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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「敵」 長塚京三

2025-01-19 16:56:18 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「敵」を映画館で観てきました。


映画「敵」筒井康隆の原作を吉田大作監督が長塚京三主演で作ったモノクロ作品だ。妻に先立たれた一人暮らしの77歳の元大学教授の日常を描いている。瀧内公美と紅白歌合戦の審査員までやった河合優実が登場する。2人とも何度もブログで取り上げたので気になってしまう。老人の日々の衣食住を丹念にカメラが追っていく。

渡辺儀助(長塚京三)は仏文の元大学教授で戦後間もなく建てられた広い古家に住む。妻(黒沢あすか)に先立たれて一人暮らしだ。まめに自分で料理をつくる。麺類が好きだ。書斎にはたくさんの本があり、軽い連載とときおりある講演依頼だけ受けている。修繕が必要な築年数なので、教え子が時折直してくれる。
教え子の女性鷹司靖子(瀧内公美)が相談を兼ねて尋ねてくると親身になって話をするし、デザイナーの湯島(松尾貴史)と立ち寄ったバーで働く仏文科の女子学生(河合優実)の境遇に関心を持つ。ひとときの安らぎだ。
そんな渡辺のパソコンにある時から「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくるようになり気になってしまう。


元教授のマメな日常を描くと同時に、ある時点から現実と虚実が交差して戸惑う老人をカメラが追う。
自分も徐々に年齢を重ねると主人公の動静が人ごととは思えない筒井康隆は63歳の時にこの小説を書いたという。映画の途中まで、朝起きてから食事をつくって食べて余暇を過ごすところまで日常の生活を淡々と追っていく。電話連絡があるのは雑誌社の編集者からのようだ。人付き合いは多くない。預貯金があと何年持つかを計算しながら生活する。住むのは縁側のある古い日本家屋だ。子供がいない。見栄はなさそうだ。ぜいたくもしない。でも、教え子が来ることがわかるとワインを用意して準備万端だ。仏文の大学生がつくバーにもいく。そのくらいの金は問題ない。遺言書も用意している。


思ったよりも紆余屈折は少ないと思ったら、最終局面に向かって精神状態が安定しない状態を映し出していく。映像は現実と悪夢を交差させる。瀧内公美が来てごちそうとワインを振る舞うが、現実の場面かどうかをはっきりさせないシーンが続く。私としたいならハッキリ言ってくれればよかったのに。1人で私を思い浮かべてしているの?と言われてしまい苦笑する。黒沢あすか演じる亡くなった妻と主人公との幻のやりとりも増えていく。私以外の誰も愛さないと言ったじゃないかと虚実の元妻に責められる。もしかして、自分ももう少し歳をとるとこんな風に妄想に悩まされるのかと気になってしまう。


やはり30代半ばの瀧内公美がよく見える。この年齢って特に魅力的だ。主人公を頼りにする教え子の設定だ。元部下の女性がこんな感じで接してきたらどうなっちゃうんだろうと要らぬ妄想を自分が思い浮かべる。いけない、いけない。バーでバイトする女子学生河合優実とモリエールなどのフランス人作家の話をしている時が楽しそうだ。自分もそんな文学談義がしたくなる。でも、結局は主人公は騙されてしまう。


土曜日大学の部活のOB会が母校の食堂であった。現役1年生から80歳まで多数出席していた。ちょうど自分よりひとまわり上の先輩とこの主人公が同世代だ。ビジネス界で活躍された先輩たちも卒業以来OB会であっているが、横で見ていて年々歳をとっていくのがよくわかる。現実と虚実が交差しているようには見えなかったが、少しづつ老いが進展しているようだ。自分は恐れず老いを受け入れたい。
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映画「ブラックバード、ブラックベリー、私は私」エカ・チャヴレイシュヴィリ

2025-01-15 20:00:06 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「ブラックバード、ブラックベリー、私は私」を映画館で観てきました。


映画「ブラックバード、ブラックベリー、私は私」ジョージア映画。ジョージアの女性作家タムタ・メラシュヴィリの原作小説を同国の女性監督エレネ・ナヴェリアニが映画化した。東京やパリオリンピックの柔道でジョージアという国の名前を聞いて最初は知らないなと思ったけど、旧ソ連のグルジアである。あえて地図を見るとトルコの北側で黒海に面する場所に位置する。多分一生行くことはないだろう。

