永続のページ別館

愛知県岡崎市在住
永続のページ管理人の個人日記

伊那経営フォーラム2010 その2

2010年06月15日 | 経営品質
第2部は伊那食品工業 塚越寛会長の単独講演です。

タイトルは「人・まちが幸せを感じる経営」

◆◆  経営の結論は「利他」

従業員450人 売上160億、10~12年間経常利益率は10%ぐらい。

ここでまず一発。

企業紹介で、売上しか紹介しないから売上至上主義になる。


このあと、

大往生だと思ったけれど89歳の母の葬儀でしゃべることができなかった。

3年の入院生活を経験し
「ただ人間が歩けるだけでうらやましい」
「健康で働けることがどれだけすばらしいか」
と悟り、夢中で働いたという話がありました。

途中で会長が涙をにじませる場面があり、「働く幸せ」を本気で感じていると思いました。
一生懸命働いたおかけで、オーナーから一つ会社を任されることになった。
それが今の伊那食品工業です。

銀行管理下にある金も資産も何もない会社(つまり人がいるだけの会社なので)
「社員のやる気を120%引き出せないか」と考えた。

人は「考える」
人は「やる気」を出す。
これにより数倍、生産性があがる。

人間誰でも暮らしている。
(みんな自分の暮らしは大切にしたいと思っている)
だったら、
「会社を自分の家庭のように思えれば」

そうして
ちょっとでも、明るく
ちょっとでも、温かく
   .
   .

◆◆ 社員とは「労使でなく同志」

「動機が正しければうまくいく」
ということで
「人間がより幸せになるためなら、ちゅうちょなく」
これが基本思想となったようです。


寒い中大量の水を使う寒天業界。
なんとか水から離れたかったので(社員を水から開放したかった)
「長靴よサヨウナラ運動」を展開。

TQCはケチケチ運動である。
そうでなくて、「職場が快適になるように」変える(基本思想そのものです)
(この考えが本当かどうかは、二日目の社員さんの発言で答え合わせがされます)


◆◆ 昔は

日本一貧乏な会社であった。
銀行管理下にあったので一万円のものが自由に買えなかった。


◆◆ 利他について

昔(最初の10~15年)は評判悪かった。
臭いや廃液が出たので。
でも、対策をしたくてもできなかった(そこに資源を集中するとゃっていけない)ので、葛藤があった。

そんなことがあったので、
20年前北丘工場を建てたときにお返しのつもりで「かんてんぱぱガーデン」をつくった。

企業のあるべき道というものは、20年ぐらいたって考えた。
(30年ぐらい前に考えるようになったということですね)

業界が成長しないと...
寒天は相場商品だった。→相場をなくさないと大手ユーザは使ってくれない。

そこで取り組んだのが
まず、増産。これは大手に影響力を出すため
次に、倉庫を建て、備蓄した
そして、海外へ

これにより相場は安定。
寒天ブームに世間が狂乱して店頭から寒天が消えたときも在庫はあった。
(そのために相場をなくしたのだから)
だから業者(業務用)には迷惑をかけずにすんだ。
間に合わなかったのはリパック(包装)だった。

やりたくなかったが社員は自発的に3交代でやってくれた。
でも、お客様が社員の顔を見て「疲れてるみたい」と言ったのでやめた。

「どんなに栄えても社員の健康を考えない経営はウソ」


◆◆ 会社こそ人を幸せにする

より快適にするために利益をあげるのは良し。

社員にとって一番不幸は会社がなくなること。
(閉店したコンビニを例に、そこに至るまでには悲しい話がいっぱいあったはず。と)

永続こそがハッピー(永続という言葉が出ると私個人はちょっと嬉しい)
つぶれないように努力する。
そのための成長は可。

成長はいいが、急成長はダメ(新薬のように社会の要請で急成長するものは可)
ヒノキや屋久杉は成長すると目が詰まってくくる。
(これも二日目に大久保さんが別の話で裏付けします)

安定成長、自然体がいい。

売上とは支持された結果である。(売上をあげようとしてはいけない)


◆◆

社是はみんなが賛同するものに。

老舗の条件。
・いい商品
・絶対にクビ切りをしない(敵ができる)
・作りすぎない、売りすぎない
・町づくりに熱心
・メセナ(芸能・文化を大切にする)
・お客様、仕入先を大切に
・後継者育成

儲かるとは信じる者と書く。信者づくり、ファンづくりが大切。
(笑顔、親切、気配りがファンをつくる)

お客様が今なにを望んでいるか察知して提供するのがサービス。

◆◆

幸せは何らかの波及効果を及ぼす

社員が立派、 それ以前に社会人として立派であると性善説で経営ができる。

40年前から社員旅行は海外旅行。(その意図)
日本の社会の仕組みはヨーロッパより40~50年遅れている。
これを学んで欲しい。


(続く)