映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ブッシュ

2010-01-13 18:05:31 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ブッシュ大統領の就任後のイラクへの敵対意識、優秀な親父の下でダメ息子だった若いときからの姿と両方を交互に写し、ブッシュさんの性格を描いていく作品。チェイニー副大統領、パウエル国務長官やライス補佐官も含めてそっくりにメイクアップするため、リアル感がある。

親子そろって大統領なんてそうはなれるものではない。エール大学出身でテキサス州知事を経て、大統領立候補と人並み以上にエリートコースを歩んできたように思っていた。しかし、この映画におけるブッシュさんは大酒のみで、親に心配をかけっぱなしの普通の人であった。父親が大統領選挙に立候補するまでは、父親の仕事を手伝ったこともなかった。実業家ではあったが、父親からはダメ息子の烙印を押されていたのだ。このギャップは知らなかった。

父親は湾岸戦争をあっという間に終結させたのに、フセインを追い詰めて、イラクを占領しなかった。そのため、フセインをのさばらしたのが、相当に気に入らなかったようだ。父親は次の大統領選で再選が出来なかった。大量破壊兵器がイラク内に隠されていることを口実に、イラクを占領した。でもなかなか大量破壊兵器は出て来ない。何のための戦争だったのか?そう映画は観客に問いかけるようである。
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リストラの友人

2010-01-12 05:56:50 | Weblog
昨日は昼飯を高校時代の同級生と会った。

年賀状をもらったら、昨年早期退職をしたと書いてあった。驚いた。
一昨年心臓疾患にかかったので、そのせいでやめたのかと思った。子供は高3と中3で私立に両方通っている。お金もかかるはずだ。なんで?と思ってメールを出した。そして昨日会った。

彼は池上に住んでいる。休日なので車で品川の家まで行って、そこから電車で蒲田まで行った。高校時代は蒲田周辺に住んでいる連中が多く、よく行ったものだ。
デパートはないが、駅ビルに店がたくさん入っている。
そこで話をした。

彼は外資系ハイテク企業に勤めていた。アメリカの上場企業の日本法人である。新卒で入ってずっと勤めていた。この春会社から戦力外通告を受けたようだ。本人もビックリだという。どうもアメリカの親会社が10年ほど前企業買収をして、同じように日本法人も合体した。むしろ買収した企業の人が現社長になって、会社での立場が悪くなったといっていた。こういう話ってたまに聞く。
アメリカの親会社は今は広い意味でのアジア戦略に目が向いているという。日本人の給料で、マレーシア人が何人雇えるのか?といった考えである。中国にはすごい勢いで進出しているという。1990年になるころは、世界の半導体市場における日本のシェアはなんと半分以上だったらしい。そうなると日本への比重が強くなるが、今は没落の一途をたどる。そうなると給料の高い連中をリストラしてという考えが強まってくるようだ。

やっぱり外資企業というのは冷徹だ。それでも有給休暇を消化させてもらって、少ないけれど割増退職金はもらったようだ。当然今は仕事がない。失業保険もらっている。求職しても一つの求職に300人ほど集まってくるそうだ。つらいなあ。一番子供の教育に金がかかるときにこれじゃやってられない。改めて思った。

ちょうど大学のOB会があったばかりで思うことだが、同じ会社に細く長くいられるのが一番立場的には幸せだと思う。たまたま同期5人全員新卒から職を変えていない。上の代も下の代も苦労している連中がいるけど、我々はなんとかやっている。先輩を見ても、ものすごく切れる人が上場会社の役員になったり、大学教授になっているわけではない。マラソンにたとえると、同じペースで走っていて、周りが脱落したという印象だ。
もともと自営業の息子だった自分には会社への執着心はまったくなかった。就職活動も2日しかしなかった。サラリーマンなんてとバカにしていた。でもそれが違うことは40過ぎてからわかった。今は運が良かったと思うだけだ。細く長くサラリーマンをやって、おいしいものを食べて、良い映画を観て、好きなアーチストを応援していたい。
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ET スピルバーグ

