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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「カンバセーション 盗聴」フランシス・コッポラ&ジーン・ハックマン

2024-12-23 17:52:30 | 映画(洋画 89年以前)
映画「カンバセーション 盗聴」を映画館で観てきました。


映画「カンバセーション 盗聴」フランシスコッポラの旧作特集で気になっていた1974年公開の作品。カンヌ映画祭のパルムドール(当時グランプリ)の受賞作品で「ゴッドファーザー」とpartⅡの間に作られている。ヒット作「フレンチコネクション」「ポセイドンアドベンチャー」と続き「スケアクロウ」直後の全盛時代のジーンハックマン主演であり、若き日のハリソンフォードがちょい役で出演している。そんな作品もこれまでご縁がなかった。

オープンリールのテープレコーダーの前で作業をしているハリーコール(ジーンハックマン)は盗聴の専門家だ。広場の中を歩く男女カップルの動静を数人の協力者とともに追う。ハリーは盗聴相手の事情には関心を持たず、ひたすら正確に音を引き出すことにこだわる男だ。いつも通り集めた音を淡々と編集していくが不穏なものを感じる。依頼者である会社の専務に直接渡したいと申し出る。そのオフィスに行くと、盗聴した男女カップルと出くわす。


淡々と作業する孤独な盗聴のプロに異変が起きるサイコスリラー
1970年代のアメリカ映画の匂いが漂う。50年前なので当然ハイテクな感じはない。その当時最先端だった方法で盗聴を企てる。ハリーコール(ジーンハックマン)はその筋では誰も知っている通信傍受の専門家だ。独り者でサックスを演奏するのが趣味の孤独な男だ。

会話を傍受される男女は広場の中を歩き回っている。でも、何かに警戒しているようだ。ハリーコールとその一味は普通に歩いている2人の会話を盗聴する。盗聴というと室内に仕掛けられた盗聴器の声を聞いたり、隣室の声を聞くイメージを自分は持っていた。違う。強引に会話の声をを盗みとるのだ。広場の中で演奏しているバンドの横で男女が会話していると会話内容は聞こえない。それでも編集の段階で周波数を合わせて普通の会話に仕立てる。すると、次回密会するホテルの名前と部屋番号がわかるのだ。頭の中にこびりついてしまって離れなくなる。

盗聴の相手が何を話していようと関係ないと言い張るハリーなのに気になって深入りしてしまうのだ。浮気しているのは依頼者である会社の専務の若妻である。それが依頼者の会社に行ってわかるのだ。しかも、なんかおかしい。感情を絡めてしまうハリーことジーンハックマンだ。


「ゴッドファーザー」や「地獄の黙示録」などのカネのかかった作品と違い見るからに題材も普通の映画だけど、フランシスコッポラのこういう小品に味のある作品も多い。殺しも絡んでいるサイコスリラーで、途中から意外な展開に進む。ホテルの部屋はとれなくても隣の部屋をとって状況をチェックしようとするのだ。主人公の最後の扱いが特殊だ。ただ、これが傑作とまでは思わない。
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映画「型破りな教室」 エウヘニオ・デルベス

2024-12-21 17:17:27 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「型破りな教室」を映画館で観てきました。


映画「型破りな生活」メキシコ映画、荒れ果てた小学校に着任した熱血教師と生徒たちの物語である。原題はRadical(過激な?)で2011年に起きた実話に基づくクリストファー・ザラ監督の作品だ。アカデミー賞作品「コーダ あいのうた」で主人公の才能を見いだす音楽教師役だったエウヘニオ・デルベスが出演というのが気になる。ものすごく印象に残る演技だった。

アメリカとの国境に接するメキシコの町マタモロスの小学校は貧困地区の生徒が多く、学力テストでは全国最下位のレベルだった。パソコン室からPC本体が盗まれて閉鎖、図書室も機能していない。その6年生のクラスにフアレス先生(エウヘニオ・デルベス)が着任する。

机と椅子が積み上げられ、新しい先生が授業をはじめる。「なぜ船は浮くのか?」生徒たちに問う。「太った校長とフアレスはどっちが浮きやすいか?」フアレスは密度の概念を教え、校庭の貯水槽で校長の密度を測る。そんな授業を続けて生徒たちの信頼を集めるが、学力はあっても貧困で上の学校にも上がれない生徒もいる。


