映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

秋津温泉 岡田茉莉子

2011-01-16 17:23:37 | 映画(日本 昭和35年~49年)
昭和37年の岡田茉莉子主演作品。のちに結婚する吉田喜重監督がメガホンをとる。岡田自ら藤原の原作から自分で企画を立てて制作のクレジットに名を連ねている。岡山の山奥の温泉地を舞台に男女の情念に迫る作品だ。


昭和二十年の終戦前、東京の大学生こと長門裕之が一人岡山を旅していた。たまたま移動の列車にいた女性が秋津温泉の女中で、話を聞き訪れた。心が病んでいるばかりでなく、体は結核に冒されていた。岡山県の山奥の秋津温泉場の娘こと岡田茉莉子は、長門を気の毒に思い自殺から救った。終戦となりしばらく温泉場で療養した後、戻るが自堕落な生活を送っていた。それから三年、長門は再び秋津温泉にやって来た。荒んだ体の療養だが、岡田に「一緒に死んでくれ」と頼んだ。二人で心中を図ろうと川ぺりに向かうが、冗談とばかりに岡田は一笑に付す。しかし、二人の心は深く通じ合うようになっていた。その後も何年かおいて長門は秋津温泉を訪れる。しかし、長門は文学仲間こと宇野重吉の妹と結婚した。その話を聞いても岡田は、長門が忘れられなかったのであるが。。。。

究極の腐れ縁映画故高峰秀子の代表作「浮雲」を思わせる部分もある。白黒の「浮雲」と比較するとカラー作品ならではの美しい風景を映す。季節感のある映像コンテには映像美が感じられる。
岡田茉莉子が美しい。成瀬巳喜男作品の「浮雲」では森雅之が浮気する相手を演じたり、「流れる」では山田五十鈴の芸者置屋に所属の若芸者に扮している。この映画の6,7年くらい前で20代になったばかりの映像であるが、なんかイモっぽい。それに比べると大女優としての貫禄も付いたのか、格段に美しくなっている。着物の着こなしが素敵で、センスがいい。長門裕之との情念の愛を次第に深めていくたびに、表情が変わっていく。それがいい。



山奥の温泉場という設定もいい。雪が降る時の映像が特に美しい。桜の満開の映像も実に美しい。そこに岡田茉莉子の美しい和装の姿が実によく映える。津山駅の風景もひと時代前の地方の風景を表わしている。その情景がムードを高めている。
一つだけ問題があるとしたら、音楽がうるさすぎ。
主題の音楽は素敵な音楽だと思うが、場違いな音響がムードを妨げている。残念

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