接骨院治療日記~奮闘記~

新規開業の接骨院の日々の日常や、患者様とのふれあい、治療家としての気づきなどをつづっていきたいと思います!

正常圧水頭症(NPH)

2016-02-15 20:00:58 | お勉強
先週末、とても暖かく春を連想させましたが、一変、冬の厳しい寒さが戻ってくるようです。
皆さん体調不良にはお気をつけください。
さて、今回は正常圧水頭症についてのお勉強をしていきましょう。

以下、書籍より抜粋

歩行障害、精神活動の低下(認知症など)、尿失禁を三徴候とする成人の慢性水頭症で、髄液圧が正常範囲にあるものを正常圧水頭症(NPH)という。しかし、実際には、持続頭蓋内圧測定にて間欠的あるいは持続的に頭蓋内圧の更新(高圧性の変化)がみられることが多く、『正常圧水頭症』という臨床概念にはさらに厳密な定義が必要である。脳室拡大が慢性的に持続し、脳(特に前頭葉)の機能が次第に障害されるため、三徴に代表される多彩な神経症状が現れ、ゆっくり進行する。ただし、三徴候はNPHに特有なものではなく、慢性期の成人水頭症(長期依存型著名脳室拡大※LOVAなど)でもみられるのである。
画像所見:頭部CT、MRIで左右非対称性の脳室拡大、Sylvius裂の拡大がみられる。
検査所見:腰椎穿刺で髄液圧正常(180mmH2O以下)→正常圧水頭症と考察
治療法:シャント術
※アルツハイマー型認知症や加齢性脳萎縮などでは、NPHとは異なり高位円蓋部の脳溝が拡大するが、ときに鑑別が極めて困難である。

以下、個人的な考察
水頭症というと、小児疾患であると認識していましたが、高齢で罹患する疾患を最近知りました。
小児では、遺伝的な要素もありますが、主にトキソプラズマによる胎内感染ということが大切なファクターであり、身近なところでは聞かないですが、ネコの糞から感染するために、妊娠中は気をつける必要があると理解しておりました。
脳髄液は、脈絡叢から生成され静脈洞から吸収されることが単純な経路であり、簡単な話、流れを阻害している、静脈洞からの吸収率が低下、脈絡叢からの生成率の低下が原因となると考えられ、小児などでは、生成異常など過剰分泌、高齢者では吸収率低下がメインなのではないか?また交通阻害は双方で起こること考えると理解しやすいと思っています。あくまで、仮の話であり、実際の臨床では当然単純な話ではないとは思います。
今回の正常圧水頭症を学ぶことで、器質的な疾患(腫瘍、外傷)と機能的な疾患(過剰分泌、圧力低下)を整理しながら理解できたのではないかと思います。

鶴沢接骨院 香山大樹

閉塞性動脈硬化症(ASO)

2016-01-27 18:27:28 | お勉強
皆様、寒い日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか?

風邪が流行っているようなので、体調にはご注意ください。うがい手洗いをしましょう!!

さて、本日は、『閉塞性動脈硬化症』について学びます。
この疾患をなぜチョイスしたのかというと、最近、足の痛みが改善しない患者様がいらっしゃり、以前、脊柱管狭窄症の診断を受けた既往があるのですが、どうも、腰部からの徴候だけではなく、下肢の問題があるのでは?と思えることがありました。しかし、歩行中の足のしびれや痛みの発現、中腰姿勢にて下肢症状改善(これを間欠性跛行という)により、頭の中に脊柱管狭窄症の既往が強く残ってしまいました。それにより、腰部からの下肢症状に加え、痛みによる足関節運動機能異常、過剰緊張などにより2次的に腓腹の筋障害が起こっていると考えていました。当然、この可能性もあるとは思いますが、リスクスクリーニングの観点から、間欠性跛行という症状を脊柱管狭窄症と決めつけてしまったことが問題です。
実は、昨日、大手接骨院の統括の方と治療の話をする機会があり、プライマリーケア、そしてリスクスクリーニングの話をしていただき、いかに自分の視野が狭いのかを諭していただことが理由です。
前置きが長くなりました。以下は書籍からの抜粋です。

