昨年は父母とも亡くなって葬式2回やった。7月父が亡くなったあとこの映画をやったが、見る気にはなれなかった。
11月母が亡くなったとき、死化粧をしてもらった。若い女性が来て母にとっておきの着物を着せて化粧をしたら、亡くなる少し前の悲壮な状況からうってかわった。そのときこの映画が気になった。
本木の動きが非常にしなやかでやわらかい映画である。
オーケストラのチェロ奏者本木は、観客動員少ないことでオーケストラが解散してしまい、妻広末良子の同意を得て故郷山形酒田へ帰る。職探しをしようとしたときに「旅のお手伝い」という求人広告を見て応募する。そこへいくと社長山崎努と事務員余貴美子がいた。面接をはじめるとすぐさま採用といわれる。給料は50万で無職の本木は驚き仕事に就く。ところが、旅ではなく(来世への)旅立ちだということに気づく。納棺の仕事であった。
いきなり寝たきり老人の孤独死に遭遇する。現場には腐食したからだと、食べかすを襲う虫たちの異臭で本木は戻してしまう。家に帰って広末はごちそうを作るがやはり食べられない。その後広末を強烈に求める。そうしていきながら仕事を続けていく。ところが内緒にしていた仕事のことがわかり、広末は本木を罵倒する。。。
基本的には本木、山崎、余、広末の4人で映画は展開する。4人ともすばらしい。
本木のしなやかさ、山崎の老練さ、広末のかわいい奥さんの演じ方、場末の事務員余のしたたかさいずれも良い。
本木はきわめてしなやかな動きをする。死人を扱う動きがまるでマッサージをしているようだ。端正な顔立ちで広末とのカップルぶりがいかにも現代夫婦像といった感じがする。広末も非常にかわいい奥さんである。男なら誰しもこういうしぐさの奥さんと結婚したいと思うであろう。セリフもわざとらしさがなく、きわめて自然に夫へのやさしさを表現する。山崎努はいい味を出す。脚本も山崎の良さを引き出す。彼は裏街道まっしぐらの役が似合う。さっと本木にチップを渡すときの身のこなしがリアルだ。
なぜかこの4人の映画には縁がある。特に一番縁があるのは山崎努だ。黒澤の「天国と地獄」の犯人役からはじまって、一連の伊丹作品など、最近でも「GO」「クロサギ」などこの人でなければ無理な作品に存在感を示す。本木は「しこふんじゃった」で、余は「ヌードの夜」で、広末は「鉄道員」がいずれも気になる作品だ。
そういう演技に酒田の風景が色を添える。それが料理のスパイスのように効いていく。美しい山、雪景色、花、さびれた町、白鳥のはばたきいずれもいい。
峰岸徹が出演して映画の中で亡くなっていく。あれ彼って実際にも死んだんでは?新聞で見た気がした。どうもこの映画の撮影ではすでにがんにむしばれていたようだ。映画で死んだ役をするとそのまま死んでいくことってよく目にする。先日取り上げた「情婦」でもタイロンパワーがそのまま映画のあと亡くなっている。岡田有希子事件からもう20年たつのかと思うと自分の年令を急に感じる。
11月母が亡くなったとき、死化粧をしてもらった。若い女性が来て母にとっておきの着物を着せて化粧をしたら、亡くなる少し前の悲壮な状況からうってかわった。そのときこの映画が気になった。
本木の動きが非常にしなやかでやわらかい映画である。
オーケストラのチェロ奏者本木は、観客動員少ないことでオーケストラが解散してしまい、妻広末良子の同意を得て故郷山形酒田へ帰る。職探しをしようとしたときに「旅のお手伝い」という求人広告を見て応募する。そこへいくと社長山崎努と事務員余貴美子がいた。面接をはじめるとすぐさま採用といわれる。給料は50万で無職の本木は驚き仕事に就く。ところが、旅ではなく(来世への)旅立ちだということに気づく。納棺の仕事であった。
いきなり寝たきり老人の孤独死に遭遇する。現場には腐食したからだと、食べかすを襲う虫たちの異臭で本木は戻してしまう。家に帰って広末はごちそうを作るがやはり食べられない。その後広末を強烈に求める。そうしていきながら仕事を続けていく。ところが内緒にしていた仕事のことがわかり、広末は本木を罵倒する。。。
基本的には本木、山崎、余、広末の4人で映画は展開する。4人ともすばらしい。
本木のしなやかさ、山崎の老練さ、広末のかわいい奥さんの演じ方、場末の事務員余のしたたかさいずれも良い。
本木はきわめてしなやかな動きをする。死人を扱う動きがまるでマッサージをしているようだ。端正な顔立ちで広末とのカップルぶりがいかにも現代夫婦像といった感じがする。広末も非常にかわいい奥さんである。男なら誰しもこういうしぐさの奥さんと結婚したいと思うであろう。セリフもわざとらしさがなく、きわめて自然に夫へのやさしさを表現する。山崎努はいい味を出す。脚本も山崎の良さを引き出す。彼は裏街道まっしぐらの役が似合う。さっと本木にチップを渡すときの身のこなしがリアルだ。
なぜかこの4人の映画には縁がある。特に一番縁があるのは山崎努だ。黒澤の「天国と地獄」の犯人役からはじまって、一連の伊丹作品など、最近でも「GO」「クロサギ」などこの人でなければ無理な作品に存在感を示す。本木は「しこふんじゃった」で、余は「ヌードの夜」で、広末は「鉄道員」がいずれも気になる作品だ。
そういう演技に酒田の風景が色を添える。それが料理のスパイスのように効いていく。美しい山、雪景色、花、さびれた町、白鳥のはばたきいずれもいい。
峰岸徹が出演して映画の中で亡くなっていく。あれ彼って実際にも死んだんでは?新聞で見た気がした。どうもこの映画の撮影ではすでにがんにむしばれていたようだ。映画で死んだ役をするとそのまま死んでいくことってよく目にする。先日取り上げた「情婦」でもタイロンパワーがそのまま映画のあと亡くなっている。岡田有希子事件からもう20年たつのかと思うと自分の年令を急に感じる。