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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「サニー 永遠の仲間たち 」

2015-09-02 09:03:28 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「サニー 永遠の仲間たち 」は2011年の韓国映画だ。

dvdショップで見かけていたけど、あまりご縁がない映画と思っていた。たまたま「怪しい彼女」に出ていたシム・ウンギョンが出ているという情報だけで、見てみたら意外にいける作品だった。


高校生の娘のいる平凡な主婦が、母親が入院している病院で高校時代の仲間に偶然出くわす。彼女ががんに侵されていることを知り、あわてて高校時代の仲間の消息を探しに行く過程を、高校時代の回想シーンを交えて描く。題名にある「サニー」は懐かしいR&Bの名曲。ボビーへブの原曲を父が大好きで、つられてボニ―Mのディスコ版もカセットに入れて車でよく聴いていただけに懐かしい。

優しい夫と高校生の娘に恵まれ、何不自由ない日々を送りながらも、どこか物足りなさも感じていた専業主婦のナミ。ある日、母の見舞いに行った病院で高校時代の親友チュナと再会する。彼女は、田舎から転校してきたばかりでイジメられそうになっていたナミを助けてくれた恩人。ナミはチュナがリーダーを務める仲良しグループ“サニー”の7人目のメンバーに迎えられ、永遠の友情を誓い合ったのだった。

それから25年、チュナはガンで余命2ヵ月となっていた。ナミは“死ぬ前にもう一度だけサニーの仲間たちと会いたい”というチュナの願いを聞き入れ、ある事件がきっかけで音信不通となっていた仲間たちの消息を調べるため、輝かしい青春時代を過ごした母校へと向かうのだったが…。




同窓会で再会して新たな恋がなんてパターンの話はときおり見かけるが、この映画はちょっと違う。特に女性が中心の話になると、金まわりのいい家庭へのそうでない家庭からの嫉妬話が中心になる。ここでもそれに近い部分はあるけど、25年前の高校時代を描く部分が鮮烈でずいぶんとちがう。

7人それぞれのキャラに個性があって実におもしろい。
親分格の長身のチュナがカッコいいし、いじめっ子がいかにもワルに徹底しているのが韓国らしい。
懐かしのメンバーでステップダンスを踊る「サニー」も抜群にいいが、ソフィーマルソーの出世作「ラブーム」のテーマ曲がナミが恋する場面で効果的に流れる。挿入歌の使い方が上手な映画だ。


印象に残ったシーン1
スケ番少女が自分の縄張りを確保するために、他の少女と対決するなんてシーンは日本の映画にも以前はあった。韓国版の女子高校生の抗争がここでは語られる。人の立ち寄らない場所に呼び出し、集団でケンカをする場面だ。それも普通の少女たちがにらみ合う。こういう少女同士のケンカって、日本の高校で、実際にあったのであろうか?自分は男だけにどうしてもピンとこない。こういう回顧談を取り上げるところは、暴力好きの韓国らしい気がする。
味方は↓


敵のグループはこんな感じ↓


印象に残ったシーン2
主人公のナミには高校生の娘がいる。ふとしたことからナミは他の女子高校生たちから娘が陰湿にいじめられているところを目撃してしまう。娘は母親には言えなかったのだ。そこでナミは再会した昔の友人たちをつれて、娘をいじめた女子高校生のグループへ仕返しにいく。中年のオバサンたちがつるんで蹴りを飛ばしたりするのだ。通報で警察が来てつかまってしまうが、さっぱりとした顔をしている。これも凄いシーンだ。さすがにこの復讐パターンは日本映画その他で見たことがない。


こんな話があったら、相手の親や学校が黙っていないだろうし、下手をすると娘の退学処分になる。テレビのワイドショーで取り上げられてもおかしくないよね。でも笑える。

印象に残ったシーン3
高校時代のナミは田舎から出てきたばかりで、方言丸出しだ。グループの中にはドンくさいナミに反発している女の子スジ(ミン・ヒョンロン)もいる。ナミは何で自分にだけ冷たくするの?と気になってそのスジの家にいく。するとお母さんが出てきてナミを大歓迎するのだ。お母さんは後妻だ。後妻とナミが同郷なので義母は大歓迎するが、娘スジは逆にそれがいやなのだ。いかにも意地悪い女らしい話だ。

追っ払おうとするスジだが、ナミを近場の屋台へ誘う。最初は飲めないというナミは恐る恐る韓国版オチョコで酒を飲むが、気がつくと泥酔。2人で飲みながら語り合う。このシーンが好きだ。ちょっと違うが、こんなスタイルで友達と高校生の時自分もよく飲んだなあ。


どんよりとした日本の屋台とは違って黄色や赤の韓国流原色カラーで非常に派手だ。2人が酔って語り合うここでの屋台の風貌が印象的で脳裏に残る。

(参考作品)
サニー 永遠の仲間たち
韓国のおばさんたちの回顧物語
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映画「最後まで行く」 イ・ソンギュン&チョ・ジヌン

2015-08-19 09:05:15 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「最後まで行く」は今年2015年公開の韓国得意のクライムサスペンス映画

これは抜群に良くできているクライムサスペンスだ。今年一番のおすすめである。


ひき逃げ事故を起こした警官がその死体をトランクの中に隠して逃亡する。葬儀があったばかりの母親の棺桶に入れ込んで免れたと思ったら、事故を目撃したという男から電話が入る。かなりしつこそうな奴だ。ドキッとする警官。
電話が入った時は見ている自分までドキッとした。
主人公を徹底的に追い詰める脚本がすばらしく、悪役も徹底的に怖い。サスペンスというよりもスリラーとかホラー的な怖さも備えている。

母の葬儀を抜け出した殺人課の刑事ゴンス(イ・ソンギュン)は、車で警察署へ向かっていた。急遽所内に監査が入ることになり、ゴンスは横領の証拠を隠そうとしていたのだ。しかし、夜道での無謀な運転が仇となり、通行人を轢いてしまう。


ゴンスはひき逃げを隠匿するため、死体を持ち帰り母の棺桶に入れて一緒に埋葬する。数日後、警察内部でこの被害者不明のひき逃げ事件の捜査が始まり、ゴンスが事件の担当となってしまう。そんななか、謎の男からゴンス宛てに電話が入り、電話口で「お前が殺したことを知っている」と囁く……。(作品情報より)

約2時間近く、ずっと目が離せない映画も珍しい。
次に何が起こるのか?!と期待させる。それもびくびくしながらだ。。



自分の母親の葬式当日にもかかわらず、本庁から監査が入ることになり、裏金をもらった証拠を見られたらやばいとあわてて所轄署にもどろうとする矢先に人をひいてしまう。あわててトランクの中に入れる。

そこからは、近くをパトロールするパトカー、飲酒検問する交通課の警官、所轄署を監査する本庁の警官などなど次から次へと主人公をドキッとさせる人物が現れ、いろんな事象がおきる。見ているこっちもドキドキしてしまう。

映画を年間200本前後毎年見ているけど、ドキドキ感がここまで続く映画って日本ではないなあ。母親が永眠している棺桶に、死体を運び込むときのドキドキ感もヒッチコックばりのスリリングな世界である。


でもこれだけではすまない。
「お前が犯人だ」といいきる人間が出てくるのだ。
ストーリーを面白くするために、登場人物しかもキーパーソンを増やす。途中まで全然出てこないのに突然出現する。

これが強烈だ。(ここから完全ネタバレ)

最初は姿を現さない。でも警察のそばの公衆電話から署に電話を掛けている男に気づく。この男が自分を脅迫しているのに違いない。その目撃者はタクシーにのって去っていく。懸命に追いかける。一瞬カーチェイスのモード。でもこの追いかけ方反対車線を逆走気味に走ったりやばいよね。でも逃してしまう。


そのあと、目撃者が警察署の中に入ってくる。
いきなり主人公を殴る。何なんだ!これもドキドキしてしまう。

そのあとは延々と目撃者と主人公の葛藤が続く。
抜群の面白さである。

目撃者の男を演じるチョ・ジヌン「容疑者X 天才数学者のアリバイ」「悪いやつら」などで見たことのある男だ。
でも顔つきが違う。目に軽いメイクをしていて、凶悪犯人のような顔つきに見させている。ケンカは強い。しかも不死身である。韓国映画って不死身な男が好きなようだ。この男は「危険な情事」のグレンクローズのように執拗だ。しかも悪さの限りを尽くす。