実話に基づく熱血教師による正統派教育物語だ。
1960年代までの日本では似たような題材の映画が数多くある。メキシコ国境というと数々の映画で麻薬取引や犯罪の渦というのが取り上げられてきた。舞台になるマタモロスの名前は初めて知った。地図で見ると大統領選挙でも話題になるまさしくアメリカとの国境に位置する。兄貴が愚連隊(ギャング)に所属して、自分も小学校卒業したら来いといわれているギャングの使い走りの少年もいる。育ちは誰も彼も最悪だ。全国最下位レベルの学校ではやる気のない教師が家庭事情のよくない生徒を教えて何も改善できなかった。


でもこのクラスの生徒には才能がある。初歩的物理の応用ともいえる問いかけにも呼応できる。自分が同じ小学校6年の時同じようにできたかはわからない。日本では中学3年生で習う平方根(ルート)もすでに習っているルート256といったらあっさり16と答えている。歴史の質問も中高生並みでレベルは高いんじゃないかと感じる。資質は全国最下位レベルではない。

廃品回収業の父を持つ美少女パロマが生徒の中ではメインだ。父親が業者に持ち込んだ廃品金属の価格算出をちょろまかされそうになっても、計算間違いと指摘する。1から100までの数字の合計をあっさり算出した数学史で有名なガウスの逸話と同じような流れで5050を導き出す。夢は宇宙工学の学者だ。望遠鏡まで作ってしまう。でもNASAの体験教室への参加という先生の助けも親はいい顔をしない。このままだと貧困で埋もれてしまう。


哲学に興味を持った少女もいる。ファレスが薦めるJ・S・ミルの本を探しに行っても小学校の図書館にはない。大人向けの図書館で大量に借りて熱心に読む。でも、面倒を見なければならない弟や妹も3人いて、母親のおなかに赤ちゃんもいる。貧乏人の子だくさんだ。自分が働くのであなたが赤ちゃんの面倒を見るから上の学校へはいけないと言われている。悲劇だ。中絶せざるを得ない状況についても、大人並みの考えを持っている。いちばんせつない女の子だ。


日本では貧困で進学を断念というのは1970年代に入るとあまりないのではないか?映画「キューポラのある街」で成績の良い中学生吉永小百合が名門女子高の校庭を見ながら行きたいと願望しつつ定時制の道を選ぶのが1962年だ。メキシコは50年遅れていると言ってもいいのだろうか。ゆとり教育の日本と違い小学校でルートを習うレベルなのに残念だ。

エウヘニオ・デルベス「コーダあいのうた」に引き続き好演である。
ただ、新任教師のフアレスによる型破りな授業でクラス全体の成績は飛躍的に上昇。そのうち10人は全国上位0.1%のトップクラスに食い込んだ!という宣伝文句は実際にそうだったとしても、この授業だけで全員の学力が上がったのか?は疑問である。ファレスは途中でメキシコの共通テストと思われる試験の対策勉強をさせないと拒否している。ちょっとええかっこしいだよね。気に入らないのはそこだけ。

思春期の子供たちを実に生き生きと撮っていることだけは間違いない。
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矢沢永吉2024年75歳の武道館最終日

2024-12-19 17:54:49 | 矢沢永吉
久々に矢沢永吉のコンサートの記事をアップする。


途中コロナもあり中断した時期も含めてインターバルが長かった。12月18日銀杏が黄色く色づく武道館に来て、熟年えーちゃんファンの姿を見ると久々だなと感慨深い。転売防止のため年々チケットのセキュリティはきびしくなり、本人顔認証でチェックされている。そのせいか、以前ほどアルコール検問がきびしくない。QRコードであっさり入館する。

以前は19時からスタートだった武道館コンサートも17時開始で、15時半開場だ。以前はコンサートが終わると21時を過ぎていたので、食事をするには楽だし、地方から武道館に来ている人にとってはいいのかもしれない。一緒に行った友人は今シーズン3回目であと横浜も行く。

しばらくは静かだった館内も16時を過ぎていくと、恒例のえ〜ちゃんコールが会場の方々で響いていく。17時が近づくと電光掲示の時計が消えて、コールは絶叫にかわり矢沢永吉の登場だ。茶色の皮のコートのような服を着ている。「トレジャーハンター」から「TAKE IT TIME 」と絶妙の選曲だ。特に2曲目にノリのいい曲を持ってきたのがいい。いつものバックバンドのツインギターが冴えまくる。トシ柳とジェフコールマンのテクニックは半端でなくワイルドなドラムスとマッチングしている。ガイアリソンのキーボードもいい感じだ。