スルーの予定が日経新聞の映画評で日経編集委員古賀茂樹5つ星をつけている。過去の古賀氏の5つ星映画はいずれも自分には相性が良かった。好感度を持った書き方をしても星3つが多い古賀氏にはめずらしいので気になる。フェミニスト映画に見えるけど違うという古賀氏の言葉を信じて映画館に向かう。

ジョージアの小さな村で日用雑貨店を営み、静かに暮らしている独身の中年女性48歳のエテロ(エカ・チャヴレイシュヴィリ)は、ある日ブラックベリー摘みの最中、ブラッグバードに見とれて崖から足を踏み外し転落してしまう。何とかひとりで崖から這い上がったエテロが見下ろすと、村人たちが自分の遺体を濁流の川から引き揚げていた。
自分の店に戻ると、配達員のムルマンが洗剤を持って来て商品を棚に並べていた。エテロはムルマンの首筋をじっと見つめて胸にすり寄り、脱いで男にまたがった。彼女はそのまま人生で初めて男性と肉体関係を持ったのだ。そして、その時を境に彼女の運命が変わる。


アキカウリスマキ監督の映画が持つ素朴な肌合いなのに女性の大胆さに驚く
意外な結末には思わず声を上げてしまう。

室内のインテリアのブルー、イエロー、グリーンの使い方がフィンランドのアキ・カウリスマキ監督作品に類似している。一部のおしゃべり女は別として無表情で朴訥な人が多い。ジョージアの田舎の素朴なムードがいい。

最近の48歳の一般日本女性にはきれいな人が多い。見慣れているので、この主人公エテロを見ていると50代はおろか60代にも見えてしまう。しかも太めである。映画に登場するジョージアの若い女性は美形だらけで意図的に対照感をだすとまで思えてしまう。

クチの悪い村の女性たちから更年期だよとからかわれる。エテロは母親を若くして亡くして、父と兄と暮らしていた。今は小さな日用雑貨店を営んでいる。昭和ならともかく今や日本ではほとんどないお店だ。こんな品揃えで利益が出るんだろうかと余計な心配までしてしまう。


日本にも大勢いる人の噂やカゲ口を趣味にして生きているご婦人たちから一歩距離を置いてマイペースに暮らす。いい感じだ。そんなエテロが死に損なった臨死体験から突如性に目覚めて身近な配達員に色気を出す。妻がいて孫までいて幸せそうな男に家族がいることなんてどうでもいい。ただひたすら性的に積極的になるのだ。自慰のシーンもある。女性陣が感想を寄せる映画解説ではまったく想像もしなかった展開である。

日本では脱ぎっぷりの悪い女優陣が目立つ一方で、先日のスイスを舞台にした「山逢いのホテル」もそうだったが、欧州では熟女たちのヌードが目立つ。お世辞にもそそられることはない乳首やヘアも露わにしたヌードで、相手の男はポコチンの竿まで出してしまうとはビックリだ。性的に目覚めるのを映像で示したかったのであろう。配達員のムルマンとはひっそりと逢引きを重ねていくが、あることで転機を迎える。同時に女性特有の疾患にかかった症状が出て今後の人生について考えてしまうのだ。

いったいエテロがどうなってしまうのか心配した途端に「え!」となってしまう。観客の中には予測できる人がいたかもしれないが、ヘタなミステリー映画よりも自分は驚いた
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映画「孤独のグルメ」 松重豊

2025-01-12 18:47:43 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「孤独のグルメ」を映画館で観てきました。


映画「孤独のグルメ」はTVでおなじみの「孤独のグルメ」を松重豊が主演のみならず監督脚本も担当する映画作品だ。「孤独のグルメ」で紹介されたお店に行くのは自分の楽しみのひとつで、娘も引き連れていくことも多い。比較的中華系が多いけど、先日も麻婆豆腐や羽付餃子がおいしい池袋の四川料理屋「楊」に娘と一緒に行くと、「孤独のグルメ」のポスターが貼ってあった。そろそろ公開だなと待っていた。ただ、TVを毎回見る人はご存知だが、松重豊がお店に入る前はとってつけたようなストーリーだ。いったいどうやって映画化するんだろうなあと思っていた。