この映画での取っ組み合いはかなりマジだ。
どちらかというと、腕力に勝る目撃者のほうが主人公を懲らしめるけど、本気で殴ったり叩いたりしている。この本気度がヤバい。

(参考作品)

最後まで行く
近年最高の韓国クライムサスペンス


悪いやつら
黒社会の裏側を描く
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映画「愛のタリオ」 チョン・ウソン

2015-08-17 19:38:34 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「愛のタリオ」は今年2015年日本公開の韓国映画だ。


dvdジャケットをみたら何か面白そう.「タリオ」という言葉の意味を調べると、ラテン語で「被害者が受けたのと同種の害を加害者に加える処罰法」だという。いかにも復讐劇はクライムサスペンス映画の得意な韓国映画向きだ。
実際やることがかなりエゲツナイ。よくありがちなストーリーの流れだけど面白い。単なる復讐劇だけでなく、エロティックサスペンスというべき要素が強い。韓国映画としては割と大胆な濡れ場も用意している。飽きずに見れた。

ソウルの大学で不祥事に巻き込まれ、片田舎の講師として赴任してきた教授ハッキュ(チョン・ウソン)は、退屈な毎日に懲り懲りしていた少女ドク(イ・ソム)と、激しい愛に溺れる。


しかし、ハッキュは復職することになり、妊娠したドクを中絶させソウルへと戻ってしまう。 その後も、ドクからの執拗な連絡があり、ハッキュは手切れ金を渡して別れよとする。その話し合いの最中にドクの家が火事になり、耳の聞こえない母は死んでしまう。時を同じくして、ハッキュの度重なるスキャンダルが原因でうつ病にかかっていた妻が、娘の前で自殺する

8年後、ハッキュは作家として名声を浴び放蕩な日々を送っていたが、高校生になった娘のチョン(パク・ソヨン)は母親の自殺が父親のせいだと思い憎しみを抱く。そんな折、ハッキュは病気で徐々に視力を失っていった。全てを失いかけたハッキュの前に現れた女セジョン。


目がほとんど見えないハッキュはセジョンがドクだとは気づかず依存していく。そしてチョンもまたドクにある想いを抱くようになる。ドクなしでは何もできなくなってしまったハッキュ、そして二人の関係に気づき嫉妬をするチョン。三人の危険な関係の中、ついに全てを手中に収めたドクは、ハッキュを破滅に導くが…(作品情報より)

1.主人公チョン・ウソンと女にはまる構図
主人公は女子学生に手を出した疑いをもたれ大学から干されているようだ。縁のない地方に行き「小説の書き方」を教える講師になっている。
色男なので、色恋沙汰も多かったのか、妻は地方にいっても夫が浮気しているんじゃないかと気になりやきもきしている。そんな妻のいるソウルに主人公は戻りたがらない。そんなときに、地元の素朴な女の子ドクと知り合う。


耳の聞こえない母親と2人暮らしだった。彼女も教室に通うが、気がつくと2人の関係は急接近するのだ。
しかし妊娠、そして中絶する。

そんな時、女子学生へのセクハラ疑いが晴れて、大学の教壇へと戻ることになる。妻に恋愛感情は残っていないが、娘のこともありすぐには別れられない。離れたところにいるドクからは執拗に連絡がある一度肉体関係になると、相性の合うカップルは中絶しても、なんだかんだで元に戻ることが経験的には多い気がする。気持ちが高ぶるのは仕方ない。
手切れ金をもってドクの元に向かう主人公が別れようと言葉を発するのに動揺しているうちに、調理中の火がカーテンに燃え移り、火事を起こしてしまう。母親は火に巻き込まれる焼け焦がれてしまう。

妊娠中絶と男の身勝手な別れ方は実話としてよくある話だ。自分も50代にもなるまで、同じような話は何度も聞いた。
渡辺淳一は小説「北都物語」で、札幌に単身赴任している支店長が夜のバイトをしている学生に惚れてしまい、デートを重ねるが、妊娠し中絶する物語を書いている。渡辺はあっけらかんとしていた彼女があっさり別れてくれるという構図に持っていく。話のネタのために浮いた話が絶えなかった渡辺らしい持っていきかただ。でもここではそうはさせない。

恨みを加害者に向けるのである。
ここでヒッチコックの「めまい」カーティスハンソン監督の「ゆりかごを揺らす女」を意識したような流れに持っていく。

2.復讐劇
ドクは主人公のすぐ隣に住む。(すぐ近くに住んでしまうのは「ゆりかごを揺らす女」と同じ)まずは娘と親しくなり、視力が落ちている主人公に接近する。面倒を見るようなふりをするが、視力が回復しないように眼科医師をたぶらかして治療させる。
しかも、ギャンブル好きの主人公を賭博場に連れて行って、派手に賭けさせる。負けた時には、月利45%で借入させ博打を続けさせる。


小説家として大量に印税が入るのにもかかわらず、ドツボってしまう。しまいには借金の形にヤクザまがいの金貸しに娘を提供させられてしまう。金貸しグループは娘を眠らせ、船に乗せて日本に連れて行こうとする。

この程度だったら日本映画でもよく見る動きだ。
ここからはちょっとひねりがある。
「目には目を」という形に対して、それに対抗してもう一発復讐を入れる。娘である。

(これからは完全ネタバレなのでやめるけど。。。すごいね。そのあとがもっと面白い)

3.チョン・ウソンの濡れ場
男前チョン・ウソンは鍛えているせいかおなかの筋肉がすごい。さぞかし、そそられたご婦人方もいるだろう。この映画で見せるイ・ソムとの濡れ場が割と大胆、惜しげもなくヌードになっているイ・ソムも開脚全開で、本当にしているが如くの動きを見せる。

(参考作品)
愛のタリオ
韓流エロティックサスペンス
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映画「ソニはご機嫌ななめ」 ホン・サンス

2015-06-29 05:13:27 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「ソニはご機嫌ななめ」は2013年の韓国映画だ。


ホンサンス監督が2013年ロカルノ映画祭で監督賞を受賞した作品ということでdvdを見てみた。
ちょっと変な映画だ。普通の女の子なのに年上の男性たちを自由奔放に手玉に取る場面を中心に映しだす。同じような会話を酒場でそれぞれの相手に繰り返す。比較的単調でいつもの韓国映画のようなドラマティックなストーリーの動きがない。韓国の若者が普通に酒を飲みながら交わす会話がこんな感じなのかなと思えば、社会勉強にもなるかもしれない。何でこんなのが監督賞と思うけど、よほどいい映画がなかったのであろう。

ソニ(チョン・ユミ)はアメリカ留学の推薦状を頼むため、チェ・ドンヒョン教授(キム・サンジュン)に会いに久しぶりに大学を訪れた。教授が自分に好意を寄せていることを知っている彼女は、良い推薦状を書いてくれるようにしむけるのだった。


さて次は先輩の元カレのムンス(イ・ソンギュン)。大学からの帰り道に偶然出会い、チキン屋でソニは、自分たちの恋愛話を映画に使ったとクダを巻く。でもどこか憎めないソニ。


さてさて3人目は、映画監督のジェハク(チョン・ジェヨン)。彼もまた先輩、街角でソニと偶然再会し、酒を飲み、そのまま夜のキスシーン。


ソニと彼女に気がある3人の男たち。しかし、自分たちの言葉を、本当のところ彼女がどう思っているのかわからない。男たちの間を猫のようにするりとすり抜けるソニ。彼女をめぐる四角関係が始まった!!(作品情報より)