2010-01-11 07:23:22 | 映画(洋画 89年以前)
この映画が上映されてもう29年がたった。大学生のとき映画館で観た。ものすごい人が来ていた記憶がある。それ以来となる。それでも自転車が空を飛ぶシーンなどいくつかのシーンは頭にこびりついている。娘の英語の教科書にETが紹介されていた。彼女も観たがっていたのでDVD借りて一緒に観た。

森の中に宇宙船が着陸した。そこから宇宙人らしきものが下船していた。パトロールの連中がそれに気づいて向かうと、宇宙船はあわてて飛び立った。ところが、あわてて飛び立ったため、取り残された宇宙人がいた。
場面が変わって、主人公の少年エリオットの家族を映す。母と兄、妹と暮らしていた。父と母は別居状態だった。ある夜納屋に行こうとしたら、何か物音がするのに気づいた。ボールを投げたら、投げ返してくる。なんかおかしいと思った。次の日納屋の前で寝ていたら、不思議な形をした動物がでてきた。驚くが、害はなさそう。少年はその動物らしきものを自室に連れて行くが。。。。。

この映画は大ヒットした。まわりで観ていない人はいないくらいだった。ETすなわち宇宙人の存在の奇異さと、上演の子供を中心にしたファンタジームードが何より大衆の心をつかんだのであろう。宇宙人の映画といっても怖いと思わせたり、気持ち悪いと思わせるシーンがない。でも次から次にハラハラさせられる。上映当時、最後の自転車での逃走シーンがものすごく印象に残った。今回もう一度見直したら、背筋がゾクッとした。一緒に飛んでいるようなそういう気分にさせられた。これは歴史的な名場面である。

スターが出ているわけではない。子供たちが中心。スピルバーグは子供の扱いがうまい。主人公の妹がなんとドリュー・バリモアである。面影がある。まだ4,5歳の彼女は実にうまく演じている。子供中心なので難しいセリフがない。目線を子供に下げているからどんな世代が観てもいいようにつくられている。

スピルバーグはジョーズで大ヒットした後、ETで完全に売れっ子映画監督の地位を確立した。彼の映画作りの手法を好まない人も多いが、単純に家族で楽しめるというのは良いことだ。娯楽の殿堂としての彼の映画界への貢献は大きいと思う。
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OB会にでて

2010-01-11 06:24:48 | Weblog
9日は大学のクラブのOB会だった。

帝国ホテルの地下アーケードにある東京三田倶楽部でやった。いつも一月第2週の土曜日にやっている。出席する大学のOB会はこれだけである。
いつも卒業生にOB会から銀杯を渡している。これは創立時の顧問の先生が、「銀から金になれ」という思いを込めてしたものだ。とはいうもののその先生が亡くなって早くも30年になる。私が在学中に亡くなられたので、私もOB会からいただいた。今も品川の家にある。銀が多少黒く変色しているけど。。。

先だって大学の大先輩でもある昔のお客さんに会ったとき、クラブの現役部員とよく交流するといっていた。「これはいいよ。若いパワーもらえるから」その言葉が気にかかっていた。当日は会社の下請けの社長たちとの懇親会もあったが、OB会を優先した。現役部員も大勢来ていた。逆にOBは45過ぎた面々が中心で50代以上が大半である。OB会長をはじめ上場会社の役員を勤めている人も多い。20代から30代の出席率が低いのは残念である。後輩の一人が母校の教授となり、顧問の先生となっている。その後輩を「先生」と呼んでいる。向こうからすると、昔大酒を飲ませたこともあってかなんか照れくさそうだ。同期は一人出席、デパートの美術部にずっと勤めているやつだ。

