲド戦記とか、ファーブル昆虫記とか、クレヨン王国とか、読んでることが判明。子供の頃に読んだ本が似ていると、とてつもなく嬉しい気持ちになるのはなぜだろう。ものすごくほっとしたというか、そんなような安らかな気分になった。さすがわたしのマイナスイオン君。

ひさびさナルニア

2005-07-03 02:01:58 | 読書三昧
 ヒマの証明みたいなものだ。普段どれだけ本を読まないかの証明でもあるけれど。


「タンノイのエジンバラ」長嶋有
 やっぱこの人好きなんだとおもう。短編集。フリーターとニート満載。居場所のさだまらない人たちがたくさん出てくるところに、どうしても反応してしまうようだ。低空飛行のテンションもあいかわらず。特に何かが起こるというわけではないが、だからどうした、一体何の話なんだ、と言うのは野暮だ。と思う。

「格闘する者に○」三浦しをん
 今この時期にこの本を読むのは危険かなぁとおもったんだけど、読んじゃった。三浦しをんのデビュー作は就活もの。しかも無謀に出版社を受ける女子大生が主人公。就活の他に家の問題と老書家との恋愛を絡めているあたり、一筋縄じゃない感じがする。うまいんだな。すごく。老獪という言葉も浮かんでみたり。軽く書いてる風でいて、すごく考えて書いてあるんじゃないかなー。ああ、わたしも就活をネタにしてデビューしたいだよ。

「この本が、世界に存在することに」角田光代
 本に関する短編集。ややメルヘン風味なような気がする。どれも素敵。短編一つ一つ、すべて文字組み(どう呼べばいいんだろか、文字の配置が違うんだよ。とにかく)が変わってて、凝ってるなぁとおもった。目で見て楽しい本というのはそうそうない。

「ライオンと魔女」C.S.ルイス(再読)
 2006年春に劇場公開される、ナルニア国シリーズ第一巻。小学生の時に一回通した読んで、おそろしくおもしろかった記憶がある。日本ではそんなにメジャーではないらしいね。おかげで映画化に向けて必死にPRしているらしいが。
 いわゆるファンタジーだけど、世界観のゆるぎなさは見事だとおもう。読んでると体ごとナルニア国にひきずりこまれる。今読んですらこうなのだから、小学生の時はもっと強烈にひっぱられてたんだろうな。
 わたしにとってもっとも幸福な読書は小学生の時にドリトル先生シリーズ、ナルニア国シリーズ、ゲド戦記、大草原の小さな家シリーズ、あとはクレヨン王国シリーズあたりを読んでた頃だとおもう。本当に。今では考えられないくらいのめりこんで読んでた。あの集中力は、今ではそうそう発揮できるものではない。最近では指輪物語読んだ時はけっこうすごかったけど。つまりはファンタジーの力ってことなのかな。単純にそうとも言い切れないような気がするけど。風と共に去りぬとか谷崎訳源氏物語を読んだ時もかなりやばかった。ということは、長さの問題なのか? いやいや。
 とにかく、子供の頃の読書は特別ということが言いたい。最近の読書はなかなか「特別」にはなりえないけど、子供の頃の読書は「全部が」特別だった。