男性陣は他の韓国映画で見たことあるメンバーがそろっている。チョン・ジェヨンは矢沢永吉そっくりなんで特に印象に残る。
その中でモテ女を演じるチョン・ユミは他の韓国整形美女たちに比較すると割と普通。ずうずうしく教授に推薦状の書きなおしなんて頼んだりしてね。でもこういうタイプの女の子って日本にも結構いる気がする。それに加えての韓国人らしい挑発セリフである。さしで飲んで、焼酎を何杯もお代わりして、両方ともベロベロになった時に交わす言葉がなんかおかしい。妙に反復で構成して計算してつくっているようにみえるけど、真意はよくわからない。普通だ。
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映画「怪しい彼女」

2015-01-25 08:54:31 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「怪しい彼女」は2014年の韓国版ラブコメディ映画だ。


70才のおばあさんが突然若返り20才の娘時代に変身してしまう話である。
昨年公開されておもしろそうなので行こうとしたが、やっている映画館が少ない。しかも早めに上映終了でアウト。DVD化され早速みた。過去にタイムスリップする映画は多いが、他の映画にありそうでない既視感のない展開である。20才に戻っても、普通のドラマがそのまま続いていく。韓国らしさをプンプンさせるところもいい。なかなか楽しめた作品だ。

主人公マルスン(ナ・ムニ)は大学教授の息子ヒョンチョル(ソン・ドンイル)夫婦と姉と弟の孫と暮らす70歳のおばあさんだ。


口うるさいので嫁からは嫌がられている。ある日、のけ者にされたと1人町を歩いたマルスンが青春写真館という奇妙な写真館を見つける。若い頃を振り返りながら写真を撮ってもらったマルスンが、外に出て自分の姿にみると、20歳の頃にもどっていた。
マルスンは驚き、家に戻れなくなった。頭はチリチリのばあさんパーマだったので金を下ろして大好きだったオードリーヘップバーンを意識した髪型に変えてもらい、ブティックで若い娘が着るような服を買いまくる。


昔からの腐れ縁であるパクさん(パク・イナン)のところへ行って、下宿させてくれと頼む。当然名前は名乗れないのでオ・ドゥリ(シム・ウンギョン)と名乗ることにした。
若返ったにもかかわらず、よくいっていた老人用の集会所へ行き、今までのようにカラオケで歌を歌ったら大喝采。その時偶然2人の若い男がそれを聞いていた。1人は孫のジハ(ジニョン)でもう一人は番組プロデューサーのスンウ(イ・ジヌク)だった。当然祖母であることを隠して孫と話したら、ジハにボーカルをやってくれないかと頼まれる。そのままバンドでボーカルを務めることになったオ・ドゥリは、いつのまにか人気者になってしまうのであるが。。。


松竹の人情物を唐辛子漬けにしたような肌合いをもつが、基本はアメリカ流ラブコメかなという印象だ。韓国映画界の映画人はアメリカ映画の影響を受けていることが多い気がする。

主人公マルスンはいろんな恋をする。腐れ縁のおじさんに惚れられているばかりでなく、番組プロデューサーと今までしたことのない恋に浸っている。祖母と知らない孫からも狙いを定められている。こんな思いをするのも楽しいよな。それだけでなく、葛藤もある。嫁との対立だけでなく、腐れ縁のパクを慕うおばさんがライバル心を抱いている。まあ忙しいこと。1人二役はよくある話だけど、同時に老若の同一人物の話は少ないかもしれない。

1.変身願望
韓国が整形大国であることはあまりにも有名だが、変身願望もあるのかもしれない。孫のジハが自分の家にオ・ドゥリを連れてきたときに、ジハの姉が「どこで整形してきたの?」とすぐさま言うセリフがあること自体韓国らしい。でもこの映画っておばあさんたちにも受けるだろうなあ。韓国の70歳くらいの人たちって旧日本占領下に生まれ、朝鮮戦争を経験し、少なくとも1960年代後半くらいまでは貧しい人が多かったろうから、楽しい青春を過ごした人ってかなり限られているんじゃないだろうか?それだけにこんな青春時代を送りたかったという思いは日本の同じ世代よりは多い気がする。


2.オ・ドゥリのキャラ
この映画のおもしろいのは、変身してもマルスンのキャラが変わらないことだ。老人だったマルスンのままに変身したオ・ドゥリがしゃべりまくる。電車の中で大声を出して、隣に座っている妊婦にちょっかいを出す場面には笑える。自分より若い女の子にいちいち乳児の扱いやおっぱいの飲ませ方を言われても妊婦もやってられないよね。韓国語はいかにも喧嘩っぽい喋り方に聞こえるが、オ・ドゥリのノリがいかにもオバサン韓国女性だ。


3.遊園地
映画を見ていて、夏の設定なので「サマーランド」のような遊園地に行く場面がある。このシーンにはかなりビックリした。大波を起こしたプールもそうだけど、ウォーターライダー系の刺激的な乗りものが満載だ。妙に慎重な日本では絶対!!あり得ないようなちょっと危険そうに見えるものが多い。調べたらビバルディーパークというらしいがこれは凄い。

外国映画のコメディ系は日本ではあまりヒットしない。韓国映画も「猟奇的彼女」を除いてはたぶんそうだろう。もう少し宣伝うまくやれば、とてつもなくヒットした気がするけど、むずかしいのかなあ。

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韓国映画「殺人の疑惑」 ソン・イェジン

2015-01-03 08:32:37 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「殺人の疑惑」は2014年日本公開の韓国得意のクライムサスペンス映画だ。


韓国には「韓国三大未解決事件」と呼ばれている事件があるという。その中の一つが「イ・ヒョンホ誘拐殺人事件」である。昨年日本公開の「悪魔は誰だ」はこの殺人事件が題材になっている。別の「華城連続殺人事件」はサスペンスの大傑作「殺人の追憶」で映画化されている。今回は「悪魔は誰だ」とは視点をかえてその誘拐殺人事件を題材にしている。

自分の父親が誘拐事件の犯人ではないかという疑いを抱き、真実を求めて動き出す女性の姿を、「私の頭の中の消しゴム」「四月の雪」のソン・イェジン主演で描く。韓国クライムサスペンスはどれもこれもよくできている。この作品も観客を幻惑させようとストーリーを振りまくる。結末作りもお見事であるが、満点というわけではないなあ。


15年前、韓国全土に衝撃を与えた「ハン・チェジン君誘拐殺人事件」が起きた。世間では、公訴時効を目前に控えて「ハン・チェジン誘拐殺人事件」の話題で持ちきりである。大学卒業を控えた主人公ダウン(ソン・イェジン)は、マスコミ系への就職活動をしている。就職の面接でそのテーマを尋ねられるかもしれないので、「犯人の肉声」を入れ込んだ映画を後輩とともに見にいった。犯人の肉声を耳にしたダウンは、父親スンマン(キム・ガプス)の声とよく似ていることに気づく。しかもしばしば聞いたことのあるフレーズだ。

その後、母親の祭壇の前で父と二人で拝礼している時、突然訳のわからないことを話して家の中を荒し回る男シム・ジュニョン(イム・ヒョンジュン)が現れ、スンマンに対してカネを要求し始めた。横で見ているダウンはあぜんとする。目の前で、「娘に知られてもいいのか?」と父親が脅かされる様子を見て、娘が調べはじめる。警察官志望の後輩ジェギョン(イ・ギュハン)を通じて、警察に自分の父親と死んだ母親の名前を伝えて、何か情報がないかと調査依頼した。


そこで父親が前科三犯であることと、母親がまだ生きていることがわかる。ダウンは驚いた。母親の住所あてに訪ねていくとそこには先日家で大暴れをしたシムがいた。寝たきりになっている母親をシムが面倒見ていたのだ。ダウンは母親の母子手帳を探しだして、自分が生まれた産婦人科の院長のところへ行く。その院長は誘拐された子供の父親だったのだ。そこで院長から犯行時に犯人が書いた1枚のメモをもらう。そこに書いている文字は子供が書いたものだ。しかも、ダウンはその文字に見覚えがあり動揺するのであるが。。。

韓国は熱血刑事が犯人を執拗に追うといったストーリーが好きなようだ。韓国版「容疑者xの献身」も探偵ガリレオが追うのではなく、熱血刑事が追う展開になっていた。この映画でもその後父親が呼ばれて取り調べを受けるが、いつものパターンとは違う。今回の証拠は「犯人の肉声」だ。「声紋鑑定」が「悪魔は誰だ」でもポイントになる。でもどちらかというと、韓国警察のだらしない部分ばかりが目立つ。


誘拐の被害者である父親(産婦人科の院長)が被疑者であるスンマンを警察で殴ってしまう。すると、スンマンは頭を打って意識を失ってしまうのだ。暴力好きの韓国ではこれが是認されるのであろうか?殴った本人は別に傷害で捕まるわけではない。何もなかったような顔をしている。しかも、娘のダウンにもつかみかかる。こんなこと日本ではないでしょう。日本の常識ではありえないけど、韓国では誰も不自然に思わない現象なのかと思った。
他にも昔の日本ならあり得るけど、今はないだろうという暴力描写の場面がいくつもあった。

あとは映画の中で剣道をやっている場面がでていた。これにはビックリした。柔道はともかく剣道を韓国人が今もやっているとは知らなかった。剣道の胴着で名前の書いてあるところは漢字で書いてあった。今の韓国では漢字を見ることが少ない。自分の名前を漢字で書けない人もいるんじゃないかなと思うんだけどどうかな?

