霞ヶ浦のほとりで

徒然なるままに

亀山

2018-03-21 21:01:02 | 東海道五十三次 版画の旅
なぜか急坂の構図に惹かれます。随分と新雪が積もった中、坂道を黙々と登城する行列に凛とした冷気が伝わってきます。
この傾斜を分度器で測ってみたら下で30度、上で40度でした。実際にこんなに急な坂道を登れるものかなと思います。
というのも、山体の勾配が徐々にきつくなる頂上付近を直登した時のことですが、手摺も何も無くて転げ落ちそうな恐怖感を覚えました。目検討で稜線の勾配を測ったら30度あるかないかでした。

蒲原

2018-01-22 21:29:47 | 東海道五十三次 版画の旅
関東はいま4年振りの大雪が降っています。ここも20cmを越す勢いです。
この夜の雪景の絵は、東海道五十三次の中でも傑作として有名ですが、人が描かれているのにし~んと静まり返っています。どの家々も雨戸が閉まっているからでしょうか。
蒲原は静岡なので雪国ではないのですが、深い雪に閉じ込められてじっと耐えている雪国を思わせます。
この絵を思い出して夕方の犬の散歩を遅らせ、夜の雪景色を観てきました。一面白の世界に覆われた田畑や里山は雪明かりに映えて、何とも美しい雪景色でしたが、期待していたこの絵のようなもの寂しさは感じられませんでした。

藤川

2018-01-08 22:48:52 | 東海道五十三次 版画の旅
これは人物東海道シリーズの一つで、木賃宿に憩う人達の表情がとても豊かに描かれています。特に老婆の話し声が聞こえてくるようで「そうかえ、道に迷いなされて今着いたのかい。そりゃあお疲れだね。」なんて言っているようでいいなあと思います。
破れ障子に崩れた荒壁や筵敷きのような囲炉裏端で、これから雑魚寝するのでしょうが、あばら家の下でも旅の疲れを癒す一夜となることでしょう。
仲間入りしたい気持ちにさせる絵です。

水口

2017-12-16 22:14:47 | 東海道五十三次 版画の旅
雪が静かに降っている風もない午後の感じがします。外は灰色の寂しい景色だけに、家の中が明るく感じます。お店屋でしょうか、入口も窓も開けっぱなしです。
窓から外を眺める女の人の表情にキリリとした寒さを感じますが、何を見ているのでしょうか、雪? いや、ぼんやりと何かを思い巡らせているという方が合っている気がします。柔らかで優しく美しい表情に魅せられてしまいました。
これは人物東海道で、お馴染みの保永堂版東海道などとはまた違った味わいがあります。

鞠子

2017-11-26 21:00:13 | 東海道五十三次 版画の旅
この絵の店のお婆さんの表情を見て思わず笑ってしまいました。
何か言いたげな、あきれたような心配顔に見えますが、よくこんなにまで表現できると感心します。私にはこんなふうに聞こえてきます。
「旦那さんたち、飲むのもいいけど旅籠まではまだ遠いんだよ。それくらいにしておいた方がいいよ。お代は忘れないでおくれ。」
長閑な風景です。
なお、これもよく知られている保永堂版ではなく行書版です。