輸入雑貨商を営む井之頭五郎(松重豊)は、かつての恋人の娘である松尾千秋()からの頼みを受けパリを訪れる。千秋と共に彼女の祖父・一郎(塩見三省)を訪ねると、五島列島出身の祖父から「子供のころに飲んでいたスープをもう一度飲みたい」と、そのスープの食材探しを依頼される。まず故郷の五島列島を訪れた五郎は役場や手がかりになる場所をまわって食材探しを始める。


予想以上に楽しめた。巧みにまとめた松重豊に感動。
ドキュメンタリーともとれる毎回のストーリーの良いとこどりをするのかと思っていたら違う。正直言ってストーリー展開はあまりに都合よく出来過ぎだが、松重豊へのご祝儀と思ってTV版を楽しむ観客たちは許してしまうだろう。ここでストーリーの都合のいい流れに観客は任せてもらいたい思いだ。

パリのエッフェル塔や凱旋門をバックにした松重豊が映るのも見慣れずに奇妙に感じる。でも市中でお腹が空いて高級フレンチというよりお手頃そうなビストロを見つけてしまうのがいい感じだ。外から客がロールキャベツを食べているのを見つけて入って食べるオニオンスープもおいしそう。その後に出てくるビーフブルギニヨンが絶品だと感じる。いつもながらの松重豊の独白で食感がわかる。

いきなりここでグイッと寄せられる。日本の洋食屋ではこのメニュー名で見ることは滅多にない。牛肉のワイン煮で出される。TVでは毎回じっくり松重豊が食べる姿を追うが、映画なので的確な長さにとどめる。長身の杏と並んでもバランスがとれる松重豊はさすがに背が高い


瓦屋根の家が立ち並ぶ五島列島で食材探しをする。郷土の海産物の名前が次から次に出てくる。いかにも土地の食堂「みかんや」に入ってチャンポンを食べるのがいい。具がたっぷりでおいしそう。個人的には天草で食べたチャンポンが人生でいちばん好きだけど、長崎の街中は本場だけに良かった。


この後、誰が見ても不自然な展開となる。ツッコミどころ多数でもそんなのは許してしまっていい。クレジットの2番目に内田有紀がいるけど、なんと出会うのが韓国だ。内田有紀のまわりはみんな韓国人女性というのも予想外の展開である。そこでも、松重豊は葉っぱに鶏やエビを包んで韓国料理をおいしそうに食べる。そして、韓国の港近辺にある食堂に入ってのパフォーマンスもいい。ネット情報では、「孤独のグルメ」韓国でも人気だそうだ。しっかりと韓国での興行収入を狙うところは抜け目がない。


松重豊のインタビュー記事で伊丹十三「タンポポ」に影響を受けたと語っているのを映画を見終えた後に読んだ。ラーメン屋を舞台にした「シェーン」だ。ここから先のストーリー展開は控えるが、オダギリジョーはコロナ禍で経営不振となったラーメン屋店主だ。フレンチシェフ出身であえてラーメン屋をやったけど、今や細々とチャーハンだけしかつくらない。

その店によくくる客が磯村勇斗で、実は「孤独のグルメ」に似せたグルメ番組のプロデューサーだというオチまである。松重豊に対応する俳優が遠藤賢一だ。最後は同じようなエンディングをたどる。思いのほか良かった。
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映画「エマニュエル」オードレイ・ディヴァン&ノエミ・メルラン

2025-01-10 20:50:31 | 映画(フランス映画 )
映画「エマニュエル」を映画館で観てきました。


映画「エマニュエル」はフランスの人気女優ノエミ・メルランがエマニュエルを演じる香港を舞台にしたフランス映画だ。自分が青年時代にシルビアクリステル演じる「エマニュエル夫人」の衝撃映像を観ているし続編も観た。女性の性の目覚めがテーマでタイのロケ映像が脳裏に残る。今回は「あのこと」でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞したフランスの女性監督オードレイ・ディヴァンというのも気になる。2022年公開の作品では文句なしの5つ星作品で望まぬ妊娠をした女の子を追うカメラワークが良かった。

主演のノエミ・メルラン「燃ゆる女の肖像」から脱ぎっぷりがよくずっと追っていて「パリ13区」では黒人男性とのきわどい絡みもあった。しかも、「マルホランドドライブ」でやさしいバストトップを見せてくれ主演作も多かったナオミワッツがでて自分が好きな香港ロケとなると初日から行くしかない。