それは別として、脚本のゆさぶりが相変わらずうまいのはさすが韓国クライムサスペンスだ。いったん結末をつくっておいても二重三重に観客の目をごまかそうとするのはお見事。残念ながらこのレベルまで日本のサスペンス映画は達していない。

(参考作品)


殺人の疑惑
父親を殺人犯と疑う
悪魔は誰だ
同じくイ・ヒョンホ誘拐殺人事件を題材にしている傑作(参考記事)


殺人の追憶
未解決事件「華城連続殺人事件」を題材


チェイサー
韓国クライムサスペンスの最高傑作(参考記事
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映画「メビウス」 キムギドク

2014-12-13 05:22:35 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「メビウス」は韓国の鬼才キムギドク監督の新作、早速映画館で見てきました。


キムギドク監督の前作「嘆きのピエタ」は2013年では自分の№1だった。待望の新作ということで見に行ったが、なんとセリフがない。字幕もない。しかし、うめき声、叫び声など人間の肉声は発っせられる。そしてここまでやるかという位、キムギドクらしい残虐なムードが漂う。
前作と違い、これは傑作だという感覚はない。1つの実験としてキムギドクが挑戦したという印象だ。一人二役のイ・ウヌの演技には驚く。

両親と息子3人で暮らす家族があった。夫(チョ・ジェヒョン)は外に女をつくっていた。携帯の着信音をきいて、夫から妻(イ・ウヌ)が携帯を奪い取ろうとして大ゲンカしている両親を息子は冷ややかな目で見ていた。嫉妬に狂った妻は、夫の性器をナイフで切り取ろうとする。しかしあえなく失敗すると、母親はなぜか矛先を息子に向け、性器を切ってしまい、そのまま家を出ていってしまう。


病院で応急処置をしてもらうが、排尿はできる状態だった。しかし、不完全だ。学校のトイレで同級生におしっこが靴に漏れているのを気づかれ、3人がかりで脱がされて、ペニスがないのに気づかれてしまう。以来イジメを受けるようになる。
雑貨屋で働く父の浮気相手の女と父親は事件後接触しないようにしているが、逆に息子の方が接触する。
雑貨屋の近くで再び同級生たちにズボンを脱がされそうになった時、あやうく年上の不良グループによって助けられる。しかし、その不良グループは、父の愛人に色目を使い、そのまま輪姦してしまうのです。


その場に居合わせた息子はチンピラ達と一緒に逮捕される。
自分のせいでこんなことになってしまったと父親は罪悪感を覚えて、留置所にいる息子に別の快感を感じる方法を教えようとするのであるが。。。

まず、息子の性器を切ろうとする母親の動きを見て、気分が悪くなった。思わず目をそむけてしまう。この時の母親の狂気にみちた表情がすごい。実に薄気味悪い。その後、妻が家を飛び出してしまった後は、夫が浮気した女を中心にストーリーが展開する。広末亮子によく似たかわいい女の子だなあと思っていた。ところが、しばらくして妻が帰宅する。化粧を落としたその顔は浮気相手と同じ顔じゃないか!!!
恥ずかしながらそこで初めて、一人二役ということに気づいた。

このイ・ウヌという女優の演技力は凄い。キムギドクが執拗に激しい演技を要求しているのであると思うが、それに応えている。
ただ、彼女が見せるバストはどうみても不自然な形をしていて、自分には整形しているんじゃないかと見えるんだけど。。。

1.男の快感
父は自分の足を石で傷つける自傷行為の苦痛で快感を得るという話をネットで発見する。そして自分でも試し、息子にも教えるのだ。おいおいこんなんで気持ちよくなるのかよ?!と思ってしまう。当然試すつもりはない。痛そう


留置所からでて息子は再び父の女のところへいく。息子と女は抱き合うが、女が息子の背中に思いっきり刃物を突き刺す。血があふれて卒倒してしまうんじゃないかと思ってしまうが、自傷行為で快感を得る息子は違う。彼女が背中に刺した刃物をグリグリさせて興奮しているのだ。こういう変態ぶりが続いていく。このあたりはキムギドクの真骨頂だ。

2.近親相姦
息子の性器がないことを憐れんだ父親が、自分のものをカットして、息子に整形することを思いつく。そして手術が成功する。しかし、エロい動画をみても、アソコは少しも反応しないのであった。そんなとき、母親が帰ってきた。母親は息子の性器をカットしたことを後悔していたはずだが、息子に性器があることに気づき、驚く。その際まったく反応しなかった息子のアソコがエレクトしてしまうのである。母親は興奮する。
そして息子に性的行為を迫るのである。父親は懸命にガードしようとするが、母親の性欲は収まらない。すごいテーマだ。




いつも問題作をつくるキムギドクがまたまたやってくれたという印象、気味は悪いが一見の価値あり。
ただ、最後の場面の意味が今もよくわからない。
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映画「幸せを呼ぶミナの文房具店」

2014-11-02 21:11:33 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「幸せを呼ぶミナの文房具店」は2013年の日本未公開韓国映画だ。


ジャケットの雰囲気に魅せられてレンタルした映画である。病気で倒れた父親の代わりに故郷の文房具屋を営むことになったアラサ―女性の物語である。コメデイタッチで進むが、じんわりとハートに響く場面もあり、個人的には楽しめた。

主人公カン・ミナ(チェ・ガンヒ)はソウル近郊都市の公務員として、税金徴収に当たっている正義感あふれる独身女性だ。その取り立ては厳しく、住民との軋轢もあり、2か月の停職処分を受けてしまう。そんな時、田舎の父親カン・ポングン(チュ・ジンモ)が病に倒れたという知らせがあった。しかも、父親には借金もあるようだ。停職を機に田舎へ帰ったら、父親が営んでいる小学校前の小さな文房具店は古ぼけたままだった。ミナはこの店をきれいさっぱり売り払ってしまおうと決心していた。


一方、新任教師チェ・ガンホ(ポン・テギュ)が文房具店の前の小学校4年生の担任として転任してきた。小学校は自分の母校なので、思い出に浸っている。うっかりおもちゃの手錠をはめるが、鍵がないことに気づく。
朝、ミナが店を片づけていると、小学生たちが、やっと再開したと店になだれ込んできた。あれこれ品定めしているが、ミナはいい加減に子供を扱うし、売ろうとする気力もない。


すると、店の買い手を不動産屋が探してきた。ミナが子供にぞんざいな態度で接しているので、子供たちが店から遠ざかっているのを買い主がみて、店に寄りつくようにしてほしいと言いだす。ミナは一転、店の品物を売りきってしまおうと子供たちと仲良くしようとするのであるが。。。

主人公の子供たちに接する態度がひでえなあという場面が続く。何もこんなに子供たちを扱わなくてもいいのにと思っていたら、徐々に子供たちとの友情が芽生えてくる。新任教師チェとクラスの問題児やその他のいじめっ子との触れ合いやそこに絡むミナのふるまいがいい感じで、しんみりしてしまう場面がでてきた。最後の運動会にかけての展開は非常によかった。