仕事の話はあまりしない。酒を飲んで昔話に花を咲かせる。その昔の合コン話やふられ話もよく出てくる。そのあと現役とも話した。先輩たちと話をしようとする若い学生たちも目立った。こっちは学生というとキャバクラで若い女の子と話すくらいだ。やっぱり男と話をした方が良い。もともと我々のころは女性は一人もいなかった。今回はマネジャーが一人出席していた。かわいらしかった。恒例の応援歌合唱の後、そのまま2次会となる。学生も行くというので一緒に行った。
みんなまじめそうだ。本当は若者の話を聞きだそうとするべきだが、席のまわりの学生たちに一方的に話をしていた。パワーをもらうというよりもひたすら酔っ払ったという印象。タクシーに乗った記憶はないが、目をさめると自宅の前にいた。
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白痴 黒澤明

2010-01-10 18:55:55 | 映画(日本 黒澤明)
いつもの黒澤組に原節子、久我美子の美人女優を加えた豪華キャストの昭和26年の松竹映画である。主演は三船というよりも森雅之である。ドストエフスキーの原作を舞台を札幌にして描く。もともと4時間を越える作品を2時間46分までカット。それだからかちょっと不自然な感じがする。登場人物の人間像もちょっと?という感じ。凡長で今ひとつ面白くなかった。

青函連絡船で三船敏郎と森雅之が出会うシーンからスタート。森雅之は戦争で戦犯として処刑する寸前に助かったことがあり、それから少し精神状態がおかしい。札幌に戻る。戻った先で出会ったのが、原節子である。元々妾だった彼女に近づいていくが。。。

それぞれの演技が悪いわけではない。カメラワークも効果的にアップを使い、雪景色の中よくまとまっている。でも話がどうも肌に合わない。何がなんだかよくわからない。それぞれの人物の性格が悪いせいか、見ていて気分が悪くなる。そういった映画で、黒澤作品の中ではちょっとあわない作品だった。
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学校  山田洋次

2010-01-09 06:33:27 | 映画(日本 1989年以降)
夜間中学での教師と学生のふれあいを描いた山田洋次監督の作品である。教師である西田敏行と竹下景子がいわくつきで義務教育を終えられなかった学生たちに懸命に相対する話である。全般にほのぼのとした雰囲気が流れ、見やすい映画になっている。

荒川区の町屋のそばにある中学校に、夜間中学が付属してある。そこで教員として働く西田敏行は、それなりに理由があって中学の教育を受けられなかった学生たちのクラス担任として、公私ともに面倒を見ていた。場所柄在日朝鮮人や中国人の学生も多い。年齢層は10代から50代をこえる人までバラバラである。登校拒否で学校に行かなくなった生徒は10代、すでに孫までいる朝鮮料理店のママさんは50代にして読み書きが出来ず学校に通う。中国から来た男性は母親が日本人、文化大革命のときは相当いじめられたらしい。日本人に対する偏見がある。元シーナーに狂った女の子は美容師を目指すなど、さまざまな境遇の学生がいる。。。。。。

これらの学生たちのつらい境遇を一人ずつ語っていった後に、田中邦衛の中年中学生のことを語る。これがこの映画のメインである。字がかけないと、なんとか教育を受けることが出来ないかと、献血の場所にいる医師に相談して、初めて夜間中学を門をくぐる。ひらがなをカタカナにしてと言ってもできない。しかし、競馬は大好き。数年前のレース結果まですらすら暗誦できる。おぐりきゃっぷをカタカナに変換しろといわれたらそれは出来る。そういう学生だ。酒癖は悪い。しかし、飲みすぎなのか身体を壊してしまう。

田中邦衛が実に良い味を出している。加山雄三の若大将シリーズでの「ぼんぼん大学生」青大将とは対照的な育ちである。わけあって文盲寸前の人っているんだろう。非常にリアルに登場人物を描いている。

前から見たいと思っていたが、DVDが見当たらなかった。今回借りて、改めて良い作品だと思った。個人的にこういう世界にはほとんど接点がない。良い勉強になった。
情熱を込めて学生たちに接しようとする意気込みが、二人の教師の演技からは伝わってくる。渥美清が一場面だけ出てくるのはご愛嬌。この時期寅さん映画も大詰めに来ていた時期だ。まさに山田洋次ワールドといった作品である。