上京した矢沢に縁の深い横浜の題名がつく「YOKOHAMA二十才まえ」と続いた後にバラードの「あいつ」だ。これが特に良かった。武道館コンサートではミラーボールがまわる中で矢沢永吉が歌うバラードが胸に沁みる。前半戦では1番のお気に入り「ピアス」も良かった。


MCになる。来年はソロデビュー50周年だそうだ。自分も歳をとったが矢沢永吉は75歳だ。それなのに2時間20曲たっぷりと聴かせてくれる。マイクスタンドも振り回す。オイオイ大丈夫と思うけど、まったく心配ない。その一方で、尖った時期の31歳のヤザワのインタビュー場面が映し出される。当時のいかにもヤザワらしい攻撃的なトークは本当に荒々しい。すごい早口だ。その一方で余裕がある現在のヤザワはカドがとれてすばらしい。以前は武道館5回シリーズだったが、4回に減らした話をしていた。曲数も24曲くらいだったと思う。年齢にあわせてペースをあわせてくれればいい。

なぜだか昔の映像がずいぶんと出てくる。そんな中での「もうひとりの俺」が情感こもっていい。これも自分な好きな「YOU」が流れると気分が高揚していく。後半戦では「時間よ止まれ」も歌う。紅白でとちったのがご愛嬌だ。「I LOVE YOU OK 」「ファンキーモンキーベイビー」とメジャーソングも目立つ。比較的なじみやすい曲が目立つ。


自分は1972年フジTVの「リブヤング」革ジャン姿のキャロルをリアルで見ている。こんな不良連中がTVに乱入して大丈夫なのかと思ってしまった。その後デビューと聞き驚いた。せんだみつおが司会の「ギンザNOW」の曜日は忘れたが、キャロルがレギュラーで中学の授業が終わってすぐ電車に乗り銀座三越の屋上の会場に行ったものだ。後ろでワイワイはしゃぐ中学生だった。それから50年以上経つ。



「サイコーなRock You!」「背中ごしのI LOVE YOU」でいったん終えてからアンコールだ。白い帽子姿で登場する。武道館での恒例のタオル投げは壮観だとしか言いようにない。まさに絶景だ。「止まらないhaha」はまさにロック演歌、周囲の人もみんな歌っているし会場で歌声が響く。そして「トラベリンバス」で会場が明るくなりトラバステープが飛び散る光景に思わず涙が出た。昨年記念すべき武道館150回公演を終えた。今回は157回200回いくのかな?いったいいつまで続くんだろう。そんなことを考えながら銀杏の黄色に想いはふくらむ。
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映画「はたらく細胞」 永野芽郁&佐藤健&芦田愛菜&阿部サダヲ

2024-12-16 21:38:04 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「はたらく細胞」を映画館で観てきました。


映画「はたらく細胞」清水茜による人気コミックをの武内英樹監督が実写映画化した作品である。いつもの自分の好きなタイプと違うけど、予告編を観るとスケール感があっておもしろそう。武内英樹監督は娯楽の極地「翔んで埼玉」でむちゃくちゃ楽しませてくれた。白血球を演じる佐藤健の動きは「るろうに剣心」みたいなワイアーアクションじゃないか。これは行くしかないとシアターに入るとたくさんの親子連れだ。これも久しぶりだ。

人間の体内の細胞、その数なんと37兆個。
酸素を運ぶ赤血球(永野芽郁)、細菌と戦う白血球(佐藤健)、そのほか無数の細胞たちが、あなたの健康と命を守るために日夜全力ではたらいているのだ。
高校生・漆崎日胡(芦田愛菜)は、父親の茂(阿部サダヲ)と二人暮らし。
まじめな性格で健康的な生活習慣の日胡の体内の細胞たちは、いつも楽しくはたらいている。一方、不規則不摂生に日々を過ごす茂の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果てた細胞たちがいつも文句を言っている。

親子でも体の中はえらい違いだった。仲良し親子のにぎやかな日常。
しかし、その体内への侵入を狙う病原体たちが動き始める…。
漆崎親子の未来をかけた、細胞たちの「体内史上最大の戦い」が幕を開ける!?
(作品情報 引用)


