映画とライフデザイン

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映画「ドリームプラン」ウィル・スミス

2022-02-23 18:24:41 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ドリームプラン」を映画館で観てきました。


映画「ドリームプラン」はウィルスミスが、テニスのウィリアムズ姉妹の父親リチャードを演じる新作だ。原題は「King Richard」であくまで父親がメインの映画である。ウィリアムズ姉妹といえば、プロテニスに関心のない人でも知っている存在だろう。大坂なおみが初めて4大メジャーで優勝した時、決勝の相手がセリーナウィリアムズと知ってヤバイと思った日本人は多いと思う。ウィリアムズ姉妹はとんでもなく強かった。その姉妹が幼いころから父親の英才教育を受けていたというのはこの映画の存在で初めて知った。

姉のビーナス・ウィリアムズが生まれる前から、父親リチャード(ウィルスミス)は78ページに及ぶ世界チャンピオンになるための計画書にまとめて、幼少の時から妹のセリーナとともにテニスのレッスンを始める。腕を磨いた娘を有名コーチのもとに強引に押し込みながらも、自分の指導信念を貫き2人の娘を育てたという話である。


成長がテーマになる映画には高揚感がある。気分がいい。
今回は、ウィリアムズ姉妹というより頑固で偏屈で変わり者のオヤジにスポットを当てる。ジュニアの大会に出れば絶対に勝てるとコーチに言われても、父親は出場させない。映画を観ていて、誰もがオヤジのことを変な奴だなあと思うであろう。そんなシーンが次から次に続く。実はそれが映画の見どころである。


⒈ウィリアムズ姉妹の父母
父親リチャードは警備員である。両親ともに離婚をしていて妻にはつれ子がいる。ウィリアムズ姉妹以外にも女の子が3人いて合計5人姉妹だ。みんな仲が良い。一般にプロテニスプレイヤーを育てる家庭と比較すると豊かとはいえない。練習していてもエリアの不良グループがちょっかいだして邪魔しに来る。育ったのはまともなエリアではない。

リチャードはマッケンロー並みの変わり者というセリフがある。一斉を風靡したマッケンローの変人ぶりは映画「ボルグ/マッケンロー」でも映し出された。母親も夫を支えるが、あまりの偏屈ぶりに耐えきれない場面もいくつか出てくる。妻の「自分一人で育てたと思ったら大まちがいだ!」なんて我が家でも妻がのたまうセリフもあるけど、外では変人に見えるパフォーマンスをとるが、家ではやさしい。

映画「シャインで息子を音楽家にさせようとする厳格で頑固なオヤジが自分には近く感じる。「シャイン」のオヤジはともかく厳格すぎるのだ。自分の元で教育すればいい音楽家になれるという国内外からの誘いを断りまくる。結局、子どもは精神に異常をきたす。ある意味ウィリアムス家も似ている。ただ、ウィリアムズ家のいいところは、根底にやさしさがあるところだ。


⒉有名コーチ
父リチャードは娘2人のテニスの腕前が認められるようになる前から有名テニス関係者に自分の娘を売り込んでいた。でも相手にはしてもらえなかった。

ある一定のレベルまで達したので有名コーチに自分の娘を指導してもらおうとリチャードは考えた。そこで無理矢理飛び込んでいってピート・サンプラスのコーチ、ポールコーエンに自分の娘を売り込む。仕方なくテニスの腕前をコーエンが見てこれはものになると預かる。でも、オープンスタンスにこだわるリチャードとコーエンと意見が合わない。そのころからビーナスウィリアムズのテニスの腕に注目するスポンサーが現れるがリチャードは取り合わない。

そして、フロリダでテニススクールをしているリックメイシーの世話になるため移住する。プロコーチの世話になってもリチャードの信念とプランは変わらない。そんな頑固さをうっとうしくも感じるが、映画のキーポイントである。

⒊懐かしのテニスウエア
時代設定は80年代から90年代前半にかけてである。コーチが着ているFILAのテニスウェアが懐かしい。70年代後半からスウェーデンのボルグの活躍とともに日本でも流行った。大学に入って、我がキャンパスではテニス系クラブの連中がFILA のウェアを普段着で着ていてカッコよく、六本木のディスコでも目立った。テニスと関係なく自分も着てみた。スキーセーターも着たなあ。

先日北京オリンピックのオランダ選手がチームカラーのオレンジのウェアにFILAのマークがあるのを見て懐かしいと思ったところだった。あの当時、イタリアンタッチの原色が強調されたデザインが斬新に感じた。何気なく調べたら、韓国資本になっていたのね。これには驚く。


FILAとは関係ないが、ウィルスミスのテニスウェア姿はカッコいい。

⒋父と娘の交情
自分にも娘がいるせいか、父と娘が情を交わし合う映画にはついつい点数が甘くなる。熱烈指導で世界的プレイヤーになることを目指すが、リチャードは学校の勉強もちゃんとやれとうるさい。テニスだけだと後々大成しないと言い切る。本来ジュニアの大会に出るべきだが、そうしない。娘の将来を思ってのことだが、14 歳になったとき、周囲に同年齢でプロになる女の子も現れる。さすがに何とか試合をやりたいとコーチを通じてビーナスは申し出る。そこでの父娘そして母親との触れ合いも見どころだ。

ただ、自分がいちばん好きなシーンは、年長である姉がプロデビューした後、妹のセリーナがテニスコートを見てたたずんでいるのをリチャードが見て、やさしく声をかける場面だ。「セリーナのプランもちゃんと考えているんだよ」と語りかけるウィルスミスの姿がやさしくて素敵だ。
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