映画「ちょっと思い出しただけ」を映画館で観てきました。
映画「ちょっと思い出しただけ」は池松壮亮と伊藤沙莉主演の青春ドラマである。最近公開の日本映画では観てみたいと思うものがなかった。舶来モノばかりになっているなと感じたところで、ピックアップしてみた。松居大悟監督はどうやら自分の後輩のようだ。
観客には若者が目立ち、カップルというより男性2、3人できている。思いがけず客席は埋まっている。現代若者事情の映画といえば、昨年の「花束みたいな恋をした」のようなオーソドックスな恋をたまには見てみたい気分になることもある。
もともとダンサーを目指していて、足をケガして照明係になっている男性と、タクシーの女性ドライバーとの恋物語である。
思いがけずよかった。
女性がタクシー運転手というだけで先入観はほぼない状態で見始める。最初から主役のカップルでくっついてというわけではない。それぞれのプロフィールを語っていくが、あれ「なんだか変!」マスクをしている世相なのに、だんだんマスクがなくなる。もしかして、「時間が戻っているの?」気づくのに時間がかかる。池松壮亮と伊藤沙莉それぞれを追っていくが、2人並んで映るとなるのに映画が始まって40分以上かかる。
⒈多彩な登場人物
池松壮亮は「宮本から君へ」で一皮むけた印象をもつ。斜に構えた雰囲気を持つ若者役が多かったせいか、冷めた若者から熱い若者への変貌に応援してあげたい気分になれる。マイナー劇団でダンサーなんてどう考えても金はなさそう。さびた鉄骨階段の昭和風アパートに住む。しかも、足をケガして照明係に変わらざるを得ない。東京によくいる志があっても貧乏系若者に同じ目線の高さを感じる観客も多いのでは?
伊藤沙莉の出演作はいくつも観ているけど、あまり意識していなかったなあ。主演の「タイトル拒絶」はDVDスルーでみたけど、イマイチ。「寝ても覚めても」では唐田さやかの友人役だったよね。タクシーでたまに女性運転手に出会うけど、オバさんばかりで若い子って地方でしか見たことない。制服着てなんかいい感じだ。それにしても声ハスキーだよね。タバコぷかぷかなのかしら?スナックにいる中年のホステスによくいる声だ。
永瀬正敏と國村隼が脇役ででていると安心感がもてる。2人ともすごい出演量をこなしている。また、外国映画にも出演する国際派俳優でもあるのも共通だ。きっとオーダーは多いんだろうけど、どういう判断基準で出演しているんだろうか。
濱口竜介監督「偶然と想像」での大学教授役で注目を浴びた渋川清彦は、本当は「閉鎖病棟」の極悪精神病院患者の方が似合う。「岬の兄妹」で障がい者の妹に売春させる悪い兄貴だった松浦祐也は「ONODA」で小野田少尉と島に残る兵士役で出ていたしコミカルな役が似合う。成田凌もスナックにたむろう酔客の役で、今回は豪華な酔っ払いが揃った。
⒉街の上と比較して
「街の上で」は下北沢を舞台に現代若者事情を描いた昨年の映画だ。「街の上で」はあまり好きになれなかった。古着屋に務める主演の若葉竜也は好感を持ったけど、性格の悪い女が自分勝手な動きをするので気に入らない。セリフもちょっとしゃべりすぎだと感じた。
「ちょっと思い出しただけ」の方が映画らしい。余計な状況説明を省いているのもいい。小さなエピソードを積み上げて主役2人の人間像を描いていくが、多分たくさんのアイディアから選んだのであろう。簡潔でムダがない。自分をムカつかせるような場面もなく快適に現代若者事情を観れる。
⒊好きなシーン