おそらく監督は子供の扱いがうまいのであろう。出てくる子供はみんな好演で、不自然さがなかった。特にいじめられっ子を演じていた少女はきっといい俳優になるだろうと感じた。

1.町の文房具屋
日本も韓国も商店事情は大して変わらないんだなあと映画を見て思った。
自分が通った小学校の前にも、同じような文房具屋さんがあった。昭和40年代だったので、この映画のロケに使ったお店とたいして古さは変わらない。映画の文房具屋でも駄菓子を売っていたが、自分が行っていた店にもあった。当時1円単位で売っていたような気がする。それにしても、こういうお店ってなくなったなあ!品川の実家近くの商店街にも文房具屋は4軒くらいあったけど、いまや店は全部別形態の店に変わっている。


実家近くの文房具屋はみんなオジサンがやっていて、中には子供の自分から見てイヤな奴もいた。ここでは女性の店主だ。こういうコミュニケーションあふれるお店っていいよね。本屋も文房具屋も万引きがつきものだけど映画でも万引きが1つのテーマになっている。貧乏で授業に必要な笛などが買えないので、万引きしてしまうといった話だ。韓国社会の縮図的な話もここにはずいぶんと出てくる。

2.暴力描写
主人公ミナが税金未払いの家へ行って、取り立てようとしたらバケツの水を浴びせられる。おいおいこんなことって日本じゃありえないよね。韓国は許されるの??その上、主人公は怒り狂って、役所の軽自動車を未払いの家の車にぶつける。復讐だ。
あとは、至る所で暴力描写が目立つ。転任してきた教師のもとへ、子供の親が来て暴力をふるう。しかも、身に覚えのないことだ。傷害罪じゃない。まだまだ韓国では暴力が寛容とされているのであろうか?

回想シーンを交えたノスタルジーなムードが実に心地良い映画であった。
見てよかった。

幸せを呼ぶミナの文房具店
ほのぼのした子供との交流
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韓国映画「レッドファミリー」 製作脚本キムギドク

2014-10-19 10:35:39 | 映画(韓国映画 2019年以前)
韓国映画「レッドファミリー」を映画館で見てきました。
これは面白い!



キムギドク製作脚本なのに、気付かなかった。まずは外れのない監督だから見に行くしかない。
彼の作品となると、同じ韓国映画でも観客が多い。座席の空きがないくらいの状態だ。

キムもリュックベッソンのようになったのか、脚本製作に徹して、メガホンは他の監督に任せる。今回は新人だ。南北問題を題材にした映画は数多いけれど、高度なスパイものよりも楽しめる。

仲がよくて、うらやましいと隣人に言われる理想の韓国の一家があった。祖父(ソン・ビョンホ)、夫(チョン・ウ)、妻(キム・ユミ)、娘(パク・ソヨン)の4人家族だ。

 
彼らは北朝鮮のスパイ「ツツジ班」であった。昼間は家族でドライブしたが、軍事地域を撮影する任務だった。家に入りドアを閉めると妻は豹変する。形相を変え祖父の足を蹴りあげる。妻役のベク班長(キム・ユミ)は、祖父役のミョンシク(ソン・ビョンホ)と夫役のジェホン(チョン・ウ)の些細な失敗を叱責する。娘役のミンジ(パク・ソヨン)も一緒だった。

隣家に同じような家族が住んでいた。家ではいつも怒鳴りあっていた。班長は「まさに資本主義の限界だ」と毒づく。「我ら朝鮮は決して堕落してはならない」という班長は訓示する。嘆いてばかりの祖母、自己中心的な夫、料理一つ出来ない浪費家の妻、そんな両親に敬意の欠片もない息子のチャンス─隣の韓国人一家は、どうしようもないダメ家族だった。

ツツジ班には、当局から脱北者の暗殺指令が下り、それを履行するのが任務だ。
その功労にたいして勲章も与えられた。彼らの任務はすべて監視されている。失敗すれば、母国に置いて来た家族の命が危ない。4人は何よりもそれを恐れていた。


そんな時、隣家から、祖母の誕生パーティに招かれ、渋々応じる4人。なぜか班長がグイグイとワインを飲み、酔っぱらってしまう。帰宅した班長は自分も今日が誕生日だと打ち明け、「あんなに言い争う家族が、妙にうらやましい」と漏らす。夫亡き後、ただ一人の家族である娘が、堪らなく恋しくなったのだ。


翌週、ミンジの誕生日だと聞いた隣の家族が、今度はワインとケーキを手に押し掛けて来る。学校でイジメられているチャンスをミンジが助け、二人は互いに好意を抱いていた。ニュースを見ながら北を批判する隣の家族に、ついムキになって反論する4人。最後にミンジは「南北両国が心を開いて話し合うべきだ」と主張、一家を盗聴する党の人間にマークされてしまう。

そんな中、ジェホンの妻が脱北に失敗したと聞いた班長は、大手柄を立てて彼女を釈放させようと考え、“転向した反逆者”である北朝鮮の元将校を独断で暗殺する。ところが、彼は北に機密を送る、重要な二重スパイだったが。。。。


北朝鮮のスパイ
彼らの立場のつらさが鮮明に出ている。もともと当局の指示に対して、忠実に暗殺業務を請負っていたのに、手柄を立てようと命令にない脱北者を暗殺してしまう。実は二重スパイだったのだ。彼らは消されるしかない。でも隣の家族を全員殺すなら命だけは助けてやるといわれる。蓮池さんが帰国した時、監視の朝鮮人たちがいた。結局あまりに公衆の面前だったので、監視が蓮池さんたちに危害を与えるなんてことなかったけど、公でなければ監視によって始末されるしかない。


普通は追手を次から次へと殺して脱北するなんて場面も予想されるけど、彼らには祖国にいる家族という「人質」がいるのである。自分が逆らったら家族が処刑を受ける。こうなると、展開が予想できなくなる。キムギドクはどういう風にラストに持っていくのかが気になった。最後に向けて、こうするしかないという結末かと思いしや、1つだけ光を与えた。救いがあった。

キム・ユミもパク・ソヨンもなかなかの美形だ。北朝鮮のスパイというと、美人が演じるのが定番になっている。芯の強い役柄で、そのきりっとした美形がはえる。2人とも今後の作品を追いかけたい。

特にパク・ソヨンに注目した。

隣の長男は同じ年代だ。彼は同級生からカツアゲをされたり、イジメにあっている。そのいじめの場面にさっそうと現れて、いじめっ子をボコボコにする。痛快だ。隣の奥さんは高利貸しの取り立てで責められている。家に乱入して、取り立てしようとしている。その仕打ちに対しても、持ち前の格闘術でやっつける。こういった痛快な場面をつくるのがキムギドクらしくないともいえる。

そういえば4人スパイの親玉が、裏町の小さな工場にいる。この場所「嘆きのピエタ」に舞台になった場所みたい。ここでの話もなかなか面白かった。

観客の多さにはちょっとビックリだ。最後に向けて、ハンカチを目にあてている女性も目立った。
観客の中には在日の人たちも割といるだろう。特に北朝鮮の人たちはどういう気持ちで見ているのかが気になった。
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映画「ファイ 悪魔に育てられた少年」 

2014-10-05 08:38:45 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「ファイ 悪魔に育てられた少年」は2013年日本公開の韓国映画だ。


子供のころに誘拐され、殺人強盗集団の男たちに育てられ、ワルの能力をもった少年の物語だ。
チェイサー」「哀しき獣で強烈な印象を残したキムユンソクが出ているとなると、みるしかない。強盗集団のリーダーを演じている。ここでも期待通りの活躍である。ロードショーで最近見た「悪魔は誰だ」は、韓国映画にしてはちょっと生ぬるい印象をもった。この映画は次から次へと人が死んでいく。ワイルドでいかにも韓国らしい。

17歳のファイ(ヨ・ジング)は幼少の頃、ソクテ(キムユンソク)ら極めて凶暴な5人組の強盗団に誘拐され、その後、親を知らずに17歳となった現在に至るまで、殺人強盗集団のカリスマリーダーであるソクテ、心優しい運転手ギテ、インテリのジンソン、スナイパーのボムス、攻撃的なドンボムこの5人を父と呼び育った。ファイは高い絵描きの才能を持ちながら、犯罪スキルを徹底的にたたき込まれた。

