「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

仙 2004・12・21

2004-12-21 07:00:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は三つ。

 「誰しも永生きしたいと思う。しかし歳をとりたいとは思わない。」  (出典不明です。)


 「しわがよる。ほくろが出来る。
  腰が曲る。頭がはげる。
  髭は白くなる。

  手はふるえ、足はよろつく、歯は抜ける。
  耳は聞こえず、目は見えなくなる。

  身体には、頭巾や襟まき、
  杖、メガネなどが必要となってくる。
  湯たんぽや温石や溲瓶や
  孫の手も必要となってくる。

  いろいろなことを聞きたがる。
  死にたくないと思う。
  淋しがる。心は曲がり、欲が深くなる。
  何事にもくどくなる。

  気短かになり、やがて愚痴になる。
  出しゃばりたがる。
  世話をやきたがる。

  そしてつい何度も同じ話をして、
  我が子をほめてしまい、
  自分の達者自慢に人はいやがる。

(仙という人の描いた禅画の画賛に書かれている「老人の特性」で、新聞紙上で目にしたものです。ほとんど当てはまり、

 がっくりきました。〉


 「子供叱るな来た道ぞ

  年寄り嫌うな行く道ぞ」  (出典不明です。)
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2004・12・20

2004-12-20 07:00:00 | Weblog
  中央官庁の30代若手官僚の自殺が多いと報じられたことがあります。お役人に限らず、また老若男女を

 問わず、確かに昔よりはストレスが強くなりました。昔であれば大家族の中で癒されていたものが、都会でも地方でも、核家族の中

 の希薄な人間関係では癒しの機能が働きにくいのかも知れません。視野狭窄に陥って、個々人のこころの問題としていくところまで

 行ってしまうというところがあるのかも知れません。「絶望は毒のごとく甘い」です。

  弱いようでいて強いのが人間、逆も真で、強そうに見える人が案外脆い、誰しも強い面、弱い面、心強い時、弱い時があり、明日

 がどうなるのか測りがたいものです。

  今の時代、2世代、3世代の同居、共棲は難しいと言われますが、文字どおり一つ屋根の下に暮らす、暮らさないは別として、

 緩やかな形の共棲のスタイルを考えることが家族再生のために必要ではないかと考えています。そんなところに、

 問題解決の糸口があるように思うからです。

  集団自殺だとか、世相を反映してぞっとするような事件が頻発していますが、リアルタイムでマスメディアがこぞって報道する

 から、大騒ぎなのであって、起こっている出来事を仔細にみると、本質的には昔も今も変わっていないという気がします。拝金主義、

 刹那主義の蔓延する世の中が続く限り、三面記事の内容は今も昔も変わることがないでしょう。自分が、そして自分の家族が犯罪被

 害者にならないよう、細心の注意を払い、君子あやうきに近寄らずで、首をすくめているほかありません。油断のならない世の中です。

 