閉塞性動脈硬化症(ASO)
特徴:50歳以上の男性で、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)の既往があり、間欠性跛行、下肢動脈の拍動減弱がみられ、動脈造影で途絶、虫食い像が見られる。
初発症状として、間欠性跛行のみであるが、進行すると患肢の萎縮、皮膚温低下、安静時痛、潰瘍、壊疽、脈拍の減少、消失
※通常は段階的に症状が進行する、しかし、高齢者や脳梗塞既往、DM(糖尿病)既往の場合、潰瘍、壊疽を主訴として来院する場合もある。
治療方法:薬物療法・・・抗血小板薬、血管拡張薬
血行再建術・・・10cm未満であれば経皮的血管形成術(PTA)を行い、10cm以上であれば人工血管パイパス術、血栓膜摘除術を行う
または、自家静脈移植術、壊疽してしまう場合には患肢切断となる。

以下、個人の見解
閉塞性動脈硬化症、我々の適応する疾患ではないですが、来院されている患者様の中にいらっしゃってもおかしくない疾患です。
間欠性歩行=脊柱管狭窄症と考えていた自分は本当に未熟です。
ちなみに、動脈閉塞による疾患は他にもあります。例えば、頸部で起これば『一過性脳虚血発作(TIA)』心臓で起これば『狭心症』となります。また、調べたところによると、腸管膜動脈で起これば『腹部アンギーナ』となるようです。
臨床で、間欠性跛行があれば、腰部スクリーニングに加え、足背動脈や後脛骨動脈、膝窩動脈の触知を行うことを心がけたいと思います。
痛みが変わらない時は、何かがあるとどこかでいつも考えること、そして、リスクスクリーニングをしてリスクヘッジをすることとても大切です。

鶴沢接骨院 香山大樹

掌蹠膿疱症

2016-01-07 17:45:10 | お勉強
今日は、久しぶりにお勉強を

『掌蹠膿疱症』

主に、手指や足底に非感染性(無菌性)の膿疱を発症する。自己免疫疾患のひとつである。
約10%に骨・関節炎を併発し、特に前胸部(胸肋鎖骨間骨化症)を認めることが多い、他には椎骨、仙腸関節などにも発症する、これを掌蹠膿疱性骨関節炎という。滑膜炎、前胸壁の骨化、鎖骨の無菌性骨髄炎と合わせSAPHO症候群と言われる。(特に欧米に多い)
鑑別診断としてX-Pに加え、骨シンチが有効である。

原因:主に、病巣感染からの過剰免疫と考えれることから、口蓋扁桃炎、歯周病、副鼻腔などが起因となることがいわれている。また、金属アレルギー、特に、歯科で使用される金属が誘発に関与していると考えられている。さらに、当疾患の95%に喫煙者の傾向があることから喫煙の発症も重大なリスクとなる。

治療法:ステロイド剤は類縁疾患である乾癬と同様に有効である。活性化VD3も有効である。難治例では、レチノイド、シクロスポリンが用いられる。しかし、長期での使用が想定され、発癌性、腎毒性、催奇形性、高脂血症などの副作用の問題があります。原因病巣に対しては、口腔外科、耳鼻科での治療、また禁煙を指導する。また、ビオチン療法といい、ビタミンH(ビオチン)が有効であり、特に関節炎を併発する患者に有効である症例が報じられている、しかし、EBMがまだ確率されていない部分があることも事実である。

個人的考察
今回は、患者様が罹患したことで、はじめて知った病名です。
接骨院でみる臨床症例を、当院では『筋・骨・神経』の3分類を大まかにすることを指導していましたが、ここに『皮膚』という概念が必要だということを学ばせていただきました。当然、今回疾患に対しては、私たちが行えることは少なく、あくまでも鑑別としての知識となりますが、レントゲンなど画像診断ができない分、体表解剖による、疾患の徴候判別に必要な知識をもっと身に付けることが、今後不可欠であると思いました。

鶴沢接骨院 香山大樹

Lambert-Eaton症候群(ランバート・イートン症候群)

2015-10-02 09:56:19 | お勉強
昨日の雨風はすごかったですね~

自宅の窓を開けっ放しにしていた為に、床がびしょびしょに・・・

自業自得です。

さて、連日になりますが、以前から気になっていた疾患をピックアップ!


