映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

サベイランス  ジェニファー リンチ

2010-09-23 13:26:56 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
「サベイランス」直訳すると「監視」である。鬼才デイヴィッド・リンチ監督の娘であるジェニファー・リンチ監督がつくったサスペンス・スリラーということで目にとまった。個人的にリンチ監督作品は必ず観るようにしている。でも期待以上の作品だった。
最近観た映画では実によくできた低予算映画である。傑作というと語弊があるかもしれない。むごい映像の中に計算された凄味を感じる作品だ。



いきなり殺人事件のシーンが映し出される。覆面をかぶった犯人が残虐にモーテルで殺人を犯す映像である。その直後地元の警察に場面が移る。FBIの捜査官の男女が、殺人事件の現場に居合わせた少女、若い女性、警官の3人の目撃者から事情聴取を開始する。その事実を画像で追っていく。少女は自分の母が新たに結婚する夫とともにドライブに出ていた。若い女性はボーイフレンドとともに麻薬浸りのまま事件に出くわした。警官は自分の地位を利用して、一般人から金を巻き上げようとしていた。そんな3人が路上で出くわす時をそれぞれ回想させ、捜査官が地元警察の人間と聞き出そうとしていたが。。。。



「連続猟奇殺人事件を追う二人のFBI捜査官が、目撃者の証言に翻弄されながら真相に迫る姿を描く。」という内容とジャケットその他に書いてある。黒沢明の映画「羅生門」の展開を思わせるとも書いてある。でも観てみるとその解説はちょっと違うなあと感じた。だってあの映画には結論はあってないようなもの。意外な形でも真実があるこの映画とはまったく意味合いが違う訳だから。。。
映画を追うごとにくりかえしドキッとさせられる。観ている人間の予想を外させる。若干デイヴィッドリンチ監督の匂いもあるが、私はむしろコーエン兄弟の作品を連想した。簡潔ながら、脚本の巧みさに意表を突かれ、なかなか見応えがあった。デイヴィッドリンチのファンよりも、コーエン兄弟のファンの方がこの作品をいいと思うかもしれない。両方好きな自分は度肝を抜かれた。



この作品ばかりはこれ以上書かない方がいいかもしれない。
途中までの画像はいかにもアメリカの恥部を映し出すような映像だ。悪徳警官のふるまいや麻薬中毒の連中のふるまいは、アメリカの田舎には行きたくないと思わせる映像だ。いつも思うが、なんでアメリカ映画ではこんなに警察が悪者にされるのであろうか?

それにしても途中から見せるどんでん返しは脚本の巧みさを感じる。
やはり傑作と言いなおすべきであろう。
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重力ピエロ  加瀬亮

2010-09-23 11:27:22 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
「重力ピエロ」は伊坂孝太郎の原作に基づくミステリー映画である。加瀬亮と岡田将生の主演二人の穏やかなムードに、落ち着いた仙台の街をうまく組み合わせて作り上げた傑作である。主演の二人が持つ独特のムードもよいが、彼らの両親を演じる小日向と鈴木京香の夫婦もいい味を出していて、ミステリーというよりも、上質の人間ドラマとなっている。



仙台市内に住む遺伝子を研究する大学院生・泉水こと加瀬亮と芸術的な才能を持つ2つ年下の弟・春こと岡田将生は、仲の良い普通の兄弟だ。二人が住む仙台市内で不審な連続放火事件が発生する。その現場には謎めいたグラフィックアートが残されていた。それを見て加瀬と岡田は犯人像を推理しようとしていた。
放火とグラフィックアートにどんな関係があるのか? 頭を悩ます加瀬は、大学院の友人から24年前の連続レイプ事件の鍵を握る男がこの地に戻ってきたことを聞く。この男は兄弟の家族と関係の深い男であったが。。。。

バランスのいい映画である。バックの音楽を静かに流しながら、セリフに重みを持たせる。ミステリーでありながらその匂いが強く出ていない。それぞれの性格描写に時間をかける。それでもミステリーの伏線をいくつか持たせながら、観ているものに犯人像の確信をもたせない。うまいと思う。
コメント (2)
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