 
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食の安全 2004・12・19

2004-12-19 07:00:00 | Weblog
 「1996年夏に大阪府堺市で起きた病原性大腸菌O157による集団食中毒事件に関連して、

厚生省(現厚生労働省)から原因食材の可能性を指摘されたカイワレ大根の生産業者が、『根拠のない発表で打撃を受け

た』などとして国に損害賠償を求めた二つの訴訟について、最高裁が国側の上告を退ける決定を下し、国に計約2290

万円の支払いを命じた東京、大阪両高裁判決が確定した」という報道が四、五日前にありました。

 栽培に使用された水が原因とも、米国から輸入されたO157によって汚染された種子を栽培したのが原因とも指摘され

たカイワレ大根。この事件がきっかけとなって、スーパーや八百屋の店頭から一度は姿を消し、戻ってからも売り場の片

隅に追いやられ、すっかり消費が減退してしまいました。

 スケープゴートにされたカイワレ大根が原因と断定できないのであれば、他に原因と考えられる食材は何だったんだと

いうことになるのが自然です。1996年以来、全国でO157による食中毒発生が数多く報告されていますが、原因

食材の特定がなされることは稀です。稀ですが、食中毒に見舞われた人が特定の食品以外に食していなかった場合に原因

食材が特定されることがあります。

 事件当時から陰では囁かれながら、当時の時代環境から、表立って取り上げられることが少なかった原因食材に、北米

大陸からの輸入冷凍牛肉があります。今は、狂牛病に対する警戒から輸入が中断されているあの食材です。日米貿易摩擦

の高まりの中で、そんな指摘はしたくとも出来なかったんだと明言している識者もいる程です。政府や利害関係者のプレ

ス・リリースやコメントを鵜呑みにしたり、限られた報道だけで物事を判断するのは「危ない」、ひとつの具体例です。

敢えて取り上げない、これ以上掘り下げないという編集者の判断も「不作為の毒」ではないでしょうか。今回の判決報道

はベタ記事に近い扱いで、コメントも紋切り型です。
 
 余り報道されたことはありませんが、米国ではO157をはじめ病原性大腸菌による牛肉などの食肉、水産物加工品等

の食品汚染は早くから報告されており、NASAにより宇宙食を無菌状態で製造するために開発された「HACCP」と

いう食品製造過程の衛生管理手法が、連邦レベルで採用され、法令化の上、厳格に施行されています。クリントン政権の

頃にいち早く全国的に「食の安全」キャンペーンが張られたということは、時の政権にそうしなければならないという

危機感を持たせるだけの大変な実態があったのだということを示しているように思います。

 
 
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芭蕉翁 2004・12・18

2004-12-18 07:00:00 | Weblog
 世の中に絶対的なものなどないと考えています。絶対的なものがあると考えたい、信じたいと思う人

のためには宗教や信仰の道があります。

 人の気持ち、感情はうつろいやすい、相対的なものの代表です。人の口から出る言葉も、考え抜いた末のものでない限り、

その場その場の思いつきの、思いやりのないものになりがちで、人を傷付けることに臆病な人間は、寡黙にならざるを得ません。


 今日の「お気に入り」。

「物いへば 唇寒し 秋の風」 (松尾芭蕉)


 芭蕉にしては珍しく、理理屈っぽい感じのする句です。

 「人の短をいふ事なかれ、己が長をとく事なかれ」という前書きとともに、「お気に入り」リストに加えています。人の批判を

したくなるとき、自慢したくなるとき、自分を戒める言葉として思い出します。

「俺が、俺が」の人間に出会うと引いてしまいます。人間 常に humble でありたいと思います。

 沢山の人がひしめきあって生きるこの世を、お互いできるだけ安穏に生きるための「知恵」が常識や中庸の精神であると

 思っています。当然絶対的なものではありえません。

 
 
