何年か前のことになりますが、作家の猪瀬直樹さんが朝日新聞のコラムにこんなことを書かれていました。
「サラリーマンは転勤をするけれど、基本的には十年一日のごとく毎日同じ時刻に家を出て通勤電車に乗り、という生活を続ける。
大雨であろうが風吹きであろうが関係ない。不安感がよぎる暇もない。そんなふうに生きることを、いつしか、安定した
暮らし、と考えるようになった。だがこれはきわめて不自然である。
安定した暮らしを日本人が得たのは、おおげさだが有史以来、たかだかこの三十年ぐらいではないか。衣食足
りて危機を回避する感覚がしだいに麻痺してきた三十年ともいえる」と。
自身を振り返って、会社員生活やその中でやってきた仕事に達成感や遣り甲斐を覚えたことは数多くあり、それはそれで良かった
とは思うのですが、果たしてそれが33年間雨の日も風の日も毎日同じ時刻に家を出て、帰宅するのは夜の9時半過ぎという暮らし
をすることに見合うものであったかというと、帳尻はあっていないなという思いが強いのです。
「サラリーマンは転勤をするけれど、基本的には十年一日のごとく毎日同じ時刻に家を出て通勤電車に乗り、という生活を続ける。
大雨であろうが風吹きであろうが関係ない。不安感がよぎる暇もない。そんなふうに生きることを、いつしか、安定した
暮らし、と考えるようになった。だがこれはきわめて不自然である。
安定した暮らしを日本人が得たのは、おおげさだが有史以来、たかだかこの三十年ぐらいではないか。衣食足
りて危機を回避する感覚がしだいに麻痺してきた三十年ともいえる」と。
自身を振り返って、会社員生活やその中でやってきた仕事に達成感や遣り甲斐を覚えたことは数多くあり、それはそれで良かった
とは思うのですが、果たしてそれが33年間雨の日も風の日も毎日同じ時刻に家を出て、帰宅するのは夜の9時半過ぎという暮らし
をすることに見合うものであったかというと、帳尻はあっていないなという思いが強いのです。