ある日立ち退きに応じないある夫婦の殺害を命じられた5人は、ファイを連れて夫婦の家にいく。ファイは忍び込んだ“獲物”の家で不思議な感情にとらわれるのであるが。。。


1.キムユンソク
チェイサーのホテトル経営者で強烈な印象を残して、哀しき獣で朝鮮族マフィアの親玉を演じた。映画「哀しき獣」での不死身ぶりにはドキドキしてしまった。2つの映画で共演したハ・ジョンウとともに韓国クライムサスペンスには欠かせない存在である。キムユンソクのイメージというのはひたすら強い!!と印象だ。ここでもその期待を裏切らない。ちょっと考えられないストーリー展開には彼のハチャメチャさが必要となる。


2.カーチェイス
ファイが車を運転する。当然無免許だろう。でも運転テクニックは父親の一人に徹底的に鍛えられているから、警察車両をまくなんて芸当はお手のものという設定だ。そのカーチェイスぶりが凄い。至る所に重機が置いてある工事中の道路を滑走する。ここまで障害物のあるカーチェイスも珍しい。ワアー!!ぶつかるなんてこちらに思わせながら、走りぬく。すげー


3.残虐なストーリー展開
男児誘拐事件を起こした犯人グループは、身代金受け取りに失敗して逃走する。その子供ファイを育てるのだ。そして彼が大きくなった時、侵入するのがファイの親の家だ。こういう設定自体がえげつない。途中でファイは気づく。でも彼はそれまでにその家で残虐な行為に携わっているのだ。5人の父親だけでなく、捜査に関わった警察など登場人物の関与がどんどん増えていく。この映画の設定はちょっときつい。
映画が終わった後に、ファイを演じたジングは精神鑑定をさせられたという。それはよくわかる。いくらなんでもここまでやるかというストーリー内容だ。そのえげつなさが韓国クライムサスペンスの凄味なのだろう。
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映画「テロ,ライブ」 ハ・ジョンウ

2014-09-26 20:17:26 | 映画(韓国映画 2019年以前)
韓国映画「テロ,ライブ」を映画館で見てきました。
「悪魔は誰だ」とダブルヘッダーで見た。見る前は「テロライブ」より「悪魔は誰だ」の方が面白そうだったが、結果的にはいかにも韓国映画らしいのは「テロライブ」だ。


ハ・ジョンウの顔が前面に映る映画ポスターを見ると、衝撃的な作品の映像が脳裏を走る。「チェイサー」の変質殺人者で強烈な印象を残した後「哀しき獣」で中国朝鮮族の不法侵入者を演じた。釜山のやくざの黒幕役だった「悪いやつら」北朝鮮のスパイを演じた「ベルリンファイル」でも安定した活躍を見せた。韓国得意のクライムサスペンスには欠かせない存在となっている。

ポスターでは、アナウンサー役のようである。事前情報はあまりいれずに見に行く。密室劇のようだ。ヒッチコックにしても閉鎖空間の「ロープ」だけは肌が合わない自分からすると、一つの場所で繰り広げられる設定は苦手である。それでもCGによる爆破場面が連続して映され、次から次へと続く爆弾テロの首謀者との電話会話を実況中継するという設定が面白く。90分間飽きずに見つづける。

かつて国民的な人気を誇っていたアナウンサーのユン・ヨンファ(ハ・ジョンウ)は、不祥事を起こしたためにテレビ局からラジオ局に左遷となっていた。テレビ局に勤める妻とも離婚して不遇の状態だった。
視聴者の声をインタビューするラジオ番組の生放送中、突如電話の相手は、この電話を切ったら漢江にかかる橋を爆破するという。その場は、いたずらだと思い「やれるものならやってみろ」と相手にしていなかったが、電話を切った途端に大きな爆音が聞こえて、外を見ると橋が爆破されていた。


ヨンファは電話口に出た男による爆破テロだと確信する。警察に通知しなければ、もう一度自分あてに電話がかかってくると考えると確かにかかってきた。自分のテレビキャスター復帰に向けてチャンスとにらんだユンは、犯人との通話の独占生中継と引き換えに自分をテレビ局へ復帰させるよう報道局長(イ・ギョンヨン)に持ちかける。


犯人は独占放送するなら21億ウォンをよこせと交渉してくる。いくらなんでもと思ったら、結局会社がそれをのむ。
以前建設作業員だったという犯人は、無残に死んだ人たちへ大統領からの謝罪を要求する。犯人とのやり取りを進めるうちに、ヨンファは自分が装着しているイヤフォンに小型爆弾が仕掛けられていることを知るのであるが。。。。

この映画のあとになるが、韓国で修学旅行の高校生を大量に載せた船が転覆した。船長がいきなり乗客をおいて脱出するという行為に驚いた。日本人から見ると、あきれ返ってものが言えない状態だ。

この映画でもその無責任さと足の引っ張りあいがクローズアップされる。左遷、汚職というと日本にもある世界だけど、韓国や中国と比較すると比べ物にならない。

1.視聴率
テレビ局にとっては、何よりも視聴率が一番大事だ。それ自体は、日本と同じだ。テロの犯人は、金をくれないなら別の放送局に話をまわすよと脅かす。局はすぐさま受けてネット送金する。日本だったらありえないけど、大統領が次から次へと辞職後汚職で逮捕される韓国ならありえそうなことだと思ってしまう。報道局長も今視聴率が50%になったとか、70%を超えたと興奮しながらユンの実況を駆り立てる。でもこの報道局長は自分のことしか考えない。


2.予測がつかない韓国映画
自分が一番凄いと思っている韓国映画は「チェイサー」である。「殺人の記憶」も凄い迫力だが「チェイサー」のストーリー展開には仰天した。本当に救いようのない展開である。これもそれに近い部分もある。普通物語の定石をたどれば、主人公を散々な目にあわせて、これ以上ない悲惨な目にあわせても最後は救う。ところが韓国のクライムアクション映画は、ありきたりの結末にはしない。だからむちゃくちゃ面白い!!

3.監督は警察嫌い??
主人公は最初警察に言わずに、犯人の肉声をオンエアーしようとする。初動が少し遅れてしまう。それでも、事件であるからテロ対策の専門家や警察庁長官がしゃしゃり出てくる。それでも大統領を出せといい続ける犯人だ。


ここではテロ専門家や警察庁長官をまったく活躍させない。おそらく、監督兼脚本のキム・ビョンウは警察が嫌いなんだろう。それが肌で感じられる。まったく警察をあてにしていないようだ。
それにしても、監督は韓国映画独特の無情さや残虐さを十分わかっている感じだ。次から次へと登場人物を消しゴムみたいに消していく。いやー!ワルだな、監督は。

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韓国映画「悪魔は誰だ」 キム・サンギョン&オム・ジョンファ

2014-09-26 06:28:07 | 映画(韓国映画 2019年以前)
韓国映画「悪魔は誰だ」を映画館で見てきました。


韓国のクライムサスペンス映画の水準は極めて高い。
残念ながら、このジャンルについては日本映画が韓国の水準まで達していない。作品数も多い。日本の推理小説家の作品も次々韓国で取り上げられているくらいだ。
この映画も評判がよさそうだ。韓国映画ベスト3に入る傑作「殺人の記憶」に出ていたキム・サンギョンも出演している。足が自然と映画館に向く。

15年前の誘拐殺人事件が時効になる寸前に、犯人らしき男が現場周辺を動く気配がある。担当刑事は懸命に捕まえようとするが失敗する。ところが、まったく同じような手口を使う誘拐事件が起きるのである。何から何まで一緒で、身代金の受理場所まで同じなのである。犯人はいったい何を考えているのか?

