いやー、終わっちゃいましたね、第85回アカデミー賞授賞式。私は映像はまったく見られず、Twitterで各賞の受賞結果を追いかけるのみでした。昨日書いた「
第85回アカデミー賞を予想してみる」では21部門を予想しましたが、的中したのは15部門。去年と比べるとまぁまぁ当たった方だと思います。個人的に一番驚いたのは主演女優賞のジェニファー・ローレンス。『世界にひとつのプレイブック』、もう一度観に行って、彼女の演技を確かめたいと思います。
さて、アカデミー賞の話はこの辺にして、今日はひさびさに「映画の中の字幕のない歌」の第6回を書こうかと。今回は映画『
マーサ、あるいはマーシー・メイ』で一番最後に流れる歌 "Marlene" です。あ、ここからネタバレになりますので、まだ作品を観ていない方はここでストップ!
この "Marlene" という曲、私は初めて聴いたのですが、もともとは Jackson C. Frank というアーティストの曲で、それを『マーサ、あるいはマーシー・メイ』でカルト集団のリーダー役を演じたジョン・ホークスが歌っています。この映画、原題は "Martha Marcy May Marlene" ですが、邦題からは Marlene (マーリン)が抜けており、最後の歌 "Marlene" にも字幕がついていないのが残念でした。なぜなら Marlene は物語の主人公マーサがカルト集団の中で電話を取る時の偽名(正確にはこのカルト集団の女性全員が電話を取る時に使う偽名)で、つまりこの歌によって、マーサとこのカルト集団の女性たちの運命が明かされる、というのが製作者の意図ではないかと思うからです。
なんて、エラそうなことを書いてしまいましたが、この歌詞、非常に難解で(というより登場する人物の相関関係がわかりにくい)、正しく訳せているかまったく自信がありません。この歌を作ったジャクソン C. フランク自身が数奇な人生をたどっており、歌詞自体も彼の体験に基づいているようです(詳しくは
こちらでどうぞ)。というわけで、今回の私の訳は参考程度にしていただければと思います。あ、歌ですが、残念ながら John Hawkes が歌っているものは見つけられませんでしたので、オリジナルの
ジャクソン C. フランク版をどうぞ。
"Marlene"
The ghost of her
Floats over there
And the smile, the smile
It seems so lonely
She gave me her hand
As I struck up the band
And she seemed to sigh, she seemed to sigh
'You're the only'
And then we danced like two snowflakes
In the fallen wind
In the wind
And in
Won't you let Marlene come in
The gymnasium floor
The price bound door
The jungle bird the jungle bird
That you showed me
Her love was so clean
To tell the truth Marlene
The sound of your tambourine still owns me
We were so young then
Now that I'm old I know, oh I know
I loved you right then
I would have made Marlene let go
My friends in the bars
Hell they only see the scars
And I do not give a damn, I do not give a damn That I loved you
I don't know why
But once you seen the sky
You think you know all birds are lovely
But this snow on the ground
It would start tonight
It's 22 years dead
Since I saw the light
The world it explodes
As such a high powered load
To run, to run, to run
Was all I left me
Appeared as breeze
High in the clouds we'll freeze
To fly, to fly away
Was the lesson
You know the fire it burned her life out
Left me little more
I am a crippled singer
And it evens up the score
The ghost of her
It floats over there
And the smile, the smile
It seems so lonely
She gave me her hand
As I struck up the band
And she seemed to sigh, she seemed to sigh
'You're the only'
And then we danced like two snowflakes
In the fallen wind
In the wind
And in
Won't you let Marlene come in
And in
Won't you let Marlene come in
Written by Jackson C. Frank
彼女の亡霊があそこで漂っている
そしてとても寂しそうなあの微笑み
俺がバンドに演奏を始めさせると
彼女は俺に手を差し伸べた
そして、ため息をつきながら言ったような気がした
「あなただけよ」と
そして俺たちは粉雪のように踊った
凪になった風の中で
風の中で
俺は尋ねた
マーリンに来てもらってもいいかい?
体育館の床
値札がつけられたままのドア
君が見せてくれた ジャングルの鳥
彼女の愛はとても清らか
マーリン、実を言うと
君のタンバリンの音が忘れられないんだ
あの時俺たちは若かった
そうさ、俺はすっかり年を取った
あの時俺が君を愛していたら
マーリンにあきらめるように言っただろう
バーにいる友達たち
奴らは俺の傷跡しか見ちゃいない
俺が君を愛してたことだって今となってはどうでもいい
なぜかはわからないけれど
もし君が空を見ていたら
すべての鳥が美しいと思うはず
地面には積もった雪
今夜また降り始めるだろう
もう22年
俺が最後に光を見てから
爆発する世界
とてつもなく大きな力で
逃げて、逃げて、逃げるだけ
それが俺にできたすべて
最初はそよ風のようだった
高い雲の中では凍えちまう
飛んで遠くへ逃げること
それが学んだことだった
炎が彼女の人生を燃やし尽くした
俺には残ったものもあるけれど
今じゃ歩けない歌うたい
これで俺たちはおあいこだ
彼女の亡霊があそこで漂っている
そしてとても寂しそうなあの微笑み
俺がバンドに演奏を始めさせると
彼女は俺に手を差し伸べた
そして、ため息をつきながら言ったような気がした
「あなただけよ」と
そして俺たちは粉雪のように踊った
凪になった風の中で
風の中で
俺は尋ねた
マーリンに来てもらってもいいかい?
マーリンに来てもらってもいいかい?