映画とライフデザイン

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映画「暗殺の森」ジャン=ルイ・トランティニャン&ドミニク・サンダ

2019-07-15 07:30:27 | 映画(自分好みベスト100)

映画「暗殺の森」は1970年公開のイタリアの巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督の作品
暗殺の森
ベルナルド・ベルトルッチ


日本公開は1972年である。公開後しばらくして名画座で何度も公開されるうちにカルト的に有名になっていく。第二次世界大戦中、ムッソリーニのファシスト党時代に大学の講師をやっている主人公が新婚旅行でパリに行く際に、イタリア国家当局から睨まれているパリ在住の恩師の殺人を依頼されるという話である。「男と女」の主演で有名な名優ジャン=ルイ・トランティニャンが冷静沈着な暗殺首謀者を演じる。この映画では何といってもドミニク・サンダの美貌が見ものだ。



第二次大戦中のイタリア、大学で哲学の講師をしているマルチェロ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は、婚約者であるジュリア(ステファニア・サンドレッリ)と新婚旅行に旅立つ準備をしていた。その際、マルチェロは国家当局より反ファシストでパリに亡命しているマルチェロの恩師であるクアドリ教授(エンツォ・タラシオ)に接近するよう命令が下った。そして政府のエージェントとしてマニャニエーロ(ガストーネ・マスキン)が同行することになり、パリに着く直前にクアドリ教授の抹殺に手をかすよう要請された。


パリに着いたマルチェロはクアドリ教授に連絡をとったが、教授には教え子マルチェロの記憶はなかった。それでもアポイントをとり、妻ジュリアとともにクアドリ教授の家を訪問した。その際、クアドリ教授の若妻アンナ(ドミニク・サンダ)と出会った。数日後、両夫婦は中華料理屋で会ったが、片隅にはマニャニエーロが隠れていた。夕食の後、四人はダンス・ホールへ行き踊りにふけった。一目会ってアンナに魅かれたマルチェロはダンスをしながらクアドリ教授がアンナを置いて一人で外出するようにアンナを誘導しようとした。

マルチェロは、マニャニエーロに、明日はクアドリ教授が車で一人ででると教えた。ジュリアとアンナをベルサイユにとどめようとしたのだ。しかし、翌朝マニャニエーロが電話で教授がアンナも同乗したことを知らせてきた。二人が乗った車をマルチェロとマニャニエーロの車が追った。やがて森に近づいた。一台の車が停車していることに気づき、教授が車を降りたところを待ち構えていた男たちがいるのであるが。。。

奥の深い映画である。1回見ただけではわかりづらい重層構造だ。脚本も担当するベルナルド・ベルトルッチはいくつもの逸話を重ね合わせていく。脇役のセリフもすべて意味を持つ。それに加えてバックストーリーとしてマルチェロ(ジャン=ルイ・トランティニャン)の少年時代に犯した殺人の話を織り交ぜる。これ自体が後半戦に映しだされるシーンに意味を持たせる。話を単純にせずにじっくりとストーリーを固めていくのはお見事だ。

1.映像の美しさとカメラ
アパートメントは古いが、その他の公共建築物は天井が高くその空間は独特の雰囲気を持つ欧州的建築物だ。その背景と出演者を映し出す名カメラマン・ヴィットリオ・ストラーロの腕がさえる。地中海に面するイタリア国境の町ヴェンティミーリアでの海を背景としたカメラアングルに思わずうなる。やがて、パリの街に移り、色彩設計がかわる。どんよりとした「くもり」ではなく、決して明るくはないブルーを基調にした色合いだ。


アカデミー賞撮影賞をなんと三度も受賞という腕前でいまだ現役を引退していない。「カフェ・ソサエティ」や「女と車の観覧車」といった近年のウディ・アレン作品で腕前を披露している。最終の森のシーンでは手持ちカメラで駆けまくる。「仁義なき戦い」での乱闘を映し出した手持ちカメラ映像のような臨場感がでている。

2.ドミニク・サンダの美貌
映画が始まって約一時間は婚約したマルチェロ夫婦にスポットをあてて、ドミニク・サンダは出てこない。映画「ジョーズ」で約1時間以上サメがその姿を現わせないのと同じである。パリに着き狙いを定めた教授の自宅を訪問したときに初めてドミニク・サンダはその姿を現す。当時22歳の彼女は実に美しい。その後、バレエスタジオでの指導でみせる美しいボディが素敵だ。そしてマルチェロと接近したとき、一気にバストトップをあらわにする。初めてその姿を見たとき、日本人の若者はどんなに興奮したか。我々が学生だった頃、パルコの宣伝でドミニク・サンダがでていて、熱狂的に支持されていたものだ。


3.ダンスホールでの2人のダンス
ジュリア(ステファニア・サンドレッリ)とアンナ(ドミニク・サンダ)の2人がダンスホールでタンゴを踊るシーンがある。いつになくドミニク・サンダのノリが大胆になる。まさに美の共演だ。すばらしい。ジュリアが着替えようとしたときに侍女のようにアンナがセッティングする場面がある。その際、アンナがジュリアのドレスをまくり上げレズビアンを思わせる動きをする。この当時、さすがにあれ以上の映画表現はできないのかもしれないが、性器を吸っていると十分に想像させる何かがある。


新婚としてのマルチェロ(ジャン=ルイ・トランティニャン)とジュリアが途中イタリアとフランスとの海辺の国境であるヴェンティミーリアの町に寄りながら、フランスに向かっていく。その列車の中でジュリアが恥じらいながら自分の性体験を語る。そして、二人が列車のコンパートメント席で愛を交わすシーンとなる。あとで考えると、このセリフにも意味があるようだ。これはこれで興奮させる何かがある。

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