GNHとは(2) GNH委員会長官の言葉 What is GNH? (2) Words from the Secretary of GNHC
********************************
ブータンのGNH Commission (国民総幸福委員会)は、国民の幸福追求を可能にする行政を司る役目を持つ政府機関です。社会経済発展戦略と、それに基づく5カ年計画の作成と施行に権限を持ち、国内資源の部門別配分はもとより、国際援助機関との関係も司ります。
殆どの政府機関に対していろいろな権限を持ちますから、別格に設定され、首相が議長、大蔵大臣が副議長を務め、委員会長官と11人の各省次官が委員として名を列ねます。そのGNH委員会長官の重責を務めるのが、我が友 Karma Tshiteem(カルマ・チティーム)氏(45歳)。
雷龍の国の未来はこの人なしには考えられないと言えるほど、素晴しいリーダーです。
...
毎年、ブータンに行くと、必ず多くの時間を共にします。常にひと言も飾りや嘘のない「本気」そのもののカルマの言葉には、胸を打つ言霊が宿っています。
その言霊を聞きながら、信頼に値する政治家や官僚の言葉を聞いたことがない大勢の同胞に想いを馳せます。為政者を信頼できるブータンの国民は、果報者です。だからこそ、物の尺度ではまだまだ貧しくても、幸福感があるのかも知れません。
先日紹介した高橋君は、Prime Minister's Fellow (首相フェロー)として、カルマ・チティーム長官を上司と仰ぎ働いています。長官と日本の企業視察団とのやりとりを、通訳として参加した高橋君が綴ったブログです。
********************************
このブログ、最近、ちょくちょく見させていただいていますが、今回のこの長官の言葉の数々。
「常にひと言も飾りや嘘のない「本気」そのもののカルマの言葉には、胸を打つ言霊が宿っています。」
この表現がピッタリだなぁと思いました。そして、明確な方向性を感じました。
リーダーの言葉って、こういうのを言うんだ...って思いました。
◆◆
何年も前に、西水さんの話を伺った際に、ブータンがインターネットを解禁したという話がありました。英語が使える彼らからすれば、世界の大半と繋がったのに近い状態となります。それが、わかっていて、あえて解禁したブータン。急速に情報の流入により、混乱を招かないのかと、私ごときが心配をしたものです。
その後どうなったかが気になっていて、昨年の春に西水さんにお会いしたときに、ちょっと質問させていただきました。回答は「大丈夫」の一言で終わり。
でも、なんだか、今回の長官の言葉を読んでいて、そうかそういう意味か...という気になりました。
ブログ中の言葉:
「一方で近代化は新たな問題を生んでいます。特に都市部ではストレスが増え、コミュニティの繋がりは弱まっています。都市化に伴って治安も悪化しています。一つ希望があるとすれば、ブータンでは近代化は始まったばかりなので、まだ修正が効くということです。政府として問題は認識し、取り組みを行っています。それが成功するかどうかは、時間が明らかにするでしょう。」
GNHが先行しすぎて、日本の人々はブータンを天国のように捉えている傾向がありますが、実は問題も多く存在しています。(これは、御手洗瑞子さんのブログとか見ていると現実の一部を垣間見ることができます。→月末に本を出されるそうで注目しています)
でも、問題を問題と認識していて、しかも、それをめざすビジョンの実現にむけて、より良い方向に修正していこうというリーダーがいるから「大丈夫」なんでしょう。
鬼澤さんに最初に出会ったとき「物事を考えるときには正反対の状態を考えるといい。」と教わりました。そして、リーダ-の役割を考えたときに調和の反対の「カオス:混沌」という言葉が登場しました。カオスから抜け出すときに必要な力がリーダーシップ。
今の問題を認識していて、目指すべき方向をブレずに持っていて、みんなをそこへ導こうと本気で思っている、頭とハートがつながっているリーダーがいたら。
協力なリーダーがいるし、国民一人ひとりが、その場その場で必要に応じてリーダーになる。これができる人々だから、大きく乱れないんでしょう。
1人で勝手に納得してしまいました。
◆◆
日本人を鼓舞し、感動させた首相の言葉とは? →
「GNHは破綻しているな」と感想を述べた団長がどうなったか...
早く次が読んでみたいです。