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第2回関東大学春季大会への期待と一抹の不安

2013-03-23 15:25:43 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
今年で2回目を迎える関東大学春季大会の日程が関東協会のHPで発表された。

今シーズンは、事前に非公式で伝わってきた情報通り、A、B、Cの3グループ(各6チームの総当たり)に分かれて開催されることになった。このように大幅にシステムが変更になったにもかかわらず、どのような議論があってこの方式に落ち着いたのかが不明な点が気になるが、意図はわかるような気がする。

そもそも、昨シーズンの方式(リーグ戦G校と対抗戦G校が上下2グループに分かれ、たすき掛けで対戦)が、初の試みとは言えイレギュラーだったことは事実。当初は「交流試合」として企画されたものの、本来の目的は試合数の増加による大学ラグビーのレベルアップにあったはず。蓋をあけてみれば、ある程度予想されたとは言え、とくにAグループで両リーグ間の実力差が顕著になっただけの感があった。

もちろん、ファンから見て収穫もなかったわけではない。リーグ戦G目線の私だが、春の段階から全チームの状態をチェックすることができたことと、普段はなかなか訪れる機会がない対抗戦G校の本拠地で試合観戦をして、チームの周辺も含めた状況を知ることができたことだ。消化不良の感はあったものの,賽は投げられたのだし、今期がどんな形になるのかがずっと気になっていた。

今回の対戦方式の変更に対してまず感じたことは、所属リーグは関係なく総当たりで行うという妥当正のある方法に落ち着いたこと。大学ラグビーをレベルアップさせるためには、もはや「対抗戦だ、リーグ戦だとか言ってる場合ではないでしょう?」という意図も込められているのではないだろうか。リーグ統合への布石が着々と打たれているのかはわからないが、「大義名分」を考えれば、以前ほどは(統合に対する)抵抗感がなくなってきていることも事実。

もし、将来的なリーグ統合に向けてのシナリオができているとしたら、今回の方式もまだ暫定的な措置ではないかと推察される。ゆくゆくは、春季大会の結果が秋のリーグ戦、あるいは大学選手権の代表決定方法などに反映されるようになるのかもしれない。そして、結果次第によってはリーグ統合止むなしの方向へと大きく舵が切られるといった可能性も排除できないように思う。

いずれにせよ、春にも公式戦ができたことで、関東の大学ラグビーファンにとって楽しみが増えたことだけは間違いない。また、これまでは各々のチームが自分たちの考え方に基づいて行ってきたチーム強化についても、見直しを迫られるチームが増えていくことだろう。

かつての阿多監督時代のヘラクレス軍団とも言われた日大のように、春シーズンは練習試合を殆ど組まずに身体作りに努め、ボールを本格的に持つのは夏合宿以降という方法は取れなくなるわけだ。それほど極端ではなくても、春の段階でチームを作っておかなければならないことに対して、プレッシャーを感じているチーム首脳が少なくないのではないかと思われる。

そこで懸念されることはチーム間での「格差」(必ずしも実力差を意味しない)がどんどん拡大していく可能性が考えられることだ。体制が整っていてシーズンのいつの時点でも一定レベル以上の試合ができる帝京のようなチームはますます強くなり、逆に体制が不安定で毎年リセットになるようなチームは、強化が中途半端になって実力を十分に発揮できないままシーズンを終えてしまうことにならないかということ。チームとしての規律を確率させることがますます重要になってくるだろうし、けが人続出を防ぐための体調管理も重要になってくる。

あと、ひとつ大学ラグビーを観ていて気になることは、チームによって選手のスキルや戦術のレベルがまちまちなこと。高校で実績を挙げた選手を多数リクルートできても戦力アップがままならないチームがある一方で、肩書き組不在でも実績を挙げることができたチームがある。昨シーズンのリーグ戦Gで言えば、3位に躍進した拓殖大が好例と言えるだろう。東海大や流経大と比較しても何ら見劣りしないだけの規律の確立と選手個々のフィジカル強化がなされていたことが好成績を生んだと言える。春シーズンをチーム力アップにうまく活用できていたチームの代表例だと思う。

もちろん、チームそれぞれに考え方があっていいとは思うものの、各チームの首脳間で会合を持つなどして、ラグビーの質をリーグ全体で上げていくことを考えていくことが必要になっていると思う。そのことは戦力アップだけでなく、(正しいプレーを通じての)けがの防止にも繋がるはずだ。伝統を重んじることも大切かもしれないが、それが間違ったものであれば修正していくことも必要のはず。

今後、大学ラグビーは帝京大を頂点として、体制が整った強豪チームの数が絞られていく傾向にある。好選手のリクルートと猛練習だけで勝てる時代ではなくなってきている。そういった状況の中で、トップグループから脱落しつつあるチームがどのような形でキャッチアップを図っていくのか。春シーズンの戦いの中でいろいろなことが見えてきそうで、楽しみが多い反面、一抹の不安も感じないわけにはいかない。願わくば何とかいい方向に向かっていくことを望みたいところだ。
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