以下、書籍より抜粋

神経筋接合部において神経終末の電位依存Ca+2チャネル(VGCC)に対する自己抗体が存在するために、アセチルコリン(ACh)の放出が阻害され、神経筋伝達の阻害により筋力低下や易疲労性をきたす自己免疫疾患である。傍腫瘍症候群の1つで、特に肺小細胞癌を有する中年男性に発症しやすい、重症筋無力症との鑑別が重要である。
症状として、日内変動がある筋力低下と易疲労性(重症筋無力症との共通点)、特に四肢筋力(下肢近位優位)、腱反射低下、反復運動により一時的な筋力回復がみられる※重賞筋無力症との相違点
鑑別として、筋電図による、高頻度反復刺激によるwaxing現象の確認をもって行う


以下、個人的な解釈

以前から、傍腫瘍症候群について興味がありました。腫脹を攻撃するはずの免疫システムが自身の関係性の低い場所を攻撃してしまう。
腫瘍が、カルシウムチャネルと類似する抗原を発することにより、Bリンパ球の抗体がこれにより、本来のカルシウムチャネルを誤爆してしまう、これによりカルシウムと取り込めない神経細胞がアセチルコリンを分泌できないことにより筋の収縮が阻害される

症状と原因が異なるケースであり、私たちの適応範囲疾患はないですが、リスクヘッジの他に、このような仕組みを理解することで、原因がわからない日々の痛みなどの症状の原因を特定するホリスティックな観点の勉強になります。常に、自分の状況と今ある情報をリンクし、当事者意識といいましょうか、自己に必要な情報を獲得することでより実用的なものになっていくのではないかと思われます。

鶴沢接骨院 香山大樹

Huntington病(ハンチントン病)

2015-10-01 20:02:30 | お勉強
10月になりましたね!今年も、あと2ヶ月だと思うと早いですね~

やることを決めて自分の目標へ向かい限りある時間を有効に活用したいものです。

さて、本日は、ハンチントン舞踏病について、国家試験の時に勉強して以来ですが、しっかりと学んで行きましょう!

以下、書籍抜粋

多くは30~50歳で発症する常染色体優性遺伝疾患で、徐々に発症し進行する舞踏運動と認知症などの精神症状を主徴とする。特定疾患治療研究対象疾患である。白人における有病率は10万人あたり4~10人であるが、日本での有病率は100万人に1~4人(欧米の10分の1以下)で、まれな疾患である。
※舞踏運動・・・四肢に何かのしぐさをするような素早い不随意運動、進行すると顔や全身に出現(口すぼめ、舌打ち、しかめ面など)
頭部CT・MRIで尾状核の萎縮を伴う側脳室の拡大が見られる、これにより診断を決定する。
治療法としては、本治はなく、対症療法しかない
不随意運動に対して、ハロペリドール・チアプリド
精神症状には、ハロペリドール・クロルプロマジン
※L-dopa(ドーパミン)で悪化する
組織としては、線条体の神経細胞の変性・脱落によって、淡蒼球内節の活動が低下し、結果、舞踏運動が出現する。

予後は不良であり、末期になるとなたきりになることによる、誤嚥性肺炎などの感染症で死亡する。

以下 個人的見解
中枢神経の上位運動ニューロンが障害される疾患なのですね、パーキンソンはドーパミンがないことにより、抑制がかかりすぎる疾患ですが、ハンチントン病は、これとは逆に、線条体が変性すること(線条体は、ドーパミンを受け取って筋肉のブレーキをかけながら調節する。)で抑制がかからず不随意運動が発現するのですね
簡易的に、中枢神経障害は痙直性、末梢神経は弛緩性と理解してましたが(当然、脊損などそれに当てはまらないものは多々ある)中枢神経でも、このように抑制系の病変になることは大変勉強になります。錐体外路系の障害であることも付属しておくことで病変の理解が進むような気がします。
病名を覚えることではなく、臨床症状から病変の障害部をスクリーニングできることが大切なのではないかと思います。(あくまで病症診断での話です。治療家としては、患者様のことを考え何ができるかが大切です!)