ホテルの品質調査の仕事をするエマニュエル(ノエミ・メルラン)はオーナーから依頼を受け、香港の高級ホテルに滞在しながら査察をすることになった。ランキングが落ちたことが許せないオーナーは経営陣のマーゴ(ナオミ・ワッツ)を懲戒解雇できる理由を見つけるようアラ探しを命じる。しかし、サービスも設備もほぼ完璧である。ホテルの監視室の従業員(アンソニー・ウォン)から監視映像を見せてもらい裏側を調べはじめて怪しげな常連宿泊客と交流を重ねるようになる。

香港を舞台にして視覚的に大満足の映画だった。
香港のどこのホテルかわからないのが残念だが、アジアンテイストのインテリアが素敵なホテルでエマニュエルはビクトリアハーバーが見渡せるスウィートに滞在する。ゴージャスな部屋で、プールサイドのシーンもある。ガラス越しに香港のビルのネオンがきらびやかに映るバーのシーンもいい感じだ。まだまだ香港健在とわかりうれしい。

最後に向けて、エマニュエルが猥雑な香港の裏町に入っていくシーンもいい感じだ。広東語が飛び交う会員制秘密麻雀クラブや多国籍な面々が踊る怪しげなクラブに入ったり、裏町角の屋台のような場所で中華を食べながら強い酒(白酒かなあ?)をエマニュエルが飲み干したりメイクラブするシーンを見ていると香港に行きたくなって居ても立っても居られない気分になる。


1974年の「エマニュエル夫人」ではバンコクの外交官夫人が性に目覚める設定で、アヘンを吸う怪しげなエリアのシーンに展開して行った。性に目覚める意識という面では前作の方が強い。ヘア解禁のずいぶん前でぼかし映像だらけである。約50年前だけにタイも今と比べるとバリバリの発展途上国でまだ怪しさが残っていた。今回は香港の裏街角が映っても都会的なムードが前面に出る。

ノエミメルラン美しい乳首を見せるだけでなくキレイにカットしたアンダーヘアも全開だ。いきなり飛行機内のファーストクラスのトイレでいたしてしまうシーンでスタートしていき、怪しげなプールの常連客ゼルダ(チャチャ・ホアン)が男性客を誘惑して小屋でファックするのを見せつけられて刺激される。ゼルダとオナニーの見せ合いもするのだ。


それにしても、メジャー俳優の一歩手前くらいまでになったノエミメルランも毎回大胆な絡みシーンが多い。最後に向けての絡みは下手なAVよりも視覚的にも聴覚的にも刺激たっぷりだ。ナオミワッツも久々に脱いでくれたらと思ったけど、50代後半だからなあ。


オードレイ・ディヴァン監督は「あのこと」同様にノエミメルランを抜群のカメラワークで追っていた。映画情報の中でのオードレイ・ディヴァンの性に関するコメントはかなり刺激的なので一読をお勧めする。
『あのこと』を撮影した後、私は自分自身にこう言いました。「痛みを描けるなら、悦びも描けるかもしれない」と。女性のオーガズムを適切に表現する方法を見つけるのには時間がかかりましたとの発言はすごい。お見事である。

ただ、ストーリーだけをとると変化球が効かずにイマイチと思う人もいるだろう。自分のように香港を楽しめればいい人物からすれば別に構わない。世間の批評は手厳しいが、周囲の声に流されている印象を持つ。日本人特有の同調性か?
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映画「I like movies アイライクムービーズ」

2025-01-04 08:49:52 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「アイライクムービーズ」映画好きのカナダの高校生を主人公にした青春ストーリー。監督は本作で長編デビューしたチャンドラー・レヴァック。先月のポパイの映画特集で表紙になっていた。この正月見たい映画がない。その中で目を引いたのがこの映画で選択する。うーんまいった。という感じだ。


カナダの田舎町で暮らすローレンス(アイザイア・レティネン)は映画が生きがいの高校生。社交性がなく周囲の人々とうまく付き合えない彼の願いは、ニューヨーク大学でトッド・ソロンズから映画を学ぶこと。唯一の友達マットと毎日つるみながらも、大学で生活を一新することを夢見ている。

ローレンスは高額な学費を貯めるため、地元のビデオ店「Sequels」でアルバイトを始め、そこで、かつて女優を目指していた店長アラナなどさまざまな人と出会い、不思議な友情を育む。しかし、ローレンスは自分の将来に対する不安から、大事な人を決定的に傷つけてしまい……。(作品情報引用)