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円安容認

2010-01-08 06:24:18 | Weblog
藤井裕久大臣もさすがに77歳だと、財務大臣の椅子はきつかったのか?
小沢さんとの確執も言われているが、もともと言われていた話だし、体力の問題だと思う。いくら東大野球部出身のスポーツマンであっても激務には違いない。

菅直人さんはいきなり円安容認発言をした。これは民主党政権になって一番のまともな発言だと思う。このブログで再三再四円安以外に日本経済の蘇生の道はないと言ってきた。実質的な介入でなくても、口先介入するだけでも違って来る。
でも昨日の為替相場の敬意の表わし方はちょっとびっくりしたな!そろそろ円安一服といった雰囲気で為替FXで円を逆張りで買っていて、ロスカットのポジション持っていなかった人は飛んだであろう。テクニカルではないニュース相場だ。

実は菅さんは高校の大先輩にあたる。以前高校の同期会を全体の同窓会にあわせてやったことがあった。その時来ていた。政治家だけあって、いつも笑顔を絶やさず、記念撮影のオーダーにもニコニコ答えていた。柔道の先輩でこの間落選するまで衆議院議員だった人がいた。昔稽古をつけてもらった私は残念だったが、二人の人気が違った。ちょうど高校生のころまだ菅さんが当選する前、学校のそばをうろちょろ演説していたのも見たことがある。以前民主党党首もやったが、軽い女性問題でけちをつけた。でも時がたって忘れられているだろう。
そういえば、同じく柔道の大先輩で有名鉄鋼会社の社長がいる。菅さんと高校の同期同窓ではないであろうか?その社長はちょくちょく円高に警鐘の発言を繰り返していた。話が通じている訳ではないであろうが、菅さんは「経済界が90円台半ばを要望」とも言っていた。ようやく民主党も頭が切り替わってきた。貧乏経済学ではいつまでたってもダメだ。
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ディズニーランド行き

2010-01-08 05:32:27 | 家族
正月は展示施設が2日よりオープンしているので、2日から視察のため出社、3日も出た。

会社自体は4日より仕事である。会社の近くに県庁や市役所があり、4日はあいさつ回りに来ている人たちがわんさかいた。むしろ5日以降は人が少なくなった。
仕事始めは年末と違って、あいさつ回りにいくというよりも、自社にいて挨拶に来る人を迎えるようにしている。手ぬぐいを持ってくる人が多く、家に持って帰ると妻は喜ぶ。
代わりに6日休んだ。ネットのディズニーの混雑予想を見るとやけに6日がすいているようだ。それなので妻と娘と行って来た。

朝はまだ車もすいていた。仕事始めの人も朝からは車には乗らないであろう。首都高速もかえって2日や3日の方が都内も混んでいた印象だ。さいたま市から舞浜までゆっくり運転して家から1時間で着いた。

10時前に着くと入り口前は並んでいた。すいている方だと思うが、それでも入場口から中に入るのに20分近くかかった。最初のファストパスは「ビッグサンダーマウンテン」を選択。待つ間ジャングルクルーズへ。25分強待って久々のジャングルクルーズ、めずらしく女性の船長だった。ちょっと新鮮。
そして「ビッグサンダーマウンテン」へ。年をとるとジェットコースターが苦手になる。娘と二人で乗る。妻は休憩だ。ファストパスなのであっという間に入れて、あっという間に終了した。

あとは「カリブの海賊」でジョニーデップにあった後に「巡回の汽車」「ミクロアドヴァンチャー」「スペースマウンテン」「トムソーヤ島」「蒸気船」などへ4時過ぎまであれこれ乗って早めに夕食を食べる。和食の店に入ってとんかつを食べた。比較的すいている。混んでいるときは待ち時間バリバリなのに。
本来であれば三大マウンテンを制覇できたかもしれない。今日からしばらくスプラッシュマウンテンは休止とのこと。それは残念