また少しずつ勉強していきましょう。

鶴沢接骨院 香山大樹

本日は勉強会!

2015-09-17 16:33:01 | お勉強
本日は、本院で行われる月1回の【症例検討会】の日となります。

今回は、巡り巡って私の出番なのですが、グズグズ病にかかり、昨日から徹夜で辛くも資料作成いたしました!!!

テーマは【骨盤変位と姿勢分析による考察】です!

当院の治療方針のひとつであります、姿勢(体の歪み)から骨を支える筋肉の異常をみつけ、症状を引き起こす原因を特定する

外傷では、症状と原因が近接していることが多いですが、亜急性外傷や遷延化している病症は、二次的な代償性の負荷などにより、症状と原因が一致しないこともあるのです。
現状の体の情報から、どこの筋肉が弱化して骨の変位があるかを考察することで、対症療法から根本治癒の治療プランへと移行していけるようになるのです。
当然、初めから全てがわかるわけではありません、患者様の既往歴、現病歴、環境など多くの干渉する要素をしっかりとヒアリングしなければなりません、その上で原因の仮説を立てしっかりと根拠のある治療プランの提供ができることが大切であると考えています。
また、検査には、関節可動域検査、徒手筋力テスト、ストレステスト、神経学テストなど多くの複合的な要素もあります。これからも、しっかりと学んでいきながら治療家としての質を高めていきたいと考えています。
私が、患者様、諸先輩方などから学んできたことを少しづつスタッフへ還元し、必要とされる治療家になってもらえることを目標にこれからも症例検討会を続けていきたいと思います。

聞いたことがあるのと知っているのは違う、知っているとやったことがあるのは違う、やったことがあるのとできるのは違う

知識を身に付け、実施を繰り返し、習得する

症例検討会は知識をつけるための土台ですね

鶴沢接骨院 香山大樹

筋萎縮のエビデンス

2015-09-11 11:44:15 | お勉強
豪雨による各地の被害

皆様、どうぞお体にはご自愛ください

さて、相変わらずブログをサボりまくってます。すいません(;´д`)

本日は【筋萎縮】のお話

ここでの筋肉とは、骨格筋のこととして進めてまいります。(筋肉には、内蔵平滑筋、骨格筋(横紋筋)、心筋に大きく分類される)

大きな分類
神経原性・筋原性・廃用性に分かれます。

以下資料抜粋

神経原性筋萎縮・・・障害された下位ニューロン支配領域の全ての筋が萎縮する為、群集萎縮が見られる。筋電図で振幅が大きく高電位を示し発射頻度が減少し多相性を示す。(大きな波形)遠位筋優位の筋力低下が特徴(例外もあり)代表的には、ALS(筋萎縮性側索硬化症)シャルコーマリートゥース病、脊髄性筋萎縮病、球脊髄性筋萎縮病などがある。
個人解釈※神経伝達が弱化するので遠位になると届かなくなるので遠位筋が弱化する

筋原性筋萎縮・・・1つの神経筋単位のなかでも萎縮するものとしないものがある、筋原性酵素であるCK・AST・LDH・アルドラーゼが上昇、筋電図で振幅が小さく低電位で発射頻度が増加(細かな波形)近位筋優位の筋力低下が特徴(例外あり)進行性筋ジストロフィー・多発性筋炎・筋強直性ジストロフィー・遠位型ミオバチー
個人解釈※神経伝達は正常であるが、筋肉自体が弱くなるので、筋の面積に比例して弱化度合いが著明になるので近位筋が弱化する
廃用性筋萎縮・・・長期臥床、運動麻痺による二次的な筋萎縮

※群集萎縮・・・神経に支配される筋肉の束が萎縮する。神経筋単位(運動単位)で萎縮すること
※遠位筋・近位筋・・・体幹に近い場所(大殿筋・起立筋など)を近位筋、四肢末端(手足)を遠位筋といいます。