おもしろかった。さすが武内英樹!
「翔んで埼玉」のテイストを残しつつ、佐藤健が壁走りでの登場で「るろうに剣心」のようなアクション映画にも仕立てる。「地面師たち」の騙される役が記憶に新しい山本耕史「不適切にもほどがある」阿部サダヲといいコンビだった仲里依紗まで「NK細胞」の役柄でアクションを見せまくるのもいい。「るろうに剣心」のアクション監督大内貴仁が起用されていることで妙にその切れ味に納得。

予告編で芦田愛菜と阿部サダヲの親子のシーンが出てくる。この2人何?と思っていたら、芦田愛菜と阿部サダヲの身体の中にいる血液や細胞を映しているのだ。この2人が外傷や病気で苦しむ身体の内部を映していくのだ。後輩の芦田愛菜ちゃんはいかにも慶応女子高の清楚なイメージをもつ高校生の雰囲気を残していてかわいい。映画のテンポがスピーディで気がつくと白血病に侵されるというのもびっくりだ。


阿部サダヲ演じるオヤジは逆に不摂生で酒にタバコで人間ドックの数値は最悪。娘に説教を受けている。トラックの運転手役で高速道路を走っている時に突如大便の気がでて、漏らしてしまいそうになった時、体内で便を防ぐ側と漏れそうになる大便との格闘を戦国武将の争いのように映す。この体内決戦が「翔んで埼玉」の千葉対埼玉の戦いのようでいちばん笑えた。


それにしても、血液や細胞がバイ菌たちと闘う姿はすごいスケール感だ。スパニッシュムードあふれるテーマパークにいる人の振る舞いが体内だ。ビジュアル感あふれて実にたのしい体内の描写だ。半端じゃない。赤血球になってモノ(酸素)を運んでいるのはリアルな人間だ。どれだけ人がいるんだと思ってしまう。加えて「翔んで埼玉」でもおなじみの片岡愛之助、小沢真珠がバイ菌役で出てくる。


映画を見終わって主なシーンは和歌山のポルトヨーロッパで撮ったことがわかった。600人のエキストラというのもいつもの日本映画とは違うし、カネもかかっている。大阪から何十台もバスをチャーターしたらしい。やるね!リゾート博が和歌山で開催された時、ちょうど自分が和歌山をでてすぐの時に行ったのを思い出す。ポルトヨーロッパよく残ったね。
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映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」 天海祐希& 上白石萌音

2024-12-14 20:47:28 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」を映画館で観てきました。


映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」廣嶋玲子の児童小説を中田秀夫監督で実写映画化した新作だ。天海祐希が主役だけど特殊メイクでいつもの感じと違う。実はこの小説やアニメ化のことはまったく知らなかった。中田秀夫監督作品はホラーというだけでいつもスルーしてしまう。逆にこれは子供向け人気小説の実写化で予告編を観ると、直近気分が沈んだ後なので寄ってみたい誘惑にかられる。

新米教師の等々力小太郎は、赴任した小学校の子どもたちから不思議な駄菓子屋「銭天堂」の噂を聞く。怪しげな店主・紅子(天海祐希)が選んでくれる駄菓子を食べれば願いがかなうが、食べ方や使い方を間違えると大変なことになるのだという。

やがて、銭天堂の駄菓子を買ったと思われる人たちの様子がおかしくなり、小太郎が密かに思いを寄せる雑誌編集者・相田陽子も暴走してしまう。そんな中、小太郎はもう一軒の駄菓子屋「たたりめ堂」の存在に気づく。その店では店主のよどみ(上白石萌音)が人々の悪意を集めて作った駄菓子を売っていた。小太郎は大切な人たちを守るべく、紅子とともによどみを追うが……。(作品情報 引用)


童心に戻ったようで観るとおもしろい
何より天海祐希のパフォーマンスが最高だ。悩みをもった子どもが駄菓子屋銭天堂にたどり着き、恐る恐る店主紅子に問いかける。すると、紅子はベストチョイスのお菓子を提案するのだ。そのあたりのテンポの良さがいい感じで楽しい。


いきなり勉強のできない小学校高学年になったイガグリ頭の男の子を映す。テストの成績は最悪なのに中学受験するという。母親に怒られている。行きたくない塾にも通わされそうだ。少年がトボトボ歩いていると路地上にいる黒猫に誘導されるように向かうと「銭天堂」の看板がある駄菓子屋がある。そこにはふっくらとして大きな身体の女性店主がいる。

やさしく応対してくれて出てきたお菓子は「ヤマ缶詰」だ。笑える。これを食べると、テストに出てくる答えがテキストから浮き上がって見えるのだ。少年は一気に高得点をとるようになる。