先行情報なしに観たので、時間軸を飛ばす映画かと思った。途中で時間が戻っていくのに気づく。恋の盛り上がりって、知り合ってからまもない時期で、終焉が近づくにつれて冷めていく。時間軸が逆なのでむしろ、映画の中間から後にいいショットがあったな。
休館中の誰もいない水族館で2人がシュモクザメがゆうゆうと泳ぐ水槽の前でいちゃついてダンスを踊るシーンって好きだな。行ったことがあるので八景島シーパラダイスとすぐ気づいたけど、池松壮亮が赤いシーパラダイスと背中に書いてあるTシャツを着ていて確信した。
告白のシーンっていくつもある。どれもこれもいい感じだけど、あえて中途半端にしてしまっている。なんかせつない。あとは最終に向けて、池松壮亮がたぶん伊藤沙莉が運転するタクシーだと思って何も言わずにたたずむシーンも好きだ。
⒋コロナタクシー事情
いかにもコロナ禍以降の現代を思わせるマスクをした運転手の伊藤沙莉を映すシーンで始まる。新宿の青梅街道のガードあたりを車内から見た映像を何度も映す。歌舞伎町からタクシーで深夜帰る時に向かういつもよく見る風景だ。客が最近どうと聞いてサッパリと答えるシーンを見てどこでも同じこと言っているんだなあと感じる。
タクシー車内のエピソードも多い。小話の積み重ねで何かが見えて来る。浮気相手とデートの約束をするサラリーマンが家に仕事で遅くなると言っている電話をすると、急ブレーキをかけていじわるする。かわいいもんだ。高岡早紀演じるクラブママ(これがピッタリ)らしき姐さんからいい仕事あるよと誘われたり、松浦祐也演じる酔客とあと2人がタクシーの中で大騒ぎするんで凄んでみたり逸話がたくさんあるのも魅力的。
親からタクシーチケットをもらって塾へ通っている賢そうな少年から、今日はイヤなことあったんですか?と同情されるシーンで伊藤沙莉は微妙な表情をしていたのが印象的だ。そういえば、2月3日に食事行ってからタクシーチケット使っていないや。蔓延防止が早く終わらないかなあ。
映画「ちょっと思い出しただけ」は池松壮亮と伊藤沙莉主演の青春ドラマである。最近公開の日本映画では観てみたいと思うものがなかった。舶来モノばかりになっているなと感じたところで、ピックアップしてみた。松居大悟監督はどうやら自分の後輩のようだ。
観客には若者が目立ち、カップルというより男性2、3人できている。思いがけず客席は埋まっている。現代若者事情の映画といえば、昨年の「花束みたいな恋をした」のようなオーソドックスな恋をたまには見てみたい気分になることもある。
もともとダンサーを目指していて、足をケガして照明係になっている男性と、タクシーの女性ドライバーとの恋物語である。
思いがけずよかった。
女性がタクシー運転手というだけで先入観はほぼない状態で見始める。最初から主役のカップルでくっついてというわけではない。それぞれのプロフィールを語っていくが、あれ「なんだか変!」マスクをしている世相なのに、だんだんマスクがなくなる。もしかして、「時間が戻っているの?」気づくのに時間がかかる。池松壮亮と伊藤沙莉それぞれを追っていくが、2人並んで映るとなるのに映画が始まって40分以上かかる。
⒈多彩な登場人物
池松壮亮は「宮本から君へ」で一皮むけた印象をもつ。斜に構えた雰囲気を持つ若者役が多かったせいか、冷めた若者から熱い若者への変貌に応援してあげたい気分になれる。マイナー劇団でダンサーなんてどう考えても金はなさそう。さびた鉄骨階段の昭和風アパートに住む。しかも、足をケガして照明係に変わらざるを得ない。東京によくいる志があっても貧乏系若者に同じ目線の高さを感じる観客も多いのでは?