とあります。

筋肉が弱くなるという一部の情報でも、スクリーニングによって病変をみつけることができます。(上記は、実際、筋電図、血液検査、組織染色などが必要)
実際の臨床でも、病名の特定はできなくとも、この考え方は応用できることがあり、筋萎縮が原発的な筋組織自体のものによる場合、支配神経(末梢神経)による場合なのかを考察するだけでも、治療プランの組み立てに大いに役にたちます。
ただ、主訴(痛い・だるい)という情報だけで、主訴部位だけに対症療法をするのではなく、運動器から原因をさがし、症状があらわれたストーリーを見出すことがより良い治療になるのではないかと考え、創意工夫をして日々進化することがよりよい治療に繋がると信じています。

エクシステンス株式会社 香山大樹

シャルコーマリートゥース病(charcot-marie-tooth)

2015-08-25 09:57:52 | お勉強
久しぶりのお勉強となります。
最近、DrハウスのDVDを見ていて、診断学の面白さに目覚めています。何気ない症状も、潜伏している疾患があるかもしれないと思うと選択肢を広げるための知識と判断する検査法、アプローチするための治療法をそれぞれ学ばなければなりません。少しずつ知識は増やすことで大きな力になります。しっかり勉強しましょう!

シャルコーマリートゥース病(CMT)は、下肢遠位筋に始まる慢性進行性多発ニューロパチーを主徴とする。10~30代(10代後半ピーク)に発症する常染色体優性遺伝疾患(PMP22、PO異常)

症状
両下肢遠位部に発症する筋力低下、筋萎縮(下垂足・大腿部の逆シャンパンボトル・凹足・槌状趾)
軽度感覚障害
腱反射(特にアキレス腱反射)・末梢神経伝達速度の遅延で腓腹神経生検でonion bulb(オニオンバルブ)の形成、筋電図にて神経原性変化

※onion bulb・・・神経のシュワン細胞がミエリン蛋白の異常により脱髄と再髄鞘化を繰り返し生検にて、玉ねぎの皮のように神経を包む像が見られる

約30%に側彎などの脊椎変形を合併する。

治療法 有効な治療法はなく、主に対症療法(リハビリ・短下肢装具・アキレス腱伸長術)が行われる。進行は極めて緩徐であるため、予後は悪くない




これは、ブラックジャックにも出てきた病変です。
主に末梢神経と筋肉に関わる病気ですね、進行性の病変であり10代から発症する。特に家族歴が重要なファクターになっています。
私たちの施術適応にはならないかもしれないですが、来院している患者様がいつもと違う、なにか変だなと思うことは有意義だと私は思います。そのためにも、知識を学ぶことをしていかなければなりません。
痛い、痺れるという症状を軽んじてはいけないのです。痛いから悪いのではなく、患者様をみて徴候と時間経過からレギュラーかイレギュラーかを判断し治療方針を組み立てることがなにより大切になります。

鶴沢接骨院 香山大樹




複合性局所疼痛症候群(CRPS)

2015-07-03 11:44:41 | お勉強
ご無沙汰しています。
本日は、私たち接骨院の中でとても気をつけなければならない重要な病変のお話です。

教科書的には
『組織や神経の損傷(軽微な外傷など)を契機に生じた感覚神経、運動神経、自律神経、免疫系などの病的変化による慢性疼痛症候群。その痛み(主要な訴え)は、「激しく」「持続する」「灼熱性」「深く疼く」「原因となった外傷からは予想される程度を超える」ものとされる』
さらに、分類としてRSD(反射性交感神経ジストロフィー)やカウザルギーが含まれる。これらの定義としては、神経損傷を伴うか伴わないかによる。
伴うものをカウザルギー、伴わないものをRSDという。
しかし、これらの分類は、旧分類であり(国際疼痛学会・IASP)現在は、診断基準として【感覚異常】【血管運動異常】【浮腫・発汗異常】【運動異常・萎縮性変化】のうち自覚的に3項目、他覚的に2項目を満たすものとするとあります。