いつもはミッキーとかのぬいぐるみが園内をうろちょろしている。ほとんど見当たらなかった。19時までということで、ディズニー側もちょっと手抜きをしている。
帰りは渋滞であった。それなので木場方面から東京の中心部を通って遠回りをして帰った。それでも1時間20分程度でついた。
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静かなる決闘 黒澤明

2010-01-06 21:46:31 | 映画(日本 黒澤明)
昭和24年の黒澤明作品。いつもどおり三船敏郎が主演で、志村喬が脇を固める。「野良犬」と同時期に作られた映画で、手術のときに梅毒スピロヘータをうつされた医師の苦悩を描く。現代でもエイズで似たような話がある。当時花柳病とも言われた梅毒の恐ろしさとその伝染で悲しむ人が数多くいることを訴える。

時は昭和19年戦地にに軍医として送られた三船の姿が映し出される。ここで外科手術をした時に、うっかり指に傷をつくったところ、患者の大量出血から梅毒スピロヘータ菌が三船にうつされる。戦争終了後、三船は帰還して再び父志村喬の病院で普通の外科医として働くようになる。三船には三条美紀という婚約者がいた。戦地に行く前に二人は結婚を誓い合った仲である。ところが、スピロヘータ菌をもった三船は彼女と触れ合おうとしない。三船に強い愛情を持つ三条は何度もその理由を聞こうとするが。。。。。

黒澤初めての大映映画である。クレジットの俳優の名前の脇に「東宝」と書かれた俳優が多い。三船、志村ばかりでなく、千石規子や中北千枝子も同様である。基本的にはいわゆる黒澤組の俳優が軒を連ねている。しかし、同時期の作品「酔いどれ天使」や「野良犬」と比較すると少しインパクトに欠ける。

その理由としては、セット中心でしかもそのセットが稚拙ということが映画の奥行きを狭めている気がする。同時期の「野良犬」ではロケ撮影をずいぶんと行い、戦後の風景を丹念に描いていた。それ自体がムードを盛り上げる。三船が医師で、診療所のセットが中心である。他の物があまり映されない。予算もきびしかったのだろうか?美術が弱い。そこが残念である。

谷口千吉と組んだ脚本も悪いわけではない。後半にかけて千石規子の場面に脚本の凄みを感じるところもある。でも三船がいつもの絶叫系のセリフの本領を発揮している印象がない。この配役が肌に合わないのかな?と言う印象である。むしろ頑張っているのは女優陣、看護婦役の千石規子は年をとってからの意地悪ばあさん役が目に浮かぶが、ここでは三船を献身的にサポートする看護婦役。「醜聞」「酔いどれ天使」同様存在感がある役柄である。梅毒の亭主と交わりをもち懐妊した中北千枝子もうまい。正月過ぎて毎日のように「家庭教師のトライ」の宣伝で中年以降の中北千枝子の顔をみる。このころはまだ純情可憐だ。
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ミルク  ショーン・ペン

2010-01-06 21:37:37 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ショーンペンがアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品である。ゲイの人権確立に大きく貢献したサンフランシスコの市政委員ハーヴェイミルクを演じる。個人的には苦手な系統であるが、ショーンペンが絡むだけあって映画の質は高い。

1978年ゲイの権利について戦っているころ、暗殺の危険を感じた主人公が70年ころからそれまでの経緯をテープレコーダーにとるシーンから映画はスタートする。そしてゲイパーティで恋人と知り合う場面が映し出される。ユダヤ系で元々はニューヨークで金融の仕事に携わっていたハーヴェイ・ミルクことショーン・ペンがサンフランシスコに来る。ゲイの彼が恋人と暮らす。カストロ通りというゲイストリートでカメラ屋を営む。その彼が次第に人望を集め、ゲイ仲間の相談に乗るようになる。そしてサンフランシスコの市政委員(日本で言えば市議会議員)に立候補する。残念ながら落選したが、6人当選のところ10番目の得票を集める。これならと思い、政治活動に力を入れるようになるが。。。。

