映画とライフデザイン

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悪の華 クロード・シャブロル

2012-02-10 05:50:38 | 映画(フランス映画 )
映画「悪の華」はフランス映画の巨匠クロード・シャブロル監督による2003年の作品だ。
2010年に監督が亡くなり、昨年劇場公開された。サスペンスの香りもするが、流れるタッチはいかにも50年代から60年代にかけてのフランス映画のタッチである。


フランス・ボルドーの豪華な屋敷が映し出される。
止まっている車が古い。回想シーンのようだ。邸宅の中をぐるりとカメラが徘徊し、部屋のベッドの横で殺されている男が映し出されるシーンでスタートする。
現代フランスにカメラがチェンジする。3年ぶりにアメリカから息子のフランソワが帰国する。空港に車で迎えるのは父親ジェラールだ。薬品関係の仕事をしている。車は優雅な邸宅に戻り、彼の帰国を喜ぶ義妹のミシェルと叔母リンがいた。義母アンナは市長選挙に出馬し多忙な日々を過ごしていた。
そんな時アンナの元に一枚の中傷ビラが送られてくる。このビラでは、家族の裏側に隠されていた陰部が暴かれていた。昔その家であった殺人事件の話の書いてあった。しかし、それにもめげず選挙活動に励む義母だ。フランソワとミシェルは再会を喜び、2人は海辺の別荘へと遊びに出るのであるが。。。。


男女関係がハチャメチャである。これはフランス映画にはありがちな設定である。
夫婦でありながら、お互い勝手なことをしている。
横溝正史の小説を思わせるような展開で、近親相姦も含めて何でもありだ。クロード・シャブロル監督はヌーヴェルヴァーグの巨匠の一人で、もともとは「カイエ・デュ・シネマ」の評論家であった。
画像はカラーだが、鮮明な色を使っていない。わざとだろう。インテリアもあっさり目だ。音楽もどんくさい。一体どうしたの?といった感じだ。70年代くらいにまでタイムスリップしている感覚である。そういうところがいいと思しき人もいるだろう。
個人的には、昔ながらの邸宅のたたずまいや別荘地での映像コンテでいくつかのショットにはしびれるものはあった。

ただ、宣伝文句ではヒッチコックを意識させる画像と聞いていたのでかなり期待したが「あれ!」という感じだった。サスペンス性に期待するとがっかりするであろう。
どちらかというと、一時代前の「知識人」向けの映画といった印象だ。
コメント
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