伊藤沙莉の出演作はいくつも観ているけど、あまり意識していなかったなあ。主演の「タイトル拒絶」はDVDスルーでみたけど、イマイチ。「寝ても覚めても」では唐田さやかの友人役だったよね。タクシーでたまに女性運転手に出会うけど、オバさんばかりで若い子って地方でしか見たことない。制服着てなんかいい感じだ。それにしても声ハスキーだよね。タバコぷかぷかなのかしら?スナックにいる中年のホステスによくいる声だ。
永瀬正敏と國村隼が脇役ででていると安心感がもてる。2人ともすごい出演量をこなしている。また、外国映画にも出演する国際派俳優でもあるのも共通だ。きっとオーダーは多いんだろうけど、どういう判断基準で出演しているんだろうか。
濱口竜介監督「偶然と想像」での大学教授役で注目を浴びた渋川清彦は、本当は「閉鎖病棟」の極悪精神病院患者の方が似合う。「岬の兄妹」で障がい者の妹に売春させる悪い兄貴だった松浦祐也は「ONODA」で小野田少尉と島に残る兵士役で出ていたしコミカルな役が似合う。成田凌もスナックにたむろう酔客の役で、今回は豪華な酔っ払いが揃った。
⒉街の上と比較して
「街の上で」は下北沢を舞台に現代若者事情を描いた昨年の映画だ。「街の上で」はあまり好きになれなかった。古着屋に務める主演の若葉竜也は好感を持ったけど、性格の悪い女が自分勝手な動きをするので気に入らない。セリフもちょっとしゃべりすぎだと感じた。
「ちょっと思い出しただけ」の方が映画らしい。余計な状況説明を省いているのもいい。小さなエピソードを積み上げて主役2人の人間像を描いていくが、多分たくさんのアイディアから選んだのであろう。簡潔でムダがない。自分をムカつかせるような場面もなく快適に現代若者事情を観れる。
⒊好きなシーン
先行情報なしに観たので、時間軸を飛ばす映画かと思った。途中で時間が戻っていくのに気づく。恋の盛り上がりって、知り合ってからまもない時期で、終焉が近づくにつれて冷めていく。時間軸が逆なのでむしろ、映画の中間から後にいいショットがあったな。
休館中の誰もいない水族館で2人がシュモクザメがゆうゆうと泳ぐ水槽の前でいちゃついてダンスを踊るシーンって好きだな。行ったことがあるので八景島シーパラダイスとすぐ気づいたけど、池松壮亮が赤いシーパラダイスと背中に書いてあるTシャツを着ていて確信した。
告白のシーンっていくつもある。どれもこれもいい感じだけど、あえて中途半端にしてしまっている。なんかせつない。あとは最終に向けて、池松壮亮がたぶん伊藤沙莉が運転するタクシーだと思って何も言わずにたたずむシーンも好きだ。
⒋コロナタクシー事情
いかにもコロナ禍以降の現代を思わせるマスクをした運転手の伊藤沙莉を映すシーンで始まる。新宿の青梅街道のガードあたりを車内から見た映像を何度も映す。歌舞伎町からタクシーで深夜帰る時に向かういつもよく見る風景だ。客が最近どうと聞いてサッパリと答えるシーンを見てどこでも同じこと言っているんだなあと感じる。
タクシー車内のエピソードも多い。小話の積み重ねで何かが見えて来る。浮気相手とデートの約束をするサラリーマンが家に仕事で遅くなると言っている電話をすると、急ブレーキをかけていじわるする。かわいいもんだ。高岡早紀演じるクラブママ(これがピッタリ)らしき姐さんからいい仕事あるよと誘われたり、松浦祐也演じる酔客とあと2人がタクシーの中で大騒ぎするんで凄んでみたり逸話がたくさんあるのも魅力的。
親からタクシーチケットをもらって塾へ通っている賢そうな少年から、今日はイヤなことあったんですか?と同情されるシーンで伊藤沙莉は微妙な表情をしていたのが印象的だ。そういえば、2月3日に食事行ってからタクシーチケット使っていないや。蔓延防止が早く終わらないかなあ。