映画を観おわって連想したのが、ヴィレッジピープルの「サンフランシスコ」という曲だ。今から30年以上前、ちょうどこの曲が流行り始めたころ、ミルクは亡くなった。高校から大学にかけてたまに行った新宿のコマ劇場前にあった「カンタベリーハウス」というディスコでこの曲がしつこくかかっていた。オカマダンスなんていっていた。テンポがなじみやすく、すぐレコードを買った。そのジャケットをみるとたくましそうなお兄さんたちがジャケットに映っていた。その後ヴィレッジピープルは「YMCA」「マッチョマン」とヒット曲を連発した。その時初めて彼らがゲイだということを知った。そしてサンフランシスコがゲイの街であることもわかった。

個人的にはゲイはちょっと苦手である。それでもショーン・ペンという人物が関わるというだけで気になる。自ら監督の「イントゥ・ザ・ワイルド」はすごい出来だった。世間の評価は高くはないが前年のリメイク作品「オール・ザ・キングスメン」も私は傑作だと思っている。本当にハズレがない。映画のセンスは抜群といえよう。もともと彼には暴力的なイメージがある。昔傷害事件での逮捕歴があったと聞くが、「ミスティックリバー」や「21グラム」もそんなイメージが強い。ここでは逆のキャラである。何でもできるんだなあと今回感じた。

映画が始まっていきなり男性同士のキスシーンがある。ショーン・ペンが自らキスをする。そこで映画のピッチを上げていく。事実に基づく映画とわかっているが、脚本の展開がうまい。そしてリアルに男性同士がくっついていくシーンが続出する。気持ち悪い。でも見てしまう。先がどうなるのかが気になっていく。おそらくは「ハーヴェイミルク」その人のことをショーンペンは画像などを見ながら徹底的に研究したと思う。実際のミルクを知らないが、きっとよく似ているのであろう。

何度も見たい作品ではないが、映画としては傑作と思う。
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プラダを着た悪魔  メリル・ストリープ

2010-01-04 20:13:50 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
メリル・ストリープがまさしくファッション界の悪魔になる映画。アン・ハサウェイ扮する秘書がわがままなメリルに徹底的に振り回される設定である。

アン・ハサウェイはジャーナリズムに憧れを持つ大学をでたばかりの女性。彼女がファッション雑誌のカリスマ編集長メリル・ストリープの秘書になるべく試験を受けようとする。アンは平凡な女性でありファッションセンスにもかけるので、事前に秘書の判断ではねられてしまう。しかし、メリルは実際に会わないと採用の決断を下さないと直接面接する。面接はあっさり終わってしまい。ダメかと思ったアンであるが、意外なことに採用となる。晴れて採用となったが、メリルからは次から次へと困難なオーダーが突きつけられる。

メリルは本当に器用な女性である。まったく正反対のキャラを涼しい顔をして演じる。ジャーナリスト自体は似合うが、今回はファッションセンスたっぷりの役である。めずらしいのではないか?でも2ヶ所ほど違った印象を持たせる場面がある。すっぴんで秘書の前に顔をさらす場面、ニューヨークの街のど真ん中で偶然メリルとアンが出会い、メリルが普段どおりの笑顔を見せる場面。非常に印象に残る。
文芸系の俳優とみなされる彼女の出演作の中で、個人的に気に入っているのは「激流」である。アクション映画ともいえるこの映画の中で、彼女はカヌーを自力で豪快に漕ぐ。そして凶悪犯と徹底的に戦う。これが異様にかっこいい。役に浸りきるといわれる彼女だからこそ、こういう役も楽々とこなせるのだ。

