お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

新種モノノケトンガリサカタザメ

2020年09月20日 | 日記
 今までここの海域で得られていたトンガリサカタザメが全て未記載種とわかり、今日、元魚ボラの学生だった第一著者の方から新称モノノケトンガリサカタザメの新種記載論文がIchthyological Researchより出版されたと連絡を受けた。ちなみに私も著者に入れてもらっている。これで今までここの海域の定置網で得られていたトンガリサカタザメは全て新種モノノケトンガリサカタザメとなる。これまでにかごしま水族館や海の中道マリンワールドにも飼育展示魚として搬出している。だが、個体が大き過ぎる為、魚ボラの標本用には確保していなかった。ここの海域の定置網で獲れるトンガリサカタザメが未記載種の可能性があるという事で2年前に標本の確保依頼を受けた。当時は標本がとても大きい為、収容する容器が大学にはまだ無く、準備が出来てから再び連絡を受けた。そして連絡を受けた翌日、タイミングよくうちの定置網に入網し標本用に確保。魚体が大きな為冷凍保存することが出来ず、その日のうちに大学へと持ち込み標本登録を行った。標本写真の撮影も個体が大きな為大変で、魚ボラの学生総出で行われ、当時の事をよく覚えている。実は私もこのトンガリサカタザメを疑っていた。以前にブログにも書いているが(ブログ2007 9.6)、ネットで調べると沖縄や海外の写真では胸鰭や腹鰭の周りなどに小白点が散在しているが、ここの海域でそのような個体は見た事がない。だが、これはサイズや地域変異の影響なのだろうと思っていた。だが、今考えると別種を疑うのが当然であったと思い反省。この仕事を始めた当初も定置網に白い斑点の無いマダラトビエイが入網していたが、ナルトビエイは当時使っていた日本産魚類大図鑑には載っておらず、これがアオスジトビエイなのだろうかと思っていた。やはり少しでも疑いがあればとことん追求することが重要である。今回、ようやくモノノケトンガリサカタザメが新種として記載されたのでまだまだ標本を確保したいところではあるが、標本を確保してからこの2年間、全く入網していないのである。以前から数は少ないものの、毎年1~2個体は入網していたのだが同属他種の状況から察するにかなり絶滅の危険もある魚らしいのでちょっと心配である。更に今後、当たり前のトンガリサカタザメも見つけたい思いである。




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