こんな感じで、いじめられっ子が勧められるのが「堂々ドーナツ」など、ともかく駄菓子の名称のシャレっ気に脱帽だ。しかも、パッケージのデザインがいい。駄菓子屋の品揃えが最高だ。店内の風景を観ているだけでひたすら楽しい。(これは作品HPの駄菓子一覧を見てほしい)小学校時代にもどって「悪魔くん」や「忍者ハットリくん」を見ているような錯覚を覚える。


銭天堂の女店主・紅子である天海祐希はいつもながらの貫禄である。ここで驚いたのがライバルのたたりめ堂の女主人である。誰なんだろうとエンディングロールを見ても上白石萌音とは結び付かず、正直なところビックリした。まさかの悪役で意外な配役にはまっている。中田秀夫監督なのかどうかわからないが、絶妙の起用である。途中緩慢と思しきペースになっても、子ども向けらしく気分良く締めるのはうれしい。
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中山美穂死すからその後の低落高揚

2024-12-10 21:23:43 | 偉人、私の履歴書
中山美穂さんが亡くなったと報道されている。悲しい。
悲報を聞いてから何もかも手がつかない。映画も観に行けないし、体調を崩して寝込んでしまった。37.5度前後の熱が続いた。調子が悪い。

80年代後半から90年代前半までの中山美穂はまさに絶頂期で歌にドラマに大活躍だった。男のくせにカラオケで「世界中の誰よりずっと」「CATCH ME」などの彼女の歌を歌いまくった。紅白歌合戦にたった1曲か2曲のヒットでずっと出続ける歌手がいるけど、全盛時の中山美穂ほどヒットを出し続けた歌手はいない。考えてみると、インターネット普及前が中山美穂の絶頂期なので当然Z世代は彼女の存在は知らない。

辻仁成との結婚は驚いたが、函館の刑務所を舞台にした「海峡の光」が心に残る作品で2人が一緒になった時は良かったと思った。こういう孤独死は身の回りにもあるが、たいてい連れ合いと別れて1人の時に起こっている。

自分のブログでも「波の数だけ抱きしめて」のアクセスが急増した。やはり中山美穂といえば「Love letter」が突出してすばらしい。岩井俊二監督による雪景色の中の中山美穂がすばらしい。「遠い街ののどこかで」などの歌もそうだが、映画も冬が似合っている。そんな彼女が冬に入ったばかりの今年12月亡くなったのが悲しい。歌声が頭にこびりついて離れない毎日が続く。

後記 12月13日
水曜日いっぱいで回復したが、顔は幽霊としか言いようにない。そんな気分でも木曜日に先輩の衆議院選挙再選に伴う祝福で男女数名で議員会館に行く用事があり、気合いで向かう。国会は本会議中でなんと生まれて初めて傍聴した。

議員会館から地下に降りると、広い地下道が国会議事堂につながっていく。スマートな小渕議員や見たことある議員を横目に傍聴の受付に向かう。拍手をしたり、声を出したらダメと注意を受ける。カメラや携帯電話は所持不可ですべてロッカー行き。手帳以外は何も持たずに本会議場へ。コンサート会場に入った時と同じ臨場感だ。写真に撮れないのは残念。

立憲民主党から予算委員長に選出された安住淳氏が立憲民主議員席の割れんばかりの大きな拍手で登壇して報告を述べる。その後で予算案への立憲民主の反対演説、自民党牧島カレン議員の賛成演説を経て、れいわ新選組女性議員から反対演説に加えて与野党両陣営への批判の声を聞く。国会中継をTVで見ることがないけど、実際に目の前で見るとなかなかおもしろい。
国会議事堂内部↓


議員会館に戻った後、一緒に訪問した女性と先輩の同僚議員が附属小学校から同級生ということで一緒に議員会館の個室に訪問。旧交を温めた後、銀座の中華料理屋で先輩を囲む会を行う。会話内容はマル秘。


その後議員は帰宅。自分は2人で銀座〜六本木。病み上がりなのによくやるな
念願の中山美穂の歌を歌う。当分カラオケの席はミポリンの歌が続くな。それで当初の目標は達成できる。
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映画「山逢いのホテル」 ジャンヌ・バリバール