アン・ハサウェイはどんくさい存在と最初は設定されるが、ムチャクチャかっこいいので何を着ても全然どんくさく感じさせない。その後ファッションセンスあふれる服を次から次へと着替えるようになるが、その七変化が見物である。視覚的にも楽しい作品だ。
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激突 スピルバーグ

2010-01-03 06:26:15 | 映画(洋画 89年以前)
スピルバーグの出世作。彼がまだテレビで活躍したころの作品だ。大型タンクローリーを追い越しただけなのに執拗に追い詰められる恐怖を描く。スリラーロードムービーと言うべきか?現在とは比較にならないくらい低予算で作られているはずだが、映画で見せる恐怖感は本当におそろしい。

主人公はある目的地に着くためにカリフォルニアの車道をひたすら走っていく。走っている最中に大きなタンクローリー車を追い越す。大型車が低速で走っていて、後ろについていると排気ガスが強烈に排出されるからだ。追い越した後、その車に再度追い抜かれる。そうするとまた低速で走る。じれったいなと思ったとき、運転手が手で合図する。先へいけよと。話が通じたなと追い越そうとすると、反対から対向車が来る。あわてて避けたが、大型車の運転手の猛烈な殺意を感じる。。。

この後約1時間10分程度主人公は執拗な攻撃を受ける。本当に怖いと思わせるシーンが次から次へと出てくる。運転手の顔はわからない。途中で入ったドライブインで食事を楽しむ数人の中で、それっぽい男性に声をかける。逆に言いがかりだとコテンパンに殴られたりする。
最後まで誰だかわからない。結末も最後まで読めない。

スピルバーグは、ジョーズで約1時間強サメの正体を明かさず次から次へと恐怖に誘う。それと同様に相手の正体を長時間さらさないのがポイントだ。
カメラが追うのは、ひたすら2台の車。フロントグラスに映る前の車と、バックミラーに映る後ろの車。よく日本で見るタンクローリーよりもはるかに大きな車体である。ダンプを2,3台くっつけたみたいな馬鹿でかいやつだ。
舞台は広大なアメリカの大地を通る道路であるが、それを非常に閉塞感がある空間にしているのも恐怖感を盛り上げる。
今ではきっとつくらないだろうが、たまにはスピルバーグに遊びで低予算のこんな映画を作らせてみたい。
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レッド・クリフ  赤壁の戦い

2010-01-02 19:23:50 | 映画(アジア)
中国の歴史上もっとも有名な戦いである。曹操、劉備、孫権の3人の武将とその軍師たちを描いた「三国志」を基本に思い切り予算をかけて作られた作品だ。1から2まで合計5時間に及ぶ超大作で、単純に楽しめる。

歴史上有名な史実に基本ストーリーは基づく。
軍勢に勝り漢の皇帝にも通じている曹操が劉備軍を圧倒したあと、撤退した劉備はどうするか思案していた。劉備が三顧の礼で迎えた軍師諸葛孔明(金城武)の案で呉の国の孫権と結びつくことを考える。若き君主孫権の司令官周瑜(トニーレオン)を説得して、二国が連携することになった。劉備と孫権は南下した曹操たちと陸上戦で戦う。すでに劉備を降伏寸前まで追い込んでいた曹操はなめてかかっていたが、諸葛孔明の巧みな策に曹操の軍隊を懲らしめる。それに憤慨した曹操は長江に面した赤壁の地で圧倒的な船数を誇る水上軍で両軍を抑えつけようとする。
そのころ伝染性の病気が蔓延していた。もともと曹操軍の病気だったのが、劉備軍にも蔓延した。劉備は諸葛孔明を残して軍を撤退して孫権のみが曹操に立ち向かうことになるが。。。。