ハギョン(オム・ジョンファ)は15年前の誘拐事件で幼い娘を失い、犯人が見つからない中、自らも長年情報を集めていた。事件の担当刑事チョンホ(キム・サンギョン)は、事件が公訴時効を迎えるにあたりハギョンのもとを訪ねるが、犯人逮捕を願っていた彼女は、やりきれない怒りをチョンホにぶつける。


時効まで残り5日と迫ったその日、事件現場を訪れたチョンホは、そこに手向けられた1輪の花を見つける。現場の監視カメラを調べると、深夜に何者かが花を置く姿が映っていた。チョンホは、それらの手掛かりを元に捜査を再開する。時効まであと数時間のところで犯人を視界に捉えるが、追跡も及ばず再び取り逃してしまう。結局事件は時効を迎え、責任を感じたチョンホは刑事を辞めることを決意する。そんな折、新たな誘拐事件が発生。


その犯行の手口は15年前のものと酷似していたが。。。(作品情報より)

結果としては、韓国クライム映画らしい残虐さが薄いと感じた。最近日本でも話題になっている幼児の殺人事件がテーマで、誘拐もからむ。謎解きの部分もあり、誘拐のトリックとしてはうまいとも感じる。でも15年後に同じ時間に兵隊さんが同じ電車に乗ったりする??


韓国映画らしいハチャメチャさに欠けている。日本でつくられているサスペンスのような肌合いで、自分には物足りない映画であった。ただ、キム・サンギョンとオム・ジョンファは悪くはない。

ツッコミいれたくなる。
1.犯人が時効寸前に自分が捕まるようなところ行く??
15年の時効寸前に犯行現場に花を添えるなんて、捜査対象になってもおかしくないはず。
こんなバカなことってする?

2.車種を特定して、犯人らしき不審者を見つける。これを普通取り逃がすか??
犯人らしき人間がのっている車種が特定され、街で発見される。刑事は追いかける。でもこれって応援を頼んでもいいんじゃない。いかにもヒッチコックの「海外特派員」における傘の群れのような場面を導き出して犯人が逃げやすいような設定にしているけど、普通であれば逃げられないよ。

3.真犯人あんなに機敏に逃げられる?
時効前の動きといい、第2の事件の時といいこの真犯人かなり運動神経がいいように描かれているが、とてもそうは見えないんだけど。街の路地裏を走りまくったり、列車の下に潜り込んだりするのは、若くないとできないでしょ。この間、兵庫の県会議員が報道陣のカメラに追いかけられて懸命に走っていたっけ。でも老人くさかったなあ。この真犯人は機敏だよ。


最後は日本的浪花節でしめようとする。
これって韓国映画らしくない。この間の沈没船の話でもわかるけど、韓国人には自分だけよければいいという人が多い。ある取引が介在したけど、この結末のようになる人っているの?しかもあの面会ってありうるの?

色々言ったけど、映画を見ている途中に真相はわかっていなかった。先入観なしで見た人は予測がつかなかっただろう。
トリックも各種用意されていてなるほどうまいなあと感じた作品ではあった。

(参考作品)
殺人の疑惑
同じイ・ヒョンホ誘拐殺人事件が題材になる


悪魔は誰だ
トリック満載のクライムサスペンス


チェイサー
韓国クライムサスペンスの最高傑作(参考記事)
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韓国映画「新しき世界」 イ・ジョンジェ&チェ・ミンシク

2014-08-27 05:21:27 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「新しき世界」は2014年日本公開の韓国サスペンスアクション映画だ。
いつもながら韓国のアクション映画のレベルは高い。
この映画の出来も出演者の顔ぶれから十分推測できたが、凄まじかった。傑作である!


結末ばかりでなく、途中結果も観客の予想を裏切る方向にストーリーを進める。
何度も「うーん」とうなった。
そして結末に持ち込むが、予測を何度も裏切られたので最後まで息がつけない。
実にお見事である。

韓国最大の犯罪組織ゴールドムーンの理事であるイ・ジャソン(イ・ジョンジェ)はゴールドムーンの幹部である華僑の兄貴分、チョン・チョン(ファン・ジョンミン)の右腕として働いている。しかし、ジャソンの正体は、カン課長(チェ・ミンシク)に潜入捜査を命じられた警察官だった。彼の正体を知るのは、カン課長、連絡役のシヌ、コ局長の三人だけだ。


ジャソンの心は次第に、警官の職務遂行と同じ中国系韓国人である兄弟分チョン・チョンとの絆の間で揺れ動き、苦悩するようになっていた。そんなある日、ゴールドムーンの会長であるソクが交通事故で急死し、後継者争いが勃発する。争いはソクの右腕だったジェボム組出身のイ・ジュング(パク・ソンウン)と、元北大門組組長のチョン・チョンとの一騎打ちと目される。カン課長はジャソンの情報を元に、組織解体作戦に動き出すが。。。。

ともかく残虐だ。
韓国アクション映画の基本を離れない。いきなりリンチを受けている男が出てくる。結局殺され、ドラム缶に入れ込まれ、海の中に捨てられるわけだが、こういう人間が何人も出てくる。
しかも、一瞬でピストルで殺されれば死人も楽なのに、徹底的なリンチで自白させられての仕業である。
いやー韓国の奴らはどぎつい。

1.ライバルの争い
先代のボスが亡くなったあと、跡目争いが繰り広げられる。日本でも田岡三代目山○組組長が亡き後、派手な争いがあったのは記憶に新しい。
№2はいるが、最近は勢いがない。№3のチョンチョンと№4のイ・ジュングの争いだ。


チョンチョンに近い筋に潜入警官ジャソンがいる。2人の争いに絡んでくるのがカン課長率いる警察部隊だ。
ここに登場する人物は多すぎず、少なすぎない。それぞれに独自の役割を演じ競るので、ストーリーが変幻自在に顧客の予想を裏切っていく。

2.潜入警官
香港映画「インファナルアフェア」があまりにも有名だ。麻薬捜査で潜入する話はいくつも転がっている。この作品ではジャソンが10年潜入していることになっている。№3のチョンチョンと兄弟分という設定だ。それでも、密かに警察のカン課長と人影のない釣堀で会ったりしている。情報は美人情報員から伝わる。長い間ヤクザな世界に入り込んで、もうどっぷりはまっている。


その彼の苦悩が映画全体に流れるテーマだ。
「ハウスメイド」で主人公を手篭めにするご主人様を演じたイ・ジョンジェだ。

3.中国系韓国人チョンチョン
見た感じはチンピラ上がりのヤクザだ。ヤクザのトップともなると、礼儀正しい人間が多いが、真逆だ。東映のやくざ映画で言うと「仁義なき戦い」第2作にでてきた千葉真一演じる狂犬のように激しいテキヤ大友を連想させる。中国語を自由に操る。中国にいる乞食のような連中を連れてきて、殺しの仕事をさせる。
そのチョンチョンが側近にしか教えていない自分の居場所情報を警察そして指揮するカン課長が知っていたことに気づく。何で知っているのか?そこでカン課長を徹底的に調べろと顧問弁護士に指示する。そこで初めてある事実が判明する。腕利きの中国人ハッカーに警察のネットに侵入させるなんて調べ方が本当にありえそう。

4.警察のカン課長
「悪魔を見た」の凶悪犯人「悪いやつら」の元悪徳税関職員のワルでのチェ・ミンシクの活躍は記憶に新しい。今や韓国アクション映画には欠かせない存在となっている。


ここでは、ベテラン刑事を演じている。警察トップとつるんで、潜入警官の存在を知っているごく少ない存在だ。ヤクザ組織を撹乱させ、崩壊に持ち込むのが目的である。はっきりと言われていないが、たたき上げ刑事で臭い仕事に手を染める存在ということだろう。ここでも次期ボスの候補である№2、3,4それぞれに絡んでいく。懲らしめたり、味方にしたりで縦横無尽に捜査をあやつる。

5.話の展開(少しネタばれ)
この映画の面白さは脚本と展開の絶妙なうまさだろう。
潜入捜査がこの映画のテーマなので、ヤクザ組織にどっぷり入り込む潜入警官ジャソンを中心に展開する。そして、ジャソンには何度もあやうい場面が出てくる。それこそ、「もはやこれまで」というような場面が何度も。。。そのたびごとにひやひやする。予想する結果にならないので、緊張感が高まる。未知のものに対する不安な気分が自分を興奮させる。