期待はずれのイマイチな映画だった。
映画好きでビデオショップでバイトをするとプロフィールはクエンティンタランティーノを想像した。いわゆる映画オタクで映画作品が固有名詞でドンドン出るかと思ったら違う。レンタルビデオショップで別のお客さんがソフトを探しているのに割り込んでオススメはとでしゃばる予告編を見て期待していたのに、結果的にはそんなオタクイメージがなかった。ビデオショップの女店長が好きな映画がジュリアロバーツ主演の「マグノリアの花」なのに見ていないと主人公が言った時点で、思わず「え!マジかい」てな感じだった。主人公のプロフィールも全く共感が持てない。なんだこいつと思いながら退屈な時間を過ごした。

結局のところ,第一志望のニューヨーク大学には入れずに奨学金がもらえる大学に行くことになった。父親が自殺して母子家庭、なので、それはそれでよかったけれども,本人は失望していた。


そんな主人公が大学に入る前に偶然ホットドックを食べに入ったカフェで店長に出会う。その時大学に入ったときこうしたほうがいいよとのアドバイスで「人の話をよく聞け」と言われる。これまでできていなかったのだ。その後大学の寮に入ったシーンで、仲間に質問を連発して実行しているところを見たときには、少しは嫌気が軽減された。

どうも幸先が良くない。年末Netflixで「イカゲーム2」を見た。面白かった。そっちの感想を書いたほうがいいと思うが、人気作品なのでネタバレになってしまうからしばらく経ってからにする。

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映画「正体」 横浜流星&吉岡里帆

2025-01-02 19:37:02 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「正体」を映画館を年末観てきました。


映画「正体」は染井為人の原作ミステリーを藤井道人監督が横浜流星主演で映画化した作品だ。ずいぶん前から予告編が何度も流れていた。変装しながら逃げ回る横浜流星を見て、外人女性殺しの市◯容疑者を連想した。極悪犯罪人なんだろうというイメージだった。なんかイマイチのれないなあと感じて公開後観ていなかった。

ところが、年末になり年間ベストをピックアップすると藤井道人監督の「青春18×2」が今年の日本映画でもっとも自分の肌に合う作品だと改めて思った。藤井道人の近作「正体」を敬遠していたのは片手落ちだと感じた。まだロードショー中の「正体」を観る気になる。結果的には正解だった。予告編のイメージと違った。

日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。潜伏し逃走を続ける鏑木と日本各地で出会った沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)そして彼を追う刑事・又貫(山田孝之)。


又貫は沙耶香らを取り調べるが、それぞれ出会った鏑木はまったく別人のような姿だった。間一髪の逃走を繰り返す343日間。彼の正体とは?そして顔を変えながら日本を縦断する鏑木の【真の目的】とは。その真相が明らかになったとき、信じる想いに心震える。(作品情報 引用)


横浜流星が出ずっぱりの上質なエンタメ作品である。
年末何気に紅白歌合戦を見ていたら審査員席に横浜流星がいるではないか。いよいよ映画での活躍が認められてきたのかなと思ったら、今年の大河ドラマの主役のようだ。あと審査員席には河合優実もいるし、司会の伊藤沙莉ハスキー声も聞けて映画で顔なじみの連中を見れてうれしくなった。出演リストには知らない歌手だらけで見るのをやめるつもりなのに意外に良かった。


いきなり主人公は刑務所内で自傷の大けがをして救急車で運ばれる。搬送途中でクルマから脱走する主人公を映す。死刑囚の脱走で世間では大騒ぎだ。捕まえようと懸賞金まででる。その後粗悪な労働環境の工事現場に長髪の浮浪者風に変装したままいたり、見つかりそうになった後はフリーのライターになって編集者の吉岡里帆と知り合う。

予告編で吉岡里帆が出ていて、犯罪を犯す前に知り合っていたのかと思ったら違う。ライターとして期限も守りまじめな主人公がネットカフェ暮らしとわかって助けてあげるのだ。脱走して逃亡中の死刑囚と途中で気づき、本人に確かめると自分はやっていないと主張する。途中から冤罪の物語だとわかっていく。