2024-12-07 13:32:05 | 映画(フランス映画 )
映画「山逢いのホテル」を映画館で観てきました。


映画「山逢いのホテル」はフランス、スイス合作のスイスの山間部にあるホテルを舞台にした物語だ。原題はLessez moiだ。 主演はフランスのジャンヌ・バリバールでフランス語で会話が展開する。直近で「ボレロ」のダンサー役が趣きがあってよかった。監督・脚本は、ファッションデザイナーであったスイスのマキシム・ラッパズだ。場所はてっきりフランスの山間部かと思ったら、地図を見ると舞台となるグランド・ディクサンス・ダムスイスのかなり山奥だ。予告編を見るとホテルの部屋に男を誘う売春婦のようだ。


サングラスをした白い服を着た女性が山間部を走る高原列車に乗って大きなダムのある場所に向かう。湖と裏にある山々を望む素敵な景色の中颯爽と歩いてホテルに入る。座った後で、ボーイに宿泊している男性がどのくらいの滞在期間か聞いてチップを渡す。長期滞在の客は避けて、近日中に発つ予定の男性客を確認した後で声をかける。しばらく雑談した後で「あなたの部屋へ」と一緒に向かう。ジャンヌ・バリバール50代の裸体をあらわにして使い込んだ乳輪のバストを見せる。

1997年、スイスアルプスを望む小さな町で、仕立て屋のクローディーヌ(ジャンヌ・バリバール)は障害のある息子を1人で育てていた。毎週火曜日には、息子を隣人に預けてダムのそばにあるリゾートホテルへ向かう。そこで短期滞在で単身の男性客を誘って情事にふける。
ある時彼女は水力発電の技術者であるハンブルクから来たドイツ人、ミヒャエル(トマス・サーバッハー)と出会う。これまでと違い女に目覚めて情熱的になる。ミヒャエルは次の出張先のアルゼンチンに向かおうとする。クローディーヌはついて行くかどうか迷う。


東電女性社員殺人事件の主人公を思わせる自傷的な女性が女の本性に目覚める。
わかりやすいフランス語で映画にはスッと入っていける。センスのある映像とやさしいピアノの音色でいかにもフランス映画らしいが、熟女AVのような展開だ。熟し切った50代の裸体は若い男性が見ても楽しめないだろう。50代女性の肢体がどんなものかを理解する自分は同窓会で同世代の女としけこむ感覚でとりあえず受け入れる。かなりエロティックで大胆だ。解説には軽い情事のように書いているが、完全に売春婦といっていいだろう。でも、男からお金を受け取らないこともある。


普段は自宅を作業場にして洋服を仕立てている。家には生まれつき障がいのある息子、バティストがいる。ジョニーローガンのファンだ。男たちから得た海外の街の情報を、父親からの手紙として読み聞かせてきた。息子への献身的な愛情の傍で、出会って惹かれたドイツ人男性に心を寄せて息子を置いて飛び出そうかと決断する。


映画館には熟年の女性が数多くいた。ジャンヌ・バリバールを見てどんなことを思うのか興味を覚える。ジャンヌ・バリバールが話すフランス語の響きはファッショナブルな名作「去年マリエンバートで」デルフィーヌ・セイリグを連想させる。あの時のデルフィーヌはこの映画の題名「Laissez moi」(一人にして)を連発する。作者に何か意図があったのかもしれない。
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映画「オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版」

2024-12-04 17:57:24 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版」を映画館で観てきました。


映画「オートレーサー森且行 約束のオーバル」はオートレーサーへの転身を果たした元SMAPの森且行に注目したドキュメンタリーである。穂坂友紀監督が3年間にわたって事故後の療養から復帰に向かう森且行を追い続ける。SMAPを抜けたのが1996年で今の若い人はもう1人のSMAPのメンバーがいた頃を知らない人も多いだろう。当時話題になった記憶がある。

そもそもオートレース場に行ったこともないし、車券も買ったことがない。川口オートレース場最寄駅の西川口駅にいるいかにもギャンブルおじさんは中央競馬などへ行く面々と雰囲気が違う。見ようによっては浮浪者にも見えるヤバい感じだ。ただ、カーブで靴を路上につけながらバイクが走るレースの場面を見ていると引き寄せられる部分がある。予告編を観て大画面で味わいたい気持ちになった。

1996年「SMAP」のメンバー森且行が「オートレーサーになる」夢を叶えるために、22歳でグループを脱退した。5人のメンバーに「絶対に日本一になる」と誓った森は、24年後の2020年11月3日、日本選手権で悲願の初優勝を勝ち取り、その約束を果たす。