私たちは、基本的に損傷の分類を行い、それに基づく一定の治癒期間を想定しています。安静がとれないなどの原因がないのに痛みの訴えが強くなったり、治る兆しがみられないなどの状態があれば、頭の片隅にこれを想定しなければなりません。
また、これらを勘違いしてはいけないのは、詐病や心因性疼痛とは異なるという点です。

患者様は、ケガにより痛みを訴えているのです。
決して、気持ちの問題や、嘘をついているのではないのです。

これを間違うと、誤解を生むことになります。本当に注意しなければなりません。

過去に症例で、第5中足骨骨折の患者様が、固定期間に安静のため、まったく足をつかないで生活した後、リハビリにて歩行訓練を始めてからCRPSになってしまい、足を着くことができなくなりました。その後、2ヶ月をかけて治癒へといたりましたが、非常に治療は困難を極めます。その当時は、病院であり、先輩もいて、安心して治療に望めましたが、ひとりでは理解することができなかったと思います。

体のことは、わからないことばかりです。少しずつ理解して、患者様のお役に立てるようになりたいものです。

エクシステンス株式会社 香山大樹

関節拘縮の分類

2015-06-23 21:15:23 | お勉強
お勉強をしましょう!

本日は、関節拘縮の分類です!
拘縮に関しては、研修先の整形外科で特に多数の手指の拘縮症例を経験させていただきました。まだ10年前は、完全な骨癒合後にリハビリを行う、もしくは、自分で動かしてと指導するのがメインでした。
手首(前腕)を骨折しているのに、ギプスを外したら指がうごかない・・・そんな症例を多々見させていただきました。その時は、目の前にある固まった指を曲げることだけに集中していたことを思い出します。
今では、骨癒合期間だけではなく、腫れや痛みの具合で合わせて、早期運動訓練をすることが主流になってきていると思います。当院でも、前腕の骨折をみることがありますので、拘縮を絶対起こさない気持ちで日々の施術を行っています。

さて、まずは関節拘縮について
『関節の可動域が制限された状態をいい、関節の外にある筋・関節包・靭帯などの軟部組織の萎縮や癒着などによって起こる。靭帯損傷などによって関節可動域が異常に過剰になった関節は動揺関節という。関節包内にある軟骨や骨の病変によって、可動域が著しく制限された状態を関節強直という。ある程度可動性を残す状態を不完全強直、可動性を失った状態を完全強直というが、慣例的に完全強直を関節強直と読んでいる。』

続いて分類について

『皮膚性拘縮・・・関節部分の皮膚が熱傷や外傷などで瘢痕(ケロイドのようなひきつれた状態)化したために起こる。

結合組織性拘縮・・・結合組織(皮下組織・靭帯・腱・腱膜など)の肥厚によって起こる。例としてデュピュイトラン拘縮など

筋性拘縮・・・筋の萎縮・短縮による拘縮。ギプス固定や長期臥床による同じ肢位の継続、進行性ジストロフィーなどで起こる

神経性拘縮・・・痙性麻痺・末梢神経障害・関節痛に対する反射などによって起こる。

関節拘縮・・・関節包・靭帯などの炎症・損傷による。』

私が多く治療体験したのは、まさに関節拘縮にあたるものですね、臨床経験上、とっても苦労したのが、皮膚性拘縮と結合組織拘縮です。
炎症を起こした組織は、硬化しいわゆるエンドフィールが感じられなくなります。初めて、拘縮を治療した時は、触ることが怖かったことを覚えています。

また、肘関節の脱臼後の関節拘縮も、成人になると筋力があり、治療が難航したこともしっかり覚えています。
その他にも、指の脱臼骨折の女性が強直といわれていたのが、把握できるようになって涙を流して喜んでいただいたことも覚えています。

過去の話に浸かってしまいましたが、これからも関節拘縮を治すこと、できれば関節拘縮をなくすことを真剣に頑張っていきたいと思います。
そのためには、まず正しい知識と技術、考える力が必要です。

また、勉強することで、見えてくる治療があると思い、日々精進です。

エクシステンス株式会社 香山大樹