実はツッコミどころはたくさんある。逃亡中工事現場に入り込むとはあり得るとしても、ライターになったり、その専属契約を結んだり、介護施設の職員になったりすることってあり得るのかな?と思ったりすることだらけだ。最後の人質捕物帳も大げさだ。それでも観れてしまうのは吉岡里帆の力だろう。ちょうど美貌の極みの年頃なのだろう。ここでの吉岡里帆が「ハケンアニメ」などと同様魅力的だ。ただ、役柄上弁護士の父親が痴漢の冤罪を受けているという話をひっかけるのは余計な感じがした。前作「まる」での搾取反対と叫ぶ左翼女やらされてまいったという感じだっただけに今度はよりよく見える。


大阪や長野など方々に移り変わってロケ地は多い。それらの映像を藤井道人監督が巧みに2時間にまとめた印象を受けるし、今回は主人公を追う警察官の役柄の山田孝之にも安定感があった。「孤独のグルメ」松重豊は山田孝之の上司の警察大幹部役でイヤな奴の設定、年末TV東京でひたすら映っていた。
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2024年自分が好きだった映画(外国映画)

2024-12-31 06:16:44 | 映画 ベスト
2024年好きだった映画(外国映画)
好きな映画であると同時に1から3までは紛れもない傑作。キネマ旬報ベスト10にはこの3作と次点にした落下の解剖学は入ってくるだろう。ただそれとは別に今年はアメリカ映画らしいゴージャス感のある作品を堪能できて良かった。(特に6~9)そんな自分自身の趣味でいれたアメリカ映画が多い。

YOLO 百元の恋は日本ではあまり評価されていないけど、極上のリメイクだと思う。日本人は中国映画があまりお好きでないようだが、西湖畔に生きるなど土着の現地人の暗部に焦点を当てた映画は興味深い。いつも上位に数多く選出する韓国映画はソウルの春を除きイマイチだった。

外国映画
瞳をとじて

ビクトルエリセの復活、真実と虚実が混じった傑作

ありふれた教室

教師のやりとりがリズミカルな展開になるように巧みに編集

ホールドオーバーズ

イヤな奴だった教師が変貌するアメリカ人情劇

YOLO 百元の恋

百円の恋のリメイク、もっと評価されていい作品。

ソウルの春

全斗煥政権成立に向けて動く暗黒時代の韓国を映す高圧電流が流れ続ける映画

ツイスターズ

竜巻を追いかける男女をアメリカ映画らしいスケール感で追う

チャレンジャーズ

アメリカ映画らしいゴージャス感でスポーツのライバル物語を映す

フォールガイ

レベルが高い痛快なアクション

ヒットマン

大学の講師がおとり捜査を仕掛ける巧みなストーリー展開

ノーヴィス

文武両道をめざすボート選手をエスターの主人公が演じる。

次点 カラーパープル、オールドフォック11歳の選択、グラディエーターⅡ、西湖畔に生きる、落下の解剖学、ドッグマン
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2024年自分が好きだった映画(日本映画)

2024-12-30 09:16:07 | 映画 ベスト
年末になった。結局映画本数は170本で終了見込み.。途中から失速
映画賞云々と別に自分の好きな作品をお列挙する。今年は日本映画と外国映画にわけてリストアップする。たぶん普通のベスト10とは乖離するが、そんなことはどうでもいい。泥くさく一心不乱に上昇志向にあふれた青年の物語に惹かれた。

題名の斜線を押すと記事になります↓下の数字は順位ではありません。

日本映画
笑いのカイブツ


お笑い作家になろうと一心不乱に頑張る青年

一月の声に歓びを刻め

雪景色の中で見せるカルーセル麻紀の怪演

ラストマイル

A社を思わせる巨大ネット通販配送センターをめぐる事件

辰巳

ヤクザの傘下組織でやり合う裏街道の若者たちの偶像

青春18×2 君へと続く道

今年一番の感動

大いなる不在

疎遠になっていた認知症の父親藤竜也に再会する実の息子森山未來

ぼくのお日さま

凍った湖に浮かぶ小学生2人のスケーティングに感動

ぼくが生きてるふたつの世界

聴覚障がいの母親を持った青年の悪戦苦闘物語

CLOUD

ひたすら高値売り抜けを狙う転売ヤーの生態と追いかけられる恐怖の波状攻撃

ブルーピリオド

東京藝術大学に入学しようと美術実技の試験勉強に励む青年の物語

次点 ゴールドボーイ、侍タイムスリッパー、まる、カラオケ行こ!

