前の福岡県知事の小川洋さんが肺腺癌でなくなられた。72歳。3月に任期途中で辞職された。やはり相当悪かったのだろうね。週刊誌にキャスターの小倉さんが2016年に膀胱がんを公表、全摘手術を拒否した。それから5年の今年10月、肺に転移、ステージ4とかの記事。全摘して人工膀胱などつけたら仕事にならないという判断だったのだろう。手術か抗がん剤か、癌治療のむつかしいところだ
二人に一人が癌になる時代らしい。かく言う私もアフラックのがん保険にはいって20年をこえる。保険料はゆうに高級車が買えるくらい払ってきただろう。お陰で76歳になった今、癌の兆候はないようだが見えないところでがん細胞ができかかっているのかもしれない。2015年に大腸内視鏡検査をはじめて受けたが幸い異常なしだった。5年ぶりに検査をうけた友人がポリープが発見されすぐ削除してもらったとか言っていたが・・・。
緊急事態宣言が解除され久しぶりに図書館にいき、新聞に超売れっ子時代小説作家の佐伯泰英さんの「吉原裏同心」の新刊広告がでていたので2003年初版の1,2,3巻を借りてきた。「さ行」の本棚のとなりに瀬戸内寂聴さんの本も並んでいて派手なピンク色の表紙の「死に支度」を借りてきた。
1922年生まれだから現在99歳。100歳以上が5万人以上いる時代だから彼女も100歳をクリアするかもしれない。写真仲間の平均年齢が80歳近くになり聞き違いや早とちりや度忘れやもろもろ高齢症状が出始めている昨今、彼らが今どんな気分でいるのか興味があるのだがそんな話があまり出ないのでわからない。
この本は92歳の時の小説「群像」への連載1年分を文庫化したものらしいが印象に残ったフレーズは・・・。
92歳と言うのは死の上に張った薄い氷に乗っているようなもの。84歳の時文化勲章受章。お世話になった作家仲間や編集者友人をあつめて盛大に感謝パーティ実施。あいさつで「これは私の生前葬です。ようこそ参列頂きありがとうございました」
51歳で出家したということは俗界の瀬戸内晴美は死んだ。亡霊の瀬戸内寂聴が今、庵主として、天台寺名誉住職として、出家以前より忙しいくらい生きている。
死に支度として嵯峨野寂庵の庭に何か木を植えたい。何もなかった寂庵の庭にある樹木はすばらしい友人たちが持ってきてくれた苗木が育ったもの。それこそ死に支度で何か植えなければ・・・。生きた証ですね。わが家の庭にも何か残そうか!
天台僧源信が10世紀末に著した「往生要集」に臨終行儀が定められてる。今生の死は来世への旅立ち。その時の作法を著述。要するにどんな死に方をするかだね
小説を書いている時だけが生き甲斐であり生きているということ。書斎は散らかり放題だがもうすでに自分は2回も死んでいるのだから、まあいいかというわけ。66も歳が離れた秘書のルナさんとの掛け合いが実におもしろく書かれていた。
寂聴さんに対しては好き嫌いが2分するようだが人がどう思おうと関係ない、自分の信じる道を行くのみと言うことのようだね。
同じスーパー女史の曽野綾子(90歳)さんの「老いの才覚」も以前読んだがやはり極めた人の言うことは並の人間のように甘っちょろくないということ。日本の政治家は簡単に国民の安全安心を実現したいなどと言うがそもそもそんなモノが実現するはずがない。リスクをかけて命がけで北朝鮮に乗り込んで拉致問題を解決しようとする政治家が今いるかと言うことだね。
子供が独り立ちしていない時には生命保険もかけて、仕事もそうそうリスクはおかせないが、晴れて老人になればやりたいこともやらないとね・・危険なことを一切しないという人には面白い体験はできません。冒険は老年の特権だと曽野先生はおっしゃる。寂聴さんも車いすに乗りながら、かつて東日本震災地跡を尋ねたり、都知事選で細川候補の応援演説に出かけた。絶対、原発はなくさないという一心からであったらしい・・・・
あと何年、生きれるか、日々、「無財の七施」かな!!