歴史上は曹操はかなりの悪者となっている。逆に劉備と孫権そしてその忠臣たちが正義の味方となっている。実際には曹操の子はのちに皇帝の地位を禅譲し権力を治める。むしろ劉備や周瑜の方がその後は良い結末を迎えていない。
それでもこういう物語が中国で支持されるのは、赤壁の戦いの勝ちっぷりがあまりに痛快だからであろう。源平合戦で義経が破竹の活躍を見せるのが大衆に支持されるのと同じである。特に諸葛孔明の魔力のような軍師ぶりは世界中の支持を受けている。

ジョンウー監督はもともと香港ノワール映画の巨匠だった。むしろ米国を拠点とするようになった彼は映画の製作者たちの圧倒的な人気を誇る。タランティーノ監督は「キルビル」を作るときに、主演のユマ・サーマンに演技指導としてジョンウーの映画を観るように言ったそうな。
ここでは実にスケール感のある映画作りをしている。誰の演技が優れているとかではなく、全体的なボリューム感に優れているといえる。単純明快であり、忍者映画のような奇策の連発で最後まで楽しめる。
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マディソン郡の橋 クリント・イーストウッド

2010-01-01 21:55:46 | クリントイーストウッド
イーストウッドとメリルストリープの超一流共演でベストセラー小説を描く。アメリカ中南部の田舎に暮らす普通の主婦の4日間の恋の物語である。イーストウッド映画特有のムードで騒がず、しっとりと二人の世界を描く。

1989年母メリルストリープが亡くなった後、子供たちの遺産整理の場面からスタートする。遺物を整理していて、鍵付きの封筒を見つける。その鍵でケースを開けると、カメラと手紙が入っていた。その手紙には1965年の母の秘話が語られていた。

アメリカアイオワの主婦メリルストリープは夫と高校生の息子、娘と暮らす普通の主婦であった。家族3人が牛の品評会で4日ほど留守にすることになった。そんな時、一人の男クリントイーストウッドが道に迷って訪れてきた。カメラマンの彼は屋根付きの橋を撮影に来たけれど、場所がわからないと言う。メリルは場所を言葉で教えるが、結局は近くなので一緒に車で橋に向かった。その橋に着き、素晴らしい被写体と彼は気に入りしばらくいることになった。二人は移動途中の会話で意気投合する。そして夕食を彼女の家で食べることになるが。。。。。

公開当時劇場で見た。ベストセラー小説の公開なので客入りも良かった気がする。不倫映画という印象が強かった。でも細かいストーリーはすっかり忘れていた。こうしてみると、美術、撮影、音楽含めていかにもイーストウッド映画という印象である。

イーストウッドは配役を非常に重視する。その役にふさわしい人を配役に持ってくることで映画が決まってしまうくらいの考えもある。メリルストリープイーストウッド自ら電話をして口説いたそうだ。元々アクション映画の主演がほとんどだった彼と文芸映画中心のメリルは正反対だっただけにおそらくは初めての共演だと思う。メリルは実際にはもう少しきれいな女性だが、わざと中年らしい風貌を装い、田舎の普通の主婦を演じていた。それが一般の観客に共感を与えたと思う。

屋根付きの橋もそうだが、メリルの自宅はいかにもアメリカンスタイルの良い家を選んだと思う。60年代の世相にあわせた風景といい美術はセンスがいい。それを撮影がしっとりと捉える。また、メリルとイーストウッドの会話は小津安二郎監督得意の切り返しショットで二人を捉えている。観返して気づいた。二人を一緒にとらないところがポイントである。むしろ会話の内容よりも、二人の表情をじっくり捉える。
加えて音楽が風景にしっくりなじむ落ち着いたもの。途中で街から離れたところにあるジャズクラブに行く。黒人だらけのジャズクラブだ。いかにもジャズ好きのイーストウッドの趣味だ。そこで曲にあわせて踊る二人の姿が素敵だ。

デイヴィッドリーン監督の「逢びき」と似たような話である。途中からの展開はいかにも女性の涙を誘うような展開。それをしっとりと描くイーストウッドは幅が広い。60半ばから特にしっとりした展開が得意になった気がする。そうして2009年の2作につながっていく。
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