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映画「どうすればよかったか」

2024-12-26 18:56:09 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
ドキュメンタリー映画「どうすればよかったか」を映画館で観てきました。


映画「どうすればよかったか」藤野知明監督の統合失調症を患った姉と面倒を見る両親を長期間にわたって映し出すドキュメンタリーである。予告編で姉の異常な言動が気になる。公開後すぐ観ようとしたら、公開館も少なく満員御礼状態で放映時間も自分の都合と合わない。家族が統合失調症にかかっているとは言いづらい病気なので、ひっそりと悩んでいる家庭が多いと思う。そんな人たちが観に来て満員かなと思っていたら、ようやく公開映画館が増えてきた。映画館は平日なのに大勢の観客がいる。意外に若い人が多い気がする。

概要は作品情報を引用する。主人公の姉は自分と同世代だった。

面倒見がよく、絵がうまくて優秀な8歳ちがいの姉。両親の影響から医師を志し、医学部に進学した彼女がある日突然、事実とは思えないことを叫び出した統合失調症が疑われたが、医師で研究者でもある父と母はそれを認めず、精神科の受診から姉を遠ざけた。その判断に疑問を感じた弟の藤野知明(監督)は、両親に説得を試みるも解決には至らず、わだかまりを抱えながら実家を離れた。

このままでは何も残らない——姉が発症したと思われる日から18年後、映像制作を学んだ藤野は帰省ごとに家族の姿を記録しはじめる。一家そろっての外出や食卓の風景にカメラを向けながら両親の話に耳を傾け、姉に声をかけつづけるが、状況はますます悪化。両親は玄関に鎖と南京錠をかけて姉を閉じ込めるようになり……。(作品情報 引用)


後半のリアルな発狂に及ぶ症状をよくぞ撮った。
統合失調症の実像をここまで見せる映画を初めて観た。

世間がうらやむ上級家庭である。北国らしい陸屋根の美しい庭付き一戸建に住む。父親は臨床でなく学究の道に入った医学者で母親も女子医専(東京女子医大の前身)の卒業生だ。姉本人は子供の頃からスクールカースト上位で医学部に入学する。監督本人も北大農学部出身だ。ところが、1983年医師国家試験を前にして、姉の精神が不安定になる。統合失調症を発症する最も多い時期だ。

結局、精神科医や心理アドバイザーへの受診を両親が拒否。姉は家に引きこもるようになる。映画の序盤で数多い青春時代の思い出のポートレートと8mm映像が続いた後、中年の域に入った姉の変貌とおかしな言動をカメラが追いかける。「どうすればよかったか」は最後に監督(主人公の弟)が父親にこれまでの姉への扱いについて問いかける言葉だ。


実は身内で似たような時期に同じ病気を発症した女性がいるので人ごとではない。映画では姉が夜間に自室で発作を起こすのを映し出しているが、似たような症状になっている本人を見たこともある。まるで「エクソシスト」の映画のように何かゴーストに乗り移られるようで本当に怖い。暴力もふるう。この映画でも、姉が何かに取り憑かれているかのように深夜に自室で訳の分からない言葉を発したり、親戚の人を罵倒する場面が出てくる。実にリアルだ。こんな真実の映像がよくぞ公開された。

この映画の感想コメントをいくつか見て、「もっと早く専門医に相談すればよかったのに」という言葉が目立つ。その通りである。でも、実際には同じような疾患にかかって、周囲には病気のことは隠してこの家の両親と同じように自分たちでなんとか解決しようとするのだ。もちろんうまくいくはずがない。

弟(監督)と会話する母親を映す。まったく理にかなっていない会話をする母親を見て誰しもがおかしいと感じるだろう。実際には統合失調症にかかった子を持つ母親はみんな似たようになる。今でこそ統合失調症と言うが、姉が発症した1983年直後は「精神分裂病」の呼び名である。自分の子を分裂病になったと言われたくないのであろう。家の中に監禁したのはよくなかった。人と話していないとまともな会話ができなくなる