ところが、その82日後、福岡の飯塚オートレース場での落車で選手生命が脅かされる大怪我を負ってしまう。その後5度の手術と壮絶なリハビリに2年間を費やす。足に麻痺がのこった状態で復帰戦に勝利して再びプロの第一線に返り咲く姿を描く。


よくぞ撮りきったと感じるドキュメンタリーだ。
若き日にオートレーサーに転身して、上位クラスのS級には長くいたが46歳にしてようやく日本一の頂点に立つ。元同僚のSMAPのメンバーから祝福されたと聞く。旧SMAPのメンバーは出演していない。ところが、それほどたたない時の大事故による悲劇である。カメラは負傷後の森且行を追っていく。

今回初めて知ったが、レース用のバイクにはブレーキがない。最大時速約150km/hだそうだ。競輪競馬のレースよりはるかに速いスピードだ。その危険度は高まる。森且行が落車するレース場面が映っていた。自ら転倒したわけでなく、他の選手がバランスを崩して転倒して背後にいた森が巻き添えを喰らったのだ。


幼い頃に父親とオートレース場に行った時の想い出が強いようだ。ただ、小学校の時に父親は亡くなり兄弟が多かった親の兄弟の家をぐるぐる回ったようだ。育ちがいいわけではない。ただ、明るく育った姿が写真からわかる。そして容姿淡麗だった森且行はジャニーズ事務所に入所して芸能界デビューする。SMAPのメンバーとして活躍する姿は映さない。もともと肖像権にうるさい事務所だったし、なくなったとはいえ余韻はあるだろう。退団後養成所に入って頭を丸刈りにした姿からオートレース界での頂点までの姿を見せてくれる。


何度も手術した結果、身体の中に250gものボルトが入っていたという。レントゲン写真での体内の金属がむちゃくちゃ多い。よく助かったものだ。しかも、強靭な意志を持ち続ける。ようやく復活して初めてバイクに乗っても足に力が入らない。とてもレースに出られる状態ではない。それでも踏ん張る。カメラがずっと追っていく。実兄や同期レーサー仲間、事故で絡んだ選手、担当医らの証言も織り交ぜ構成する。過去のレースの写真をずっとストックしている熱烈なファンがいるのが伝わる。その期待にも応える。

復帰後のレースで外からインに向けてスッと入っていくレース展開を見ながらレース巧者なんだろうなあと感じる。さすがに50にして限界もあるだろうが「強いやつとレースするのが楽しくてしょうがない。」という言葉にはすげえ奴だなと感動する。観てよかった。
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映画「ザ・バイクライダーズ」 オースティンバトラー&トムハーディ

2024-11-30 17:23:43 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ザ・バイクライダーズ」を映画館で観てきました。


映画「バイクライダーズ」は1965年から1973年にかけてシカゴを中心にしたバイク集団の物語。主役は「エルヴィス」で興奮させてくれたオースティンバトラーである。その妻役が「最後の決闘裁判」ジョディカマーで、バイク集団のリーダーがトムハーディだ。豪華メンバーだけど、映画はアメリカ土着の匂いが強くかなり泥くさい。監督は「MUD」ジェフニコルズ。バイク集団の写真を撮っていた写真家に妻キャシーが回想を語る形で展開する。

1965年、シカゴのバーでキャシー(ジョディ・カマー)は、イケメンのライダーベニー(オースティン・バトラー)と出会う。キャシーの男がいる自宅に行った後5週間で結婚を決める。ベニーはケンカ早くて無口でジョニー(トム・ハーディ)率いるライダーグループ「ヴァンダルズ」に所属する。グループのメンバーは地元の荒くれ者たちでルールなんて守れない。やがてジョニーの一味は各地に支部ができるほど急速に拡大する。一方でクラブ内の治安は悪化していく。


いかにもアメリカらしい映画
ベニーの妻・キャシーによる回想として語られる。いかにもゴールデンエイジの奥様らしい。音楽は60年代の曲を効果的に挿入して気分はウキウキする。大きな緩急があるわけではないがテンポはいい。何かにつけて取っ組みあいする感覚が現在の日本人感覚とは離れている感じがする。戦争をやる国だからなのかなと思ってしまう。他のライダーチームと大げんかした後で、一緒に酒を酌み交わすシーンもあって不思議な感じを覚える。男の世界の映画であるのは間違いない。

