霞ヶ浦のほとりで

徒然なるままに

みずほ生活(12:観測機器のトラブル 2/2)

2017-11-30 21:43:16 | 南極の思い出
いろいろ調べて、どうやら180m離れた屋外のアンテナの下に埋設してあるプリアンプではないかと判断されました。これは半分手作り品なので予備器や予備基板はなく、トランジスター素子などのパーツがあるだけです。出来ることといえばその素子の交換くらいです。リスクは大きいですが、何もしないことは無責任と考えて、思いきって素子交換をすることにしました。その場にいる者が対応を決断しなければなりません。観測チーフに状況を報告し、この対応を伝えました。
プリアンプは4段の増幅器で素子はCMOSという静電気に弱いトランジスターが使われていました。そのため慎重に順に一個ずつ交換しますが、その都度プリアンプを外す前と再接続した後に感度校正して状況の確認をします。その結果、初段の素子が劣化していたことが判明しました。若干S/N比が悪くなりましたが、増幅度は回復し良好な観測を期待できるようになりました。
急に身体がとても軽くなり、そのままぐっすり寝ました。その深夜、見事なオーロラが出現し、VLE自然電波もきれいに記録されていました。


みずほ生活(11:観測機器のトラブル 1/2)

2017-11-29 22:50:37 | 南極の思い出
VLF自然電波観測は、オーロラ発生メカニズムを解明するため、昭和基地や人工衛星等と同時観測をするという重点観測項目の一つです。観測機器が故障やトラブルが発生すると、このような大切な観測ができなくなってしまいますが、みずほ基地ではこの観測装置にトラブルが2度発生しました。
1度目は、越冬開始後3月のテープデッキの故障で、これは昭和基地のものと交換することで対応しました、故障機は昭和基地で修理され復旧しました。
2度目は、私がみずほ基地に来て間もなくアンプの感度が徐々に低下していくという症状が出たのです。完全に故障したなら様々トライできますが、信号は小さくとも一応は観測できているので、もしいろいろいじって故障させてしまうと観測は全く出来なくなるリスクも大きく、校正信号を頻繁に入れることで対処していました。
しかし、これから暗夜になり本格的なオーロラ観測時期を迎えることから、良好なデータを取りたいという思いもつのり、精神的に辛く悩ましい日々を過ごしていました。

恐竜の卵

2017-11-28 21:00:11 | 日記
孫にねだられて買ったオモチャに、私の方が夢中になってしまいました。
卵を水に入れておくと、翌日に卵に亀裂が入って中から恐竜の鼻先が見え、その後も水を吸ってゆっくりと大きくなり、殻も割れて4日後に卵から出てきました。説明では1週間後に最大になり、卵の3倍ほどの大きさになるそうです。
これはステゴザウルスでしたが、恐竜は全部で6種類あるとのこと。残りは写真を見るとチラノサウルス、トリケラトプス、アパトサウルス、スピノサウルス、アンキロサウルスのようです。アンキロサウルスを除いて、木彫りで作った馴染みの恐竜達です。
卵から何が生まれるか分からないので、全種類揃えるのは大変ですが、頑張って挑戦してみようと思います。
子供の頃にガムかキャラメルかのおまけでシールの絵合わせがあり、残りの一枚がなかなか出なかったことを思い出しましたが、いまその時と全く同じ気持ちになっています。

みずほ生活(10:通信)

2017-11-27 23:41:43 | 南極の思い出
今では南極もインターネットが整備され、個人ベースでのメールやLINEも国内と変わらないと聞いていますが、当時の通信は無線機なので、そんなに気軽なものではありませんでした。
例えば、私用の電報を日本に送るには、みずほ基地から昭和基地に無線電話で電報文を伝えます。それを1日1回昭和基地から銚子無線局に電信で電報が送られます。電波状況が悪いと届かず、最大5日間遅延になったこともあつたとのことです。
また通信回線確保のため、日本から電報出来るのは各隊員一人につき3人までとの制限もありました。もちろん有料です。
そんなことで、大きなニュース以外は伝わってこなくなり、社会からどんどん隔離されていきました。ただ、日本にいると南極は遥か遠くに思いますが、南極からは日本はそう遠くに感じませんでした。

鞠子

2017-11-26 21:00:13 | 東海道五十三次 版画の旅
この絵の店のお婆さんの表情を見て思わず笑ってしまいました。
何か言いたげな、あきれたような心配顔に見えますが、よくこんなにまで表現できると感心します。私にはこんなふうに聞こえてきます。
「旦那さんたち、飲むのもいいけど旅籠まではまだ遠いんだよ。それくらいにしておいた方がいいよ。お代は忘れないでおくれ。」
長閑な風景です。
なお、これもよく知られている保永堂版ではなく行書版です。