精神病院に見舞いに行ったことがある。両親と思しき親は社会的地位も高そうに思える人たちが多かった。ただ、みんな悩みがありそうな顔をしている。

色々と思うことが多いが、発作が激しくなった後にようやく入院となる。その後3ヶ月たって退院した時の状況が改善していることに驚く。薬があったとのコメントがあったけど、発狂状態からの脱出である。割と早い方ではなかろうか。統合失調症ではともかく緩和させるための薬を要する。もう監禁されて家にいることはなくなった。それはそれでよかったが当然の後も部屋に誰かが刃物を持っていると警察を呼んだりいかにも統合失調症らしい行動があったようだ。完治することがない。結果オーライではないが、真っ暗闇ではなかった。必見の映画である。
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映画「π」ダーレン・アロノフスキー

2024-12-24 20:34:51 | 映画(洋画 99年以前)
映画「π」は1998年日本公開の「ブラックスワン」ダーレンアロノフスキー監督の初期の作品だ。


デジタルマスター化されてAmazonプライムにもラインナップされた。当時日経新聞に紹介されて日本公開時に観ている。PCの前で株価分析する数学者というコメントに惹かれて映画館に行ったのに、画面の状態、字幕もわかりづらく印象が良くなかった。株価分析が単にフィボナッチ数列だけの話だけなのかなと思ってしまった。

Amazonプライムのリストで見つけるとやはり気になる。気がつくと、2回観てしまう。早送りのないAmazonプライムでは珍しい。大画面で堪能するというより、セリフの言葉を理解するために何度も見直す映画もあるだろう。この映画はそのテイストだ。

主人公マックスコーエン(ショーンガレット)はユダヤ系、ニューヨークのチャイナタウンにあるアパートメントに1人で住んでいる。数学者で整数論を研究する。論文を書いてほしい編集者からアポイントも入ってくる。部屋はPCとその配線でごちゃごちゃしている。株価を伝える電光掲示板が流れている。近所づきあいがまったくないわけでなく、中国人の少女から3桁数字の掛け算を頼まれて暗算ですぐ答えたり、おせっかいな黒人女性も話しかけてくる。多国籍な雰囲気だ。


世の中の事象はすべて数字に置き換え理解できる。数式化すれば一定の法則があらわれる。すべての事象には法則がある。株式投資も同様で数字の裏側には法則もあるとマックスコーエンはいう。株式投資の研究もしている。π の研究をしていた老人と碁をうつ。老人は40年研究してπには法則はないと悟る。マックスがPCで株価分析している時に出力された216桁の数字が重要な数字だと老人が言う。でもプリントアウト紙を捨ててしまっていた。

やっぱりこの映画深入りするとおもしろい。
ニューヨークのチャイナタウンを中心に映し出す。治安が悪いといわれる人気のないニューヨークの地下鉄の車内にもカメラをあてる。中国人、黒人、ヒスパニック、ユダヤ人と人種のるつぼでまさしく最近の多様性社会を予言している。ギリギリの低予算で作ったにしては貧相な感じはしない。

PC画面上の文字がひと時代前のものと感じさせる。あらゆる事象を数字に置き換えるというのがCPUの発想だ。Windows95の直後でギリギリiMacは世に出ていない。パソコンが急激に進歩しつつあったが、インターネットのスピードは明らかに遅かった。それでも、株価がネットでも見れるようになっていた。ITバブルと言われるアメリカの株価急上昇前夜だ。日経新聞の記事を見て初めて日本の映画館で観た時はすでにITバブルでの急上昇が始まっていた。


2003年の東大の数学の入試問題π(円周率)が3.05より大きいのを証明する問題が出題された。ゆとり教育になった日本の教育への警鐘と言うべき出題だった。πの研究者が出てきてもπ自体にそんなにこだわっているわけではない。それでもπへの関心を高めるのにこの映画もわずかであるが寄与したかもしれない。

すべてがひと時代前なのにそんなに古い感じがしない。セリフを味わえるし、登場人物のパフォーマンスには何度観ても新しい発見がある。大画面にこだわらず家で何度も観た方がいい。ダーレンアロノフスキー監督は後の「ブラックスワン」ナタリーポートマンの精神が徐々に崩れていく姿を巧みに映し出した。


ここでも主人公マックスコーエン際立った頭脳を持ちながら、止まない頭痛のために薬漬けで精神が錯乱している。予期せぬ攻撃も受けエスカレートするけど、ある時点で吹っ切れる。疲れている人には休息が必要だ。身に沁みる。
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