ドーナツ畑の風に吹かれて

おかわり自由のコーヒーを飲みながら、廻る季節をながめて、おもったこと。

一階でも二階でもない青空宇宙食

2005-06-06 00:43:32 | 読書三昧
 忘れるまで書かないのが悪いくせなのでした。それにしても最近マンガばっかり読んで、活字がちっとも読めない。楽な方楽な方へと流されていく。

 ほんつなは、使いにくいからやっぱやめにする。


「スペインの宇宙食」菊地成孔
 友達から借りた本。ジャズ・ミュージシャンのエッセー。この人の文章は、彼女にとって麻薬みたいなものらしいのだけど、音楽の方はちゃんと聴いたことないのだとか。もちろん、わたしも。
 たしかに音楽の話は自明のこととしてたくさん出てくるけれど、わたしが心引かれたのはわたしと金銭感覚が一桁(場合によっては二桁)ずれた食べ物たちの話と、リアルなワーカホリック話だった。そうか、このように馬車馬のように働いて、その分いいもの食べてるんだな。なんて振れ幅の大きい人生だろう(わたしのスケールが小さすぎるのか? まあ、無バイトの無い内定就活生だもの)。楽しそう。
 なにもかもが当たり前のことのように思えてくる。小さなことで悩んでもしょうがないなぁもう、という気持ちになる。それは別に、前向きな著者の姿勢にとても励まされました! とかいうことでは全然なく、ただ、こんな風に規格外のとこで生きてる人がいるんだなぁ、むしろ、生き方に規格なんてないんだなぁ、ということが、わたしを安心させてくれるんだとおもう。


「一階でも二階でもない夜 回送電車2」堀江敏幸
 堀江せんせいのエッセイ。この人の文章はわたしの麻薬なのである、もう。
 感情を、過剰にならず、正しい重みで文章に分散させることができたら。湿りすぎず乾きすぎず、冷静と情熱の間で、こんな文章が書けたなら。たぶん、わたしは「うまい説明文」に弱いのだ。事物だとか、場所だとか、余計な感情の混ざらないこの人の言葉で説明されるとすべてが特別に上等なものにおもえる。
 飯田橋駅近くのお堀端のカフェーの話を読んで、2回も足を運んだわけである。


「青空チェリー」豊島ミホ
 R18文学賞受賞作。これで賞がとれるのか! と衝撃を受けたわけだが、はじめとおわりのある物語が書けないわたしには人のこと言う資格はないのである。
 文章はおもいっきり今風の口語調で、読んでてあんまり気持ちよくないんだけれども、この人の書く物語には、どうも、ひっぱられてしまう。なんだかんだで、力あるんだろうなぁ、とおもうわけである。「檸檬のころ」も買っちまったので、まあそのうち読む。