「ヴァンダルズ」のメンバーは、共通の紋章をつけたジャケットを身にまとい、バイクを乗り回す。日本の暴走族とは少し違う。颯爽と走る姿を見てメンバー入りを希望する男たちは多い。メンバー入りを許可するのはジョニーで入れないこともある。それでも組織が拡大するにつれて面倒な奴も入ってくる。ベトナム戦争経験者はドラッグに溺れている。後半はぐちゃぐちゃになった映像が続く。


オースティン・バトラーがかっこいい。無口で余計なことは話さない。クチより手の方が早くケンカ早い。免許がなくなっても平気で走る。絡まれてやられる場面もあるけど、リーダーのジョニー(トムハーディ)が中心となってしっかり仕返しする。仲間を思う気持ちも強く、親分たる貫禄は十分だ。ずっとタバコを吸いまくる。最終局面が近づき、それまでと違うドラマも生まれて、白バイ隊に入ろうとする男への処置などジョニーの行いに疑問に思う場面がでてくる。栄枯盛衰の流れだなと感じる。
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映画「チネチッタで会いましょう」 ナンニ・モレッティ

2024-11-27 16:01:47 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「チネチッタで会いましょう」を映画館で観てきました。


映画「チネチッタで会いましょう」はイタリアのベテラン監督ナンニモレッティの新作である。「映画の中の映画」の手法で自ら映画監督役となって1956年のソ連ハンガリー侵攻に戸惑うイタリア共産党員たちを描く役柄だ。5年に1作程度と製作本数は決して多くない。前作「3つの鍵」は高級アパートメントに暮らす三家族を描く作品でストーリー、美術、音楽すべてにおいてよくできていた。

予告編の音楽でアレサフランクリン「シンク」が流れる。自分の人生ベスト3のひとつ「ブルースブラザーズ」の町のダイナーからブルースブラザーズのメンバーを引っ張る名場面で、妻役のアレサフランクリン自ら演じて歌っているシーンは何度観ても楽しい。そんな雰囲気を期待して映画化に向かう。

ベテラン映画監督のジョヴァンニ(ナンニモレッティ)は1956年のイタリア共産党の苦悩を描く映画を製作中だ。ハンガリーからサーカス団が来ているのにソ連がハンガリーに侵攻してイタリア共産党の支部がソ連を支持するかどうかで大慌て。


そんなストーリーなのに、若いスタッフはイタリア共産党が存在したことすら知らない。チネチッタ撮影所で新作の撮影が始まると、党員役の主演女優が勝手にアドリブで演技するし、ジョヴァンニはイタリア共産党とソ連の確執を描く政治映画のつもりでつくっているが女優はこれって恋愛映画じゃないのと反発。フランス人プロデューサーは詐欺師だったと判明、長年プロデューサーとして支えてくれた妻は若手監督と組んで別の映画に気を取られている。しかも妻に別れを告げられる。にっちもさっちもいかない大ベテラン監督の悩みは尽きない。

イタリア映画らしいお遊びムードに満ちたブラックコメディ
ナンニ・モレッティ演じるベテラン監督は名声があるせいか何をやるにも自分勝手で独りよがりだ。長年連れ添った妻が別れを告げるのもわかる。立ち寄った妻の撮影現場で若手監督の演出に口を出す。撮影を止めてしまい気がつくと朝だ。若手スタッフとはギャップができてピントが狂いっぱなし。そんな自分勝手な老人監督は時代遅れ。でも、イタリア映画らしく色彩設計、美術、音楽の設計は抜群にいい。


結局カネの都合がつかないのだ。フランス人プロデューサーがNetflixの担当者を連れてくるところがおかしい。ネットフリックスは作品が190カ国で見られると強調し、最初の掴みは2分ぐらいでとかターニングポイントにも時間を気にする。指図が多い。大幅な改変を要求するが、ジョヴァンニの流儀とまったくかみ合わない。受け入れ難くても所詮はカネ。現場はストップだ。でも、もうダメかと思った時に救世主が現れる。韓国映画資本だ。

日本映画界にもNetflixが入って「地面師」のようなカネのかかった良作が生まれている。いい傾向だと自分は思っている。でも、この監督のように受け入れられない人もいるだろう。もっと日本映画に資本が入ると、レベルが上がるんだろうといつも思っているけど、マイナー作品で閑古鳥の上映館を見るとむずかしそう。それに対して韓国映画には日本よりカネがかかっている作品が多い。雑誌「映画芸術」で荒井晴彦が久々におもしろかったという意味がわかった。
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