そして最終形に向う。
「物語の定石」でいえば、途中幾度となく苦難の道を歩んでいても、元の世界に戻って幸せな人生を歩むというのが基本だ。ところが、そうならない。韓国映画で出来のいい映画はみんなここで一歩踏みはずす。途中予測できないわけではないが、一筋ではいかないので、そうならないと勝手に思ってしまう。
うまいなあ
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映画「母なる復讐」 ユソン

2014-04-24 19:32:51 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「母なる復讐」は今年日本公開された韓国映画

サスペンスものでは、日本映画はどうしても韓国のどぎつい描写には勝てない。
話題になる韓国映画はついつい見てしまう。テーマはレイプ犯罪である。実話に基づくようだ。
未成年の青年による犯罪が韓国で急増しているらしい。被害を受けながら、泣き寝入りに近い話があるようだ。
モラルに欠ける韓国人らしい話である。ムカムカしながら最後まで見てしまった。緊迫度は高い。

ソウルが舞台、夫と離婚したユリム(ユソン)は、一人娘の高校生ウナ(ナム・ボラ)と新生活を始める。そんな中、ウナは転校先の学校で、男子生徒チョハン(ドンホ)に恋心を抱く。チョハンは一年落第しているという。不良じみたところがあるが、ウナは魅かれた。

ある日の放課後、ウナはチョハンにプレゼントをあげようとメールをする。学校の屋上が待ち合わせ場所に指定された。ルンルン気分で会いにいった。2人だけのはずが、後ろから仲間の不良たちが現れる。力づくでウナを暴行する。不良たちはその場面を動画で映していた。病院で傷ついた娘の姿を見て母は怒りに燃える。

犯人はすぐさま警察に検挙された。性犯罪の判例は被害者に不利であり、刑事も上司から示談で済ますように指示される。母の元には不良たちの家族が来て、示談話を持ちかけた。ところが、加害者にもかかわらず相手の母親たちの態度は横柄で腹を立てたユリムは罪を受けるのは当然とばかりに訴訟を起こす。

ところが、判決は少年法に守られ、チョハンは証拠不十分で無罪、その仲間も保護観察処分となる。罪の軽さに2人は落胆する。ウナはチェロのレッスンも休んで無気力状態に陥った。
そのウナの携帯に顔が映っている暴行現場の動画が送られてきて、こちらに来ないと動画をネットにアップするぞと脅かす。ウナはそのことを母親に言わず、不良のたまり場に1人で向うのであるが。。。

最低の話だ。レイプ映画はどの映画を見てもつらい。
ただ、これは日本とはちがう倫理観を持つ韓国ならではの映画とも言える。

映画を見て「何でこうなるの?」と思わせる部分が多すぎる。
もし、この話が本当だとすると、被害者も脇が甘いといわざるを得ない。

疑問(ネタばれなので注意)
1.何で相手先に1人で出向くのか?娘も母親も
復讐をしようと、不良の元へ出向く。でも所詮は女だ。1人じゃ男の腕っ節にかなうわけがない。
人に相談する余裕はなかったのか?(それで離婚という設定にしたのかな?)

2.レイプ画像を母親に見せたくなかったのか?画像を警察に見せたらそれで終りじゃないか?
レイプ画像が来てアップするぞと脅迫されたとき、親に見せたら警察に訴えて終りだと思う。保護観察処分だから相手の居場所もわかっているはず。確かに高校生くらいのときは、親にいいづらいことを黙って行動するってこともあるかもしれない。でもこうなるのかなあ?

3.娘が死んだあと、携帯に残っているメールを母親が見るのが遅すぎる。
お互いのプライバシーということはあっても、こうなった以上もう少し娘の携帯の着信を気にしてもいい気がする。
普通このタイミングで見るかなあ?

.刃物で相手を刺すのではなく、ピストルが用意できれば一発でしとめられるではないか?
「嘆きのピエタ」「息もできない」などで韓国の雇われチンピラが出てくる。目には目をではないが、この映画に出てくる不良たちを懲らしめる方法がある気もするんだけど。。
車を使った始末だけは理にかなっている気がしたけど

5.韓国の法律はそんなにレイプに甘いのか?
確かにこの判決は納得がいかない。ずいぶんと甘いねえ。
こんな奴ら野放しにしてしまうのか?イヤー怖い怖い。韓国には行けないよなあ。

6.実話に基づくというが、この被害者と同じくらいバカな話だったのか?
被害者の受けた犯罪を軽く見るわけではないが、相手に復讐しようとしても、こんな脇が甘いようじゃどうにもならない。不良に向って女一人で対抗できるのかと思っているのだろうか?いくらなんでもこれは創作だよね。でも創作だとしたら、ちょっと女2人をバカにしすぎといった印象

7.犯罪起こした少年の家宅捜査ってないの?
動画事件も普通であれば、家宅捜索でパソコン、携帯等が押収されてわかってしまうはずだ。何もしないのかな?
韓国警察のザルぶりが露呈されるってこと?それとも脚本が稚拙?

8.ラスト
このオチもわからない。銃の狙いは何も相手の心臓でなくてもいいじゃない。

突っ込みが多い映画であった。ドキドキはしたけど
こういう映画は高校生に見せた方がいいかも。道徳の時間なんかで

母なる復讐 女子高生強姦事件
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映画「悪いやつら」

2014-01-22 07:57:58 | 映画(韓国映画 2019年以前)
映画「悪いやつら」は韓国の黒社会の攻防を描いた映画だ。

ハ・ジョンウとは相性がいい。一連のキムギドク作品で存在を知ったが、「チェイサー」の異常な凶悪犯には唖然とさせられた。「哀しき獣」では一転して中国居住の朝鮮族の男がソウルで彷徨う姿を演じた。最近の「ベルリンファイル」での北朝鮮スパイ役も鋭い演技で一作ごとに役柄の幅を広げている。この作品では日本のやくざを思わせる彫りを身体中に入れた極道者を演じる。それでもなかなかスマートで頭の切れる極道の親分である。

チェ・ミンシクは「悪魔を見た」の異常殺人犯役が凄かった。いかにも韓国映画らしい気違いである。この2人がジャケットに写っていればまあ見ておこうということになる。

1982年の釜山が舞台だ。
元悪徳税関職員のチェ・イクヒョン(チェ・ミンシク)の悪さ加減をまず映し出す。しかし、当局ににらまれて賄賂でクビになった。途方にくれていたとき、親戚から裏社会の若きボス、チェ・ヒョンベ(ハ・ジョンウ)が遠縁であることを知らされる。年長だということでヒョンベはイクヒョンを立てる。裏にヒョンベがいることと公務員時代に培ったコネで裏社会で儲け話をとっていく。もともとは臆病なイクヒョンは腕っ節の立つヒョンベとその子分の威光だけが頼りだった。2人は結束して一気に釜山を掌握する。しかし、1990年にノ・テウ大統領が組織犯罪を一掃する「犯罪との戦争」を宣言したことをきっかけに、2人の間には次第に亀裂が生じてゆく……。

韓国は大統領が次から次へと汚職で逮捕される国である。
今回の一人の主役は元税関職員である。
港町釜山は日本に最も近い貿易港だ。その荷積みに絡んでポケットマネーを得ていた。
法を逸脱する中で生き延びている多くの男たちと公務員、警察、検事などの悪いやつらが絡み合う。
警察官の一部は捜査情報をピックアップするして裏社会側に伝えるし、仮に捉えられても賄賂で検事をおさえる。
深作欣二監督笠原和夫脚本の名コンビによる傑作「県警対組織暴力」の前半と同じような展開である。
組織犯罪追放が盧泰愚大統領によって宣言されると、あの映画で言えば梅宮達夫が登場した後のような動きに変わる。
日本、韓国と国は変わっても犯罪組織の趨勢は同じような流れなるのかもしれない。

裏切りに次ぐ裏切りというのはヤクザ映画の定番である。昨日の敵は今日の友というような最後の最後まで覇権争いが続く。ただ東映での深作欣二の一連の傑作と比べると若干弱いかもしれない。この映画の緊迫感はそれほどでもなく、テンポが普通に感じてしまう。もう少し身体に電流が走るような刺激がほしい

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