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2004・12・17

2004-12-17 07:00:00 | Weblog
  何年か前のことになりますが、作家の猪瀬直樹さんが朝日新聞のコラムにこんなことを書かれていました。

  「サラリーマンは転勤をするけれど、基本的には十年一日のごとく毎日同じ時刻に家を出て通勤電車に乗り、という生活を続ける。

  大雨であろうが風吹きであろうが関係ない。不安感がよぎる暇もない。そんなふうに生きることを、いつしか、安定した

  暮らし、と考えるようになった
。だがこれはきわめて不自然である

  安定した暮らしを日本人が得たのは、おおげさだが有史以来、たかだかこの三十年ぐらいではないか。衣食足

  りて危機を回避する感覚がしだいに麻痺してきた三十年ともいえる」と。

  自身を振り返って、会社員生活やその中でやってきた仕事に達成感や遣り甲斐を覚えたことは数多くあり、それはそれで良かった

 とは思うのですが、果たしてそれが33年間雨の日も風の日も毎日同じ時刻に家を出て、帰宅するのは夜の9時半過ぎという暮らし

 をすることに見合うものであったかというと、帳尻はあっていないなという思いが強いのです。

 
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2004・12・16

2004-12-16 07:00:00 | Weblog
 永年会社勤めをしていて、社内外の人とのつながり、いわゆる人脈作りが、仕事を円滑に進めるためには大事

 であると言われ続けてきました。

  誰とでも気軽に話が出来、話題豊富に、愛想良く、調子よく、卒なく受け答えが出来、人の和が保て、そうして出来た人間

 関係を最大限利用して、仕事の幅を広げる。これが社会人として求められる理想の人間像ということなのでしょう。もっとも、

 現実にはこういう人が少ないが故の理想像なのかも知れません。

  世の中どういう訳か、我執の強い人が多いのです。ただでさえ生きにくいこの世の中を、自らの考え方、言動、こだわりが

 因で一層生きにくくしている人が何と多いことかと思います。強い人同士はぶつかります。弱い人を矯正しようとします。

 人心は離れます。
 
  人は自らの生まれてくる所やある程度の年齢まで育っていく環境を選べませんから、生まれついての気質や性格をはじめと

 して、自分の力、意志ではどうしようもない与件のようなものは確かにあり、またこれがその人の行く末まで左右してしまう

 ことがあります。

  もっとも、生きにくい、暮らしにくいなどというのは、贅沢な悩みで、戦争や飢餓の心配のない平和な日本というこの国に、

 それも平和なときに生まれ、育ち、今も平和な日々を送っていること自体ひととして随分恵まれているのだと考えるべきなの

 でしょう。
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浪費社会 2004・12・15

2004-12-15 07:00:00 | Weblog
 個人消費の低迷が言われていますが、それはそんなに悪いことなのでしょうか?

"More is better."(もっともっと)という米国流の消費文明を無批判にとりいれ、その上を行く成長を

 遂げてきた日本。個人がそう頻繁に車を買い換える必要がある筈もないし、家電製品、パソコンだって、故障でもしない限り、

 そうそう買い換えるものでもないように思います。購買欲を煽り続けても限界は見えており、息切れするのは当然です。「充分」

 ということを知らない、際限のない日本の消費文明はやはりおかしいのです。

  日本だけでなく、米国にも「本当に必要なものを持つこと、『もっと』ではなく『充分』を知ること、それを見極めることが

 大事だ」と主張しする人々がいることを新聞で読み、我が意を得たりと思ったものです。5年前のその同じ新聞記事に「アメリカ人は

 かって『市民』だった。今、私たちは『消費者』に成り下がった」とあり、感心し、早速手帳に書き留めました。
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2004・12・14

2004-12-14 07:00:00 | Weblog
 日本の会社では、二、三年ごとに期間を区切って中期的な経営計画を立てることが多いようです。1年では

 短か過ぎ、5年では長過ぎるからです。経営環境に応じた目標やスローガンを掲げ、全社を挙げて取り組みます。多くの会社で

 やっていることで、はやりの考え方や経営手法が採用されます。
 
  数年前、ある会社で、次のようなスローガンというかキャッチフレーズが掲げられているのを目にして、手帳に書き留めました。

 「夢のあること、夢のようなことでないと実現しない

 実現しそうもないような目標を掲げてこそ実現可能性はでてくる。」


 日本の会社には余り似つかわしくないフレーズで、掛け声倒れに終わりそうですが、言われていること自体は正鵠を得ていると思います。

 
 
 
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2004・12・13

2004-12-13 07:00:00 | Weblog
 誰の言葉かは不明ですが、ラジオで耳にして、うろ覚えのまま手帳に書きとめたものです。

  「結婚は 『判断力』 の欠如 による。

   離婚は 『忍耐力』 の欠如 による。

   再婚は 『記憶力』 の欠如 による。」

  ヒトは経験から学ばず、何度でも過ちを繰り返します。

  でも、過ちは覚えていてはいけません。
 
 
 
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2004・12・12

2004-12-12 07:00:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」はピーター・F・ドラッカーの次の言葉です。

 「座して敗北を待つな

 自ら変革せよ

 自らの強みを生かせ。」


  経営学の実務書を読むこともあった勤め人の頃に手帳に書きとめた言葉ですが、今の自分は随分遠いところにいるもの

 だと感じます。

  先日紹介したリンドバーグ夫人の著書「海からの贈物」に、こんな一節があります。

 「それまで続けてきた烈しい戦いが止んでも、貝がまだ岩にしがみ付いていなければならない訳がない。」
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