映画「キャプテン・フィリップス」を劇場で見た。
これは本年有数の傑作である。お見事だ。
2009年に起ったソマリア海域人質事件に基づく実話ドラマである。映画が始まって早々から緊張感が続く。ずっとドキドキしっぱなしで、眠くなるような中だるみがまったくない。船上であった「事実」を丹念に映し出す。手持ちカメラで撮る映像はいかにもドキュメンタリータッチでドキドキ度を高める。トムハンクスにとっては久々の当たり役ではないか?ソマリアの海賊たちは素人と言うが、骸骨のような顔立ちにリアル感がある。
2009年4月。アメリカのコンテナ船マースク・アラバマ号は、援助物資5000トン以上の食糧を積んでケニアに向かうべくインド洋を航行していた。リチャード・フィリップス船長と20人の乗組員にとっていつもと変わらない旅だった。だが、ソマリア沖に入った時、事態は思わぬ方向へ暗転する。アラバマ号が海賊に襲われ、占拠されてしまったのだ。
フィリップス船長は乗組員を救う為、身代わりとなり、海賊の人質になるという勇気ある決断をする。ソマリア海賊たちとの命がけの息詰まる駆け引きが続く中、アメリカも国家の威信を賭けた闘いに直面する。海軍特殊部隊ネイビー・シールズを出動させた作戦は、人質救出か? それとも海賊共々殲滅か? 生死を懸けた緊迫の4日間、彼を支えるものは「生きて、愛する家族のもとへ還る-」という願いだけだった-。(作品情報より)
前半は、海賊のボスのムセらとフィリップスたち乗組員との大型船内でのバトル。後半は人質となったフィリップスと、身代金を奪おうと彼を乗せて救命艇でソマリアに向かう海賊らとの一触即発の状況が展開される。
ハンクスとグリーングラス監督による記者会見で、ハンクスはソマリア人海賊について「やせ衰えた彼らはただの悪人ではなく、腐敗した国で絶望し、希望を持てない若者たち。映画を通じて、そういう複雑な背景があることがわかるはずだ」とソマリアが持つ社会問題的な要素にも言及している。やりたくて海賊やっているわけでもない。それは映画を見ればよくわかる。必ずしもアメリカ側にひいきしすぎていない。
自宅に帰って改めて世界地図を見た。インド洋から紅海を抜けてスエズ運河に向かう航路では、必ずソマリアとイエメンの間にあるアデン湾を通る。
そんなアデン湾にソマリア人の海賊たちが頻繁に登場するとなると大変なことだ。ここルートがいやだから喜望峰を通るなんてバカなことはできまい。時間と金の無駄だ。海賊の存在は世界貿易への損失となるのである。
ソマリアというと、地理上つい見逃してしまう。その昔帝国主義時代の世界史でソマリランドというのは習った覚えがある。要は同じ国だ。
トムハンクス以外ではそんなに有名な俳優が出ていない。それでも5500万$製作費がかかっているのは、貨物船や救命艇、そして軍艦が登場しているからだろう。ソマリア艇が近づくときの放水シーンはリアルだし、波を起こして追随する船に打撃を与えるシーンもすごい。途中から米軍による救出作戦が映し出されるが、手際良く実に見事である。ハイテクの極致というべき米軍精鋭の動きには見ていてわくわくさせられる。いまや南方諸島方面の制空権をめぐって日中の対立が浮き彫りにされるが、日米安保条約を基軸にした関係でアメリカの助けを借りたいものである。
今回のトムハンクスは久々のオスカー狙える気がする。
事実を淡々とつづっていく映画だけど、ラストに向かい死に直面した恐怖感を見事に演じていた。それよりもあのソマリア人の海賊4人で1セットにして助演男優賞をあげてもいいんじゃないかな?現代の海賊はリアル感に満ちあふれていた。
これは本年有数の傑作である。お見事だ。
2009年に起ったソマリア海域人質事件に基づく実話ドラマである。映画が始まって早々から緊張感が続く。ずっとドキドキしっぱなしで、眠くなるような中だるみがまったくない。船上であった「事実」を丹念に映し出す。手持ちカメラで撮る映像はいかにもドキュメンタリータッチでドキドキ度を高める。トムハンクスにとっては久々の当たり役ではないか?ソマリアの海賊たちは素人と言うが、骸骨のような顔立ちにリアル感がある。
2009年4月。アメリカのコンテナ船マースク・アラバマ号は、援助物資5000トン以上の食糧を積んでケニアに向かうべくインド洋を航行していた。リチャード・フィリップス船長と20人の乗組員にとっていつもと変わらない旅だった。だが、ソマリア沖に入った時、事態は思わぬ方向へ暗転する。アラバマ号が海賊に襲われ、占拠されてしまったのだ。
フィリップス船長は乗組員を救う為、身代わりとなり、海賊の人質になるという勇気ある決断をする。ソマリア海賊たちとの命がけの息詰まる駆け引きが続く中、アメリカも国家の威信を賭けた闘いに直面する。海軍特殊部隊ネイビー・シールズを出動させた作戦は、人質救出か? それとも海賊共々殲滅か? 生死を懸けた緊迫の4日間、彼を支えるものは「生きて、愛する家族のもとへ還る-」という願いだけだった-。(作品情報より)
前半は、海賊のボスのムセらとフィリップスたち乗組員との大型船内でのバトル。後半は人質となったフィリップスと、身代金を奪おうと彼を乗せて救命艇でソマリアに向かう海賊らとの一触即発の状況が展開される。
ハンクスとグリーングラス監督による記者会見で、ハンクスはソマリア人海賊について「やせ衰えた彼らはただの悪人ではなく、腐敗した国で絶望し、希望を持てない若者たち。映画を通じて、そういう複雑な背景があることがわかるはずだ」とソマリアが持つ社会問題的な要素にも言及している。やりたくて海賊やっているわけでもない。それは映画を見ればよくわかる。必ずしもアメリカ側にひいきしすぎていない。
自宅に帰って改めて世界地図を見た。インド洋から紅海を抜けてスエズ運河に向かう航路では、必ずソマリアとイエメンの間にあるアデン湾を通る。
そんなアデン湾にソマリア人の海賊たちが頻繁に登場するとなると大変なことだ。ここルートがいやだから喜望峰を通るなんてバカなことはできまい。時間と金の無駄だ。海賊の存在は世界貿易への損失となるのである。
ソマリアというと、地理上つい見逃してしまう。その昔帝国主義時代の世界史でソマリランドというのは習った覚えがある。要は同じ国だ。
トムハンクス以外ではそんなに有名な俳優が出ていない。それでも5500万$製作費がかかっているのは、貨物船や救命艇、そして軍艦が登場しているからだろう。ソマリア艇が近づくときの放水シーンはリアルだし、波を起こして追随する船に打撃を与えるシーンもすごい。途中から米軍による救出作戦が映し出されるが、手際良く実に見事である。ハイテクの極致というべき米軍精鋭の動きには見ていてわくわくさせられる。いまや南方諸島方面の制空権をめぐって日中の対立が浮き彫りにされるが、日米安保条約を基軸にした関係でアメリカの助けを借りたいものである。
今回のトムハンクスは久々のオスカー狙える気がする。
事実を淡々とつづっていく映画だけど、ラストに向かい死に直面した恐怖感を見事に演じていた。それよりもあのソマリア人の海賊4人で1セットにして助演男優賞をあげてもいいんじゃないかな?現代の海賊はリアル感に満ちあふれていた。